統計的な裏付けは全くありませんが、マスコミが強気を書くとか、個人的には、逆指標なのではないか?と疑っている情報筋の強気レポートが出始めてからやっぱり日本株は調整含みの動きとなっています。また、先週書きましたが、多くの(というか私が見ている狭い範囲の)中小型優良株の株価が、上昇波動をキープしているなら割ってはけないラインを割って下がっていたので、相場つきとしては弱そうだな、という感じはありました。
で、とうとう日経平均も短期的には割ってほしくないラインを割ってきました。先週「6月27日安値の32,300円どころを割ってしまうと、2番天井をつけて下落パターン、と認識されそうなところです。そうなると32,300円どころが戻り高値のめどとなります。」と書きましたが、まさにそのラインを割ったということです。
足元の日本株の上昇局面では、半導体関連株が相場を先導した、ということになっていますが、ここは裏を取る必要があるように思っています。というのは、相場をリードしたのはインデックス売買であり、結果的に指数寄与度の高い値がさハイテク系が上がった、ということではないのかな、と個人的には思っているのです。なので、日経平均が30,000円を超えて一気に上昇した局面での物色内容につき、あんまりファンダメンタルズに関連するストーリーをつけても意味はないのではないか、と思うわけですね。
そもそも、日本株をたいして持っていなかった外国人投資家がほとんどなわけで、今回日本株を買った海外投資家の多くは日本株の調査なんてろくにしてなかった連中だろうと思うわけです。で、そんな彼らが日本株のポジションを増やすときに、個別銘柄の内容を吟味して買うとはとうてい思えません。ウォーレンバフェットのように分散投資効果を全く否定する投資家ばかりならいざ知らず、むしろそういう投資家はごく少数だと思うのです。したがって、海外投資家のほとんどは、ただインデックスを買ったのだと思います。それだけでしょう。それに加えて、日本株はどうせ上がらないとたかをくくって日経平均30,000円超のところで空売りのポジションをとっていた投資家の買戻しを巻き込んだ、といったところだと見ています。 なので、せいぜい、空売りポジションが取られていた銘柄の多くがむしろ上がった、というところかな、と。
ということなので、指数の上昇がいったん止まったこのあたりから、個別銘柄の評価による株価変動が出やすくなるのではないのかな、と思っています。銘柄間のロング・ショートを張っているヘッジファンドとか(儲かっているかどうか知りませんが)、アクティブ系のファンドが個別銘柄の買い、売り注文を出してくる動きはこれからそれなりに活発化してくると思うので、指数が横ばいの中で年初来高値を更新する銘柄群がある、ということになろうかと思います。 投資家と言ってもたくさんいるので、もちろん個別銘柄のファンダメンタルズ重視で買っている人たちもたくさんいると思います。そういうことを言い出すと、相場の解説はできなくなりますので、やはり相対的に多数の投資家の動きを考えるというのは重要かと思います。こんなに短期間に指数が上がる中では、買い材料はより大きなマクロ経済によるものと見るのがいいだろうと思うわけです。そういう意味で、足元の上昇相場の理由を、細かい景気の動きで説明しようとしているレポートがあるとすれば、その段階でちょっとどうかな、、、と思うわけです。
で、ダブルトップのネックラインを割ってしまった日経平均ですが、いくらまで下がっていくらから立ち直るのか。波動をどこからとるかによって変わってきますので、逆に言うと、波動の起点を決めるのが大事と言えます。それだけ書いたらどれか当たるだろう、と言われそうですが、備忘録も兼ねて2パターン書いておきます。いずれも、高値は6月19日の33,772.89円とします。正直、ちょっとおさまりがよくありません。
パターン1 4月27日の28241.67を上昇の起点とするパターン。
0.236押し 32467.52
0.382押し 31659.96
0.5押し 31007.28
パターン2 3月16日の26632.92を上昇の起点とするパターン
0.236押し 32087.86
0.382押し 31045.42
0.5押し 30202.91
ということなのですが、6月27日安値32306.99円、7月12日安値の31791円に対するはまりが両者ともよくありません。考え方としては2つあって、そもそも波動の取り方が違うか、そうでなければ、上昇波動はインデックス売買が中心で来た(特に先物主導の相場つきの場合、こういったテクニカル予想はよく当たる、あるいははまる)ものの、その後の調整局面ではことのほかインデックス以外の売買が入っていて指数のテクニカル分析が当たりにくくなっている、という2つです。うーん。
で、もう1パターン追加。
パターン3 4月6日安値の27427.66円を上昇の起点とするパターン
0.236 32275.42
0.382 31349.01
0.5 30600.28
このパターン3が割といけてる感じがします。これだけ紹介してもよかったかもしれません。
相場全般はいろいろうんちくの言い甲斐のある環境にあると思いますが、証券会社の経営方針の変化(個別銘柄の売買提案よりもポートフォリオ提案を重視)もあり、きちんとした相場の分析、推奨のできる人が減ってきているのは大変残念なことだと思っています。