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ゲームセンターCX DVD-BOX

CSフジテレビ721の人気番組ゲームセンターCXから、有野の挑戦コーナーを中心にピックアップしたDVD2枚組ボックス。

内容は、簡単に言うと、「よゐこ」の有野晋也が、懐かしのファミコンソフトを攻略プレイしエンディングを目指す、という物。会議室にスタッフと籠もり、ひたすら十数時間掛けてゲームをし続けるだけ、という、いかにも予算がかからなそうな番組である。

映像的には、ゲーム画面とプレイする有野を交互に淡々と映し、ナレーションが入るだけ。

こう聞くと凄くつまらなそうに思うだろう。自分も最初はそう思っていたが、いざ見てみると意外に面白い。
アクションゲームの攻略を見る事が、アクション映画に匹敵するような、スリルとサスペンスをもたらすとは思いも寄らなかった。手に汗握る事必至である。

この番組の持つ力の1つは、ゲーム自身のパワーである。ヘタな装飾はせず、ゲーム自身の持つ魅力を最大限に引き出している。そしてもう一つは有野の人柄であろう。彼は凄腕ゲーマーではないしどちらかというとヘタな方であるが、落ち着いた雰囲気の外見(平たく言えばおっさん臭い)とゆるくぼけた性格が、何度もやられながら挑戦するレトロゲームに、異様にマッチしているのだ。

収録作品中では、魔界村とプリンスオブペルシャが圧巻。アトランチスの謎も懐かしい。

一時期、この番組のためにCS入れようかと考えたが、他に見る番組が無く割高なので止めたほどである。

ゲームセンターCX DVD-BOX

GC/ピクミン/任天堂

CMテーマ曲が一時期凄く話題なった例のアクション。その割にはプラットフォームがGCという事で実際にプレイした人はかなり少ないだろう。
こんなゲームにこそWiiの出番。いつかやりたいと思ってやれずにいたゲームの筆頭株をようやくプレイした。

凄く面白い。

隕石と宇宙船の衝突事故によって謎の惑星に墜落したキャプテン・オリマー(たぶんマリオの逆読み)。妙に協力的な謎の現地生物ピクミンの助けを借り、各地に散らばった宇宙船の部品を回収し、生命維持装置が切れる30日目までに脱出できるか?といったストーリー。この星の1日は実プレイで20数分なので、ざっと、15時間ほどで取り敢えずの結末を迎えるだろう。

このゲームには2種類のタイムリミットがある。1つは、上記の30日間でパーツを回収する、というリミット。もう一つは毎日のリミット。日中は元気に活動するオリマーとピクミンだが、夜間は凶暴な現地生物が暴れるため、上空に非難していないとピクミンが食べられてしまう。ピクミンには道を造ったり物を運ばせたりと、集団で作業に当たらせる訳だが、日没時にはちゃんと回収しておかないと全滅を食らう。作業をやりっぱなしにはできずキチンとスケジュールする必要があるのだ。

ピクミンには3種類あり、力が強く熱耐性の大きな赤ピクミン、ジャンプ力が強く爆弾を使える黄ピクミン、水耐性のある青ピクミンである。これらのピクミンを増やしながら、現地生物を倒し、道を開き、宇宙船の部品を発見し、回収するのだ。オリマーには、走り回る事の他には、主にたった3つしかアクションができない。ピクミンに自分に追従するように呼ぶ事、ピクミンを指定場所に放り投げる事、ピクミンをその場で整列待機させる事。放り投げられたピクミンは、現地の状況に応じて自律的に、敵がいれば戦い、壊せる物があれば壊し、回収できる物があれば運ぼうとする。

こうしてフィールドの状況を判断し、ピクミンの特性を考えて、様々な作業を並行して割り振ってゆく。赤ピクミンは路上の敵を倒し、黄ピクミンは爆弾で岩壁を破壊し、青ピクミンは水場をショートカットして裏から橋を架け、最後にみんなで部品を運べ、などと。苦労した分、誰も死なずに計画通りに事が運んだ時の達成感はひとしおだ。一日はあっという間に終わるから、もたもたしていると何もできない内に日が暮れてしまうこととなる。時間を計算しつつ今何をすべきかを考えるのが非常に楽しい。

