経営の勘どころ・つかみどころ -2ページ目

記録的な猛暑日が続き中、背筋が寒くなるニュースが飛び交う現実!

  猛烈な酷暑が日本列島を襲っている。8月の猛暑日は23日超に及び最長記録を更新中である。そんな中、神戸市では帰宅した女性がマンションエレベーター内で刺殺されるという痛ましい事件が発生した。犯行の経緯が徐々に明らかになりつつあるが犯人は前日から被害女性の勤務先近辺に出没していた様子がテレビで放送されていた。何とも空恐ろしい限りである。

   出没と云えば東北や北海道で熊の出没が毎週のようにニュース番組で報道されている。知床半島の羅臼岳では観光登山客がヒグマに襲われ死亡する悲惨な事故も発生している。

 

 例年8月と云えば80年前の8月6日、広島に原爆が投下された。その3日後の8月9日には長崎に2発目の原爆が投下され多くの死者と被爆者を生んだ忌まわしい日でもある。今年の広島の原爆祈念式典で石破総理大臣は式典挨拶の最後に、被爆詩人・正田篠枝氏の歌集「さんげ」から、『太き骨は先生ならむ そのそばに小さな頭の骨あつまれり』という詩をもって結びとした。

 8月は更に長崎から3日後の8月12日には、時代は移るが日航ジャンボ機が御巣鷹山に墜落して500余名の死者を出した大事故が発生している。更にその3日後の8月15日は、時間を再び80年前に戻してみれば終戦を告げる昭和天皇の玉音放送が全国に流れた日でもある。戦後の日本人にとって8月という月は忘れがたい数々の歴史が刻まれた月である。


 そんな8月だが、世界においても注目すべき大きな動きが次々と展開されている。8月15日、米国のトランプ大統領とロシアのプーチン大統領との首脳会談がアラスカ州の米軍基地内で実現した。ウクライナ戦争勃発後初めての米ロ首脳会談である。

その3日後の8月18日にはトランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談が行なわれ、その2日後の20日には、ホワイトハウスでトランプ大統領を正面に据えてのウクライナとヨーロッパ主要国の首脳、EUやNATOの首脳が参加した拡大会合が立て続けに開催された。 

 当然に議題はウクライナ停戦であるが着地点を見い出すには至っていない。議題はロシアが要求する領土割譲とウクライナの中立化・非武装化であるが、「力による現状変更は認めない。」という国際社会の立場からすればその要求が呑めないのは明白であろう。もしこの要求が満たされた場合、その影響は東アジアに及ぶことは火を見るより明らかである。停戦交渉の行方は日本としても重大関心事である。長期交渉は必定だが、落としどころはロシアの支配地域を現状容認するが、法的には容認しないという曖昧戦略と、有志連合による連合軍をウクライナ国内に派兵する安全保障措置を講ずることが和平実現の鍵となるのかも知れない。

 

 中東でもイスラエルとハマスの戦闘は未だに終息せず、ガザ地区は孤立化して餓死者が出ているとも報道されている。戦後80年の比較的平和な時代は終焉を迎えてつつあるのかも知れない。つい最近トランプ大統領は、国防総省を戦争省に改称する意向を明らかにした。現在の国防総省は1947年に改称されたが、その前は1789年以来長きにわたり「戦争省」だったという。

「防衛だけでなく、攻撃も必要だ」と声高に主張するトランプ大統領。

 

 グローバル経済を壟断してアメリカ第一主義の旗の下、相互関税や報復関税を乱発し、中国に対抗心をむき出しにしつつ、国内ではFRB議長に退陣を迫るなど、その過激な言動と行動には枚挙に暇がないが、戦争省と云うに及んでは、これで戦後は終止符を打ち、新たな戦前が始まるのかと思うと猛暑はどころではない。

 背筋が寒くなる心境だ。戦後築かれた平和を守り続ける術があることを今は願わざるを得ない。

心に刻みたい二つの題目   「一燈照隅 萬燈遍照」&「信用を大事にせなあかん」

  (1)一燈照隅 萬燈遍照(いっとうしょうぐう まんとうへんしょう)
            安岡正篤 「天下国家をあれこれ論じるよりも、
          まず自分がいる場所を明るく照らせる人間であれ。」
    ・・・・青年を相手に語られた安岡氏の言葉・・・
           おのおのがそれぞれ一燈となって、一隅を照らすこと。
       この「一隅を照らす」は、

