ちょっと前のブログでジャズというかマイルスへの愛を語った際に
「判治さんの音楽からは全くマイルスとかジャズの影響が感じられないんですけど。。。」
的な反応が特にウクレレ関係の人から結構あがった。
そんなん当たり前じゃ!
ウクレレ大使としてどんだけ全力で唄おうが、ゾーンに入ることはまずない。
ウクレレ大使にはウクレレ大使としての大事な役目がある。
愛と元気を届けるために唄うという明確な目的がある。
その役目と目的を全うするためには自分だけゾーンに入って好き勝手状態になっちゃいかんだよね。
ワシにとってジャズとはゾーンに入ることで、音楽ジャンルなんかじゃない。
ゾーンとは何も考えず好き勝手やっちゃっても自らの強大な引力によって強靭なグルーヴが生み出される状態のこと。
今日はこの件について詳しく書いてみようと思う。
マニアックな内容かもしれんけど、音楽をやる上でワシが一番大事にしとる事だで特にバンドマンは最後まで読んでくれ!
ワシにとってジャズ、というか音楽それはマイルスデイビス。
ジャズが好きなんじゃなくマイルスが好きなんだと思う。
マイルスはいつの時代もバカテクなメンバーを揃えてバンドを立体的にした上で、マイルス自身が持つ絶対空間支配力で空間を支配して空気を圧縮させてきた。
マイルスは音数が極めて少なくハイトーンも使わず中音域だけで空間を支配する唯一のトランペッター。
というかワシに言わせればトランペットで唄をうたうボーカリストでありプロデューサーだ。
そこが痺れるんよな。
マイルスはバンドリーダー兼プロデューサーとして、ジャズをどんどん進化させた。
往年のジャズファンやジャズ評論家を完全に置き去りにし、次から次へと新しいことに挑戦し続けた。
ざっくり書くと、チャーリーパーカーという天才が作り上げた天才のためのビバップへの反動で40年代後半にクール、50年代にモードを生み出して、60年代はロックに踏み込んで、70年代はファンクやカオスやトライバルに突き進み、80年代ではバブリーなポップスターを演じ、90年代の遺作ではヒップホップにまで辿り着いたというジャズミュージシャンなんて陳腐な言葉じゃ表現できん偉大な開拓者。
でも実はどの時代もマイルスがやっとることは変わらんだよ。
いつの時代も誰とやってもどんなジャンルでも、常にマイルストーン1発で空間を支配するだけ!
(マイルストーンとはアルバムタイトルにもなっとるけど、文字通り重大事件って意味とマイルスの独特なトーンって意味をかけた言葉)
実はワシも同じだら(笑)
バンドが変わっても楽器が変わってもワシが唄えば全部ワシ!(笑)
HANZIトーン!
表面上の音とかには一切マイルスの影響は出しとらんもんで、特にウクレレ大使しか知らん人には伝わっとらんと思うけど、バンドマンとして常に意識しとるのは今もマイルス。
次から次へと新しい事に挑戦する姿勢もマイルスから教わった。
音楽家としてだけじゃなく男の生き方としての道しるべになっとるんかも。
音楽だけど、大事なのは音じゃない。
一番大事なのは魂。
そしてバンドは生き物であり化け物。
ワシはバンドで唄う以上、このことを一番大事にしとる。
メンバー同士で細かく指示し合うなんてバンドじゃねーんよ。
ましてやボーカルに具体的にこんな風に唄えとか、こう振る舞えとか制限するなんてもってのほか。
アイドルじゃねーんよ。(今はアイドルでもすげーのおるけど)
バンドは全員が好き勝手にやりあってゾーンを目指す。
それでもお互いの強大な引力によって強靭なグルーヴが生み出される。
それがワシにとってのバンドでありジャズ。
それが出来んのならバンドで唄う意味がない。
以前ほどじゃなくなったけど、今でもプライベートで聴く音楽の大半はマイルス。
音楽を始める前に好きだったボウイや清志郎さんは別腹として今でも聴くし、自分が今やっとる仕事のために聴く音楽は他にも沢山あるけど、純粋に聴きたいと思って聴く音楽はほぼマイルスってぐらいマイルスが好き。
というかジャズを知りたければマイルスを聞けばいい。
それだけでおまけが沢山ついてくる。
だってマイルスのバンドメンバーは後のジャズ界の巨星だらけなんだでやあ。
