経営の勘どころ・つかみどころ -3ページ目

7対1の奇妙な予測値!

 7対1という奇妙な予測値が相次いで報道された。一つは増え続ける空や家問題である。

総務省が5月に発表した情報によると全国の空き家が2023年10月1日時点で900万戸に達したという。全住宅数6500万戸に占める空き家の割合は13.8%に達し、つまり全住宅戸数の7戸に1戸が空き家ということになる。30年前の1993年の空き家率が9.8%であったというから率にして3.7%も増加したことになる。今後も空き家は増え続けると予想されているので事態はますます深刻になりつつある。空き屋の発生源を用途別に見ると、①賃貸用が443万戸、②用途不明が385万戸、③別荘用が38万戸、④売却用が33万戸となっており、この中でも特に問題なのが②の用途不明の空き家である。

 その発生原因は、単身高齢者の死亡や介護施設への入居によって空き家になってしまうことである。高齢社会の陰を垣間見ることができる。


 もう一つの7対1の予測値が、厚生労働省が同時期に公表した要介護人口の将来推計値である。同省が公表したところによると、2030年には、高齢者人口の14%が要介護になると推計している。実に高齢者の7人に1人が介護が必要になると予測しているのである。これに伴い、社会的には介護に必要な人材不足を引き起こし、仕事と介護の両立を強いられるビジネスケアラーが急増すると予測している。介護のためにやむなく職場離脱することに伴う経済損失は実に9兆円に及ぶと推定している。

 同時期に公表された「空き家」と「要介護人口」の比率がいずれ7対1という予測値の一致は、何かを示唆しているようで実に奇妙である。しかしながら、この奇妙な割合の一致こそが、若年人口の減少と高齢人口の増加が同時に進行している日本社会の「老化」を具体的な数値によって示唆しているものと解釈すべきであろう。
 
 まさにその意味において、「7対1」は日本の社会がこのまま少産多死社会に突入したまま老いてしまうのか、出生率向上と仕事と介護の両立が可能な社会を本気で目指していくのかを決める分岐点になる重要指標(KPI=Key Performance Indicator)というべきでろう。政治家もお役所も経営者も働く人たちも等しく「7対1」を重要な社会指標として位置づけ、これを起点として、いかにして活気ある数値に変換するかに英知と努力を集結させていけるなられば、ある程度の時間は必要としても、やがて「8対1」に、「9対1」へとKPIを変化させることも可能であると思うのである。
 7対1を今の日本の共通した社会的指標として受けとめたうえで、この指標の改善を通じて必ずや人々の夢を繋げる「未来社会」を手作りで構築できるとKPIであると信じたいものである。
 
 円安だ、円高だ、金利が上がる下がるなどは社会の未来構築には何の関係もない単なる一時の経済指標に過ぎない。今我々日本人が必要とするのは夢ある社会形成に欠かせない人的資源の再構築だろう。7対1の指標の方が、1ドル150円だとか、長期金利が1%だとかの指標よりも重要である。もっと強調するならば、「7対1」は、付加価値の総和としての「GDP」よりも、はるかに重要な社会的KPIであると思うのである。
 

円安がついに160円台に突入! でもこれってまだいいよね。本当に怖いのは!?

 4月29日外国為替相場で、円が対ドルで160円を付けた。その後、円は一時154円台まで急騰し、一日の振れ幅が6円近くにもなった。日本はゴールデンウィークに入り、国内市場が休場であった事もあり、外国勢の投機筋が円売りを仕掛けたようである。一方で突然反転した円高に関しては、財務省・日銀による為替介入があったとする見方が有力だ。円安傾向は2024年のトレンドであるが、今回の波乱相場は、4月26日の金融政策決定会合での植田日銀総裁の発言が大きく関わっていることは間違いないであろう。


 植田総裁は現在の円安は、「基調的な物価上昇率に影響を与えるという可能性はありうる」としたものの、「円安に金融政策で直接対応するつもりはない」との日銀の正論に市場関係者が注目した結果ではないかとの見方が報道されている。一向に縮まらない日米の金利差。高い経済成長率とインフレ。加えて金利下げが遠のいた米国の金利。市場関係者は当分は日銀は動かないと見て、円売りスタンスを強めた結果の160円台の円安であろうことは素人にも分る気がするのである。


