経営の勘どころ・つかみどころ -5ページ目

諸悪莫作 衆善奉行  我がGODOHファームの基本理念なり!

 その昔、中国唐の時代の詩人、白居易(はくきょい)という人が仏教の高僧、鳥窠道林(ちょうかどうりん)和尚に仏教の大意は如何なるものか? と尋ねたところ、和尚は次のように答えた。

    諸悪莫作(しょあくまくさ)
 衆善奉行(しゅうぜんぶぎよう)
   自浄其意(じじょうごい)
   是諸仏教(ぜしょぶっきょう)

諸々の悪をなさず、諸々の善いことを行い、自らの心を清める。これ諸仏の教えなり。

この答えに白居易は、『そんなことなら三歳の童子でも言えること。』と聞きとがめると、

鳥窠道林和尚は、『たとえ三歳の童子が言えたとしても、八十歳の老人でも行い難し。』
と答えた。白居易は和尚に礼拝してしずかに去って行ったという法話である。

七仏通戒偈(しちぶつつうかいげ)にあるように、
人は『自浄其意』に努め、本来の清浄心に立ち返れば、
その行いは自ずと善行であり、
悪いことなどできるはずもない。

 *七仏通戒偈とは、釈迦以前に存在したとされる6人の仏と釈迦を含む7人の仏が共通して説いた教えを
  一つにまとめた韻文のこと。

一切の悪いことはするな! 善いことをせよ!
口で云うのは簡単だが、簡単なことほど実行するのは難しところがある。
実は、『分ること』と、『行うこと』は全く別なものである。
仏教の教理は、何よりも『行』を根本としている。
この『行』を実践するには、清浄心(正直な心)を持ち続けることである。
これこそが諸仏の教えである。

鳥窠道林和尚は、三歳の子供でも分りそうなことでも、実際のところは八十歳の老人でも実行することは難しいとして、仏教の大意を説いている。

この仏教の教理を理解して、正直な心で日頃の仕事やお客様に向き合うことができれば、自ずと善い仕事を行うことができるようになり、その積み重ねが、やがて大きな信用につながることになる。
商売の種類や事業の大小を問わす、この教理は企業の永続的な発展の極意である。
 

奇妙なインフレがやってくる!?

 30年も続いた日本のデフレ経済を尻目に、コロナ禍とウクライナ戦争を契機として世界経済は不気味な物価高現象に覆われつつある。欧米の消費者物価指数は軒並み8%台を記録し、それ以外の新興国でもそれを上回る物価高が庶民の生活を直撃し、世界では一部の国で市民の暴動が起きている。幸い日本での物価上昇は世界各国と比較するとまだ穏やではあるものの、アベノミクスで目標としつつ、ついぞ実現できなかった消費者物価指数+2%を、現実はあっけなく達成した恰好である。


 世界経済を動かす要因の一つは基軸通貨ドルを持つ米国の金利政策である。米連邦準備理事会(FRB)は、政策金利(FF)を5月に0.5%大幅に引上げたのに続いて、6月においても0.75%引上げた。来月7月も0.75%引上げ、その後も数次にわたって金利引上げを行うとの観測が市場では囁かれている。もしそうなれば、2022年の年頭から一気に3%以上の、急激な利上げが行われる事になる。FRBがインフレ退治に本腰を入れてきたことが窺える。米国同様、ヨーロッパ中央銀行(ECB)もこれに歩調を合わせるように金利引上げに動き出している。アジアでもタイ・韓国などが金利引き上げに動き出した。
 悩ましいのは我が国の金融当局者であろう。世界の金利反転を前にして、金縛り状態に陥ったかのようにマイナス金利政策を継続し続けている。その結果として、為替市場においては1ドル・136円台まで超円安相場を招く結果となった。このまま米国の金利高がさらに進行すると、ますます円安に拍車がかかることは目に見えている。

 

