経営の勘どころ・つかみどころ -6ページ目

新型コロナ第5波ピークアウトするも、『天気晴朗なれど波高し』

 今月はあとで振り返った時、いろいろな意味で日本の行く末を左右するターニングポイントの月であったと評される月になるかも知れない。2021年9月は奇しくもそう思わざるを得ない出来事が次々と起こっていたのである。それらの出来事を日ごと振り返ってみよう。

 

 9月1日、管政権の肝入りでデジタル庁が発した。5日には東京パラリンピック閉幕。この頃からコロナ第5波がピークを迎える。15日、韓国が潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)の発射実験成功を発表。翌16日には中国がTPPに加盟申請。翌17日はアジア版・軍事的な安全保障同盟とも言えるAUKUS(米・英・豪)が発足し、豪国に対して米英両国が原子力潜水艦の技術供与をすることが合意された。

 

 22日には台湾がTPPに加盟申請し中国を強く牽制した。24日には退陣間近の管総理大臣を招いて、QUADと称される日米豪印の首脳会談がワシントンで開催された。こちらはアジア版経済的安全保障同盟である。27日にはドイツ連邦議会選挙でメルケル首相が長く党首を務めたキリスト教民主同盟が第一党の座から転落し、16年に及ぶ長期政権は事実上消滅した。中国寄りとされていたドイツの今後の外交政策が注目される。

 

 翌28日には北朝鮮が極超音速ミサイルの発射実験を初めて行った。精度によっては迎撃不能との懸念が囁かれ始めている。29日は、自民党総裁選が行われ、岸田文雄前政調会長が決選投票で対抗馬の河野太郎行革相を退け第100代の内閣総理大臣候補となった。30日をもって緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が全面解除されることになった。長い長いコロナとの戦いだが、第5波は不思議なくらい急速にピークアウトしつつあり、人々は首を捻る有様である。もっともワクチン接収は30日時点で1回目接収率が70%に達し、2回目接種も約60%に達しているので、感染者の急減に多少とも効果を上げていることは間違さそうだ。


 さて、何の脈絡もなくこれらの出来事を暦に従って並べてみたが、これらの出来事の全てに関わる国がある。それは中国である。新型コロナ発生の起源は中国だ。


 パラリンピックはコロナの影響で1年延期後無観客での開催を強いられた。テレワークやワクチン接種を巡る混乱では日本がデジタル後進国であることを浮き彫りにした。その結果、早期に発足したのがデジタル庁である。

 AUKUSもQUADも、そもそもの狙いは中国包囲網の構築である。TPPも自由貿易のルール遵守を旗印にアメリカ主導で発足した経済圏構想であり、中国の覇権主義的な経済圏構想に対抗するものだ。米国不在のTPPに中国自ら加盟申請したことは内部からTPPを骨抜きにする戦略が見え隠れする。これに対抗するように台湾もTPPに加盟申請した。

 

 韓国のSLBM発射実験成功も北朝鮮の極超音速弾道ミサイル発射実験も、単なる南北対立に起因するものではなく、流動化する東アジア情勢を睨んだ行動である。その背景には深刻化する米中の対立に備える小国の戦略が潜んでいる。

 メルケル時代のドイツは経済重視政策のもと中国には融和的と言われていたが、今や膨張する中国への警戒感が大きくなり、政権交代後の対中国政策が注目されている。


 そして自民党総裁選で誕生する新政権。ここでも中国への向き合い方が同盟国や周辺国から注視されることは間違いない。そしてワクチン接種が進む中、Withコロナ後の経済政策の舵取りも大いに注目されるであろう。どれもこれも向き合い方や手の打ち方を間違うと我が国の将来に大きな影響を及ぼすうことは明らかである。

 

 2021年9月の出来事が今後どう展開していくのか? 決して目が離せない。 『天気晴朗なれど波高し!』
 

新型コロナ第5波の影に隠れて見えないもう一つの第5波の兆候!?

