WEEKLY MAIL 第1331号(令和5年7月29日)発行 NO.2
日米欧中央銀行の会議が終わりまして、米国、欧州は0.25%の利上げ、日本はイールドカーブコントロールの運用柔軟化を発表しました。 米国の0.25%上げについては、先週ついうっかりして事前のコンセンサスをチェックせずに0.25%の利上げを予想していたのですが、コンセンサスもほぼ同じだったようで、結果的にサプライズなしということでした。欧州もそうですね。一方、日銀ですが、今回の発表文をそのまま引用すると「長期金利の変動幅は「±0.5%程度」を目途とし、長短金利操作について、より柔軟に運用する。10年物国債金利について1.0%の利回りでの指値オペを、明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日、実施する。」ということとなりました。ちなみに、前回6月会合時の文章は下記の通り。「長期金利の変動幅を「±0.5%程度」とし、10年物国債金利について0.5%の利回りでの指値オペを、明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日、実施する。」ということですので、変動幅に関しては幅をもう少し広げてもいいよ、と。で、指値オペは0.5%から1%に変更、ということですね。で、同時に発表されている物価の見通しが、前回4月は2023年度の消費者物価指数(除く生鮮食品)が+1.7~+2.0だったのですが、今回の見通しでは+2.4~+2.7%にけっこう上がっています。ということですので、市場金利が上昇する流れの中で、10年国債の指値オペが0.5%だときついというのはあったにせよ、きついから上げたというより、足元の物価見通しの引き上げに伴って上げた、という理屈は通るかなと思います。もっとも、2024年度の見通しは、前回4月と比べて下限は+1.8%で変わらず、上限は前回の+2.1を+2.2%に小幅上げただけ。ということは、2023年度との比較で言うと来年度は今年度より物価が下がる予想ということになりますし、日銀が物価目標としている2%の定着というにはまだ心もとない状況ということであり、よって当面は緩和を続ける姿勢に変化なし、という理屈となります。 このあたり、うまくやったというより、理路整然と方針に従って動いたように思います。したがって、日銀の金融引き締めへの変更を読んだ(あるいはそういう空気の高まりを期待した)投資家の見通しははずれた、ということだろうと思います。本文執筆時点の日本時間7月29日14時時点で日経平均先物を見ると33,100円となっています。先週当欄では、いったん下がったとしても素早く買い戻さないと上にもっていかれるのでは、と予想しましたが、今のところその通りの動きとなっています。しかも、33,100円ともなると6月7日高値や7月に入ってからの高値も抜いてしまっているので、いったん売り方は手じまわないと仕方がないだろうと思います。また、28日金曜日はSQでもないのに売買代金が大きく膨らんでいます。7月の月末近くに、あるいは昨日だけの何か特殊な売買があったのかどうかは承知していませんが、そういうものがないとすれば、ずいぶんたくさんの売りが出たといえますし、逆にずいぶんたくさん買いが入ったものだと思います。 日経平均は、7月12日安値31,791円から7月27日高値32,938円の0.764押しが32,061円。昨日の安値が32,037円です。まあそんな細かいことを言わなくても、おおむね7月21日安値の32,080円近辺からの切り返しということで、チャート的なおさまりも悪くないかなと思います。まだ日本株を買いたい海外投資家は多いと思いますし、昨日の動きを見たら売り方は慎重になるのではないでしょうか。 ただ、このところの小型株の弱さについては、今朝の日経新聞あたりもマザーズ指数がさえない、と言うような見出しの記事で、長期金利が上がっているからとか何とか書いているようですが、そういうことではないと思っています。もう7月ですから、投資家は来年の景気も見始めるころです。日銀の物価見通しでも来年は今年より落ち着く見通しとなっています。要するに、海外よりもコロナ明けが遅かった日本のコロナ明け景気が、年内には一巡してくる可能性が高い、ということなのかなと思っています。なので、内需系中心の中小型株が軟調である、と。こんなこと、わざわざ書かなくても常識ですかね?どうなんでしょう。ただ、勢いは落ちても景気拡大は継続すると思うので、弱気になっている内需系小型株は買っていいタイミングだろうと強気で見ています。 ところで、最近神奈川県では「かながわペイ」が始まっています。景気が悪いわけでもないのになぜ今やるのでしょう。しかも、どちらかというと需要よりも供給が弱い状況下、需要を増やす政策を打ってる場合か、と思います。どうしてもやるなら来年やればいいのに。給与が上がっても社会保障費が上昇して手取りが増えない状況下、せめて国(あるいは地方自治体)のお金はもう少し要領よく使ってよ、と思います。