日本は資源に乏しい国である。多くのエネルギー資源や食糧資源は輸入に頼らざるを得ない国である。

今後さらに輸入する資源価格が上昇し、それに追い打ちをかけるように円安が進行すれば、資源調達に欠かせないドル資金のニーズが高まり、これがさらなるドル高円安を招くことになる。もがけばもがくほど自ら円安傾向を強める結果となるのである。かといって円防衛のために米国やEUに対抗して日本も金利を引上げることはさらに難しいだろう。日本は世界に類を見ない借金大国である。政策金利を上げれば1000兆円にも及ぶ国債の利払いを膨張させることになり、国の財政を直撃することになりかねない。もがけばもがくほど深みに嵌まる蟻地獄のなかに片足を捕られている状態である。


 しかし、今の不作為ともとれる金利政策をこのまま放置しておいて済む訳がないことは誰の目にも明らかである。いずれ日銀も早晩、マイナス金利政策を捨てる決定をするであろう。どの程度の利上げで収まるかは現時点では見通せないが、金利高は株式や不動産(特に首都圏のマンション)などのリスク資産の価格下落を引き起こすことは想定しておくべきであろう。低金利から高金利への金利反転に伴い、庶民には実感なきバブル崩壊が始まるとともに、痛いほど実感を伴う物価高が国民の生活を直撃するという奇妙なインフレの時代がやってきたのかもしれない。

動き始めたグローバリゼーションのバージョンアップ!  

                            
 1989年のベルリンの壁崩壊をもって戦後世界を二分した東西冷戦が終結し、今日のグローバリゼーションが始まった。それまで封じ込まれていたヒト・モノ・カネの動きは開放され、世界中を自由に動き回ることができるようになった。
 企業は安い賃金と安全な環境を求めて国境を越えて最適地に生産拠点を移動し始め、結果、BRICsに代表される新興国の勃興を許した。経済が豊になればその国の統治システムは民主化されると考えていた先進国は、やがて大きな失望を味わうことになった。

 ロシアも中国も経済力が強くなるにつれて、権威主義に傾斜し始め、独裁性と専制統治を強めていった。今日の民主主義VS専制主義の対立の芽は、この時すでに萌芽していたと考えられる。
 そしてそれが人々の目に明らかになったのがコロナ禍前のトランプ大統領と習近平主席の間で始まった米中対立であり、コロナ禍において勃発したロシアによるウクライナ戦争である。世界を一つのルールで繋げようとするグローバリゼーションは、米中対立やコロナ禍を起因とする半導体や戦略物資などのサプライチェーンの分断リスク懸念。ウクライナ戦争によるエネルギー・食糧資源の供給不安の高まりによって確実に行き詰まってきた。今や企業の生産活動はコスト削減と生産性の効率化を求めるだけでは生き残れない。金融ビジネスにしても高利回りだけを追求するだけでは投資先の分断によって墓穴を掘りかねない。これからの企業戦略は、生産拠点やビジネス拠点の過度な集中を避け、人材・データなどの重要な経営リソースやサプライチェーンなどの再配置・再構築に着手し、コスト削減よりもリスク削減に取り組まなければならない。


 今や、国連の安全保障理事会も、WTO(世界貿易機構)も、リーマンショック後にG7を拡大する形で発足したたG20も軒並み機能不全に陥っていることは明らかだ。世界統治(グローバルガバナンス)システムが不在の時代に突入したのである。かかる時代においては、世界の政治情勢に即応できるだけの強靱性が企業に要求されるようになった。グローバリゼーションのバージョンアップとは、このように揺れ動く世界の情勢に起因するリスク削減に対応できる能力を備えることである。

 現下の世界は、旧来の国連やWTOなどの国際統治から、新NATO(フィンランド・スエーデン加盟を想定)、AUKUS・QUADやバイデン大統領が来日時に提唱した1PEFなど価値観を共有する有志国を軸とした複層構造の部分統治の時代に移行すると思われる。
そうなると企業もビジネスも、これまでのコスト優先、効率化優先だけでなく、世界を劃す統治システムに歩調を合わせる形で企業のガバナンスや経営戦略を練り上げる能力、すなわち強靱性(Resilience)が欠かせないということになる。一言で断じるならば、「新冷戦に相応した経営の変身」を図らないと生き残れないということである。


 先月も記述したとおり、ウクライナ戦争前を「新戦前」と称し、ウクライナ戦争後(いつ終わるか未だ不明だが・・・)を「新戦後」と称するならば、グローバリゼーションのバージョンアップは、「新戦後」に向けてすでに水面下で激しく動き始めていると思われる。

ウクライナ戦争が21世紀の「戦前」と「戦後」を区切る歴史の転換点になる!?