2020年1月16日新型コロナの感染者が国内で初めて確認されてからダイヤモンド・プリンセス号でのクラスター発生などを経て、コロナ禍の第1波が始まった。3月にはIOCはTOKYO2020開催の1年延期を発表し、その後日本政府は、初の緊急事態宣言を発令した。その後終息に向かうとみた管政権は、GOTOキャンペーンで経済のV字回復を目論んだが、人流を刺激した結果、7月から10月には第2波のコロナ禍に晒された。

 次いで冬期を迎える当たって懸念されていた第3波が11月から翌年2月に到来し、政府は年明け早々2回目の緊急事態宣言を発令した。その後も感染抑制はままならず、3月以降は大阪や北海道や沖縄などで再び感染が拡大し始め、首都圏にも飛び火するに及んで、政府は3回目の緊急事態宣言とまん延防止等重点措置を発令して感染阻止を試みた。感染状況は6月には抑制されたかに見えたが下がりきることはなく、ついに1年遅れのTOKYO2020開催を迎えることとなった。

 開催反対の声もむなしく世紀の祭典は無観客で開催されたが、開催期間に並行して最大級の第5波に見舞われることになった。これに続くパラリンピック開催中というのが目下の状況である。

 この間、世界では2億1700万人が感染し死者も450万人に達している。日本でも150万人が感染し1万6千人が死亡している。10年前の東日本大震災の死者・行方不明者を上回る被害に至りつつある。いつ終息するやも知れぬコロナ禍。こんなに長引く原因がウイルスの変異であることが認識されるに至ったのも最近のことだ。

 ウイルスは遺伝情報RNAのコピーを繰り返すことで増殖するらしいが、まれにコピーミスが生じるという。このコピーミスで生まれたのが変異株である。ウイルスが存在する限りコピーミスによる変異株が次々と生まれ、感染を拡大するであろう。実際、第1波の主役は従来型であり、第2波から第3波の時期の主役は、従来型に英国株やブラジル株・南アフリカ株のハイブリット感染によるものとされ、第4波では英国株に置き換わり、第5波はインド株が主役となっている。ポスト第5波が大いに懸念されるとともに、コロナとの戦いは長期戦を強いられることは間違いないだろう。

 

 時に、コロナ第5波に隠れて見えずらいもう一つの第5波が近づいている。それは消費税改正である。あまり知られているとは言えないが、消費税は導入されて35年、今や我が国の税収に占める規模は、所得税や法人税を凌いで不動のナンバーワンの地位にある最大で最重要な税金である。

 この消費税は平成元年4月に初めて導入された。当初の税率は3%と控えめだが変異期待が高い税金であり、これが第1波である。第2波は平成9年4月に税率が5%に引上げられた時で、第3波となるのが平成26年4月に税率が8%(国6.3%地方1.7%)に引上げられた時であろう。第4波は令和元年に税率10%(国7.8%地方2.2%)と軽減税率8%(国6.24%地方1.76%)の複数税率が導入された時である。これで消費税は世界標準に変異したといえる。

 そして第5波が令和3年10月から始まる。インボイス登録制度が始まるのだ。令和5年10月からは殆どの事業者は請求書や領収書にインボイス番号を記載することが要求される。このインボイス番号を得るには税務署に登録申請する必要があり、この登録申請が今年10月1日から始まる。このインボイス制度が始動することで日本の消費税は完全な世界標準に変異することになる。第5波のコロナ禍の影に隠れるように、消費税の第5波ともいえるインボイス制度が令和3年10月から静かに始まろうとしている。この税制の動きに少しは関心を寄せるべきではなかろうか。
 

211日間の迷走! 何故、共感を呼ばない政府の緊急事態宣言?

 2021年が始まって211目に当たる7月30日。政府は緊急事態宣言を埼玉・千葉・神奈川・大阪の4府県に再び発令すると発表した。すでに発令中の東京都と沖縄県を含め、6都道府県での人流抑制を図るため8月末迄の間、飲食店には午後8時迄の時短営業と酒類提供の一律禁止を求め、住民には不要不急の外出自粛を要請し、やむなく外出する場合も極力家族や少人数での行動を求める措置を追加した。

 

 開催中のオリンピックや開催予定のパラリンピック、お盆帰省などを考慮した措置と思われる。しかし今となっては国民の誰一人として、今回の政府による緊急事態宣言だけで事態が収束に向かうと受け止める人はいないと思う。なんとも歯痒い感染防止対策である。政府高官は口を開くたびに「専門家の意見を聞いて適切に判断したい。」と繰り返してきた。オリンピックに関しても「バブル方式の安心安全な運営」を強調して開催にこぎつけた。幸か不幸かオリンピックでの日本選手の活躍は目覚ましく、競技開始から連日メダルラッシュが続き、1週間で28個のメダルを獲得し、金メダルの獲得数に至っては過去最多の17個を記録した。多くの国民が57年ぶりの地元開催のオリンピックに興奮している雰囲気の中ではコロナへの危機感も希薄になり、結果として感染爆発寸前の事態を招いているように思われる。


