それまでの株価上昇が劇的だっただけに、このところの株価調整が沈滞ムードを助長している感があります。いいニュースとしては、日経新聞がここにきて弱気のモードを出してきたことですね。逆指標としてよく当たるので、これは心強い動きと言えます。


 需給面では、東証での海外投資家の地域別のシェアでは、欧州投資家がダントツに大きく、この78月では7割以上となっています。で、足元では欧州の金利上昇が懸念されているところ。欧州投資家の日本株売買シェアが高い、といっても、欧州経由というだけでスポンサーも欧州とは限りません。なので理屈として通るのかどうかはよくわからないのですが、自分の庭(欧州市場)での金利上昇、リスク回避の動きが高まると、外株(日本株)への投資もトーンダウンするのかな、というのはあります。このストーリーは昔からちょいちょい使っている話ではありますが、その因果関係の確からしさはちょっと怪しい、というか、きちんと裏の取れる話でもないです。


 金利上昇で懸念されるのは、何も株を買わなくても債券でいいじゃん、という話と、インフレ懸念で金利は上昇するが景気は減速し、景気が減速すれば普通はインフレが収まるはずがおさまらず、景気悪化とインフレが共存する状態(スタグフレーション)になる懸念、の2つがあります。


一つ目は、おそらく金利上昇が止まるめどが見えれば落ち着いてくる話だろうと思います。後者はかなり嫌なパターンですが、モノのインフレについては、生産面では新興国の生産能力は問題ないと思うので、まず大丈夫だろうと思いますが、中国との関係がとことんこじれた場合は話が変わってくる可能性があります。また、生産段階では問題なくても、流通のところで引っかかるとやはりインフレになります。コロナの時のような状況です。あとは、賃金上昇が行き過ぎるとやはりインフレがおさまらない可能性があり、これはモノに関しても関係しますし、サービスに関しても大きく影響します。ただ、個人的にはスタグフレーションの可能性はあまり高くないだろうと思います。景気減速で需要が落ちてなお物価が上昇するというのは、先進国では起こりにくいだろうと思います。


 米国の金利上昇は、政府閉鎖で国債の格付けに影響が出ることを懸念しての債券売り、というストーリーも成り立ちますが、欧州勢が自国金利の上昇で外貨資産を引き上げている、という可能性はあるように思います。ここはおそらくデータが取れれば事後的に確認できる話だと思いますが、すみません、ちょっとすぐには確認できませんでした。


 で、米国金利上昇によるリスク資産回避、という動きは表れているように思います。ここの読みが難しいところで、すでに金利上昇一巡を織り込んだ株価上昇はやってしまったとみるのかどうか、というところです。ここは、企業業績、具体的には予想EPSがアナリスト予想より上に来るか、バリュエーションは大丈夫か、というところと絡む話となると思います。このあたりを合わせてどう読むか。


 というわけで、日本経済が多少いいからと言って、海外投資家にとっての外国株買いのリスクが取れる状況かどうかが重要で、そこを見ておくべきだろうと思います。


 参考までに、過去の米国の10日以上の政府閉鎖は、1990年以降だと3回。199512月から翌1月にかけて21日間、201310月に16日間、201812月から1月までの35日間、の3回だそうです。