          かの伝教大師がその著『山家学生式(さんげがくしょうしき)』 

          のなかで提唱しておられることです。

       なんで片隅を照らすなどと、

          心細いことをいわれたのかとよく考える人がある。
      大光明を放つとでも言ってもらいたいところです。
     しかし聞くだけなら愉快だが、人間みずから大光明を放つなど、

         どうしてなかなか出来るものではない。
  つまらない人間も「世界のため!」などと言います。
         あれは寝言と変わらない。
     寝言よりももっと悪い。
     なにも内容がない。
     自分自身のためにも、親兄弟のためにも、

        ろくなこともできない人間が、

        どうして世界 のために、人類のために、なんて大口きけるか。

    それよりも、自分が居るその場を照らす。
    これは絶対に必要なことで、また出来ることだ。
    真実なことだ。
    片隅を照らす!
   この一燈が萬燈になると「萬燈遍照」になる。
   こういう同志が十万、百万となれば、

       優に日本の環境も変わりましょう。

   (安岡正篤著『青年の大成』より) 

(2)「信用を大事にせなあかん・・」  

          上甲 晃「志ネットワーク:青年塾代表」
        
       『松下幸之助の新社会人に語ったことば』

  「一つは、いい会社に入ったと思い続けられるかどうかや。
      もう一つは、社会人になってお金が一番大事と思ったらあかんぞ。
  もちろんお金も大事だけどな、お金は失くしても取り戻せるんや。
  しかし、人生にはこれを失うと取り戻すのに大変な苦労をするものがある。
     それは信用や。信用を大事にせなあかん。」
 

我が社・合同会計の行動理念  積小為大と凡事徹底について

 
1.積小為大 二宮尊徳のことば
 「小さな事を積み重ねることで、大事を為すことができる。」の意。 
 言い方を代えれば、「大事を為すには、小さな事にも努力を惜しんではならない。」と いうこと。凡事徹底も同意語。

2.世の中の類似例
 ①『成功は小さい努力の積み重ねやからね。毎日、コツコツ続ける努力なくして
   成功はないよ。』 松下幸之助
 ②『成功のコツは二つある。コツは二つ! つまりコツコツである。』
                    イエローハット創業者 鍵山秀三郎


 要するに、「毎日、目の前にある小さな事を、コツコツやり続けること」が
 「成功の花」を開かせるコツなのである。
 そしてこの毎日の「コツコツ」が「とんでもない事(結果)を生み出す源となる。

3.『念ずれば花ひらく』 坂村真民
 〇念ずれば花開く。

  但し、毎日毎日だだ念ずるだけでは99.99%の確率で花は開かない。

  得体の知れない神頼みのお願いでは、成功の花は開かないのである。

 〇では、花を開かせるための『念ずる』とは、どういうことなのか?

 〇それは、だだ念ずるのではなく、

  念を実践しなければ花は開かないということである。
  もっと分かりやすく言うならば・・・
      毎日毎日を、念じながら小さな努力を積み重ねることで花は開くのである。

 〇さて、ここでいう「念」とはどういうことなのか?
  念という字は、「今」と「心」で成り立っている。
  つまりは念とは、「今」、目の前にある小さな事に、

    「心」を集中して取り組むということを意味する。

  ひと言で云うなら、目の前の「今」に心を集中させる状態をいう。


  すなわち・・・
  「小さな努力を積み重ねる行為」は、

  「念ずることの実践」に他ならないのである。


   この「念の実践」をコツコツ続けた人が、
  「成功の花」を咲かせることができるのである。
   
  結論
  合同会計の行動理念
  「積小為大」、「凡事徹底」とは、

  「成功の花」を開かせる「念の実践」に他ならない。

 

 トランプ就任100日を経過して思うこと!?