 しかし、どうして政府の新型コロナウイルスへの向き合い方がこんなにも曖昧なのであろう。昨年の2月のダイヤモンドプリンセス号で世界から批判の目を向けられた対応ぶりから、ワクチン開発や治療薬の申請承認が遅々として進まない硬直した対応ぶり、経済のV字回復を目論んだGΟTΟキャンペーンでの人流促進策、持続化給付金や家賃支援金、時短協力金の支給を巡る厳格な申請手続きと支給遅延など、数え切れない不手際が目立つのである。

 

 理由は定かではないが、思うに今の政府や各省庁の役人は平時の行政運営しか知らず、非常時の行政運営体験が不足している節がある。この点は政治家も同じである。コロナ対応で日本と対照的な対応を見せたのがイスラエルだ。建国以来、常に敵性国家に囲まれ、敵の攻撃でいつ生命と財産を失いかねない危機感を政府と国民が等しく共有している国家である。戦後の76年間戦争もなく平和な時代しか知らない我が国と比較すると、かの国のコロナ危機への対応ぶりは際だって対照的であったように思う。

 

 この対応の差が生まれる根源は何か?大いに気になる点である。思うにその差は、危機の本質若しくは危機の正体をどう見極めるかの違いにあるのではないか。イスラエルは新型コロナの正体を早くから見極め、最悪の事態を想定して世界に先んじてワクチン接種という科学的な対応策を迅速かつ強力に講じた。日本はその点、万事に専門家の意見任せで、為政者が本気でコロナの正体を見極める姿勢が感じられず、「専門家の意見を聞いて」という紋切り型の発言を繰り返すばかりで、対策も後手に回った感がある。

 

 米疾病センター(CDC)は現在流行しているデルタ株は水痘と同水準の感染力があることを明らかにした。一人の感染者から平均8~9人に感染するという。変異前のウイルスが普通の風邪と同じく一人の感染者から平均2人に感染するとされることから、その強い感染力には恐怖すら覚える。しかもワクチン接種者でも感染する「ブレークスルー感染」が起こりやすく、接種した人から感染が拡がるリスクもあるという。但しワクチン接種者の重症化は防げるらしい。かように新型コロナの正体を広く公表し、必要なワクチン開発や接種に関する信頼できる情報を我が国の政府から発信されていれば、国民の信頼と共感を得て感染予防措置にも大きな成果を挙げられたはず。残念無念! 
 

今年のノーベル賞は決まった!?

 毎年11月頃に話題になるノーベル賞の受賞者候補。今年の受賞が確実視されているのがハンガリー生まれの女性研究者で現在ドイツのビオンテックで上級副社長を務めるカタリン・カリコ氏だ。

 

 彼女こそ新型コロナウイルスのワクチンで人類史上初めて実用化されたmRNAワクチンの生みの親である。mRNAとは、DNAの遺伝情報からタンパク質を形成する伝令役となる物質のこと。この物質は用途に応じて人工的に合成できるそうだ。現在、ファイザー社やモデルナ社で生産されているmRANワクチンこそが、新型コロナウイルス用に人工的に合成されたものである。

 

 新型コロナウイルスは自分自身の表面にある突起部分で人の細胞に取り憑くが、この突起部分のタンパク質(Sタンパク質)を生成する伝令役となるのがmRNAだ。これを人工的に合成したものが先の2社が開発したmRNAワクチンである。このワクチンを人に投与すると体内でSタンパク質(突起部分)が生成される。すると体内の免疫細胞がこれを異物と認識し、Sタンパク質に対する抗体を作り出す。このワクチンを2回接種することで、新型コロナウイルスを防御するに十分な抗体が獲得できる。

 

 これこそがmRNAワクチンの感染予防効果である。体内に投与したmRNAはその後分解されて消滅するので後遺症の懸念はないと言われている。また、最近分かり始めたことは、体内で抗体を作るだけでなく、感染した細胞を破壊するキラー細胞(T細胞)を活性化させる効果をあるようで、そうなると細胞にウイルスが侵入しても、感染した細胞そのものをキラー細胞が破壊することによって、感染拡大を抑制する効果もあるというのだ。加えて体内で作り出された抗体は、唾液からも検出されることも分ってきたようで、喉や鼻の粘膜に侵入しやすい新型コロナウイルスを感染前の段階で防ぐ効果もあるとのこと。

 

