日経平均の日足チャートでは、結局水曜日から上放れて、またまたアイランドを形成することになりました。こういう、アイランドだらけの相場になると、相場が上に行ったり下に行ったり結構忙しくなりがちな印象です。また、33,500円台というのは、ほぼ、バブル後の戻り高値という水準ですので、逆張り派は思いっきり指数を売ってくるところだろうと思います。なので、20日以降に日足チャートで下放れるような動きが出ると、33,500円どころを抜くのはなかなかきつい、と思う投資家が増えると思います。


 日足一目均衡表では、日経平均が高値追いとなったので基準線が上昇し、強気局面、としか言いようのない形となりました。しかし、遅行線が過去のローソク足と連動するパターン、すなわち、日経平均が26日周期で同じ波動を描くことがある、というパターンで言うと、ちょうどここからは、当面は上昇しにくい日柄、ということとなります。


 一方、米国10年債利回りのトレンド変化、具体的には、それまでの金利上昇トレンドから低下トレンドに変化したところから米国株は上昇を始め、日経平均も力強い上昇を始めたと言っていいと思いますが、米国のインフレ指標がこのところ落ち着きつつあるとはいえ、10年債利回りの水準としては少し下がりすぎではないか、というのがマクロ的な見立てです。また、来年以降の利下げについても、市場予想は少々楽観的(つまり、早く大きく金利が下がると市場は予想)と思われます。よって、年末に向けては米国長期債利回りは再び上昇に転じると見た方がよさそうです。ただし、金利の上昇局面自体は終了していると思われますので、4.34.8%程度のレンジ相場に移行すると見ています。となると、長期債利回りが上昇して株価は弱含み、下落して株価は強含み、という動きとなると思います。それでも利回りが5%をこえて上昇することはないと思われるので(言い方を変えると、米国のインフレ率はピークをつけたと思うので)、あとは株式市場が慣れるだけ、ということだろうと思います。


 イスラエルの問題は当面は材料視されず、と見ていいと思います。中国景気は不動産融資に端を発する金融不安は当局が抑えると見られるものの、その処置は一筋縄ではいかず、景気自体は伸び悩みが続くと思います。米国としては、中国が勝手に転ぶのを見届けたうえで、制裁の方も少しは手加減をするようになると思います。したがって、米中関係の不安から株価が売られる、という可能性はかなり下がっているように思います。ウクライナに関しては膠着が続き、これも株価材料にはならないように思います。


 そうした状況ですので、個別銘柄で業績が伸ばせるところは株価が堅調に上昇していくと思います。そろそろ目線は来期業績に切り替わるところですので、インフレ環境下、しっかりと売上を伸ばし、かつ、利益率も上昇していくことが見込まれる会社がいいだろうと思います。


 なお、景気は堅調、株価もしっかり、という状況だと証券株は有望、と思われがちですが、個人的にはあまりよろしくないと思います。個人投資家向けの売買手数料は今後いろんな意味で稼げなくなってくると思うので、中長期投資の観点からは、保有しないほうがいいだろう、と思っています。


 全体的な需給面では、海外投資家による日本株買いは、まだまだしぶとく継続すると見ていますし、資金的にはまだまだ入ってきていないと思います。日本はデフレを脱却し、適度なインフレの継続が見込める環境になったと判断していいと思いますので、日本株に対する中長期的観点からの投資は有効な時代に入っていると思っています。