    2025年4月29日でトランプ大統領は就任100日目を迎えた。この間、相互関税や中国に対する145%の制裁関税など、大風が吹き荒れた。まさに歴史に残る100日であった。その他にも彼は、不法移民の排除、反ユダヤ政策に基づくDEI政策の廃止や性別は男女のみとする福音派の宗教観を重視した政策を打ち出し、これに異論を唱える知識人の発言に圧力をかけるためか、名門ハーバード大学の補助金を停止する大統領令にも署名した。就任100日間で発令された大統領令は実に142件にのぼるという。まさにトランプショックである。


 一方、米国商務省が公表した2005年1~3月期の米国のGDPは年率換算で-0.3%に下落し、景気減速の兆しが現れ始めた。今後は関税の影響を受けてインフレ基調が強まり、景気後退と雇用の減少も懸念される。日々SNSで発信されるトランプ政策は、一貫性を欠き、そのフェイクっぽさが、周囲を予測不能な状態に陥れているのだが、さて、次にやって来る就任200日目には彼はどんな顔を世界にお披露目するのだろうか?誰もが強い関心を抱いていると思う。その関心の中身は、長年積み上げてきた超大国アメリカの国際的信用が著しく毀損されているのか?はたまた強気のディール戦術が功を奏して国民から拍手喝采を受けているのか?ということであろう。


 ところで、トランプの支持率は歴代大統領最低の39%を記録したが、彼の支持基盤は思いのほか強固である。これをどう理解すればいいのか。思うにここにアメリカが長年抱えていたジレンマが潜んでいるように思う。

 

   それは、戦後の基軸通貨となった時に遡る。戦後、世界経済再構築のため、戦勝国を中心にドルを基軸通貨と定め、金とドルを交換できる固定相場制の国際通貨制度(ブレトンウッズ体制:1944年開催地名)が発足した。その後、貿易協定GATT(WTOの前身)を軸に世界経済は自由貿易へ移行し、やがて世界の貿易量は飛躍的に増大した。

 

    が、その過程で金と交換できるドル不足が生じ、そのことが貿易障害となる事態に直面した。アメリカの立場では金兌換のドルを無計画に発行すれば自国の金保有は底をついてしまう。簡単にドルを発行できないジレンマに陥ってしまった。この事態を打開するため、ドルの金兌換を廃止し、加えて為替の交換レートも固定相場制から変動相場制に移行すると宣言したのが当時のニクソン大統領である。この二度のニクソンショックを経て、今日の自由貿易と変動相場制が維持発展してきた歴史がある。

 

   しかしその後も世界の貿易量は膨張し続け、基軸通貨ドルの保有を世界中の国が望んだ結果、ドルを大量に供給する必要に迫られた。金の制約から開放されたアメリカもこれに応えてドルを大量に供給し、世界の富を膨らませていった。この時ドル供給源となったのが、アメリカの貿易赤字と財政赤字の双子の赤字である。

 

    2024年のアメリカの貿易赤字は1兆2187億$(約185兆円)。2024年の財政赤字が1兆8330億$(約278兆円)に及び、アメリカの国債発行残高は36兆$(約5,435兆円:GDP比120%)に達する。この間アメリカは製造業が衰退し、雇用も喪失し、ラストベルト化した果てに白人を中心とした中間層が打撃を受け、大量の移民が価値観の分断を生みだした。

 

   トランプが反自由貿易を唱え、高率関税で貿易赤字を解消し、生産拠点をアメリカ国内に呼び戻し、移民を排斥し、伝統的価値観を重視し、黄金時代始まる!と絶叫する背景には、世界にドルという富を供給してきたアメリカのジレンマを克服したいという強い意図があるように思う。

関税男の独壇場はいつまで続くのか。どうする日本!?

  アメリカ・カリフォルニア州といえば、大谷翔平が活躍するロサンゼルス・ドジャースを思い出すが、そのカリフォルニア州では大きな山火事が発生し、多くの家屋と死傷者を出す大惨事があったばかり。日本でも、3月に岩手県大船渡市や岡山、愛媛などで大規模な山火事が相次いで発生している。お隣の韓国でも15箇所から同時多発的に山火事が発生し30人に及ぶ死者がでたと報じられている。3月から4月のこの季節は昔から気候の変化に伴う乾燥と山肌に積もった枯れ葉や季節風などの要因が重なり、山火事が発生しやすいと云われている。まさに自然界では何らかの発火現象によって、世界各地で燎原の火が吹き荒れているようだ。