ピクミンやオリマーを狙う現地生物も、いろんな特性があり、ピクミンを大量に食べてくる奴、食べないが邪魔だけする奴などいろいろだ。倒し方も色々試行錯誤してそいつの弱点を突かないとうまく行かない。50匹のピクミンで突撃して全滅していた強敵が、慣れてくると8匹の精鋭で簡単に倒せるようになったりする。

何回かリトライをしながらの初プレイで、取り敢えずクリアはできたが、結構リミット内に達成するのは難し目かもしれない。現在2回目をやっているが、自分の腕が上がっているので驚くほど効率的に動けて、多分半分の15日程度でクリアできそうな勢いだ。1回目より2回目の方が断然楽しい。

ステージ数など、若干ボリュームが少ないような気もするが1度はプレイして損のないゲームだろう。

任天堂
ピクミン

爆笑オンエアバトル 第9回チャンピオン大会 ファイナル!/NHK

3/23日放送。

ちょっと時間が空いてしまったが、今期のファイナルを振り返ってみよう。1週間経過でもし忘れてたネタや記憶違いがあったら、まあその程度のネタだったという事で。出演リストだけNHKのサイト からコピーしてきた。

NON STYLE
結果発表でチャンピオンになった時には驚いた。まさかという感じ。たしかに、客席の反応は凄く沸いていてこれは一番だったと思う。出演順ラストということで、客も固さが抜けたからかも。芸風はそれほど好みではないので印象が厳しめかも知れない。お化け屋敷デートネタ。

タイムマシーン3号
安定していたと思う。手応えはあっただろう。結果は僅差で惜しかった。見合いネタは面白かった。遅れてきた見合い相手の女性に対し、とにかく相手を褒めろよ!→結構な、ご身分ですね、の所がとても良い。

タカ アンド トシ
名前どっちか忘れたけど、ボケの方、太ったね。その所為かなんだか精彩を欠いた感じ。順番トップという事もあってか固い気がした。アドリブ?のボケ返しが滑って後半落ち込んでいったような。

キャン×キャン
マスオさんネタ多いな。予想外の高得点。何故かいつもあまり記憶に残らないので、ネタの詳細は忘れてしまった。

三拍子
突っ込みの久保は喉が弱いのか、いつも終わった後声が枯れていて気になる。凄い好きなコンビなのだが、セミファイナルのネタの方が出来が良かった気がするので残念。

ラバーガール
芸風としてキングオブコメディにちょっと似ている気がする。ボケと突っ込みの顔と表情が、もうその役割分担しかないだろう、という感じでマッチしてるのが良いと思う。電報ネタは面白かった。ただ、やるやらないをひっくり返すだけネタが最近ちょっと多すぎかもしれない。それは郵便ですね、みたいなネタを増やした方が好み。

トータルテンボス
はんぱねえ、は封印して自重してたのではなかったか?誕生国務長官は展開は想像通りだったけど、それでも特に面白かった。今期は一時期調子を落としていたような気がしたが、復調した感じ。

ハマカーン
もってまわったドラマ風口調のコントの持ち味を活かして安定しているのは相変わらず。後半のロケット花火のコントは最高。

流れ星
個人的には最高だったが。長めの間と瞬発ビンタ突っ込みがいつも良い。ネタも斬新な内容を作ってくる方だ。草履DDRとか良かった。今回も、1箇所、信長と秀吉の言い間違えさえ無ければと悔やまれてならない。ボケが毎回必ず着ている、黒い猫のTシャツが気になる。猫好きなのか?何着もあるのか?ユニフォームとして何らかの意味があるのか?

超新塾
パターン芸だけど、緊張のためか、台詞被ったりして途中ぐだぐだになってたのが惜しい。4人のボケ(?)が、もっともっと意外性のある展開を出してきて欲しい。しかし個人的にはあまり好きな芸風ではないのでそれほど感心はない。

エレファントジョン
ガッテン嫌いなんだよ、と相方に言われたのには笑った。意外と凝ったネタをやっているのだけど、割と淡々としたキャラも相まってか内容の割に受けないのはいつもの事。狙っているのかもしれないが、ボケのあの着替え途中のサラリーマンのような衣装は結構マイナス評価を受けているのではないかと思われて仕方ない。アメディオの片割れ元気かな。