 しかしながら人間の心理はつくづく複雑である。一昔前は「恐怖の円高」に怯えていた日本人だったが、今は「負け犬円安」に震えている。外国からのインバウンド客は大いに日本を楽しんでいる一方、アウトバウンドを満喫する日本人はいない。今や海外の宿泊先の部屋で自炊をする日本人客も多いと聞く。これが戦後79年を経過した日本経済の実情と思うと情けなくなる。
 だがものは考えよう。円安は企業業績を押し挙げる。輸入物価インフレは企業の価格転嫁努力がある程度達成できれば、売上増につながる。結果、法人税や消費税の税収がその分自然膨張し、国の財政の支えになる。賃金の上昇も基調的に上昇に転ずれば、可処分所得の増加につながり、かつ、所得税の税収も増える。この分で行けば、2024年度の税収は75兆円から80兆円になる可能性もある。但し、このようなユートピア的なストーリーは、国内政治の安定と国際経済が安定的に推移することが大前提である。


 しかし足下の国内政治は自民党の裏金問題で波乱含みである。衆議院の補欠選挙では自民・公明の与党は惨敗を期している。今後、自民党の総裁選も絡んで野党の解散要求は強まるであろう。国際政治もウクライナ戦争やガザ地区での人道問題。イランとイスラエルが直接衝突する危険性。北朝鮮に対する国連安保理の制裁措置の機能不全。圧力を強める中国の南シナ海や台湾海峡での軍事的威圧行動。ロシア周辺国で活発化するテロ活動。世界の政治と軍事を巡る情勢は日に日に険しくなりつつあるように思える。


 ある日突然、ペルシャ湾やマラッカ海峡が封鎖されるという「油断」が日本経済を直撃する事態も排除できないのである。
 円安だ円高だ!金利を上げろ!下げろ!というのは経済だけの問題であり、それをはるかに超えるのが安全保障環境である。今、世界の安全保障の動向は、誰もその動きを覚知できない地下深くで蠢くマントルに例えることができよう。いつ平時のバランスを突き動かす臨界点に達するか誰一人として予想できないのである。

 過去の大きな戦争も想定外の事態の積み重ねの中から起きていると思うと、真実、今の世界は新冷戦の時代の入口に立っているような気がしてならない。これから先、新冷戦が冷戦のまま終結し、熱戦にならないことを、ただひたすら祈るのみである。

2024年3月29日。令和5年度・年度末の日本の姿とは!

 令和5年度が3月29日実質的に幕を閉じた。自民党の裏金問題が最大の焦点となった国会だったが、呆気ないほど平穏に次年度予算112兆円が参議院を通過成立した。コストインフレに伴う物価高と賃上げを巡る春闘相場も政労使がまるで三位一体になったような形で軒並み満額回答が続出した。高度経済成長期の労使が激しく対決した春闘の姿は今はない。これでは野党も「出る幕なし」である。裏金問題しか攻め手がないのも頷ける。


 日経平均も29日に終値40,369円44銭をつけた。バブルの狂乱相場で付けた38,915円87銭を1,453円57銭も上回る相場だが、国民の間には高揚感はない。実に不思議な現象である。都内の新築マンションの平均販売価格も1億円超となって久しい。片や為替相場を見ると、1ドル151円33銭と一段と円安傾向で幕を閉じた。この円安水準は、1985年(39年前)のプラザ合意後に付けた152円台の相場と同水準である。思い返せば、このプラザ合意を契機に日本はバブル経済へと突き進んで行ったのだが、マンション価格や株価はバブルピーク時を上回るが、為替相場はバブル経済の起点となった時期に先祖帰りしたようである。

 

  マンション価格や株価高騰は、中国の経済減速を嫌気した海外資金の逃避先として日本が受け皿になっているとの見方が根強い。決して日本の経済が過熱していると考えている人は皆無だろう。為替相場で円安が進んでいるのは、誰が見ても国内の金利水準の低さにあることは間違いない。日銀は3月の金融政策決定会合で2013年に導入されたマイナス金利政策に終止符を打った。併せてイールドカーブコントロール(長短金利操作)も止め、ETF(上場投信等)の市場買入れも停止した。物価2%と賃金上昇の相関関係を総合的に判断した措置というが、国債買入れはまだ続行し、かつ、長期金利も1%±0.5%を目途とする慎重姿勢は崩さなかった。その結果、米国の金利引き下げは当分ないと予想した市場関係者は安い円で資金調達してドルを買って高利回りの運用をするという円キャリー取引を安心して続けられるとの思惑から、円安は39年ぶりの水準まで売られているのが実態だろう。

