日経平均先物は海外市場で30,600円程度。となると、104日、24日の安値まであと少し、というところで、押し目買いが入るタイミングとも言えますし、ここを割るようなら次は29,000円台か、という、できることなら踏ん張ってほしい水準となっています。先週書いたとおり、チャート的にはちょっと弱そうな感じの動きとなっており、現値近辺は今年の5月後半あたりの節目にかろうじて引っかかっているような状態で、うまくすると上放れて上がってもおかしくないのですが、耐えきれずに下がってしまいそうな感じです。


 さて、先週、さほど根拠もなく、オイルマネーか何か、いずれにせよ日本株の相場にうまく乗っていそうな人たちが売っている気がする、ということを書きましたが、その、薄い根拠の一つとして見ていた共立メンテナンスの株価がひとまず下げ止まりの動きを見せています。いったん休憩してまた売られる可能性もありますが、ひとまずその筋の売りは止まった可能性はあるかなと思っています。


一方、リクルートが結構下がりまして、こちらの方が大型株ですので、売りの主体は共立メンテナンスとは違うのではないかな、と、これも根拠はありませんが推定しています。全く根拠はありませんが、共立メンテナンスを売ったのはうまい方、リクルートを売ったのは下手な方かな、と思います。リクルートのような大型主力株を、ここまで下がったところで売りに行くって、そのファンドの運用成績は大丈夫かと心配してしまいます。


 ということですので、日経平均のチャートを見るととても安心できる感じでもないのですが、とうとう下手くそが株を売りに行って底入れ近し、ということかなと思っています。


 さて、欧米では、証券会社による個別銘柄や個別商品の推奨は限りなくやりにくくなっています。フィデューシャリー等の規制が厳しいためです。日本の金融庁はよく言えば慎重、悪く言えば仕事が遅いので、日本ではそうはなっていません。何でも海外が正しくて日本が遅れている、とは限らないのですが、金融商品の取り扱いや金融機関に対する規制は、その内容がいいか悪いかは別として世界共通のようなところはあるので、まあ、金融庁は仕事が遅い、ということでいいと思います。彼らは彼らで民間のせいにするかもしれませんが。


 で、どうやら、とうとうそういう流れが日本にもやってきそうな気配です。現状、ただでさえいい加減な投資情報が広く流れているのに、証券会社の個別銘柄推奨からの撤退あるいはトーンダウンにともなって、(会社の責任の下に)投資情報を出している証券会社等プロの情報が減ることになりそうです。ちなみにここで言っているのは当たりはずれの話ではなく、間違いのない情報かどうかということです。証券会社が稚拙な情報を出すこともありますが、稚拙とうそは違う、ということで。


 ちょっと関連するような話ですが、最近、某上場企業で行われた社員向けの投資に対する研修の資料を見る機会があったのですが、その内容がひどいというか、ところどころプロならありえないような表現や解釈があって、どういうことだ、と思いました。研修をしたのは、ものすごくたくさんの投資の本を出している会社で、有名企業の社員向け研修も多数受けているようですが、こんなレベルで一流企業の研修を受託できるのか、と思いました。ショックというかなんというか。その会社はもちろんですが、受ける方の会社の社員も、資料を見てもおかしいことに気づかないのかな、と。事業会社の人が気づかないのはまあ仕方がない面もあろうかと思いますけれども。


 逆に言えば、今回のケースは同業なので気づいたわけですが、世の中、広くマスコミに出てて大企業も使っているから大丈夫、とは限らないのだなと思った次第です。


 最後にひとつ。マクロ統計からミクロの推測をするのは筋違いかもしれませんが、日本ではインフレ率の上昇が賃金の上昇を上回る、実質賃金の低下が継続しています。しかし、インフレ率の低下と賃金上昇の継続で、実質賃金は来年にはプラスに転じると予想されます。買いたいものは待っていればいずれ下がる、といったように、消費者の考え方がまだまだデフレ時代から変化せずにいますが、待っていると値段は上がる、というふうに考え方も変わると思います。また、消費不振の理由に年金の不安も大きいように報道されていましたが、年金基金等の運用資金も増加しており、そうした面での考え方も脱デフレ型の消費行動の後押しに寄与するように思います。その結果、消費行動も変わるのではないかと期待しています。GDP7割程度は個人消費なわけで、そういう意味で、来年以降にかけての国内の状況は悪くないと思っています。