世界はこのまま暗闇の中に突入してしまうのだろうか? | 経営の勘どころ・つかみどころ

世界はこのまま暗闇の中に突入してしまうのだろうか?

10月7日、パレスチナのイスラム組織ハマスによるイスラエル奇襲攻撃が勃発した。寝耳に水の事態に信じられない思いで、各局のニュース番組を次々と視聴して事態の把握に必死になったものである。2022年⒉月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻とその後の両国の戦争状態に関心を引きつけられていた最中であったので、まさかという衝撃と底知れぬ危機感を抱かざるを得なかった。発生からこの一ヶ月、ガザ地区とイスラエルでは合わせて1万人前後の犠牲者を出している。


 ウクライナ戦争では、それと同じような事態が、この東アジア、とりわけ南シナ海や台湾海峡で引き起こされるかも知れない危機感を想起させたが、パレスチナのイスラム組織ハマスとイスラエルの今回の衝突は、偶発的な事件として片付けられず、事態の深刻化が懸念される。特に、ハマスを支援するレバノンのイスラム組織ヒズボラ、さらにはこの2つのイスラム組織を支援するイランやその他の中東の国々。加えて、ロシアや中国も虎視眈々とこの事態に乗じて中東諸国を自陣営に引き込もうとする姿勢が垣間見える。


 他方でイスラエルを強く支援する米国や英国を含むヨーロッパの主要国も水面化で事態の掌握と抑制に動き出している気配を感じるが、イスラエルの自衛権は否定できないとして一定の理解と支援の姿勢を強めている。かかる外部勢力の動向もさることながら、ハマスとイスラエル双方が納得のいく解決策を見い出すことは極めて困難と思われる。双方の武力衝突の現実は、日に日にエスカレートしている様子が窺える。今後の事態の進展次第では、一気に地域諸国を巻き込む大きな戦争へと発展しかねない。


 特に、イスラエルを含むこの地域は、長年にわたる宗教対立を続けていて、中東の火薬庫と称されて久しい地域である。もし仮に、イスラエルとイランが正面から対立するようなことになれば、日本にとっては最大級の危機に追い込まれる。昭和の時代の「油断」の事態の再来を招きかねないのだ。東京電力福島第1原子力発電所の事故以来、日本の主要なエネルギー源は石油である。その石油は92.5%が中東地域からの輸入に依存している。この地域全体に戦禍が拡大すれば、日本の経済は息の根を止められてしまう程の危機的事態に陥ることも想定されるのだ。まさに20世紀において数次わたって訪れた石油危機の再来を覚悟しなけばならない。
 そうなればまさに悪夢と呼ぶ他はない。ウクライナに続き、今般のハマスとイスラエルの軍事衝突は、世界中を黒い雲で覆いかねない事態である。世界はこのまま暗闇の中に突入していまうのだろうか?18世紀から19世紀にかけての産業革命時代の植民地主義と民族圧迫。それに続く20世紀は大戦争の時代(第一次世界大戦・第二次世界大戦・核武装を競い合った東西冷戦時代)。21世紀に入り四分の一世紀を迎えんとする今日、人類は平和共存の道を歩めるのか、はたまた時間を巻き戻すように核戦争をも辞さないとする政治指導者によって人類破滅の大戦争の道に踏み込もうとしているのか?大きな岐路に立たされているように思える。 

 

戦争が愚かなことは誰しも疑う余地がない。それにもかかわらず人類史においては、戦争が常に存在していた。この歴史の事実(真実)に今を生きる現代人は何を学ばなければならないのか?

 今を生きる一人ひとりが立ち止まって真剣に考える時ではなかろうか。