ロシアのウクライナ侵攻が始まって2ヶ月が経過した。侵攻当初は、圧倒的な軍事力を誇るロシアの優位は揺るがず、2週間程度でウクライナ全土を制圧するだろうとの見方が強かった。しかし、大方の予想を覆し、戦火は2ヶ月を経過してもなお収まる気配を見せない。5月9日に予定されているロシアの戦勝記念日までに一定の戦果を収めたいとするロシアの意図は完全に挫折したようである。それにしてもロシアのウクライナ侵攻は、コロナ禍という「人類の大災厄の炎」に油を注ぐような最悪の危機をもたらした。第一次世界大戦中に大流行した疫病「スペイン風邪」を想起させる。人類は再び無益な愚行を繰り返すことになるのだろうか?さて、今回の軍事侵攻を「ウクライナ戦争」と呼ぶとして、世界の政治と経済・安全保障の歴史は、第二次世界大戦が終結してからウクライナ戦争が勃発する前の77年間の時代とウクライナ戦争勃発後の時代とに、明確に区分されることになるだろう。
  

77年間の戦前(ウクライナ戦争前)は、イデオロギ-対立と東西冷戦、ソビエト連邦崩壊と民主主義の勝利、経済のグローバル化とインターネットを中核とする情報のボーダレス化の時代として、人類の歴史を飾ることになるだろう。しかし、戦後(ウクライナ戦争後)は、まず第一に政治面においては自由で開かれた民主主義国家群VS絶対的権威によって国の安定を図ろうとする専制主義国家群の対立の時代が本格化し、経済や軍事面では、両陣営ともに、AIやSNS、ドローンやロボットなどの先端技術を駆使した経済安保不可分体制時代へ突入した転換期として、未来の歴史に深く刻まれるであろう。

 今や21世紀の世界の姿が、人々の眼前にはっきりと映し出され始めている。思いもよらなかったが、21世紀における政治対立の本質は、19世紀型の専制主義と20世紀型の自由民主主義の対立である。冷戦終結とともに滅び去ったと思われた専制主義の残り火はロシアと中国で燻り続け、グローバル経済の恩恵を受けて再び燃え上がった。19世紀と20世紀の政治体制の対立こそが「21世紀型政治対立」の本質であろう。さて、その上で双方ともに共通するのが、最新のデジタル技術を駆使して相手を封じ込める技術的優位性を、経済安全保障面において一方の相手に先んじて如何に迅速に構築していくか?を最大の戦略目標としている点である。ウクライナ戦争におけるハイブリット戦争と称される数々の最新兵器の使用や、SNSなどを駆使したフェイクニューズ・ニセ旗作戦などの情報戦にその一旦を垣間見ることができる。

 さて、かかる時代の大きな転換期。日本はどう動こうとしているのか。与党自民党は、4月28日、外交安全保障政策の「長期指針:国家安全保障戦略等3文書改定」の提言を政府に提出した。その内容は、これまでの専守防衛の方針転換を迫るものである。そこには「反撃能力の保持」、「防衛費GDP比2%以上」、「防衛装備移転適用範囲の拡大」の見直しを提言している。この提言を後押ししたものこそ、今回のウクライナ戦争を通じて浮き彫りになった我が国を巡る脅威の存在である。提言では、中国を重大な脅威、ロシアを現実的な脅威、北朝鮮を差し迫った脅威と位置づけ、まず自国を自力で防衛するためには、一定の反撃能力の保持、他国への装備品支援の見直し、欧米並みの防衛費確保、具体的にはGDP比2%以上10兆円予算化を目指すべきとしている。


 この提言の底流には、日米安全保障条約を日本の防衛の基盤としつつも、まずは自力で国を守る防衛力を備えなければ、条約締結の相手国である米国も本気で条約を履行する気にならないだろうという懸念を強めていることが窺える。第二次世界大戦で日本と同じく敗戦国となったドイツは、ウクライナ侵攻後ためらうことなく国防予算をGDP比2%に引上げることを宣言した。今ではウクライナに対して戦車を含む重火器類の提供を開始している。

 

大きく動き出した世界情勢と主要各国の安全保障政策。日本でも21世紀の戦後が始まろうとしている。
 

ロシアのウクライナ侵攻で見えてきたものとは?