  この円安で企業は輸入物価上昇圧力に晒され続け、悪性コストインフレと賃金コストの上昇・人手不足の三重苦を背負わされるリスクが高くなったようである。特に価格転嫁に苦しむ中小・零細企業の先行きは極めて厳しいものになると云わざるを得ない。


 政府は、賃上げ税制や定額減税で企業や国民の負担軽減措置を講じたつもりのようだが、そもそも、赤字企業が多い中小・零細企業には税額控除の恩典はそれほど大きいとは思えない。定額減税においても、あらゆる企業が長期に亘り減税事務負担が生じるなどデメリットが目立つ。ましてや昨年10月から開始されたインボイス導入に伴う事務負担や、電子帳簿等保存法の電子取引の強制適用をめぐる複雑な経過措置を踏まえた対応は中小・零細企業に大きな困惑をもたらしている。国民のためと云いつつ、国民に負担を強いているのが今の国の政策であるように思えてならない。


 令和5年度末の日本の姿は、株高・円安・低金利の三つの相場から読み取れるのであるが、真の原因は少産多死社会の道を突き進む「国の老い」にあることを見逃してはならないだろう。国や会社が成長できる根本は、社会基盤を支える世代が末広がり存在することに他ならない。正ピラミッド型の姿である。この実現を政治は目標にすべきである。

 

夢喪失社会はご免被りたいものだ!

  2024年1月1日元旦。突如として能登半島地方をM7.6、最大震度7の大地震が襲った。

 

地震発生から1ヶ月。1月30日現在で災害関連死を含む死者の数は238人にのぼり、今なお多くの人々が厳寒の地で避難を強いられている。激しい地割れや崖崩れによる道路水道等のインフラ網の寸断。海底隆起を伴う津波と漁港破壊は更に復興を困難なものにしている。

 

  省みれば、平成には阪神淡路大震災・東日本大震災と原発事故・熊本大地震など歴史に残る自然災害が相次いだが、まさか令和の時代6年目を迎えた正月元旦にこのような大地震が起きるとは夢想だにしなかったことである。翌2日には救援物資を積んだ海上保安庁機と日本航空機が羽田空港の滑走路で衝突炎上事故を起し、あわやの大惨事となるところであっが、幸いにも日航機の乗客全員が「奇跡の脱出」に成功したため、不幸中の幸いと胸を撫で降ろすことができた。

 

  海の向こうでは理不尽な戦争による殺戮が今なお続いている。ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ地区侵攻がもたらす人道的悲劇は見るにも聞くにも耐えがたい感情を禁じ得ない。かかる混乱のさなか、国内政治は、パーティ-券の裏金問題が露呈し、自民党の派閥を巡る「金と人事」へと問題が飛び火し、大きな政局に発展しつつある。

 

  かかる混乱の中で、来年度予算案を審議する重要な通常国会を迎えることになった。しかしながらこの政治資金を巡る疑惑は、政治家がいかに自分や身内に甘く、他人に厳しいかを思い知らされた気がする。法律をつくる者が法律を守らないという、かかる政治家のご都合主義と不条理な振る舞いには多くの国民が憤りを感じている事であろう。


  正直な話、今年は初夢を見るどころではないというのが偽らざる国民感情であるように思う。しかしながら、この先どんな経済的混乱や政治的茶番劇を見せつけられようとも、夢なき社会、夢喪失社会だけはご免被りたいと思う。


 地震・風水害・戦争・政治不信・物価高等々の課題てんこ盛りのこんな時だからこそ、先人の教に耳を傾けてみたい。

今年は新円切り換えの年である。長年お世話になった1万円札の顔は、7月から福沢諭吉から渋沢栄一に交代する。
この渋沢栄一翁が世に残した「夢七訓」を心静かに黙読し、今年1年に臨みたいと思う。
         
         夢七訓
      夢なき者は 理想なし                               
            理想なき者は 信念なし
      信念なき者は 計画なし
            計画なき者は 実行なし
      実行なき者は 成果なし
            成果なき者は 幸福なし
            故に幸福を求める者は 
           夢なかるべからず

今年も様々なことが起きるだろうが、決して夢を喪失する社会にしてはなるまい。
 

2023年(令和5年)もいよいよ大詰め! わずか1年、されど1年!