 今回のパンデミックでは、人類は最速で効果的な新タイプのワクチンを開発したことになるが、このこと自体、後世に残る歴史的な金字塔となるであろう。そうは言っても気になるのはワクチンの効果が持続する期間だ。今のところ9ヶ月は確実とみられている。というのも、実用化されてまだ最長9月程度なので、それ以上証明可能なエビデンスが無いのである。まあ、希望としては少なくとも1年や2年ぐらいはもってくれればいいのだが・・・と今はただ願うばかりである。


 ところで、一躍脚光を浴び始めたmRNAだが、この論文がカリコ氏により発表されたのが2005年という。当然論文発表以前から基礎研究されていたから、おおよそ30年の研究期間を経て、世界を救う救世主としての評価を受け始めたわけである。このmRNA研究は、ガンやHIVの治療に応用するために研究が進められてきたという。注目され始めたきっかけは中山伸也教授が開発したiPS細胞にあるという。iPS細胞の技術を使うことでmRNAが効率よく合成できるというのがその理由らしい。こんなところに日本人と深い関係があったとは驚きである。

 

 それにしても日本が心配である。基礎研究分野での立ち後れ。ワクチン開発でも周回遅れ。ワクチンの国内生産は未だ実現していない。緊急事態にも守備一貫した対応ができず現場を混乱させるばかり。危機管理能力の欠如に唖然とする思いだ!


 さて危機管理には「備えあれば憂い無し」という誰もが知る格言がある。この本文は、「居安思危」、「思則有備」、「有備無患」という三段論法からなっているそうだ。すなわち「安きに居りて危うきを思う」、「思えば則ち備え有り」、「備え有れば患いなし」という意味だ。

 

 危機管理の要諦は前段の2句にある。つまり、平時に危うき思い、その思いで備えを固めることが危機管理なのである。コロナ禍で「行動変容」が叫ばれる所以もここにある。危機を思い行動変容を起こさない限りコロナ禍の憂いは尽きないことは自明の理である。

世界3位の利益をたたき出した日本の会社の衝撃!

 本年5月。2021年3月期の決算報告会で4兆9879億円の巨額純利益を公表した会社がある。国内企業では史上最大となる。過去最大はトヨタ自動車が2018年3月期で公表したした2兆4939億円であるから2倍の規模となる。世界においても米アップル(6兆円強)、サウジの国営企業サウジアラムコ(5兆円強)に次ぐ世界3位である。決算報告会において代表が発した言葉が更に強烈だった。「5兆や6兆で満足する男ではない。10兆でも満足しない。」と言い切ったのである。その男とはソフトバンクグループ(SBG)代表の孫正義氏その人である。5兆円近い純利益を僅か1年でたたき出した経営者の迫力に正直圧倒されると同時に、半信半疑の自分に気付いて思わず笑ってしまうほど強い衝撃を覚えたものである。
 ソフトバンクといえばインターネットの大きな波に乗って成長を遂げてきた企業グループである。創業は1981年。創業から40年で国内企業で最大の純利益をたたき出す世界企業に登り詰めたのである。世界企業SBGは一体どんな手法で巨額の利益を獲得したのだろうか?YouTubeにアップされている決算報告会を閲覧すると利益の源泉がよく分る。一言で言えば、SBGの利益は、損益計算書で稼ぎ出した利益ではなく、その大半が貸借対照表で稼ぎ出した利益と分る。すなわち、21世紀の本命となるであろうデジタル情報革命時代に成長しそうなスタートアップ企業群に積極的に投資し、それらの企業の上場に伴う株価上昇で得た投資収益が利益の源泉なのである。

 

 SBGの投資保有株式の内訳を見ると、アリババ株が43%、ソフトバンクビジョンファンド(SVFⅠとⅡ)で25%、その他が32%の構成となっている。これら投資先の企業群から上場企業が誕生すればするほど保有株式の時価総額が膨らみ、結果として莫大な純利益を計上する仕組みになっている。SBGは、現在224社のスタートアップ企業に投資している。近い将来は投資先を500社にまで増やす戦略を着々と進め、今後も上場企業を次々と誕生させていくと語る孫氏は、SBGは単なる投資会社ではない!AI革命時代のスタートアップ企業から次々と上場企業を生み出す、『金の卵の製造業』であると言い切る。

 パソコン時代に誕生したソフトバンクだが、インターネットが登場するといち早く米国ヤフーの大株主となり、インターネットに不可欠な通信の基盤が脆弱な国内事情を察知して、今の通信会社ソフトバンクを立ち上げた。そして今、孫氏がフォーカスしているのがAIである。「AI革命は始まったばかり」と語る彼の言葉には凄みすら感じる。