                                                        
 今日、大部分の日本人は第二次世界大戦を経験していない。戦後、イスラエルとアラブの中東戦争、ベトナム戦争、イラン・イラク戦争、湾岸戦争、アフガン戦争など多くの戦火を知ることはあっても、どこか遠い異国での出来事でしかなかった。戦争は悪い!だから止めるべきで、平和を追求して当然であると、自ら結論づけて半ば傍観者としてやり過ごしてきた感がある。


 しかし、2022年2月24日に起きたロシアによるウクライナ侵攻は、日本人を傍観者としてやり過ごす事を許さない衝撃的なものとなった。戦争は悪だ!武力をもって相手を傷つけることは人道にもとる!暴力は許さない、直ちに止めるべきだ!・・・と声を上げてみても、目の前で展開される現実を変えるにはまるで無力で空疎な言葉に過ぎないことを思い知らされたと思う。
 戦後日本は、平和憲法のもと77年の長きにわたって平和に過ごしてきた。しかし、ウクライナ侵攻を目の当たりにしたとき、戦後の日本の平和は決して人為をもって維持してきたものではなく、たまたま偶然に平和であったという結果に過ぎないと私自身は直感させられたのである。


 今回のロシアによるウクライナ侵攻では、世界の安全保障を担う国連安全保障理事会は全く機能しなかった。拒否権を持つ常任理事国ロシア自身が戦争当事者であり、かつ、同じ常任理事国・中国も侵攻反対の決議には棄権の立場をとり、ロシアの行動を間接的に擁護する側に回った。その結果、140カ国にのぼる多数の国々が表明した「侵攻反対」の意思は完全に無視された。これに加えてロシアは、人道上許されるべくもない核兵器や生物・化学兵器の使用をも匂わせて周囲の反対勢力に脅しをかけたことで、やりたい放題の邪悪な作戦行動に出たのである。ウクライナのゼレンスキー大統領がSNSを通じて各国の議会で軍事的な支援を繰り返し叫んでも、各国の政治家は手も足も出せず、只々、拍手とスタンディング・オーベーションをもってしか、これに呼応することができなかったのである。


 さてこのウクライナの状態を日本に置き換えてみたらどうだろうか。日本の周囲は中国・北朝鮮・ロシアという非民主主義・大陸国家が勢揃いしている。しかもロシア・中国は安保理・常任理事国である。加えて中国は近年国力を増強し、今や世界第二の経済大国・軍事大国でもある。かつ、この三カ国がともに核保有国あるいは核保有国と推定されている国である。しかも、中国とは尖閣諸島、ロシアとは北方四島の領土問題を抱えている。ウクライナとロシアの間にも長い間の歴史的な民族問題やクリミア半島などの領土問題が複雑に絡み合っていたことが今回の戦争勃発の引き金の一つとなっている。


 仮にどこかの国が日本に攻撃を仕掛けてきたらどうなるのだろう。ウクライナ人のように国を守るために勇敢に銃をとって戦えるだろうか?我が国には徴兵制はない。銃や兵器を扱える成人男子は自衛隊出身者のみだ。

 ウクライナのように、陸伝いに近隣の国に女・子供・老人達を避難させられるのだろうか?我が国は海に囲まれている。逃げようとしても歩いては海は渡れない。逃げることも逃げさせることも不可能だ。

 ウクライナのようにEUやNOTO加盟国が結束して難民の受入れや戦争反対・ウクライナ支持を強力に打ち出してもらえるだろうか?アジアにはヨーロッパのような経済連合体(EU)やNATO(集団安全保障機構)も存在しない。唯一あるのは日米安全保障条約だけである。隣国・韓国との信頼関係も微妙な状態のままだ。