 昔から11月は「霜月」と呼ばれるが、いよいよもうすぐ12月の「師走」を迎えようとしている。今年を省みると様々なことが脳裏をかすめていく。徒然なるがままに、今年の出来事に思いを馳せてみた。
 今年はとりわけ夏の暑さ、即ち猛暑が印象に残った。夏日は11月まで続き、秋の訪れを感じる暇がなかったように思う。この異常気象が今年1年で終わってくれれば良いが、これが来年も発現するとなると大変である。日本の「四季」が文字通り喪失し、秋のない「三季」になりかねない。最悪の場合は、夏と冬の「二季」になってしまう懸念すら覚える。来年こそは「秋の紅葉」を堪能したいものである。
 今年は、世界第2位の経済大国たる中国経済の低迷ぶりも目につくようになった。同国の不動産大手・恒大集団や碧桂園等の相次ぐデフォルト報道。若者の失業率が本年6月時点で21.3%に達しているとの報道が目についた。
 経済成長を示すGDPも5%ラインを軸に低迷をかこっている。人口13億人を擁する中国の出生数も1000万人を割り込み、いわゆる「未富先老」の様相が露わになりつつある。今後の中国経済の動向は中長期的には日本経済にも負の影響を及ぼすであろうから、注目せざる得ないであろう。

 

 米国やEU各国では、ウクライナ戦争の影響を受けてインフレが進行し、それを抑え込むために各国の中央銀行は金利を急激に引上げた。その結果、マイナス金利下の我が国では、為替市場で急激な円相場の下落を招き、結果として「輸入物価インフレ」を引き起こし、資源や食料の輸入物価が軒並み上昇した。ひと頃のウッドショックやアイアンショックよりも国民生活に与える影響度はるかに大きく、岸田政権も対策が後手に回り、慌てて減税を打ち出して支持率を下げる結果を招いている。これに加えて、先月突如として勃発したハマスとイスラエルとの軍事衝突の影響で、昭和の石油ショックを想起させる「油断の危機」に直面する事態となり、エネルギー価格の動向は今後も目が離せない情勢である。


 その他の国内の出来事を省みると、まずは10月からスタートした消費税のインボイス制度が挙げられる。平成元年にスタートした消費税はEU諸国のインボイス方式ではなく、長らく帳簿方式を採用してきた。軽減税率導入を契機としてインボイス制度が本年からスタートしたのである。今後、企業の大小を問わずインボイス制度が適用され、思わぬ事務負担や免税事業者の取引排除などの混乱が予想される。特に免税事業者には副業解禁に伴ううサラリーマンが多い。その殆どが売上規模1千万円以下の層が多数を占めるので、課税事業者になることによる消費税の納税義務の発生による混乱が予想される。

 

 年明けからは改正電帳法に伴う電子取引データの保存義務が待ち受けている。多くの中小企業者はこれに未対応であり、改正内容を知らない事業者も多い。混乱は避けれまい。贈与税改正でも3年以内加算制度が今年で終了し、来年1月1日からの贈与から7年以内加算が適用される。更に110万円までの贈与は持戻し加算なしという「新相続税精算課税制度」もスタートする。生前贈与対策も新たなフェーズに突入することになろう。
新NISAも来年1月1日からスタートする。国内金利も今年後半から上昇し、いよいよ金利のある時代が到来する雲行きである。

 

さて、こうして振り返ってみると、見過ごせない色々な事が身の回りで起こっていることが分る。

わずか1年、されど1年である。

 

世界はこのまま暗闇の中に突入してしまうのだろうか?

10月7日、パレスチナのイスラム組織ハマスによるイスラエル奇襲攻撃が勃発した。寝耳に水の事態に信じられない思いで、各局のニュース番組を次々と視聴して事態の把握に必死になったものである。2022年⒉月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻とその後の両国の戦争状態に関心を引きつけられていた最中であったので、まさかという衝撃と底知れぬ危機感を抱かざるを得なかった。発生からこの一ヶ月、ガザ地区とイスラエルでは合わせて1万人前後の犠牲者を出している。