という事で今期も終了。

ファイナリストをさしおいて、実はオンバトで一番面白いのでは?と思う塚原アナが卒業という事で、もうあの鋭い発言を聞けないのかと思うと非常に残念。最初は固くてどうなる事かと思ったほどだったが、せっかくこなれて円熟の司会ぶりだったのに。
一番好きだった塚原アナのコメント(記憶なので細部は曖昧)。
1,2年前インスタントジョンソンがオンエアになって、演後のおまけ映像で。
イン「オンエアとか嬉しいんですけど、でも、このネタ後のやりとりも放送して欲しいんですよね」
イン「僕らまだ一度も流れた事ないんで」
イン「どうしたら流れるんですかね?流す流さないはオンエア回数とか、なにか基準はあるんですか?」
塚原「え…と、面白かったら」

プロフェッショナル 仕事の流儀 映画を創る 宮崎駿・創作の秘密/NHK

内容の無いスカスカの作りに幻滅しながら見た。それでも見られたのは対象が宮崎駿で興味を引いたからだ。
番組中盤で次回予告やセルフ宣伝を持ってくるなんて制作者としての神経を疑う。何か勘違いをしていないだろうか?

ディレクター兼カメラマンのこの制作者には、なんの意識も目的も感じられなかった。宮崎駿に密着して絵を撮ったらきっと凄いぞ、という浅薄な態度が透けて見えたかの様だった。とくに対象がこの人だから余計にそう感じたのかも知れない。

宮崎駿の映画作りの手法は、任天堂チームのゼルダ作りの手法に似ていると思った。どちらもストーリーなんて歯牙にも掛けない。宮崎は画面のイメージにひたすら拘り、任天堂はプレイの遊び感覚に拘る。その拘った物を集め、こぼれないように何とかまとめようとくくりつけるヒモが、単にストーリーという名前で呼ばれるだけなのだ。しかし、宮崎も言っていたように、こうした方法で練られた、オブジェクトの反発を受けて張力で一杯に張られたストーリーには、作為がない。オブジェクトによってピンと引っ張られているからストーリーの実感が本物になってくるのだ。

この辺り、タクトのエントリで書いたリアリティの話と繋がっている。ゼルダシリーズにはストーリーなんてあってなきがごとしだし、ご都合主義の後付の、テンでバラバラの与太話にすぎない。それでも、ゼルダの世界が本物で、冒険が本物のリアリティを持つから、その荒唐無稽なストーリーも本物の輝きを持つのだと思う。感動するのだと思う。

宮崎駿が、映画にストーリーを折り込んだり上品にメッセージを伝えようとせず、キャリアもクソもない、とにかく客の目を引く面白い絵を創りたいと常にあがいている様子には素直に感動した。そしてその様子が、彼が心底嫌っていた手塚治虫の姿勢とダブって見えたのがとても印象深かった。

しかし息子がアニメ映画の監督をするハメになるとは、辛かっただろうと思う。いろんなしがらみで、止めさせきれなかったんだろうけど、結局親父も息子も辛いだけだろうに。こういう人の心を土足で踏みにじるような事はしてはいけないと思った。駿が可哀想すぎる。あと気になった事としては、ゲド戦記を第1回監督作品などと称して、まるで最初から第2回があるような口調で宣伝するのはどうだろうか、と言う点だ。

この番組中で一番凄いと思った発言は、ずっと海のアニメ映画を創りたいと思って、けど海は描くのが面倒くさいから、というものだ。こういう事をさらっと言えるのは本当に力のあるプロなんだなあと実感した。

とにかくNHKはもっとましな番組作りをして欲しい物だ。このシリーズはもう見ないと思うが。

GC/ゼルダの伝説 風のタクト/任天堂

有名RPGのGCタイトル。賛否両論のトゥーン調画像で有名。

大変面白かった。連日コツコツと1ヶ月半程掛けて堪能してクリアした。プレイ前からタクトの微妙な世評は耳にしていたので若干心配はしていたのだが、そんな心配は全く無用だった。素晴らしい冒険だった。批判されている点も判らないではないが、自分には気にならなかった。むしろ時のオカリナ、ムジュラの仮面とどんどんパワーアップしていると実感した。