 それでは世界の国が国連決議で日本を擁護してくれるだろうか?それも絶望的である。ロシアも中国も安保理・常任理事国である。仮に、日本に戦争を仕掛ける国が常任理事国であるとすれば、国連が戦争反対を決議することは不可能である。今回のウクライナ決議と同じ事が再現されるだけだ。


 ウクライナを日本に置き換えると嫌になるくらい、日本の安全保障は憂慮すべき状態にある。我々が覚知しなければならない日本の潜在的な危機は、正に今回のウクライナ危機を通じて明確になったと思う。今やドイツもウクライナ侵攻を機に、国防予算をGDP2%に拡大することを明確にした。米国も国防予算を4%増額する方針を打ち出した。戦争を望む者はいない。しかし、戦争は絶え間なく起きる。誰かが誰かのために・・・、あるいは誰かが何かのために・・・起こすのだ。これを防ぐのは起こさせないことしかない。


 起こさせない方法は文化交流などの平和的方法とパワーバランスを前提とした軍事的方法がある。しかし、最後の歯止めは軍事バランスである。気脈を通じ難い相手国の行動を抑制するには相応の力が不可欠である。20世紀型の領土・民族・統治体制・イデオロギーを巡る戦争は21世紀においても起き得ることをウクライナ危機は証明した。かかる事態が日本やその周辺で起きないとは誰も断言できないであろう。今後想起される西欧諸国VSロシアを軸とする新冷戦、米国VS中国を軸とする新冷戦に日本が無縁でいられる訳がないのである。


 今時のロシアの行動を見る限り、戦後77年の長きにわたって続いた日本の平和は、今後も続く保障は全く無いといっても過言ではなかろう。
平和を維持するには相応の行動とコストを伴うことを我々は覚知しなければならない。その上で、ウクライナ後に大きく変貌するであろう新たな世界情勢の変化に備えなければならないと思う。 

暗黒の2月にしてはいけない!

誰もが思ってもいなかった、核戦争の危機が突然勃発した。ロシアのプーチン大統領の指揮の下、

自作自演のウクライナ侵攻である。事もあろうに核の使用をちらつかせて、恐怖を煽る卑劣なやり方である。

 

今日で侵攻5日目。世界はやっと目前の危機に対応をし始めた。経済制裁はもとより、世界中で多くの市民が戦争反対の声を

上げ始めたのだ。どんな権力者も世界中の人々を敵に回すことはできない。プーチン大統領にとっては致命傷になる可能性がある。

 

大義なき闘いは決して勝利を得ることはできない。この戦いの勝敗はすでに決まりかけているのかも知れない。

とはいえ、この忌まわしい大義なき戦いに勝利するためには忘れてはならないことがある。

それは敵はプーチンであって、ロシア国民でないということである。このことを念頭においてこの忌まわしい

出来事に臨まなければならないだろう。

 

敵はロシア国民ではない。プーチンだ!

 

2022年初めの目出度い月、睦月を覆う暗い雲! 惰眠からの覚醒を!?

新しい年が始まった。コロナ第5波もピークアウトして、年末年始の買い物客で賑わう街の様子や国民的なスポーツイベントに発展した箱根駅伝の沿道にも多くの見物客が出現し、ようやく世の中も普段の顔を取り戻したように思えた矢先、変異株オミクロンの猛威にあっという間に晒されてしまった。

  思い起こせば、本年1月1日の全国の一日の感染者数は534人であった。それが10日には6431人(約10倍)を記録し、20日には46185人に達し、今月末では8.4万人(1月1日比130倍)に達するまでに感染者数が急拡大した。第6波の襲来である。想像を超える急速な拡大で予定していたブースターワクチン接種も結果的には遅きに失したようだ。そんな中、こともあろうにキプロスでオミクロン株とデルタ株の両方の特性を持つ新変異株が確認されたとの報道もされている。改めてコロナウイルスの脅威を再認識せざるを得ないようである。新年劈頭から、新型コロナへの警戒心と対策の手を緩めてならないことを思い知らされたようである。