 ウクライナ戦争では、それと同じような事態が、この東アジア、とりわけ南シナ海や台湾海峡で引き起こされるかも知れない危機感を想起させたが、パレスチナのイスラム組織ハマスとイスラエルの今回の衝突は、偶発的な事件として片付けられず、事態の深刻化が懸念される。特に、ハマスを支援するレバノンのイスラム組織ヒズボラ、さらにはこの2つのイスラム組織を支援するイランやその他の中東の国々。加えて、ロシアや中国も虎視眈々とこの事態に乗じて中東諸国を自陣営に引き込もうとする姿勢が垣間見える。


 他方でイスラエルを強く支援する米国や英国を含むヨーロッパの主要国も水面化で事態の掌握と抑制に動き出している気配を感じるが、イスラエルの自衛権は否定できないとして一定の理解と支援の姿勢を強めている。かかる外部勢力の動向もさることながら、ハマスとイスラエル双方が納得のいく解決策を見い出すことは極めて困難と思われる。双方の武力衝突の現実は、日に日にエスカレートしている様子が窺える。今後の事態の進展次第では、一気に地域諸国を巻き込む大きな戦争へと発展しかねない。


 特に、イスラエルを含むこの地域は、長年にわたる宗教対立を続けていて、中東の火薬庫と称されて久しい地域である。もし仮に、イスラエルとイランが正面から対立するようなことになれば、日本にとっては最大級の危機に追い込まれる。昭和の時代の「油断」の事態の再来を招きかねないのだ。東京電力福島第1原子力発電所の事故以来、日本の主要なエネルギー源は石油である。その石油は92.5%が中東地域からの輸入に依存している。この地域全体に戦禍が拡大すれば、日本の経済は息の根を止められてしまう程の危機的事態に陥ることも想定されるのだ。まさに20世紀において数次わたって訪れた石油危機の再来を覚悟しなけばならない。
 そうなればまさに悪夢と呼ぶ他はない。ウクライナに続き、今般のハマスとイスラエルの軍事衝突は、世界中を黒い雲で覆いかねない事態である。世界はこのまま暗闇の中に突入していまうのだろうか?18世紀から19世紀にかけての産業革命時代の植民地主義と民族圧迫。それに続く20世紀は大戦争の時代(第一次世界大戦・第二次世界大戦・核武装を競い合った東西冷戦時代)。21世紀に入り四分の一世紀を迎えんとする今日、人類は平和共存の道を歩めるのか、はたまた時間を巻き戻すように核戦争をも辞さないとする政治指導者によって人類破滅の大戦争の道に踏み込もうとしているのか?大きな岐路に立たされているように思える。 

 

戦争が愚かなことは誰しも疑う余地がない。それにもかかわらず人類史においては、戦争が常に存在していた。この歴史の事実(真実)に今を生きる現代人は何を学ばなければならないのか?

 今を生きる一人ひとりが立ち止まって真剣に考える時ではなかろうか。

いよいよ始まる「インボイス制度開始」に思う事!

 いよいよ本年10月1日から改正消費税法の「適格請求書等保存方式制度(インボイス制度)」が施行される。世間の反応は「インボイス」て何に?・・・などと、聞き慣れない言葉に戸惑ているようである。

 

  インボイス制度とは何か?その回答は、要するに、事業者自らが取引上発生する消費税に関する正確な情報を、インボイスという書面(データ含む。)を交付する事で、取引相手先に確実に伝達すると同時に、自己が消費税の納税義務者であることを証明する仕組みの事である。インボイスには事業者が交付する請求書や領収書・レシートなどがあるが、10月1日以降はこれらの書面を発行する際には税務署に登録申請して通知を受けたインボイス番号(T+13桁の数字で構成)を記載する事が求められる。登録番号の記載のない請求書等はインボイスとは認めらず、その結果、交付を受けた相手側(買手)が消費税課税事業者である場合、原則、当該相手側の事業者は、自己の消費税の申告納税額の計算上、負担した消費税を控除(「仕入税額控除」という。)できなくなり、その分消費税の納税額が増加することになる。買手である相手側にとっては、インボイスを受け取ることは、まさに10%分の消費税の控除が受けられる金券となるのである。

 