 さて、世界ではトランプ関税という辻風が吹きまくっている。

メキシコ・カナダに25%の関税を、中国には10%の追加関税を課すとの先の表明に加えて、4月3日からは例外なしに自動車に25%の関税を課すと表明したのだ。

  これによって日本も例外ではないとなれば、我が国の基幹産業である自動車産業を直撃することになり、経済的に深刻な打撃を被ることになるかも知れない。また政治面でも3年を経過したロシア・ウクライナ戦争の和平交渉に乗り出したトランプ大統領だが、その仲介先であるロシアの曖昧な態度に直面して思うように事が運ばない様子が報道されるや否や、今度はロシアの石油を買う国には20%から50%の二次関税を課すと表明するなど、関税・関税の一色である。

  

  同盟国や友好国に対しても見境がないから、その本気度を含めて周辺国は神経を尖らす事を強いられている。唯一の超大国だからできる振る舞いであるが、人心を弄ぶような行動をいつまで続けられるのだろうか? むしろ、この後の各国のリアクションが恐ろしいと思う。それが常人のおおかたの見方・考え方であろう。


 奢れる者久しからず。歴史は貴重な戒めを格言として遺しているのだが、今のトランプ大統領にはおそらく聞こえるはずもないだろう。米国は何らかの世界戦略をもって、関税戦術に傾斜を強めているのだろうが、成果がでるまでに時間がかかり過ぎたり、アメリカの弱点を突く、何らかの効果的な抵抗手段が掴めれば関税の効き目は低減する。

  そうなっては元も子もない。今はどちらに転ぶか分らないが、スェーデンやポーランド、更にはバルト三国など、ロシアと身近に国境を接している国々では、最近は異口同音に「アメリカ人はもはや信頼できない」と公言する指導者も登場している。加えて軍事予算をGDP比3%にする方針を次々と打ち出している。

   極東の日本にいるとなかなか感じづらいが、ロシアとの国境に近い国々はおそらく防衛力増強には相当に真剣であるに違いない。この動きも、トランプが仮にモタモタしてロシア・ウクライナ、はたまたイラン・中国などの対応に行き詰まり始めたら、ますます米国離れが加速する可能性があると思う。

 

  日本はアメリカの同盟国だから大丈夫という考えは通用しなくなるかも知れない。令和7年度の税制改正では「防衛特別法人税」が創設される。基準法人税(500万円控除後)に4%の付加課税をすることになる。たばこ税も増税する。その理由は我が国の防衛予算をGDP比1%台から2%台にするための財源確保である。ウクライナ侵攻に鑑みて、明日は極東の現実になることを慮ってのことである。やがて日本も、関税大国アメリカが信頼に足る国なのか否か自問自答する日が来るかも知れない。新しい戦前が始まらないことを切望する。

「選挙なき独裁者」との批判から暗雲が吹き上がる・・・?

   トランプ旋風が本格的に吹き荒れ始めた。2月に入りトランプ政権はウクライナ戦争の和平交渉をサウジアラビアで開いた。

 この会議には戦争の一方の当事者であるウクライナとそれを支援するEUは参加せず、アメリカとロシアの政府高官のみで協議した。これに反発したウクライナのゼレンスキー大統領に対して、トランプ大統領は「彼は選挙なき独裁者だ!」と批判した。

 

 返す刀でウクライナの停戦後の平和維持にはEUが責任を持つべきだと主張した。これにロシアのプーチン大統領も「ドナルド」と呼んで親しみを込めてトランプを持ち上げた。大方の予想を超えるトランプとプーチンの思わせぶりな接近に、ウクライナ国民はもとより世界中の人々を唖然呆然とさせたのである。

 

 その舌の根も乾かぬ2月27日の記者会見で、トランプ大統領は記者からの「独裁者呼ばわりした意図」について質問を受けると、「そんな発言したなんて信じられない。」と、平然と前言を覆す。

 翌日のゼレンスキー大統領との首脳会談でウクライナの鉱物資源レアアースの権益を確保する合意成立が予定されていることを念頭に置いた発言のようだが、結果は報道されているごとく、記者会見場で双方が罵り合う論争の果てに交渉決裂に終わったが、この結末はロシアの期待感を大満足させたに違いない。

 

 今回のホワイトハウスでの二人の大統領の振る舞いは、和平交渉のテーブルにロシアを引き込むための茶番劇かと疑いたくもなる。かたやカナダ・メキシコにはあらためて25%の関税を課すことや、中国に対して先に発動した10%の追加関税に、更に10%の再追加関税を課すことを公言したりと、どこまでがお芝居なのか常人には全く判断がつかない。トランプ流の数々の発言(虚言・ディール)が現在も今後も絶え間なく続いていくのだろう。