 

 すべてのモノがセンサーを通じてデータ化される。そこで生み出されたデータは高速大容量の5Gを通じてクラウド上に蓄積される。間段なく蓄積された膨大なデータはAI技術で解析され、人々の生活や生産活動に有用な付加価値を生みだす技術革新として花開く。これがAI革命である。創薬、自動運転、無人工場、ロボット、気候変動等、人々の生活や社会の生産活動に不可欠な存在になるであろうAI企業(金の卵)を次々と生み出すダチョウがSBGであると孫氏はいう。

 それに続けて彼は悲しそうに語る。世界はすでにDXをスタートラインとして、AIX(AIトランスフォーメーション)というゴールを目指して一斉に走り出している。ところが日本はやっとこのDXというスタートラインに立ったばかり。スタートラインを前にして慎重にウォーミングアップしているのが今の日本の姿だと嘆くのである。『情報革命で人々を幸せに』という孫氏の志が言わしめた言葉であろう。急げニッポン!頑張れニッポン!

新型コロナ予防ワクチンのクーポン券が届いたのだが・・・!?

 4月27日、わが家にもワクチン接種券が郵送されてきた。早速開封して中身を確認してみると、クーポン券(接種券)と予約票、接種会場や予約センターなどの案内チラシが同封されていた。クーポン券は切り取り線付きの袋綴じスタイルになっており、上・下・右の3カ所を切り取り線に沿って切り放し左開きにページをめくると、最初のページに「接種までの流れ」の説明書きがあり、次のページに10桁の照会番号と接種券がプリンされている。ワクチン接種の順番は医療従事者・高齢者・基礎疾患のある方等から順次接種を開始する予定なので、ご自身の順番を確認のうえ順番が来るまでお待ち下さい!・・・と記載されているが、いつ自分の順番が来るのか?肝心の自分のための情報を得る方法は記されていない。結局、隅々まで読み込んで分ったことは、接種は接種会場で行う「集団接種」と指定の医療機関で行う「個別接種」があり、クーポン券が届いたら、各自予約センタ-に電話やWEBでアクセスして、集団接種か個別接種かの希望を伝えた上で、接種日を予約するということが分った。高齢者の私は5月10日から予約受付が開始されるようである。


 接種時に持参しなければならないのが、①接種券、②予約票、③本人確認書類(運転免許証、健康保険証、マイナンバーカードなど)④お薬手帳(基礎疾患等があり服薬している方)⑤予約案内通知(集団接種の方に予約後送付される)、以上5点であることも分った。今から準備をしておいたほうが良さそうだ。ちなみに我が町では75才以上の方がワクチン接種のためにタクシーを利用したときは、500円助成してくれるそうである。


 さてクーポン券が届いたとはいえ、嬉しさよりも空しさが先に立つ妙な気分である。この1年間苦しめられてきたコロナ感染の恐怖から解放されるという安堵感よりも、予約の煩わしさやワクチンの効用や副反応への不安ためらい、可愛い孫を含めた若い世代に先行して接種する後ろめたさが交錯するモヤモヤ感が先に立つ複雑な心境である。
 ワクチン接種が現実として実感できるようになったとはいえ、心配の種は尽きそうもない。世界の感染確認者数は1億4千万人を超えた。死者数も310万人超に及んでいる。死者数で見ると第二次世界大戦における日本人犠牲者と同じ数である。まさにコロナ世界大戦が進行中といっても過言ではない。肝心の戦況打開もワクチン接種に望みをつなぐしかないというのが各国の置かれた状況であるように思う。
 省みて第4波の渦中にある日本のワクチン接種環境は、4月29日時点でワクチン確保数や医療従事者への接種回数は心許ないと状況にある。OECD先進国中、我が国のワクチン接種率は2%そこそこであり60%超のイスラエル、40%超の英国や米国とは比較することが無意味なほど、最下位クラスの水準にある。


 日本が最低ランクにある背景には、元々感染レベルが低水準であったこと、パンデミックに際して、国(厚生労働省)において短期集中的に新薬やワクチンを緊急承認する制度がないことなどが指摘されているが、それはそれとして、百年に一度の地球規模のパンデミックを前に、いつまでも「平時対応」を続けていていいものか大いに疑問を感じる。国民の命と健康を守るためにもコロナ収束までの期間限定で、「新型コロナ感染緊急事態法」を創設して、もっと果敢に強力な感染予防の諸施策を発動すべきなのではないだろうか?
東京オリンピック・パラリンピックを無観客にするとか、主催者は東京都だ!IOCだ!ともめている暇はないはず! 政治にもっと危機感と緊張感をもって欲しい!