まず、絵が良い。ちょっと癖のあるアニメ調のキャラクターや背景画は、取っつきにくいと感じる向きもあるだろうが、馴染んでみると心地よく寧ろ世界観に対して自然な印象を受けた。ただ、リーデット(叫び声で主人公をすくみ上がらせるアンデッドモンスター)だけは、可愛くなりすぎて、恐怖のオーラが失われていて、この点だけは残念だった。時のオカリナの時などは、リーデットに抱きつかれたら涙が出そうになった物だ。

今、ゲームはどんどんリアルな世界を目指している。PS3などに代表される次世代機もそうした表現を実現できるように性能を上げている。それを映し出すTVはプログレッシブにハイビジョンになり信号はデジタルHDMI端子で出力される。サウンドは5.1chでキャラクターの台詞は豪華声優陣のフルボイスが当たり前。
しかし、開発費を天文学的に押し上げるだけのこうした要素のみが本当のリアルさをもたらすのではない。本当のリアルな印象をもたらすのは感覚器官への刺激ではなく、脳が作り出すイマジネーションなのであるから。

タクトの海は青ベタだ。誇張でも何でもなく、本当に、ベタっと単色の青が塗られた平面が広がっているだけなのだ。さすがにこれにはゲーム開始当初面食らったが、この世界になれてしまうともう海にしか見えない。寧ろプレイを続けると、これは敢えてこうしているのだという事が分かる。そしてこの世界で船を手に入れ青ベタにこぎ出すと、もうそこは大海原にしか感じられない。うねりや波模様が表れる事もあるが、風を受けてふくらむ帆や波をかき分けて進む船の揺れなど、細かな表現の積み重ねがこのリアル感を出しているのだと思う。タイトルで分かるように、このゲームでは「風」が重要なキーワードであるが、常に画面を吹き抜ける風の表現(この風の表現は、Wiiスポーツのゴルフなどに活かされている)もこうした感覚を生み出す重要な役割を担っていると思われる。

高所恐怖症でなくても、高い所に行くと足がすくむ感じを受ける事があるだろう。自分の場合は高い所は平気だが、高所から落ちるような状態の時、下腹部がヒヤッと力が抜けるような感じを受ける事がある。しかし、映画に没入してこの感覚を味わう事は希だ。テレビや映画などの映像でこの感覚を受けたのは多分過去に1,2回だったと思う。アニメでは皆無である。しかし、これはゲームではしばしば感じるのだ。特にゼルダシリーズはキャラクターを操作していて高い所から落ちるような時にはいつも感じる。これは突然の落下にびっくりしたという反応ではないのだ。これからここを飛び降りる、と考えてその通りゆっくり実行した時でさえ、主人公キャラが自由落下を始めるとヒヤリと感じずにはいられない。時のオカリナやムジュラでも感じたが、タクトでは特に強烈であった。これはリアリティ以外の何ものでもないと考える。もっとリアルっぽい詳細な背景で詳細なキャラクターを操作するゲームもたくさんある。しかし、画像の詳細さとこうした感覚とは特に関係は無いようで面白い。他にこうした感覚を受けたゲームはトゥームレイダーのいくつかのシリーズぐらいであろうか。これは自分の仮説に過ぎないが、こうした感覚を受けるゲームでは、多分、落下を始める際のキャラクターモーションとカメラの位置とその軌道が、凄く微妙な関係になっているのだろうと思う。リアルさとは、画像を詳細に究めても、物理演算でキャラクタの動きを計算しても、賢いAIでオブジェクトを制御しても、そうした機械的な計算だけでは得られない物なのだろうと思う。

謎解きや戦闘はやや易しめの難易度でそう悩む事無くのんびり楽しめた。また6拍子のテーマ曲は良かったし、エンディングのメドレーはとても秀逸だった。キャラクターの声の調子を文字の大小で表現するシステムも良いと思った。敢えて難を挙げると、ややダンジョンが少ないかな、という点だろうか。

好きなキャラクターは、テトラとメドリ。

次作のWii版ゼルダの伝説 トワイライトプリンセスでは、この素晴らしいトゥーンキャラが使われていない。欧米であまり受けが良くなかった事が原因らしいが、大変残念な事である。

