関税男の独壇場はいつまで続くのか。どうする日本!?
アメリカ・カリフォルニア州といえば、大谷翔平が活躍するロサンゼルス・ドジャースを思い出すが、そのカリフォルニア州では大きな山火事が発生し、多くの家屋と死傷者を出す大惨事があったばかり。日本でも、3月に岩手県大船渡市や岡山、愛媛などで大規模な山火事が相次いで発生している。お隣の韓国でも15箇所から同時多発的に山火事が発生し30人に及ぶ死者がでたと報じられている。3月から4月のこの季節は昔から気候の変化に伴う乾燥と山肌に積もった枯れ葉や季節風などの要因が重なり、山火事が発生しやすいと云われている。まさに自然界では何らかの発火現象によって、世界各地で燎原の火が吹き荒れているようだ。
さて、世界ではトランプ関税という辻風が吹きまくっている。
メキシコ・カナダに25%の関税を、中国には10%の追加関税を課すとの先の表明に加えて、4月3日からは例外なしに自動車に25%の関税を課すと表明したのだ。
これによって日本も例外ではないとなれば、我が国の基幹産業である自動車産業を直撃することになり、経済的に深刻な打撃を被ることになるかも知れない。また政治面でも3年を経過したロシア・ウクライナ戦争の和平交渉に乗り出したトランプ大統領だが、その仲介先であるロシアの曖昧な態度に直面して思うように事が運ばない様子が報道されるや否や、今度はロシアの石油を買う国には20%から50%の二次関税を課すと表明するなど、関税・関税の一色である。
同盟国や友好国に対しても見境がないから、その本気度を含めて周辺国は神経を尖らす事を強いられている。唯一の超大国だからできる振る舞いであるが、人心を弄ぶような行動をいつまで続けられるのだろうか? むしろ、この後の各国のリアクションが恐ろしいと思う。それが常人のおおかたの見方・考え方であろう。
奢れる者久しからず。歴史は貴重な戒めを格言として遺しているのだが、今のトランプ大統領にはおそらく聞こえるはずもないだろう。米国は何らかの世界戦略をもって、関税戦術に傾斜を強めているのだろうが、成果がでるまでに時間がかかり過ぎたり、アメリカの弱点を突く、何らかの効果的な抵抗手段が掴めれば関税の効き目は低減する。
そうなっては元も子もない。今はどちらに転ぶか分らないが、スェーデンやポーランド、更にはバルト三国など、ロシアと身近に国境を接している国々では、最近は異口同音に「アメリカ人はもはや信頼できない」と公言する指導者も登場している。加えて軍事予算をGDP比3%にする方針を次々と打ち出している。
極東の日本にいるとなかなか感じづらいが、ロシアとの国境に近い国々はおそらく防衛力増強には相当に真剣であるに違いない。この動きも、トランプが仮にモタモタしてロシア・ウクライナ、はたまたイラン・中国などの対応に行き詰まり始めたら、ますます米国離れが加速する可能性があると思う。
日本はアメリカの同盟国だから大丈夫という考えは通用しなくなるかも知れない。令和7年度の税制改正では「防衛特別法人税」が創設される。基準法人税(500万円控除後)に4%の付加課税をすることになる。たばこ税も増税する。その理由は我が国の防衛予算をGDP比1%台から2%台にするための財源確保である。ウクライナ侵攻に鑑みて、明日は極東の現実になることを慮ってのことである。やがて日本も、関税大国アメリカが信頼に足る国なのか否か自問自答する日が来るかも知れない。新しい戦前が始まらないことを切望する。