VUCAの時代がやってきたというが・・・さてどうする?

 社会を取り巻くあらゆる環境が予測不能な状態になった時代が到来したといわれる。このようなカオスの状態のことをVUCA(ブーカ)と呼ぶそうだ。そもそもVUCAとは4っつの単語(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)の頭文字から作られた単語であり、その語源は1990年代に米軍の軍事戦略上の用語として使われていたそうだ。


 気候変動や新型コロナ感染症の蔓延で激しく変化し始めた自然環境。人類史的にも過去に例を見ない規模での人口増加と高齢化を迎えようとする人間社会。自由と人権に核心的価値をおく民主主義の国家群と、統制・監視によって社会の安定を追求する専制主義国家群との間での、深刻な確執・対立が鮮明化し始めた政治情勢。本格的なデジタル革命期に突入した感のある経済社会。どれ一つとっても人間の叡智では容易に解決が困難な課題が濁流の如く渦巻いている。これが現下の我々を取り囲む環境であるとするならば、将来を予測することは不可能であり、まさにVUCAの時代(予測不能の時代)が到来したといえるのかも知れない。
 このようなカオスに満ちた社会環境を前に、我々はどのように振る舞っていけば良いのだろうか?むろんのこと、正解を求める事などできないことだけは確かである。つまりこの場合、「分らない」ということが唯一の正解ということだろう。「分らない」ことが正解ならば、これからは「分らない正解」を求めるのではなく、何が自分にとって問題であるかを見つけ、見つけた問題が自分にとってどのような意味があるのかを考える! ということが大切になるのだろう。


 例えばの話、コロナ禍で立ちすくんでいるだけでは経営を維持するための「正解」は見つからない。この場合、3密回避が求められるなかで対面での仕事ができないという問題に目をそらさず、非対面でも仕事ができるリモート環境を模索し、一歩でもそれに近づけることのほうが大事である。問題に向き合い、もがきながらも必要な手段を講ずる過程で、今まで見えていなかった意味(この場合DXの意味)を身をもって体得できるであろう。まさに予測不能なVUCAの時代に求めらるのは、ありもしない正解を探すのではなく、問題を直視し、アジャイル・アプローチを試みることで、問題の意味をもがきながら体得してしまう行動パターンが大切なのである。


 2021年、満開の桜を愛でる暇もなくコロナ第4波が懸念されている。聖火リレーが始まるなか、東京オリ・パラの開催の行方も不透明感が拭えない。米中対立もバイデン政権始動とともに先鋭化する可能性もある。台湾海峡、尖閣諸島、東シナ海・南シナ海など、インド太平洋を巡る安全保障環境はかってないほど緊迫化しつつある。AI、IOT、5G、カーボンニュートラルなどなどVUCAの時代の諸問題はまさに予測不能である。だが、我々はこれら諸問題を前にして決して思考停止に陥ったり、目をそむけてはならないと思う。
 
 

バイデン新政権誕生後1ヶ月! 米国はどう動き出すのか?

                 
先月の1月20日、米国では異端の大統領とも称された第45代トランプ大統領が退任し、変わって民主党のバイデン氏が第46代大統領に就任した。

  コロナ禍、夫人とともにマスク姿で就任式に臨んだバイデン新大統領の姿が印象的であった。ところで、経済・安全保障とも長い間パクスアメリカーナの名のもとで、米国依存度が高い日本にとっては米国の新政権の政策の行方が気になるところである。

  トランプ政権時代は、安倍前首相との相性の良さもあり、日米関係は比較的安定感があった。特に前政権下では、台頭する中国への強い警戒心と覇権争いが表面化して、急速にチャイナ・デカップリングへの政策転換へと舵を切った米国である。当時を省みるとトランプ政権の2期目を疑う人はそれほど多くなく、当然に中国との間での新冷戦は長期に及ぶものと予想されていたところである。しかしながら、選挙に入る直前に発生したコロナ感染が拡大するなかで風向きが変わり、民主党のバイデン候補が新大統領に選出される結果となった。それに一歩先んずる形で日本では、憲政史上最長の長期政権を誇った安倍首相が退任し、管首相へと政権が交代していた。

 