ソニーロリンズ、ジョンコルトレーン、ポールチェンバース、ビルエバンス、キャノンボールアダレイ、ハービーハンコック、チックコリア、キースジャレット、トニーウイリアムズ、ロンカーター、ジョンスコフィールド、ジョンマク、マーカスミラー、、、検索したわけじゃなく記憶だけで書いてもキリがない。
先輩格ではチャーリーパーカー、ディジーガレスピー、セロニアスモンク、アートプレイキー、チャールズミンガス、フィリージョーなどなどジャズジャイアンツが芋づる式についてくる。
つまりマイルスを聴くだけで、そんな偉大なジャズミュージシャンのプレイも聞けるってわけ。
そのマイルスを通じて気になったプレイヤーがおればその人のリーダー作を聴いてみる。
これだけに人生をかけても全然時間が足りんぐらい膨大な系譜。
それにしても、去年の秋から急に音楽理論を勉強し始めてから音楽理論の本を何冊か買ったんけど、付属CDの音もメロディも演奏もダサすぎてやる気が失せる(笑)
楽譜が読めんもんで音源を聴いて必死で音を探しても、ギター向けだでウクレレだと音域が足りんことも多くて萎える。
嫁にまで「その教科書みたいなダサい音楽をずっと流すのやめてもらえない?まさかそれをジャズだなんて思ってないよね?」なんて言われる始末(笑)
音楽教育によって殺されたジャズを救うために、ジャズの世界に再び踏み込む決意をしたのに、このままじゃミイラ取りがミイラになる。(笑)
で、気づいた。
大好きなマイルスのラッパのフレーズをウクレレで弾くと楽しい上に音楽理論の勉強にもなるってことに。
単純に、おー!あのカッチョいいニュアンスはこの音を使うと出せるのかー!とか発見できて楽しい。
マイルスは他のトランペッターと比べてハイトーンをほとんど使わんもんでソプラノウクレレの少ないフレット数でもマイルスのフレーズをなぞることはたいがい出来るんよ。
(単に音をなぞるだけじゃマイルスを表現することは絶対出来んだけど。)
しかも最近お気に入りのマグロ漁の極太釣り糸弦をBugsGearのアクレレ(プラスチックウクレレ)に張った時の独特な緊張感ある音がマイルスのハーマンミュートのトーンになんか近い。
気がする(笑)
ということでマイルスをプラスティックウクレレで1曲。
特にこの動画の最初のフレーズの最後の音のキワドイ感じなんか「まさにマイルスだ!」って動画でも一人で興奮しとるんけど、誰か分かってくれんかやあ?(笑)
キャノンボールへのつなぎの半音で上がっていく早いフレーズをミスったのをごまかすためにキャノンボールのサックスを口で再現したことは不問に付してくれ(笑)
そこはなんかサッチモっぽい!?(笑)
ミュージシャン自身が大好きな音楽と、自分が仕事としてやっとる音楽は別なことが多い。
どメジャーなアーティストは特にそうだけど、ワシレベルでもそう。
逆に自分が仕事でやれる音楽と純粋に好きな音楽は違った方がいいとも言える。
だで、仕事で唄う唄とは別に、趣味として自分が一番好きな音楽を一生懸命楽しもうと思う。
それはやっぱジャズというかマイルスなんよな。
でも、バンドシーンでもブルーハーツが好きすぎるバンドマンがブルーハーツそっくりなバンドをやってそれがブームになって売れちゃった時代もあったし、
ウクレレシーンでもジェイクシマブクロが好きな子がジェイクそのままなプレイばっかやったりするのがもてはやされたりもした。
前例がないことより、2番煎じの方が需要があるんか?
趣味ならそれでいいけど、プロとしてはどーなん?っていつも思う。
音楽業界全体としても、文化としてずっと残るような音楽を世に出そうと奮闘するよりも、子供騙しで簡単に売れそうな2番煎じな「音楽まがい」ばかりを大量生産して消費させるだけ。
こんなんじゃ日本の音楽シーンに未来はない。
音楽をもっと愛そう。
音楽にもっと愛されよう。
音楽をもっと育てよう。
音楽にもっと育てられよう。
就職しようが子供ができようが年をとろうが、
音楽やるなら一生自分なりのロックスターを目指せ!
って思いで作った唄。
次のHANZI BANDは3/20(月・祝)ミヤザワールド2017@渋谷サイクロン!
天国のロックスター宮澤にこの唄を届けにいくぜ!
宮ちゃんはこの世でもっと音楽をやりたかったんよな。
ワシがいつか向こうに行って一緒にバンドをやる日のために、ワシはこの世でもっと音楽を楽しんで勉強しとくわ。