 古くから「信なくば立たず」という儒教思想に染まっている日本人には理解しがたい言動の数々である。国際政治とは深謀術策の闇の世界とは聞き及んではいたが、メディアを前してこれほど大胆な振る舞いをする政治家は希有であろう。と同時に、人心を弄んでおいて、本当にうまく事が運ぶのか?という疑問も湧いてくる。

 

 しかしこれまでのトランプ発言の一つひとつを冷静に分析しつなぎ合わせてみると、何かしら大きな戦略的構図が浮かび上がってくる。ウクライナを突き放しロシアに秋波を送るのも、ウクライナには完全領土回復まで戦い続けるという大義に縛られるなと警告し、EU諸国にはヨーロッパの平和は自分達で守れと突き放し、事実そのような動きを生起させつつあるのも、いわばショック療法のようにも思える。ロシアには甘い誘いで警戒感を薄めて停戦のテーブルに着かせる機会を提供しているようにも見える。

 

 ウクライナ和平が成功すればアメリカはロシアを引き寄せられるし、中国とロシアの関係に楔を打つこともできる。そして、イスラエルにはガザを米国が管理しておくから、その間にハマス・ヒズボラ・シリアを失ったイランに対して攻勢をかけ、あわよくばイスラエルの手でイランの核開発拠点を壊滅させようとする戦略も垣間見えるのだ。仮にこれらの戦略の効果が得られれば、アメリカは最大の敵とする中国に対して軍事的リソースを集中することができる。それまでの間は、関税で中国経済を追い込む。

 

 トランプ政権はディール政治を隠れ蓑にして虎視眈々と世界戦略を押し進めているように思える。103万円の壁で三党合意して喜ぶ日本の政治リーダーは幸せである。なぜならば、日本はアメリカの対中戦略の礎石となる地政学上の重要な位置にあるため、さしものトランプ旋風も今のところそよ風で済んでいるがらだ。

  「アメリカ・ファースト」と「楽しい日本を目指す」に思うこと・・・

 1月20日、世界中の関心を集めたアメリカ合衆国の第47代大統領にドナルド・ジョン・トランプ氏が正式に就任した。4年の春秋を経て2期目の就任式の当日。就任と同時に数十本の大統領令に次々と署名した。その中には国連気候変動枠組条約の協定離脱や世界保健機関(WHO)からの脱退。更にはOECDの国際課税ルールを米国内では適用しないとする大統領令など米国優先主義を明確に打ち出している。その他にも、メキシコ・カナダに25%関税を課すことやメキシコ国境に軍部隊を増派したり、過激な性別イデオロギーに対抗するためとして、性別は「男」と「女」だけだと断言してトランスジェンダーの権利保護やDEI(多様性・公平性・包括性)を見直す方針を鮮明にしている。

 

 更にはアメリカのエネルギー政策を大幅に見直し、「掘って掘って掘りまくれ」の勇ましいキャッチフレーズのもと、国内のエネルギー資源の開発促進やEV車普及の義務化を見直すなど多数の衝撃的な大統領令に署名したのである。更に加えて、「トランプ2.0」では、グリーンランドは米国が購入すべきだとか、メキシコ湾はアメリカ湾に名称を変更すべきだとか、カナダはアメリカの51番目の州になった方がカナダ国民は喜ぶだとか、パナマ運河の管理権を取り戻すとか、アメリカの貿易赤字こそが国民の貧困と国富喪失の根源であるとする主張のもと、関税で国内経済を守りつつ繁栄を取り戻すとして、関税を主管する政府機関「対外歳入庁」を新設することを表明するなど、世界中を驚愕させるに十分な刺激的な発言・発表を繰り返している。今後、超大国アメリカの大統領に返り咲いたトランプ氏の一挙手一投足に目が離せなくなるのは確かなようである。


 しかし、2期目のトランプ政権はなぜ就任初日から、かくも大胆な行動に打って出たのだろうか? その訳として広く憶測されているのが、4年の任期の次がないということ。しかも4年の任期中ですら後半3年目からは徐々にレームダック期間に突入する。このことを考慮すると、大統領として権勢をふるえるのはせいぜい就任後2年間であろう。従って、彼が想い描く政策を前に進める時間はかなり限定的である。そう考えると急ぐ理由は分らなくもない。

