プロフェッショナル 仕事の流儀 映画を創る 宮崎駿・創作の秘密/NHK | 読んだり観たり聴いたりしたもの

プロフェッショナル 仕事の流儀 映画を創る 宮崎駿・創作の秘密/NHK

内容の無いスカスカの作りに幻滅しながら見た。それでも見られたのは対象が宮崎駿で興味を引いたからだ。
番組中盤で次回予告やセルフ宣伝を持ってくるなんて制作者としての神経を疑う。何か勘違いをしていないだろうか?

ディレクター兼カメラマンのこの制作者には、なんの意識も目的も感じられなかった。宮崎駿に密着して絵を撮ったらきっと凄いぞ、という浅薄な態度が透けて見えたかの様だった。とくに対象がこの人だから余計にそう感じたのかも知れない。

宮崎駿の映画作りの手法は、任天堂チームのゼルダ作りの手法に似ていると思った。どちらもストーリーなんて歯牙にも掛けない。宮崎は画面のイメージにひたすら拘り、任天堂はプレイの遊び感覚に拘る。その拘った物を集め、こぼれないように何とかまとめようとくくりつけるヒモが、単にストーリーという名前で呼ばれるだけなのだ。しかし、宮崎も言っていたように、こうした方法で練られた、オブジェクトの反発を受けて張力で一杯に張られたストーリーには、作為がない。オブジェクトによってピンと引っ張られているからストーリーの実感が本物になってくるのだ。

この辺り、タクトのエントリで書いたリアリティの話と繋がっている。ゼルダシリーズにはストーリーなんてあってなきがごとしだし、ご都合主義の後付の、テンでバラバラの与太話にすぎない。それでも、ゼルダの世界が本物で、冒険が本物のリアリティを持つから、その荒唐無稽なストーリーも本物の輝きを持つのだと思う。感動するのだと思う。

宮崎駿が、映画にストーリーを折り込んだり上品にメッセージを伝えようとせず、キャリアもクソもない、とにかく客の目を引く面白い絵を創りたいと常にあがいている様子には素直に感動した。そしてその様子が、彼が心底嫌っていた手塚治虫の姿勢とダブって見えたのがとても印象深かった。

しかし息子がアニメ映画の監督をするハメになるとは、辛かっただろうと思う。いろんなしがらみで、止めさせきれなかったんだろうけど、結局親父も息子も辛いだけだろうに。こういう人の心を土足で踏みにじるような事はしてはいけないと思った。駿が可哀想すぎる。あと気になった事としては、ゲド戦記を第1回監督作品などと称して、まるで最初から第2回があるような口調で宣伝するのはどうだろうか、と言う点だ。

この番組中で一番凄いと思った発言は、ずっと海のアニメ映画を創りたいと思って、けど海は描くのが面倒くさいから、というものだ。こういう事をさらっと言えるのは本当に力のあるプロなんだなあと実感した。

とにかくNHKはもっとましな番組作りをして欲しい物だ。このシリーズはもう見ないと思うが。