平成の後の世に、消費税はフタ桁税率になる!? | 経営の勘どころ・つかみどころ

平成の後の世に、消費税はフタ桁税率になる!?

  平成最後の国の予算案が、今月21日に閣議決定された。予算総額は過去最大の101兆円4,564億円となった。予算膨張の要因は、➊来年10月に予定されている消費税増税対策に2兆280億円を計上。❷消費税収拡大を見込んで教育費無償化による歳出拡大で7,157億円を上乗せ。❸来年の参議院選挙を睨んでの社会保障費の抑制緩和と防衛費の増額などである。特に消費税増税対策は、来年度の税率引き上げによる税収増1兆3千億円を倍近く上回っている。消費税フタ桁時代を願望する財務省の決意がにじみ出ている予算ではあるが、内外の情勢が果たしてこれを許すかどうかである。


 今年7月以降に勃発した米中貿易戦争は、大国間の覇権を巡る争と化しており、年明け以降もますます長期化し、かつ深刻化することが予想される。英国の合意なきEU離脱のリスクも見逃せない。ドイツもフランスも難民問題や国内の経済不振で共に政権が揺らぎつつある。米国もトランプ政権内の重要閣僚が次々と辞任し、政権そのものの先行きに信頼が持てない。さらにFRB(米連邦準備制度理事会)の利上を巡る政権との対立も見逃せないリスクである。ロシア疑惑も年明けには山場を迎えるとの観測もあり、今後のトランプ政権への影響が気になるところだ。株価もこのところ乱高下が激しくなり、世界経済に暗雲が垂れ込めつつあるなかで新たな年を迎えようとしている。


 そんな中での我が政府の過去最大規模の予算案決定は、とりわけ平成後の消費税増税を確実なものにしたい財務省のなりふり構わぬ執念が感じられる。ますます高齢化と人口減少が進行する中、財政再建の道を模索する姿勢は理解できるとしても、再建の道は厳しいと云わざるを得ない。


 来年の景気の行方は、財務省ならずとも気になるところであるが、それでも明るい兆しが無いわけではない。来年は安倍政権が念願としていたTPPが実質的に発効(形式的には今月30日発効)する。続いてEUとの大型EPAも発効することから、日本経済には明るい兆しもある。しかし、過去2度も増税延期を繰り返してきた安倍政権である。参議院選挙や国内景気、株価などの動向にはとりわけ敏感な政権であることに加えて、肝心の消費税でも軽減税率導入を巡る混乱が予想されるなど、まだまだ来年の消費税増税は不透明感が拭い切れないのが現状であろう。