指数の見通しという点でいえば、前週書いた日経平均3万円飛び台はエントリーポイントでは、という予想は結果的にその通りではあったのですが、こんな、外れたり外れたり外れたり、からの当たったりではなんの役にも立たないと思います。そういう世界の住民ではありますが、せめてもう少し精度をあげないと。

 株価の先行きを当てる、という点では、マクロ経済見通し、企業業績、PER等のバリュエーション、金融・財政政策、、、、等、判断材料、あるいは株価に影響を与える要因はたくさんあります。で、機関投資家が保有ポートフォリオのリスク低減のために使うリスクモデルは、こういったものを組み合わせて分散投資によるリスク低減の計算をしています。

絶対パフォーマンスを横において、対株価指数とのパフォーマンスの乖離をリスクとするならば、はじめっからインデックスのEPSを買えばよい、ということになりますが、あれこれ工夫をして、リスクをおさえつつも対インデックスのアウトパフォームを狙う、というのがアクティブ運用の基本スタンスです。

 しかし、株価の予測モデルばかり追い求めている天才肌の人(会社の先輩)の最新研究では、過去数日間の株価データのみで、数ヵ月先程度までの株価の動きの予想がつくとのこと。緩やかな上昇、下降トレンドとか、何月何日に急落する、とか。

数年前の段階のモデルは私も見ていましたが、いつも当たるというわけではないけどそこそこ当たっているイメージでした。おそらく、その話を聞いて投資して、最初に儲かってしまったらもうすっかりファンになってしまうのだろうと思います。今は当時よりも精度は上がっているかもしれませんが、なぜこの話を出したかというと、そのモデルは株価データしか使っていない、ということです。それでピンポイントの急落日まで的中させるとはどういうことか、と。

 で、本人とも話したのですが、そのモデルが機能するということは、株価というのはインサイダーというか、それは法的にアウトなものという意味ではなく、そういう参加者がやっぱりいるんだな、と。つまり、大きなアクションが起こる前に、それを知っていて対処をしている投資家がいるのだな、という可能性がある、ということです。なぜなら、もし全員がなにも知らずにランダムに投資をしており、そこに全員が予想していない事項が起きて株価に大きな変化が出る、ということが繰り返されているとしたら、そうした事項が起きるまでの株価はその事項に関して全くランダムな動きとなっているはずだからです。

しかし、そこに何らかの法則があって統計的に予測ができるということは、多くの人にとっては予測不納で突拍子もないと思われたその出来事が、実は既に株価の動きに含まれつつあってその日を迎えている、ということになるのです。

 となれば、最初にあげたようなマクロ経済見通しやファンダメンタルから積み上げた予想ってなんやねん、という話になります。結局のところ、人が決断するには何らかの信じたい根拠がいるので、そういうものの役には立つだろうがそれだけのこと、ということかもしれません。

 このあたりは前々から思わなくもないですが、その予測モデルの的中する確率が100%ではない以上、そのモデルを社会的に使うという点では占いと何ら変わらない、ということになるわけです。

相場格言で「株価は株価に聞け」というのがありますが、ほんとにそうじゃん、という話ですね。