 

 もう一つの訳は大統領就任の年齢が78歳と高齢であることである。
『知らず。生まれ死ぬる人。いず方より来たりて、いず方へか去る。』とは、鴨長明の方丈記の一文であるが、『人は必ず死ぬ。人生は一回しかない。人はいつ死ぬか分らない。』という生きとし生けるものの宿命から彼自身逃れられるすべはない。この時間的制約がトランプの行動を急き立てているのかも知れない。いずれにしても我々は、かかる劇場型のトランプ政治が世界にどんな影響を及ぼすのか、息を潜めて見守ることになるだろう。


  一方、日本のリーダー石破茂総理大臣は、1月の通常国会の施政方針演説で、「楽し日本を目指す」と表明した。その真意は国民一人ひとりが自己実現できる「楽しい日本」を目指し、地方創生を核とする日本列島改造に取り組むということらしい。

 

 田中角栄を師と仰ぐ石破首相らしい発想だが、その政策の中身は殆ど国民には見えてこない。物価高騰に賃上げが追いつかない現状を見るにつけ、国民は自己実現よりも生活防衛が先ではないのか? と嘆息しているのではなかろうか?

トランプ大統領と比較するとそのインパクトの無さと、103万円の壁に汲々としている内向な政治姿勢に思わず溜息が漏れてしまう。戦後80年の日本の政治リーダーの姿を見るにつけ、トランプを軸に激しく動き出した世界情勢に日本はうまく対応できるのだろうか? 一抹の不安を感じざるを得ない。

2025年 新春に思うこと

 令和7年巳年が明けました。新春恒例の箱根駅伝は、常勝・青山学院大学が新記録を樹立して総合2連覇を達成しました。いつもの様にスタートしたかに思える年の初めだが、今年はいろいろな意味で正念場の年になりそうだ。

 

 まず世界に目を転じてみると、今月20日にアメリカ大統領の就任式が待ち受ける。世界が注目する「トランプ2.0」の時代が始まる。米国第一主義を声高に唱える2期目のトランプ政権。Tariff Man(関税男)と称して憚らないトランプ氏は国内産業を保護するためにかねてより一律10%の関税を導入するとしてきた。

 特に中国に対しては60%の高率関税を課すと豪語してきたが、果たして米国の通商政策はどうなるのか注目される。図らずも今年1月3日。バイデン現大統領は日本製鉄によるUSスチール買収に禁止命令を発令した。新年早々、米国の自国第一主義を世界に強く印象づけることになった。

 

 このままでは戦後の自由貿易ルールが瓦解しかねない。第二次世界大戦を引き起こした原因の一つとされている高関税障壁による保護貿易主義と同盟を基軸とする経済ブロック化。その反省に立って戦後まもなく構築された世界の貿易ルールGATT(関税と貿易の一般協定・1948年)とそれをさらにパワーアップして貿易の無差別自由化を原則としたWTO(世界貿易機関・本部スイス、ジュネーブ・1995年)が発足したが、大きな戦争の惨禍を避けるため、自由な貿易を通じて世界平和を持続させようとした理念は、今や米国の自国優先主義の前に風前の灯火になりつつある。

 

 おりしも欧州ではウクライナとロシアの戦争が4年目に突入しようとしている。イスラエルとハマスやヒズボラ、その後ろ盾となっているイランとの間にも今だ戦闘終結の兆しは見えない。昨年末シリアのアサド政権が瞬時にして崩壊した。中東には大きな力の空白が生じており、新たな戦禍の火種となる恐れがある。

 

 台湾海峡、南シナ海でも中国の海洋権益確保の動きに拍車がかかりそうである。自国経済優先主義と同盟国・友好国を軸とする経済ブロック化。民主主義と権威主義の対立がこれに加われば、まさに第二次世界大戦前の世界情勢に近似する様相となる。ネット上には最近「日本の今を新たな戦前にしないために」というフレーズを目にする。もともとはタレントのタモリ氏が放送番組中に発した言葉と聞く。しかし、世界各地で戦争が起こり、自国第一主義とポピュリズムが台頭し、自由貿易が形骸化しつつある現状を顧みればハッとさせられる言葉である。


