夢喪失社会はご免被りたいものだ! | 経営の勘どころ・つかみどころ

夢喪失社会はご免被りたいものだ!

  2024年1月1日元旦。突如として能登半島地方をM7.6、最大震度7の大地震が襲った。

 

地震発生から1ヶ月。1月30日現在で災害関連死を含む死者の数は238人にのぼり、今なお多くの人々が厳寒の地で避難を強いられている。激しい地割れや崖崩れによる道路水道等のインフラ網の寸断。海底隆起を伴う津波と漁港破壊は更に復興を困難なものにしている。

 

  省みれば、平成には阪神淡路大震災・東日本大震災と原発事故・熊本大地震など歴史に残る自然災害が相次いだが、まさか令和の時代6年目を迎えた正月元旦にこのような大地震が起きるとは夢想だにしなかったことである。翌2日には救援物資を積んだ海上保安庁機と日本航空機が羽田空港の滑走路で衝突炎上事故を起し、あわやの大惨事となるところであっが、幸いにも日航機の乗客全員が「奇跡の脱出」に成功したため、不幸中の幸いと胸を撫で降ろすことができた。

 

  海の向こうでは理不尽な戦争による殺戮が今なお続いている。ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ地区侵攻がもたらす人道的悲劇は見るにも聞くにも耐えがたい感情を禁じ得ない。かかる混乱のさなか、国内政治は、パーティ-券の裏金問題が露呈し、自民党の派閥を巡る「金と人事」へと問題が飛び火し、大きな政局に発展しつつある。

 

  かかる混乱の中で、来年度予算案を審議する重要な通常国会を迎えることになった。しかしながらこの政治資金を巡る疑惑は、政治家がいかに自分や身内に甘く、他人に厳しいかを思い知らされた気がする。法律をつくる者が法律を守らないという、かかる政治家のご都合主義と不条理な振る舞いには多くの国民が憤りを感じている事であろう。


  正直な話、今年は初夢を見るどころではないというのが偽らざる国民感情であるように思う。しかしながら、この先どんな経済的混乱や政治的茶番劇を見せつけられようとも、夢なき社会、夢喪失社会だけはご免被りたいと思う。


 地震・風水害・戦争・政治不信・物価高等々の課題てんこ盛りのこんな時だからこそ、先人の教に耳を傾けてみたい。

今年は新円切り換えの年である。長年お世話になった1万円札の顔は、7月から福沢諭吉から渋沢栄一に交代する。
この渋沢栄一翁が世に残した「夢七訓」を心静かに黙読し、今年1年に臨みたいと思う。
         
         夢七訓
      夢なき者は 理想なし                               
            理想なき者は 信念なし
      信念なき者は 計画なし
            計画なき者は 実行なし
      実行なき者は 成果なし
            成果なき者は 幸福なし
            故に幸福を求める者は 
           夢なかるべからず

今年も様々なことが起きるだろうが、決して夢を喪失する社会にしてはなるまい。