 今月はもう一つ理不尽な事件が発生した。昨年12月17日に発生した大阪のクリニック放火事件で25人もの人命が奪われた事件は未だに人々の心を震わせる痛ましい事件であるが、1月27日、今度は埼玉県のふじみ野市で医療関係者を人質にした猟銃殺人事件が発生したのである。どちらも何の落ち度もない医師や医療従事者や無辜の患者さんを巻き添えにした身勝手極まりない事件である。

  平時でないこのコロナ感染症拡大の局面では医療現場はまさに命がけの救命治療に忙殺されている非常時だ。社会に大きな貢献をしているエッセンシャルワーカーを狙い撃ちした如き事件には思わず天を仰いで嘆息してします思いである。無責任なコメントはしたくないが、ここまで人心が乱れ始めているのも長引くコロナ禍が原因なのであろうか? 一刻も早くコロナ禍から脱却して平時を取り戻したいと願うばかりである。


 更にもう一つの大きな不安と恐怖を呼び起こしているのが、忍び寄る戦火の匂いである。ウクライナ危機が予断を許さないほど緊迫の度合いを高めている。一歩間違いえばロシアVS米欧が第二次世界大戦以来、直接戦火を交える可能性がある深刻な危機が高まっている。この欧州の動きに連動して、台湾海峡における中国の軍事侵攻の可能性も懸念されている。米国はヨーロッパと東アジアで同時に戦線を開く、いわゆる二正面作戦は不可能だろうとの観測のもと、ヨーロッパと東アジアで軍事作戦が連動する形で同時勃発する事態が懸念され始めているのだ。そうなれば日本も到底無傷では済まないだろう。加えて北朝鮮が狂ったようにミサイル発射を繰り返し始めている。これもウクライナ危機と決して無関係ではなさそうである。ウクライナと台湾海峡への対応で手一杯のバイデン政権の足下を見透かし、北は今が発射実験のチャンスとみている節が濃厚であるように思われる。


 いずれにしても、ヨーロッパ、東アジアを取り巻く安全保障上の不安と恐怖はこの1月中に一気に現実味を帯びたものに変質しつつある。
 今年は、例年以上に気の抜けない非常事態が連続して発生することが予見されるので、社会も国民もそれ相応の覚悟が求められそうである。惰眠から覚醒する時かも?

2021年を『顧みて!』

  2021年(令和3年)も終わろうとしている。顧みて記憶によみがえるのは、コロナとコロナに翻弄された社会の様々な出来事である。思えば日本の世が平成から令和に改まった3年間のうち2年間は、コロナ禍という未曾有のパンデミックに黒く塗りつぶされてしまった。人々の生活はマスクを片時も手放せない異常事態が常態化した。

 

  感染拡大を回避するため政府は1月早々から2度目の緊急事態宣言を発令。4月に3度目、8月には4度目の緊急事態宣言を相次いで発令するとともに、1年延期した東京オリンピック・パラリンピックの無観客開催を決定したのである。皮肉にもこの間、デルタ株による感染拡大がピークに達し、史上最多のメダル獲得を達成した東京オリ・パラであったにもかかわらずその閉幕後、菅首相は辞職に追い込まれた。昨年の安倍政権に次いで二つ目の政権が自壊した格好だ。恐るべしコロナウイルスである。

 

 コロナ禍は政治のみならず人々の生活や社会にも大きな影響を及ぼした。この間、人々はマスク習慣はもとより、3密回避、手洗い・うがい、行く先々でのアルコール消毒や検温要請。職場での飲み会自粛やテレワーク、Zoomによる会議や営業など、否応なしの行動変容を強いられる事になったのである。菅政権から岸田新政権へ移行する過程で皮肉にも猛威を振るったコロナ第5波は急速にピークアウトし始め、「ワクチン接種の効果が現れた!これでコロナを克服できるだろう!」と安堵するいとまもなく、新たな変異株・オミクロン株が南アフリカで発現し、またたく間に欧米を中心に爆発的な感染拡大が始まった。年明けには日本でもこのオミクロン株の感染爆発が懸念される始めている、というのがこの年末の情勢である。変異するたびに感染爆発を繰り返すコロナウィルスの真の恐ろしさに人間はやっと気付き始めたように思えてならない。