 2021年2月にはバイデン政権の主要閣僚は就任し顔ぶれは判明したが、今のところバイデン政権の政策の軸はまだその全貌が見えていない。マスコミ報道によるとバイデン政権の特徴は、国際強調と同盟国重視ということであるが、就任早々、温暖化防止を目指すパリ協定への復帰や、WHO脱退宣言の撤回は表明したものの、トランプ政権下で同盟に軋みが生じたEUとの関係改善や自由で開かれたインド太平洋戦略やTPPへの復帰に対する方向性はまだ不透明だ。

 

 特に対中国政策に関しては慎重な姿勢が感じられる。おおかたの国際報道によると、対中国政策は、共和党も民主党も同一認識であり、トランプ時代の対中戦略を踏襲するだろうとの見立てが多かったように思う。しかし、一部ではオバマ政権が対中関係で終始弱腰な態度であったことから、当時、副大統領として政権内にいたバイデン氏を中国寄りとする見立てもある。コロナ禍の政権スタートなので、1.9兆ドル(約200兆円)のコロナ経済対策に代表される内政から着手するのだろうが、国際情勢は果たしてそれを待ってくれるだろうか?

 

 ミャンマーでは2月1日、軍事クーデターが勃発した。反対デモに参加した多くのミャンマー国民に向けて軍が発砲するなど混乱が続いている。香港に続いて民主主義が大きく揺さぶられている事態に憂慮せざるを得ない。中国と台湾を挟む台湾海峡や我が国の領土である尖閣諸島海域でも中国海警局の巡視船の相次ぐ領海侵入で緊張が高まっている。アジア諸国も日本も、今や米国の新政権のアジア戦略と対中戦略の行方に目が離せないところである。ましてや自由と民主主義が揺らぎ始めている情勢を鑑みれば、一刻も早くバイデン大統領の国際舞台での振る舞いを一見したいものである。

 

 

 

 

コロナよりも怖いコロナ後の未来!

                                                  
大方の予想どおり、年明け早々から新型コロナ感染者が急増し、政府は再び緊急事態宣言を11都道府県に再発令するに至った。増え続ける感染者と重症患者急増で、医療機関の病床使用状況が逼迫し、多くの感染者が自宅療養を強いられる事態となった。危惧されていた医療崩壊がはじまっていることは確かである。
 世界の感染者も1月27日には遂に1億人を超え、死者も215万人に達した模様。加えて、英国、南アフリカ、ブラジルではコロナの変異種が出現し、感染再拡大に拍車を駈けている。いつ収束するやも知れぬ新型コロナのパンデミックは、21世紀の世界大戦と称しても何の違和感もないといえよう。
 人類はこの姿なき巨大な敵にどう立ち向かうのだろうか? 行動変容がいたって不得手な人類相手に、新型コロナは「楽勝、楽勝」とほくそ笑んでいるかも知れない。
だがここに来て、人類側も対抗策を講じ始めた。史上最速でワクチンを開発し、接種を開始したのである。残念ながら、日本では国産ワクチン開発で後手を踏み、外国からの輸入を待たなければならない状況である。医療従事者をはじめ、国民全員がワクチンを接種できるのはいつ頃になるのか、はっきりとした見通しが立たない日本の現状が情けない。
 ワクチン接種と同様に待ち望まれるのが「治療薬」の開発である。予防策としてのワクチン接種の他に、感染してしまったときの治療に有効な薬を手にすることができれば、難敵に勝利するのも夢ではなかろう。ひと頃「アビガン」などが注目されたが、今は話題にも上がらない。早く朗報が届くことを期待したい。

 

 さて、収束までの先は長いがコロナ後の未来を想像してみよう。視点はパンデミックに対して各国の政府が打った経済対策、すなわち財政出動の規模である。IMF(国際通貨基金)が直近公表したところによると、各国がコロナの経済対策として市場に供給した資金の総額はなんと13.8兆$(1445兆円)に及ぶという。日本の令和2年度当初の国家予算が約100兆円であるから、各国政府は日本14カ国分相当の政府債務(借金)を背負ったことになる。
 一人の人間が一日1億円使ったとしても全部使い切るには3万9588年かかる。一日10億円使っても3958年、一日100億円使っても395年かかるほどの規模である。この天文学的なお金が低い金利で、コロナ禍で深刻な打撃を受けて、需要が蒸発し、雇用が喪失したままの弱々しい市場に供給されたため、行き場を失った投資資金が株式市場に流れ込み株価高騰をもたらしているのだ。まさにコロナバブルである。
 怖いのは、これからである。ワクチン接種や治療薬開発でコロナ禍が沈静化したとき、日本を含む各国政府が抱え込んだこの莫大な政府債務が世界経済の大きな重荷となって社会に暗い影を落とすことになるだろう。日本はそれでなくても先進国中最悪の財政赤字国である。