  インボイス制度の問題点も広く認識されている。最大の焦点は金券視されるインボイスの発行事業者となって買手にインボイスを交付できるようにするか否かの決断だ。普通に考えるならば、10%の金券を発行できる方が良いと思うが、その反面、インボイス発行事業者になると年商が小さくとも原則消費税の納税義務が発生する。特に今まで前々年の課税売上高が1千万円以下の事業者は消費税が納税免税だったので、金券発行による取引面でのメリットと消費税の税負担発生のデメリットを考慮しなければならず、判断に苦慮している様子が窺える。国税庁の本年8月末現在でのインボイス登録状況によると、法人事業者では、全体約287万社の内、270.5万社(73.2%)がインボイス登録申請を済ませているのに対して、個人事業者534万者(令和3年分不動産所得者・事業所得者)の内、登録申請済みの事業者は142.5万者(26.6%)に留まっている。特に免税事業者419万者においては1割程度の登録申請しかなく、フリーランスやIT関連の副業者、デザイナーや翻訳業、声優・タレントその他多くの零細事業者の戸惑いが透けて見えてくる。


 政府はこれら小規模事業者に対していくつかの優遇措置を打ち出している。免税事業者からインボイス番号の記載のない請求書等を受領した場合にも買手に制度開始から3年間は80%、その後の3年間は50%の「仕入税額控除」を認める経過措置や、従来、免税事業者であるはずの者がインボイス登録したことで納税義務者となることに配慮し、かかる事業者の納税額を売上消費税の2割とする「2割特例」を制度開始3年間に属する課税期間に限って適用する経過措置を講じた。

  また、前々年の課税売上高1億円以下の課税事業者(前年の特定期間の課税売上高5千万円以下の課税事業者を含む。)には3年間に限って、一回の取引額が税込1万円未満の取引についてはインボイスの保存を不要とする事務負担軽減措置も講じている。

 

  が?しかしである。いずれの措置も期間限定であり、制度導入を実現するための目先優先の弥縫策という印象が強い。
インボイスの交付と保存という法的措置が施行されることに伴う事業者の事務負担は、法人・個人の事業者を問わず事務量増加と処理コスト増は確実に発生する。

 

人手不足と物価高に苦しむ多くの中小企業にとってインボイス制度は、鬼門になりかねない。
 

「地球沸騰化」を想起させる今夏の異常気象!

   気象庁は今月28日に開催した「異常気象分析検討会」において、「・・・歴代と比較しても圧倒的な高温で異常気象だといえる。」と今年の夏を結論づけた。
グテーレス国連事務総長が今月4日に、地球の気候変動を「地球温暖化から地球沸騰化の時代が到来した」と警告を発したばかりだが、まさに今年の夏、とりわけ7月以降の猛暑は地球沸騰化を彷彿させる暑さとなった。この異常な高温現象は日本に限らず地球規模で発生しており、多数の犠牲者を出したハワイ・マウイ島の山火事や、カナダやスペイン、南米、アフリカなど広範囲で山火事が発生している。


 気象庁によると、日本の猛暑の要因を次のように指摘している。7月後半から列島の高度上空を流れるジェット気流が平年より北に流れたため、その下の太平洋高気圧の張り出しが強くなり、その結果、列島全体が暖かい高気圧に覆われ、全国的に気温が上昇した。更に迷走台風が列島周辺に居座り続けたため、長期間にわたり高温多湿の空気が列島全体に吹き込み連日の猛暑となる。加えて日本海側では山を越えて吹き下ろす台風の風が乾燥する「フェーン現象」に見舞われ、高温酷暑に襲われてしまったという。

 

  また、太平洋側の三陸沖では海洋内部まで水温が顕著に高くなり、北日本周辺の海面水温が記録的に高くなった。そのため沖縄から本州・北海道に至る広い海域で暖かい海水に囲まれてしまった。まさに列島全体がサウナ風呂に入ったような状態だ。気象庁の統計記録125年間で最も暑い夏になることは確実だという。どうやらこれが今年の日本の夏ようである。


 ところで、今年の猛暑・酷暑は果たして異常気象で片付けていいものだろうか?来年もそのまた次の年も異常気象と称される猛暑・酷暑に見舞われないだろうか?仮にこの猛暑が連年続くとなれば、もはや「異常気象」という認識は間違いということになる。仮に地球沸騰化の始まりだとすれば、今年の酷暑は異常気象でなく沸騰化時代の正常気象ということになる。まさにこの点に地球環境の深刻さを垣間見る思いがするのである。


 夏の暑さを表す言葉に、「夏日」「真夏日」「猛暑日」「熱帯夜」という気象用語がある。
夏日は、日中の最高気温が25℃以上の日、真夏日は30℃以上の日、猛暑日は35℃以上の日をいう。熱帯夜は、夜中の最低気温が25℃以上の寝苦しい夜のこと。