 さて、今年は昭和100年の年である。明治157年でもある。そして戦後80年でもある。戦後先進国入りした昭和の日本人も団塊の世代が全員後期高齢者となる年で、超高齢社会から文字どうり現役世代1.5人で高齢者1人を支える重高齢社会が到来する。中小企業も事業承継が待ったなしの時を迎えた。老老介護・老老相続はもはや当たり前の時代になった。少子化もさらに進行して、今年の新生児の出生数は70万人台と予測されている。日本がダウンサイジングしている象徴的な年になるのかも知れない。

 

 そんな中でも未来を夢見るイベント、大阪万博が開催される。世界陸上も開催される。生成AIもあらゆる業種で利用される年になるだろう。

 渋澤健氏(渋沢栄一の5代目)の年頭のメセージに、日本の時代を切り開いてきたキーワードとして、昭和のMade In Japan、平成のMade By Japn、令和のMade with Japanを挙げられていた。昭和の時代は日本製品を世界に輸出して成功し、平成の時代は生産拠点を海外に移転して進出先の製品として市場を確保してきた。令和の時代は世界と共に創る「共創」こそが成長のツボだという。なるほど得心!

1年を振返り、何かが起るかも?・・・と感じる2024年!

  アッという間に今年も幕を下ろそうとしている。月並みだが、今年1年を振り返ってみる。
本年1月元旦、M7.6の能登半島地震が発生。500人超の死者がでる大惨事となった。その翌日、羽田空港では被災地に向う海上保安庁の救援機と日本航空の旅客機が滑走路上で衝突炎上して海保の乗員全員が死亡する悲惨な事故が発生した。とても新年を寿ぐ気分になれそうもない年明けであった。能登の被災地では9月にも集中豪雨に見舞われ、復旧・復興が大幅に遅延し、多くの被災者がいまだに避難生活を余儀なくされている。


 この年はSNSが世情を騒がせた年だった。国内各地で闇バイトによる強盗殺傷事件が相次いで起った。兵庫県の出直し知事選でも、失職した斉藤元彦知事が再選されたが、SNSで拡散された情報が選挙戦の結果を左右する程、斉藤候補側に有利に働いたのではないかと報道されている。

  10月の衆議院員選挙でもSNSが威力を発揮した。もとより裏金問題で守勢に回っていた与党であったが、過半数割れに追い込まれたのは、決して裏金問題だけではなく、民意がSNSを通じて拡大していったことが背景にあると呟かれる。その結果、国政は安定多数の岸田政権から少数与党の石破政権へと様変わりし、11月開催の臨時国会では、勢いづく国民民主党が主張する「103万円の壁」の見直しに応じざるを得なくなった。


 お隣の韓国でも少数与党を基盤とする尹錫悦大統領が非常戒厳の宣布に躓いたあげく、大統領弾劾決議が成立し職務停止状態に追い込まれている。ここでもSNSを見た大勢の若者が国会周辺に終結して軍の部隊を身を挺して阻止したと報道されていた。


 SNSの本場アメリカでも11月に行なわれた大統領選挙で、一時「もしトラ」と揶揄されていたトランプ候補が大方の予想を覆してトリプルレッドの大勝を果たした。勝因の背景には、そもそも「隠れトランプ」が多く存在し、見えないところでSNSによって「内心の支持」が拡散されたことが選挙結果に影響したとの分析もあるようだ。

 

   フェイク情報が入り乱れた米国大統領選挙は、まさにSNS社会がもたらす民意の分断の様相を世界に見せつけたようである。民主主義の基底は自由な民意である。その自由な民意がある一定の密度に結集・固形化された状態が多数決である。民主主義はこの多数決で機能する。政治・経済・社会生活のルールを決めるのも、結局は多数決というルールに他ならない。


  SNSは、この民意の密度形成に影響をもたらす。もしフェイク情報に影響を受けて「民意の密度」が生成されたら!と思うと恐ろしくなる。社会の分断はSNSが直接の原因ではないだろうが、民意の分断に直接作用し、分断を加速化させる効果は無視できない。これからは生成AIという名の21世紀の「知的モンスター」が登場しつつある現在、少なからずSNSやAIを利用する時代の到来に、危惧を感じる人が多いと思う。


 今より少し前、欧米諸国や日本では、中国において街路地のあらゆる所に監視カメラが設置され、スマホのアプリ機能も制限されて自由な利用ができないことを痛烈に批判していた。しかし今、我が国では闇バイトの犯人を追跡するにも、無謀運転やあおり運転の犯罪行為を捕捉するのにも搭載カメラが不可欠となっている。今や世界中に防犯カメラやAI搭載機器が拡散している。

  真偽不明な情報もSNSで拡散され、もはや制御不能な状態だ。

 

   ウクライナ戦争、イスラエルとハマス・ヒズボラの戦闘拡大、シリアのアサド政権の崩壊。

ロ朝相互支援条約締結(軍事同盟)と北朝鮮兵のウクライナ派兵。核の脅しを止めない大国。

SNSにアップロードされた情報がもたらすものは、果たして福か災いか?
 