コロナ後の財政再建は我が国にとって大きな試練となるであろう。おりしもコロナ後の時代は団塊の世代が75歳となる超高齢社会を迎える。財政逼迫にさらに拍車がかかるのは明白だ。東日本大震災復興のために創設された復興特別所得税(復興特別法人税は終了)は今も徴収されている。同様にコロナ後は、「臨時コロナ災害特別税」が創設(富岡幸雄氏説)されるかも知れない。格差是正と所得配分機能の強化を名目に、企業の内部留保金への課税強化、源泉分離課税主体の優遇金融税制の見直しや相続税と贈与税の課税一体化などの増税ラッシュが始まるかも知れない。コロナ増税!怖いのはコロナ以上かも?

止まらないコロナ感染拡大! それでも未来は明るいと信じる!

 コロナ感染が止まらない。世界の感染者確認数は、11月28日現在で6,100万人を超え、死者数も144万人超に及んでいる(米ジョンズ・ポプキンス大公表値)。日本でも、第3波が到来し、28日には一日の感染者確認数が2,684人となり過去最多を更新した。すでに国内の感染者確認数は累計で14万人を超えている。折しも、政府は「経済回復」と「コロナ感染予防」の両立を目論んで、GOTOキャンペーンを展開中であるがその足取りはまことに覚束ない有様である。政府の思惑とは裏腹に、医療専門家や各自治体では警戒感を強めつつあり、大阪府では11月27日~12月11日の15日間、北区・中央区の繁華街の飲食店に午後9時迄の時短要請を発した。続いて東京都も11月28日~12月17日の20日間、都内の飲食店等に対して午後10時迄の時短要請を発している。

 

 緊急事態宣言解除後、政府は、経済のV字回復を目論んで景気刺激策のアクセルを踏み込んできたが、師走を迎えるに当たっては、どうやらブレーキを踏み込む羽目になりそうである。そうなると、2020年は、2月のダイヤモンド・プリンセス号の船内集団クラスター騒ぎに始まったコロナ禍が、年内収束どころではなく感染拡大が制御不能な状態のまま年を越すことになりそうであり、景気回復も道半ばのまま新しい年を迎えそうである。

 

 さて、過ぎた事とはいえ、コロナ禍などがなければ、日本は戦後最長の景気サイクルを持続し、雇用情勢もバブル期並に逼迫して、就職戦線も新卒者にとって我が世の春を味わえたはずである。また、世界中の耳目を集めたであろう東京オリンピック・パラリンピックに多くの国民が熱狂し、かつ陶酔したであろうし、これを政治的遺産として、憲政史上最長を誇った安部政権も、いずれ迎えたであろう退陣の花道が飾れるはずだった。これらすべてを吹き飛ばしたのが、今年の主役、新型コロナなのである。

 

 コロナ禍がもたらしたものは他にもある。とりわけ、人々の心に不安と恐怖を植えつけたうえで、「行動変容」を促したことであろう。今、街中や電車の中に身をおくと、周囲の人ほぼ全員がマスクを着用している。日に何度も手の消毒と検温を求められる。こんな光景や体験は去年までは見たことも経験したこともないのである。

 仕事には職場というものが必要である。その職場とは多くの場合、「同じ場所」と「同じ時間」を人々が同期する所であった。コロナ禍で進行したテレワーク・リモートワークは、仕事における「職場の同期性」が必ずしも不可欠なものでないことを人々に知らしめた。

 折も折り、社会はDX時代の入り口に立っている。今後、DXは三つの軸、すなわち①「クラウドの社会インフラ化」、②5Gという「超高速大容量の通信インフラの実現」、③「ビックデータの資源化」を中心に加速度的に進展するものと予想される。皮肉にも、コロナ禍はこのDX社会到来を強力にバックアップする役割を担うこととなり、デジタル庁の陰の生みの親となった。

 

 やがてコロナ禍も、ワクチンの開発や治療方法の確立を経て克服される局面が必ず来る。人類の長い歴史の中のほんの瞬間の出来事として、コロナも人類の英知で乗り越えることができるであろう。このことを信じて、2021年を迎えたい。