任天堂
ゼルダの伝説 風のタクト

着実に儲ける!こだわりの居酒屋/喫茶店開業マニュアル/岩本光央

何気なく手に取った本だったが、実に当たりの本だった。

まず、自分で実践して確かめた事だけが書いてあるのが良い。巷に溢れる実務経験のないコンサルの書いた本などは、まったくもって役に立たない。
失敗した事や苦労した話が書いてあるのが良い。きれい事しか書いてない本は、ほとんどはずれと見て間違いない。
こうした開業指南本の場合、職人寄りの人は職人サイドからの視点ばかりになるし、フランチャイズ系の本は、ビジネス一本やりになるが、この本は丁度中間のほどよいバランスを保って書かれているので参考にしやすいのだ。

店のプロであって本書きのプロではないから、後半繰り返しが多くダレるのは仕方ないだろう。

自分は将来余裕資金ができた時に飲食オーナーをやるのも面白そうだと考えているのだが、自分でお店をやりたいと思っている人は、一読しておいて損はないと思う。

岩本光央
着実に儲ける!こだわりの居酒屋/喫茶店開業マニュアル

ライラ・ペンション/ノーベル・マンション/坂田靖子

かなり古い連載2本をまとめた文庫。

女子高生3人組がおんぼろハウスで共同生活を始めるライラ・ペンション、しっぽが大好きなちょっと変わった青年が引っ越した先は人間以外が住まうマンションだったというどたばたコメディのノーベル・マンション。

どちらも満足行く読み応えだが、あえて挙げるならライラ・ペンションが出色かと。空気感・時代感が素晴らしい。

坂田靖子
ライラ・ペンション/ノーベル・マンション

泳ぐ貝、タコの愛―軟体動物のふしぎな生態/奥谷喬司他

アンモナイトやベレムナイトを思い浮かべれば誰でも、ああ、と膝を打つだろうが、通常はあまりタコやイカが貝の仲間である事はそれほど知られているとは言えないだろう。この本はそうしたタコイカ貝などの軟体動物についての博物誌である。

大変面白いし、意外と知らない事実も書いてあってためになる本だが、まず口絵が少なくて残念。普段あまりお目に掛かる事のない軟体動物だけにその体構造の説明には、ぜひともイラストが必須だと思う。あと、著書の妙に気取った硬い文体が何とも言えず良い味を出している。

タニシが卵胎生である事とか、地味な軟体動物に対して普段忘れがちなもろもろを楽しく思い起こさせてくれるだけでも読む価値はある本である。

奥谷喬司他
泳ぐ貝、タコの愛―軟体動物のふしぎな生態

2999年のゲーム・キッズ 完全版/渡辺浩弐

SF設定の掌編小説集である。

この本を読むに先立つ事数週間前、ある1つのゲームをプレイした。それは、プレイステーションコミック第3弾と銘打たれた「2999年のゲーム・キッズ」であった。形式は選択肢などプレイヤーの関与が極端に少ないサウンドノベルと思えばよい。コミックというカテゴライズと定価2000円という設定が示すように、PSのゲームソフトとしてはボリュームも少なく、今ひとつと言った印象であった。

しかし、内容と見せ方は割と良かった。
設定はこうである。2999年にロボット達は一つの「街」の中で完全充足して生活していた。自らを人間だと信じて。街の外には一歩も出られず、街の中心の「塔」の上層階に行った事がある者は居ないが、誰もそんな事を表立って気にすることもなく日々生活していた。主人公シカもそんな街の住人の一人であった。平凡な生活。そして平凡な生活の記憶。しかし、なにかが剥がれるように少しずつ日常が崩れていき…。というサスペンスタッチのSF作品である。味のあるアニメ調のキャラクターと割合工夫され作り込まれたエフェクトで割と引きつける作品になっている。特に1匹のシズクホタルが街を舞うシーンはかなり素晴らしい出来だと思われた。

だが、設定定価の関係上低い予算のためか、ボリュームが極めて少ない。もう少し話があってもいいのにな…。

そこで、この書籍である。ゲーム版シナリオを内包し更に他の話を大幅加筆して1冊の本に仕上げた物だと聞いて読んでみたのだ。たしかにその通りで、そこそこ面白い物ではあるが、結局ゲームで感じた欲求不満が解消される事はなかった。

本自体は、どことなく星新一のようなテイストである。複数の人物がいろいろな視点から物語る掌編が多数集積して、一つの世界を織り上げている。前半の1/3ほどがゲーム化されたシカの話の周辺部であり、後半はもう全然別の話となる。そして淡々と小話が続き本は最後のページを迎える。完成した世界と読者は取り残されたままだ。シカの話の解釈、世界の解釈、話の続き、プロローグ、エピローグ、その他世界の詳細について、読者は自分で考えざるを得ない。
結局この問いに答えを出すのは読者自身となる。「ゲーム・キッズとは何か?」