  記録によると1980年代後半以前の夏日は年間50日前後のところ、近年は60日前後に増加し、猛暑日ともなると1970年前半以前は年間5日前後のところ、現在は20日前後に増加しているという。東京の熱帯夜に及んでは1960年代は年間9日前後だったものが最近は40日を超えるまでに増加している。もはやクーラーなしには東京の夜は寝付けない暑さである。今、気象関係者は「熱帯夜」に代わる新用語を思案中という。「超熱帯夜」、「スーパー熱帯夜」「沸騰夜」等々まだピントこない用語しか浮かんでいないようだが、できれば新用語がこれ以上増えないで済むことを心底願いたいものである。


 人類の歴史が温暖化を惹起したとも云われている。石器・鉄器時代に火を制し道具を手にした人類は森林を開拓して農耕を始める。食糧増産は人口増と定住化をもたらし、集落・町・都市国家を生み出す。産業革命は大量生産・大量物流を実現し、化石燃料を大量消費した。現在はデジタル革命が進展し紙から電磁的記録へ。再生可能エネルギーや水素等の新エネルギ-に期待がかかるが、一方で戦争や山火事でCO2排出の抑制はままならない。人類の危機だという切迫感も薄弱だ。

 

 人類が「ゆで蛙」にならなければいいのだが!
 

アベノミクスの終焉か! 日銀の金融政策の修正.

日銀は7月28日の金融政策決定会合で、長期金利の上限をこれまでの上限0.5% から1%に引上げることを容認する姿勢を明らかにした。この発表を受け債権市場は9年ぶりに一時0,575%まで高騰するなどのそれなりに反応した。
 日本の現在のゼロ金利政策は、その元を辿れば、2012年末に発足した第二次安倍政権が打ち出した「アベノミクス・三本の矢」に行き着く。当時、民主党政権から再び政権に返り咲いた「自民党連立政権」は、長期化する「デフレ経済脱却」と「富の拡大」を目指して、強力な経済復元政策を打ち出した。それが「アベノミクス・三本の矢」である。


  具体的には「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「民間投資を喚起する成長戦略」という三つの経済政策を指す。なかでも「大胆な金融政策」を実行するため、政府と日銀がタッグを組む形で、異次元の金融政策を打ち出したのが2013年4月の「金融政策決定会合」であり、その決定に関わったのが就任直後の黒田東彦・前日銀総裁である。

  日銀はそれまでの正統的な金融政策手段であった金利政策に代わって、市場に大量の資金を供給する量的緩和政策を打ち出したのである。その狙いは物価上昇目標を年率2%にするという事であった。その為に市場へ大量の資金を供給して経済の体温を平熱まで高めようとしたのである。いやゆるインフレの一歩手前まで経済を過熱化させる「リフレ政策」である。

 

  その結果、株価は上昇し、GDPも66兆円拡大し、深刻な雇用情勢も改善に向かい、失業率も改善し、結果350万人の雇用回復を実現したといわれている。反面、経済成長率は2%(物価上昇と同一視できる)に届かず、実質賃金も期待するほど上昇せず、一部では不動産価格の上昇(現在のマンション価格高騰につながる)や富の偏在に伴う格差拡大・固定化という負の側面も指摘されている。

 

 いずれにしても、約10年続いた政策スタンスを日銀の新総裁・植田和男氏の下で変更した。否、もっと正確に表現すれば変更に追い込まれたということだ。その背景にあるのが、物価高と円安である。ウクライナ戦争に伴う資源・食糧の供給不安と円安の影響で、政策的な効果とは無縁の要因で、日本経済の体温は不健康な高熱を帯びる状況に追い込まれてしまった。人の体を借りて表現するならば、経済政策の結果から体力増強を伴う平熱上昇ではなく、流行性感冒に罹患して突然高熱を発したような不健康な体温上昇なのである。放置しておくと重症化するリスクが高まるので、ここで処方箋を出して養生を開始したというところであろう。
 日銀は、それでも長短金利を操作する「YCC」(国債の無制限購入する連続指し値オペ)の旗を降ろした訳ではない。しかし、FRBや欧州中央銀行などとの金利差を比較すると、長期金利1%を上限とする今回の政策変更がいつまで持つかは見通せないと思われる。政策変更直後の為替相場を見ても、円高にぶれたの一時的ですぐに140円台に戻っている。為替市場は既に日銀の政策変更は織り込み済みと思われる。不意打ち的な政策発表でなかったことがその一因でもあるが、米欧との金利差はあまりにも大きい。
 次回の金融政策決定会合で更なる金融政策の変更を打ち出すかどうかが、当面の日本経済の大きな注目点になると思われる。
 熱波到来の暑すぎる夏が続くなか、背筋が凍り着くような経済ショックが引き起こされないことを願うばかりである。国連の事務総長の「地球温暖化という時代は終わった。これからは地球沸騰化の時代だ!」
これに匹敵するショッキングなニュースを耳にするのはご免被りたい!
 