米国大統領選挙!トリプルレッドで「またトラ」確定!

   今月5日に行なわれたアメリカの大統領選挙。接戦を予想した大方の予想を覆し、前大統領のトランプ候補が現副大統領のハリス候補を圧倒し、大勝して終わった。加えて同日投票の上院と下院の議会選挙でも共和党が過半数の議席を獲得し、これで共和党は大統領・上院・下院を制する「トリプルレッド」を実現した。来年1月20日に正式に47代大統領に就任するトランプ政権は政策がやりやすくなったことは間違いない。選挙前には「もしトラ」と揶揄され、銃撃で負傷した選挙戦中には「またトラ」と呟かれ、ふたを開ければ「確トラ」となって見事返り咲いたトランプ氏。

 

  今後の新政権の動向に世界は固唾を呑んで注目する事になった。「私が大統領になれば一日で戦争を終わらせる」と豪語したウクライナ戦争に関する氏の発言。イスラエルとハマス・ヒズボラ・イラン枢軸との戦争状態の行方。第一次トランプ政権下で築いたプーチン大統領やネタニヤフ首相との良好な関係から、今後のトランプ氏の和平への影響力に期待と不安が高まっている。
 トランプ第二次政権への関心はむろんそれだけではない。氏がどのような政策を実行に移すのかが世界にとっても、日本にとっても重要である。


 そこで、新政権を6つの政策面から予測してみるのも「確トラ」対策となるだろう。

 

①まず通商政策である。氏は自らをTariff Man(関税男)と称するだけに、輸入品に一律10%の関税を課すだろう。特に中国に対しては60%の高関税を課す可能性がある。貿易通商面で大きな摩擦が起きる恐れがある。

 

②財政政策では、法人税や富裕層の減税を推し進めそうである。国内への製造業回帰やアメリカンドリームを再現し、グレート・アゲイン・アメリカの実現を目指すと思われる。

 

③環境政策では化石燃料推進に政策転換を図ると思われる。エンルギー長官に石油会社関連のCEOを指名したのはその布石と思わせる。

 

④移民政策ではメキシコ国境の閉鎖や合法移民の厳格化や強制送還等の施策を進める可能性が高い。

 

⑤金融政策では、FRBに対して金利引き下げ圧力をかけて景気底上げを図ろうとすることが予想される。その結果、インフレ進行とそれを抑制するため、再び米国は金利高・ドル高になり、日本は円安が加速するかもしれない。

 

⑥外交政策では、なんといってもウクライナ戦争の和平実現。次にイスラエルとハマスを含むイスラム枢軸国の停戦であろう。新政権の国防長官に指名されたのがFOXニュースの司会者ピート・ヘグセス氏だ。この人事には世界が驚いている。彼は国防に関する専門知識も経験もないズブの素人であるからだ。深読みすれば、国防のキャリアを登用するとトランプ氏の意見が阻止されることを回避するため、コントロール可能な人物を国防長官に登用して自分の思惑で国防政策、特に和平を進める狙いがあるとの穿った見方もある。また、米国の外交の要である国務長官人事では、対中強行派のアルコ・レビオ上院議員を指名した。この人事は新政権の外交政策の最大の課題が対中国政策であることを人事面で露骨な形で表明したものと受け止められている。


 トランプ氏が返り咲く来年1月20日以降、世界の政治・経済・安全保障はどのように動きだすのだろう? まだこの時点で先のことを明確に見通すことはできないが、それでも水面下では確トラ時代に向けて激しく動き出しているものと推測される。日本の新総理も、外交力には不安があると懸念されている。もしかしたら、政局化して「もし岸」の風が吹くかも知れない。でも短命内閣が続くのはもう願い下げにしたい。