皆さんご機嫌いかがですか?コーネリアスです。今回は、養老孟司先生に学ぶ子育て法について語ってみたいと思います。私コーネリアスが最近ハマって見ている動画がこの養老孟司先生の動画です。先生は元東大名誉教授で解剖学者でもある方です。こう聞くとなんか小難しいこと言う人じゃないかと思われる方も居るかもしれませんが、全然そんな事ありません。逆にとても面白く、分かり易いです。今回は先生が子育てについて語っておられた動画について皆さんにご紹介したいと思います。

元東大名誉教授の養老孟司先生

 

 先生は最初に子育て法についてでなく、『人間の学習機能』について語られていました。先ず、養老先生によれば、人間の学習というものは感覚(五感:視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)から入り、それを脳で処理し、運動という形で表現していると言っています。脳が行なっているのは、アルゴリズムの策定、処理です。コンピューターのCPUが行なっているような事なのだそうです。つまり感覚機能が入力で、運動機能が出力するという事ですね。例えば、赤ちゃんが言葉を覚えるのも、先ずは身近な親兄弟の声を耳から聞いて、次に自分も喋るようになる。この自分が喋る声がまた自分にも聞こえますから、音の調子なんかも親のそれと比較したりを脳でするらしいんですね。これを何回も何回も繰り返す事で最終的に上手に喋れるようになっていくんだそうです。また、子供がハイハイしたり、ヨチヨチ歩きを始めるという事は、移動が可能になるという事。先生はコレがとても大事な事と言います。何と赤ちゃんの時期にもう既に中一の数学レベルの事に気付くと言うのです。人が移動するとはどういう事か?それは、目の前に見えるものの大きさが変わるという事です。当然ですが、遠くなら小さく、距離が近くなれば大きく見えます。赤ちゃんはひとりでにこれを学習します。これを中一の数学では比例として教えています。中学ではこれを論理的に教えているだけで、人は既にそうした概念を感覚的に赤ん坊の段階で学習しているわけです。今やっているのはあくまで一般的『学習』の事であって、上記の事を勉強に当て嵌めるなら、入力が学校で授業を受けている時、出力つまりその結果を出すのが敢えて言うとテストの回答という事になると思います。勉強も広い意味では学習ですけどね。つまり、人間が学習するという事は、取りもなおさず身体を使う事だと言えそうです。先生によれば、昔の人はこの入力段階を文とし、出力段階を武としていたようだとの事。ですが、既に江戸時代はこれを履き違えており、午前中は座敷で論語を読み、午後からは道場で剣術の鍛錬をやり、此れをもって文武両道と呼んでいたようだ。でも、此れは違うと先生は言います。何が違うかと言うと、感覚から入った何らかの情報が脳で処理され、運動として表現されてコレが更にもう一度感覚として人は捕まえると言うのです。そしてその結果を検証する。これの繰り返しだと言うわけです。つまり入力と出力の循環です。なんで、文と武という風に区分けしてはいけないと言っているんです。そうした誤解もあったんで、同じく江戸時代に中国の王陽明が説いた陽明学が出て来たと言うのです。陽明学では、この文武両道を知行合一と表現しているそうです。『知った事と行いが合致し、これらが循環している』こう捕まえるのが正しいと先生は言います。王陽明はおそらくそれが言いたかったんじゃないかと。つまり人間の学習と言うものは、このように入力出力の循環、繰り返しなのだと。こう聞くとなんか相撲の稽古に似ているようにも思えます。アレを何故トレーニング、訓練と呼ばずに稽古と言うかというと、相撲というのはある種様々な形の組み合わせの習得であり、其れ等を組み合わせたり、変化に瞬時に対応したりしなければなりません。なので、力士たちはそうしたいわゆる形を身体に叩き込む、脳で理解するので無く(ホントは一旦は脳に行くのですが)身体に覚え込ませるような感覚で形の反復練習をする。これを稽古と呼ぶのだと聞いた事があります。反復練習という点では学習も同じかなとも思えます。

 で、先生は子供の、特に幼児期のこうした学習がその後の子供の発達や教育に大きな影響を及ぼすので非常に大事だと述べています。特に感覚機能の向上、入力段階のブラッシュアップですかね。小さな時から様々な変化を与えて感覚機能を上手に発達させる事かと思います。ここで先生はある事を懸念しています。それが子供をビルや建物の中に閉じ込めて育てる事です。今の子育て環境です。先生曰くは、ビルや建物の中というのはそもそもが人工的に作られた空間で、変化を貰いにくい。照明なんかヘタすれば一日中明るさは変わらないし、風も吹かない。床は基本どこも平坦で変化は無い。暑ければ冷やすし、寒ければ暖める。温度変化も分からない。なので、こんな環境では感覚の機能が磨かれるわけは無いと言っています。なので、先生は極力子供は外へ連れて行け。一番良いのは自然に触れさせる事。何故なら、自然は常に変化しているから。そうした環境であれば、感覚機能は自ずと磨かれ、変化にも対応できる人間に成長するだろうと言い切っています。私も成る程そうかと思います。ただ、小さな子供を外へ出すというのは、同時にある種の危険も伴う為、親によっては躊躇してしまう傾向が現代は強いのだそうです。そうですね。それも確かに言えます。先生は幼稚園の理事長も30年ほどやられたそうなので、この辺の事はかなり詳しかったですね。此処が一番のネックだとおっしゃってました。更に加えて今じゃコロナですから…余計そうでしょうね。と、ここまで長々書いてきましたが、私の拙い解説よりも養老先生のこの動画を添付して置きたいと思います。子育て中のお父さん、お母さん是非ご覧下さい。子育ての参考になるかもしれませんので。コーネリアスお勧め動画です。