重税大国!?

  どこの国とは言わないが、税金に悩まされ続けている国がある。その背景にはこの国特有の事情がある。国土も狭く資源に乏しこの国は人だけが唯一の資源であったのだが、近年、30年の長きに及んだデフレ経済に苦しんだ結果、気づいたら政府部門の借金は1200兆円を超え、その額はGDP比で246%超となってしまった。

 

   高齢化と少子化が同時並行的に進行し、今や年間死亡者数140万人、かたや出生数は80万人割れとなり、頼みとしてきた人を資源とする経済の成長エンジンは、今や高齢化と人口減少によってその推進力を喪失しつつある。他方、2023年3月末の家計部門の保有資産は2043兆円であると日銀が先頃公表した。また財務省によると2022度の税収見込みは71.1兆円であり、史上最高の税収を確保すると予想している。世界的なインフレで物価高が進行した影響で消費税の税収が伸び、コロナ後の経済活動の再稼働や賃上げ等で所得税も堅調であるという。更に円安で大企業、とりわけ輸出関連や資源関連の企業業績が好調に推移し、法人税の税収も増加しているようである。とはいえ、少子高齢化が進んだ結果、当然のごとく年金・医療などの社会保障費への支出が、年々拡大を続けており、国民の社会保険料の負担額も増加する一方である。国際情勢の緊迫化や新冷戦の開始で防衛予算の増額も迫られている。


 今年10月からはインボイス制度も開始される。令和6年からは改正贈与税制が施行される。かくの如く長年に亘り増税指向の税制改正を繰り返してきたこの国の税制は、今や複雑怪奇なモノになってしまった感がある。一般の国民のレベルで我が国の税制度(特に消費税・所得税・相続税や贈与税)の理解度を質問したらどんな結果になるだろうか?
おそらく大半の国民が「分りません」と回答するのではなかろうか。もしかしたら、分らない方が国を運営する側の為政者にとっては好都合なのかも知れないが。


 そんな近況のさなか、またもやこれに追い打ちをかけるがごとく国税庁は、タワマン節税封じのための財産評価基本通達の見直しを始めること明らかにした。富裕層の相続税対策封じである。更に令和6年度の税制改正を目指し、退職所得課税の強化を打ち出そうとしている様子が伺われる。課税の公平の名の下に、実質的な税負担を増大させる制度改正の動きは未だその勢いは衰えず、まさに留まることを知らない様相である。

 

  シンプルオブザ・ベストの税制実現とは裏腹に、この国の税制は、年々歳々、大小の改正を繰返し続けている。まさにその姿は複雑怪奇な未知のモンスターのようなものに見えてくるのである。貧すれば鈍するという諺があるが、今日の税制の歪みは、国の政策の綻びを税制改正で取り繕おうとした結果ではなかろうか? 経済活性化の政策の片棒を担がされて数々の租税特別措置法が手当てされてきたが、その恩典を享受している事例は大企業や一部の特定業種・特定企業に留まり、一般の中小法人に及んでいないのが実態であろう。

  その一方で、扶養控除や基礎控除の改正、消費税率アップと事務負担を強いる軽減税率とインボイス制度導入、電帳法改正に伴う電子取引のデータ保存の強制適用、相続税の基礎控除引下げに続く、今般の歴年贈与課税制度の持戻し期間の延長、今後見込まれる退職所得税制の見直しなど、広範囲に納税者に影響を及ぼす税制改正は着実に積み重ねられている。


 社会保険料もある種の租税であることを考えると、国民の税負担率は50%を超える日はそう遠くではないかも知れない。

重税が国民の希望と活力を奪っては本末転倒であるのだが?この流れに竿を差す人は現れそうもない。