エントロピーなどSF的に使用している科学用語の誤用はご愛敬の範囲であるし、多くの読者にとって作者の言いたい事は分かると思うので問題はない。

渡辺 浩弐
2999年のゲーム・キッズ 完全版

SCE
プレイステーションコミック第3弾「2999年のゲーム・キッズ」

GC/ドンキーコング ジャングルビート/任天堂

ロコロコのエントリでもちらっと紹介した傑作アクション。本当は完全クリアしたあとに書こうと思ったが、なかなかできないので、もう書く事にする。

このゲームは、タルコンガという太鼓型コントローラーを使用して遊ぶゲームである。タルコンガには、左右の太鼓とクラップ(拍手)を検出するマイクが付いている。操作の基本は、右の太鼓を叩くと右に進み、左の太鼓は左へ。両方の太鼓を同時に叩くとジャンプし、クラップでアクションという感じだ。

ゲームシステムは、横スクロールアクションで、2ステージ+ボスが単位となっており、これを「王国」と呼ぶ。4王国で1つの「タル世界」を構成し、チュートリアル+全4タル+最終ボスの計37ステージと大ボリュームだ。各ステージでは敵を避けギミックを駆使しマップに配置されたバナナを取得すると「ビート」が増える。ダメージを食らうとビートが減る。ビートが零になるとゲームオーバーだが、それまでにゴールに駆け込めばステージクリアである。ボス戦では、ボスを攻撃し体力ゲージを零にする事がクリア要件となる。

各王国と最終ボスでは、クリア時に取得したビートの合計により、金銀銅プラチナのクレストが授与される。トータル72枚のクレストを集める事がこのゲームの取り敢えずのクリアとなる。ちなみに現在、68枚で停滞中である。

とにかく手が痛いゲームである。太鼓を叩きまくり拍手をしまくるので当然手は真っ赤である。まず太鼓を叩いて操作する時点でキャラが動くだけで単純に面白いのが不思議だ。次に太鼓操作での連続ジャンプアクションが決まるとかなり爽快となる。

基本的にバナナ1本で1ビートであるが、これが取り方によってビートが増える仕組みがありとても熱い。
まず、クラップキャッチというクラップするとドンキーの周囲にあるある一定の円の中のアイテムはすべて一括でゲットできるアクションがある。このクラップキャッチでバナナを取るとそれだけで、+1されるのだ。また、1回のクラップで複数のバナナをキャッチすると、1本増えるたびに、さらに+1されていく。
次に、異なるジャンプアクションを地上に降りることなく続けて繰り出すと、コンボという状態になる。このコンボ状態でバナナを取ると、その時点でのコンボ数がベースとしてプラスされるのだ。しかし、このコンボクラップしたビートは、すぐに合計されるのではなく、コンボ状態でストックされており、着地してコンボが終了した時点で始めてゲットになる。また、コンボ中にダメージを食らうとそれまでにコンボで貯めたストックビートは、集計されることなく非常にも破棄されてしまう。

ちなみに取得できるビートは次の式で計算される。
取得ビート = n(n + 2c + 1)/2 + 2m
n:一度のクラップで取ったバナナの個数(1本房も3本房も各1と数える)
m:nのうち、3本房の個数
c:コンボ数(通常時は1コンボ状態)
例) 6コンボ状態で6個の1本房バナナをクラップ=57ビート

つまり、ハイビートを目指すなら、ハイコンボ状態を維持しつつできるだけ多くのバナナを一度にクラップする事を繰り返さなければならないのだ。しかしコンボ状態のままダメージを負うと一切ビートが入らないので、これは諸刃の剣である。一旦着地してビートを確定するか、それともリスクを背負ってハイビートを目指すか。この判断と駆け引きがとても面白い。つまりここがロコロコとの大きな違いなのである。ハイスコアを目指すには、ハイリスクを背負わないとダメだという緊張感が繰り返しトライさせる原動力となっているのだ。

このゲームは、一応GCコントローラでもプレイ可能ではあるが、やはりタルコンガでプレイしないと面白さは半減する。

任天堂
ドンキーコング ジャングルビート