 しかし、この2年間のコロナウィルスとの戦いの中で、人類はmRNAワクチンという新手法による予防薬を、かつてないスピードで開発して全人類に接種を施し始めた。更に年明には口径服用薬が開発・承認される見込みである。効果のほどは未知数だが人々に大きな安心と希望を与えることは間違いないだろう。少しずつではあるがコロナウィルスへの対抗手段を人類は手にすることになるだろう。コロナ3年目の人類の叡智に期待したい。

 

 さて、コロナで翻弄された1年とはいえ、明るい出来事も結構あった年でもある。特筆に値するのはなんと言っても米メジャーリーグで大活躍した大谷翔平選手の二刀流であろう。日本よりも深刻なコロナ禍の中で大谷選手の超人的な活躍は、米国人の心をわしづかみにしたようだ。結果、イチローに次いで日本人として二人目のMVPを受賞した。
またゴルフでは松山秀樹選手がゴルフのメジャー大会「マスターズ」で日本人初の優勝を飾ったことも嬉しいニュースだった。東京オリ・パラでの多くの日本人メダリストの活躍を含め、若い世代の活躍は何かと暗い話題で曇りがちな社会に一筋の光明を差し込でくれたような希望と期待を感じさせてくれる。この先の未来を確かなものとするためにも新世代への応援を忘れてはなるまい。岸田新政権の掲げる「新しい資本主義」では、是非とも新世代育成をその政策の柱の中心に据えてもらいたいものである。

新変異株「オミクロン」現れる! 岸田新政権の補正予算案は果たして大丈夫か?

  11月26日、WHO(世界保健機関)は、南アフリアで見つかった新型コロナウイルスの変異型を「懸念される変異型(VOC)」に分類し、「オミクロン型」と名付けると発表した。新聞記事を見ると南アフリカでは再び感染拡大の動きが見られるという。このオミクロン株は、人の細胞に取り憑く「スパイク部位」に30カ所以上の変異が見られ、その感染力や毒性が変異前のものと比べて強くなっており、ワクチンの効果も弱くなってしまう可能性があるとして、警戒を呼びかけている。日本政府も南アフリカをはじめ、ボツワナやナミビアなど周辺8ヵ国からの渡航者については、入国時の待機期間を10日とするなど、水際対策の強化を図る方針だ(政府は29日全世界対象に入国禁止措置発表)。 
 
 それにしても、新型コロナとはまことに厄介なウイルスだと思う。第1波から第5波までの約2年間、次々と変異するウイルスに長く苦しい経験を強いられたものである。その経験をした者にとっては、やっと一息つけたかなと思える矢先の新変異株の登場である。誰しも「またか・・・!」と嘆息せざるを得まい。おりしも、ワクチン接種先行国といわれていた米国、英国、イスラエル、ドイツ、オーストリア、韓国などでは、感染拡大が再燃しており、日本でも第6波への警戒感を払拭できないでいるこの時期に、留めを刺すような新変異株登場のニュースである。おそらく新年を迎える頃には、日本でもこの新変異株の感染が始まり、再び悪夢の第6波へと感染拡大が進行するのではないかと不安になる。

 

 折もおり、岸田新政権は26日に補正予算案を策定した。一般会計追加歳出としては過去最大規模の35兆円を示し、そのうち経済対策として31兆円を当てるという内容である。主な財源は22兆円規模の国債発行でまかなうなど、一段と財政悪化を伴うものとなっている。予測では、21年度末には国債の発行残高は1000兆円を突破する見込みである。国民一人当たりに換算すると800万円超の借金を後世につけ回すことになる。


 コロナ禍で痛めつけられた経済対策や医療体制の再構築など、進めなければならない政策にお金が必要なことは当然だが、生活支援のための現金給付や、事業者支援(今回の補正予算では事業復活支援金)などはその効果と実効性を考えると疑問が多いと言わざるを得ない。それよりも、ワクチン供給体制の強化や入院病床の確保・各地域別の大規模コロナ専用病棟の整備、PCR検査の無料化、経口新薬の開発供給体制の促進など、効果的なコロナ対策に限られた予算を集中投下してもらった方が、国民の安心に繋がるし、その政策効果を国民はより実感できるだろう。加えて経済回復面でも、無駄な補助金・支援金をバラ撒くよりもはるかに高い効果をもたらすのでないかと思うのである。

