だからエリオットの3波、5波というカウントはですね、後から見ると当たったように見えますが、予想となるとなかなかバシッといかないわけですよ。先週当欄では、日経平均は97日あたりからの下げでも3波やるかも、と書いたわけですが、結果的にはそうはならず、11日を底にして切り返して7日の高値を抜きました。619からの波動では7月12日までの下落、81日までの上昇、818日までの下落で、それまでの上昇波に対する修正3波は終了、と見るときれいで、その通りの展開となった、ということですね。


 一方、均衡表では遅行線が過去のローソク足と同じ動きを続けており、一生同じわけはないけどもこのまま続いた場合はこうなる、と書きましたが、そういう点では914日応当日から過去の動きに決別しましたね。


 で、日経平均は金曜日に、61981日を結んだ上値抵抗ラインを抜きました。こうなると、いったん、だましの下げがあるかもしれませんが、619高値も抜く波動に入っている、という予想になると思います。


 さて、このところ当欄ではチャートの話ばかりになっていましたが、先週は1週間ニューヨークに行っていまして、証券会社や運用会社を訪問していました。相場の話を聞きに行ったわけではないのですが、それでも少しは相場に関する話も聞きました。ざっくり紹介すると、このところ日本株に対する注目が大変高まっていて、投資家からの日本株に対する情報に関するさはリクエストが大変多いとのこと。地域的には欧米、中東とほぼ世界中。まあ、だいたいイメージしていた通りですが、具体的に聞くと裏が取れる感じでいいですね。


 で、ある大手証券会社のグローバルエクイティのヘッドとのミーティングでは、彼らの注目点はデフレ脱却、ガバナンス改革、中国に向かっていた資金の再配分先としての日本、といったところでした。ガバナンス改革は国内のストラテジストがちょいちょい上げる論点で個人的にはどうなのかなと思っていましたが、海外投資家にウケるからか、と思ったところです。デフレ脱却に関しては賃金上昇率も見ているとのことで、ここは私ももちろん同感です。私からは、デフレ脱却が期待される局面はアベノミクスの時もあったが、名目GDPの伸びに注目するとかなり違う、このことが日経平均の戻り高値更新の背景ともなっているのではないか、と言うような話をしました。株価が名目GDPに連動することはある意味常識と言えますが、欧米人にとっては当たり前すぎる話だと思います。どちらも長期トレンドでは常に上昇しているので。それだけにあまり意識していなかったようで、この指摘は新鮮だったようです。


 その他、海外投資家による日本株ツアーもここから予定されているようですし、おそらく海外投資家の日本株買いは当面続くことが見込まれます。なんといってもほとんどの投資家は日本株がベンチマークに対してアンダーウェイトとなっているので、日本株に上昇されると自分のファンドのパフォーマンスが負けてしまうのです。ということなので、皆が見ている実質GDPが減速しても、名目GDPの伸びが堅調である限り、中長期的観点からは日本株の弱気は考えなくていいように思います。


 ただ、運用会社とのミーティングでは、個別企業で見ていくと成長率やROEが見劣りする、という話がありました。いつの時代からの話をしている?と聞くと、1985年以降相場を見ているが、という話でしたが、日本は1993年頃からずっとデフレ環境下にある。デフレ脱却して販売単価が上昇してくると利益率は改善する可能性が高い。過去数十年のデフレ環境下における前提でこの先も予測すると見誤るのではないか、と指摘しておきました。もっとも、私はセルサイド、証券会社の人間でしかも債券ではなく株が専門なので、常に強気のバイアスがかかっている点は、注意点として申し上げておきました。


 とまあこんな感じで、今は私は情報部にはおりませんけれども、しかも情報部と言ってもリテールサイドだったわけですけれども、米国の現役の機関投資家との会話がそれなりにできたのは、自分としてはよかったなと思いました。