 

 それやこれやも含め、岸田新政権が打ち出した経済対策は、奇しくも同じ日にWHOから発表された新変異株の今後の感染拡大の如何にかかっているようである。顧みれば新型コロナは、安倍・菅の二つの政権を吹き飛ばすほどの威力があるウイルスだ。新政権には「新変異株・オミクロン対策」に先手を打って欲しいものである。                           

4年ぶりの総選挙。結果は予想どうりだが、争点なき議席争いの選挙かも?

 10月31日、コロナ禍で懸念されていた衆議院の総選挙だが、急速にピークアウトしたコロナ第5波の間隙をぬうように無事に投票が行われた。選挙当日は奇しくもハローウィンの日で、若者の街と云われて久しい渋谷では、前夜から奇妙な装いに身を包んだ大勢の若者が出現して2年ぶりに賑わいを取り戻したようである。
 さて、今回の総選挙だが、野党は安倍・菅政権の流れを断ち切って、政権交代を狙った野党間選挙協力を進めたが、さほどの成果は出なかったようである。一方与党の自民・公明の両党は、過半数の維持を狙っての守りの選挙を展開した。解散前よりも議席を少し減らしたものの所期の目標は達成したようだ。


 ときに、今回の選挙では不思議なほど争点に登らなかったのが、我が国の安全保障政策である。奇しくもこの選挙期間中に中国とロシアの軍艦10隻が日本近海を一周するなどの示威的な行動をしているにもかかわらずだ。誰もが感じているように日本を取り巻く安全保障環境は大きく変貌しつつある。震源地は米中対立だが、日本に取って変わり世界第2位の経済大国にのし上がった中国の戦狼外交は、東シナ海・南シナ海をはじめ「一帯一路」の戦略を軸にアジア全域・中東・アフリカへと拡大しつつある。米中は20世紀の米ソ冷戦を凌ぐ新たな対立軸を形成しようとしているようである。平和憲法の下、『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。』として、戦後70年間、憲法第9条を掲げて平和裏に過ごすことができた我が国ではあるが、これから先もこの高邁な理想を掲げていれば我が国の安全と生存は守れるのであろうか?大いに疑問を感じざるを得ない。衆議院選挙は政権選択の選挙でもある。この大事な課題についてどう対応してどう解決していくのか?その道筋が候補者の声として聞き取れなかったことに大きな懸念を感じざるを得ない。
 さらに、選挙戦後半ではG20とCΟP26という重要な国際会議が相次いで開催された。イタリアでのG20では、気候変動に対応するための脱炭素政策やコロナワクチン接種問題、法人税の最低税率や巨大IT企業へのデジタル課税問題などが中心議題となり、31日閉幕した。同日イギリス・グラスゴーでCOP26が始まった。パリ協定以降に開かれる最も重要な気候変動に関わる国際会議である。岸田首相はG20にはオンラインで参加し、COP26にはリアルの参加を予定しているらしいが選挙に出鼻をくじかれた格好での参加であり、我が国の存在感を示すには至らないと思われる。この一連の会議は、コロナ後の世界経済の再構築にとっても重要な節目となるもので、特に気候変動に関しては、人類にとってかけがえのない地球環境を守るために、将来のエネルギー政策をどうするのか、本腰を入れなければならないとてつもなく大きなアジェンダであるはずだが、世界の動きとは裏腹に、国内の選挙戦では争点にならなかった。このままでは、環境政策でも我が国は周回遅れのランナーとなってしまうのではないかと危惧せざるを得ない。


 コロナが一時的にせよ収束気味な状況の中、選挙の争点が、消費税5%への引き下げや給付金の再支給、成長と分配の好循環と謳いながらも、与野党ともに分配の甘い蜜で票を集めようとする見え透いた選挙公約を見るびにため息をつきたくなる。いずれもその時の風を読んだだけの選挙期間限定の口先公約のようであり、なんとも白けるのである。有権者たる国民が本当に求めている国の安全安心に踏み込んだ争点が欲しかった。

残念。