経営の勘どころ・つかみどころ -8ページ目

男女の平均定命がついに相続税の財産評価に採用されることに!

2018年の日本人の平均寿命が更新された。女性87.32歳・男性81.25歳とそれぞれ過去最高値を更新した。厚労省が発表した簡易生命表で分かったことである。


 これによると女性は4年連続世界第2位、男性は前年に続き世界第3位となっているという。この平均寿命とは、その年に生まれた0歳児が何歳まで生きられるかを予測した平均値を示すもの。女性は前年より0.05歳、男性は0.16歳伸びたようだ。平均寿命が延びたのは、女性では「脳疾患や肺炎」による死亡率が、男性では「がん」による死亡率がそれぞれ改善されたと分析されている。

 

 同省は2016年時点での健康寿命(介護や寝たきりにならず生活できる寿命)も算出しているが、これが以外と短いのだ。日本人の健康寿命は、男性が72.14歳、女性が74.79歳という。高齢社会の代表選手たる団塊の世代がこの健康寿命を超えるのも4年から6年後のことである。まさに2025年問題の本質とは、団塊の世代の全員がそろって健康寿命ゾーンを通過して、周囲の介護を受けたり寝たきりの生活に突入したりと、社会全体に負担を強いる状態になることを意味する。かくいう筆者自身も団塊の世代のど真ん中で生息している身であり、古希を迎えた頃から、心のどこかに後ろめたさを常に抱えるようになってしまった。これもわが宿命と諦めるしかないのだが、超高齢社会を迎えた日本では、法律にも変革が訪れている。

 

 実は今年から施行された改正民法(相続法)において、「配偶者居住権」という権利が創設されたのだ、これに伴い、相続税の世界でも、配偶者居住権やその敷地の評価について、この平均寿命が採用されることになった。配偶者居住権とは、残された一方の配偶者が生涯にわたって自宅に住み続けることできる権利のことをいい、この権利は相続財産として遺産分割の対象となるように法律整備が行われたのである。この権利は建物の所有権とは別に登記され、第三者対抗要件を備える強力な権利である。しかも配偶者以外の相続人には相続できない配偶者にのみ付与される権利であり、配偶者の死亡により消滅するという権利である。
 

 相続税法ではこれに対応すべく、その評価額の計算式に、配偶者の平均余命年数に基づく権利の残存年数の長短によって配偶者居住権を算出する法整備が手当てされた。しかもここでいう平均余命年数は、冒頭に記した「簡易生命表」ではなく、同省が5年毎に公表する「完全生命表」が採用されることになっている。課税上の弊害を排除するため、毎年公表される簡易生命表の使用をためらったものと推測している。


 いずれにしても、人の平均余命年数(平均寿命)が税金の計算で使われることになったという高齢社会の実相を心に留めて置きたいものである。

 

大阪G20に見る世界政治の流動化!

 6月28日・29日の両日、世界のGDPの8割を占める20カ国が大阪に集結し、G20サミットが世界の耳目を集めつつ開催された。

日本で初めて開催されるとあって、開催前から国内的にも関心が高かったが、サミット会場に居並ぶ世界20カ国の首脳が一堂に介する光景や米中をはじめとする、各国の首脳が対面する姿を写した報道写真をながめると、現下の世界情勢がそのまま映し出されているようで、何とも興味深い。


 さて、2日間の会議を経て「G20大阪宣言」が採択され、日本初のG20が無事終了したが、今回の会議の成果をどう評価するかは意見が分かれるところだ。米中貿易戦争は、両首脳の会談で当面は米国が追加関税を課すことを見送り、閣僚級の貿易協議の再開を決めたものの、解決への道筋が描けたわけではない。両者は今後も睨み合いを続けることは確実だ。この他にも、米ロ間では中距離核ミサイル制限条約問題を継続協議とするという形式的合意に終わり、NOTO加盟国にもかかわらず、ロシア製ミサイルを導入しようとするトルコ・エルドアン大統領とトランプ大統領の会談の成果も見えない。イラン核開発阻止で連携する米国とサウジアラビアのムハンマド皇太子との会談では、日本経済の生命線である中東の石油ルートの安全にかかわる問題についてどのようなディールが話し合われたのか、気になるところである。


 G20では、自由・公平・無差別な貿易体制を推進することやプラスチックゴミ発生を2050年までに「ゼロ」とすること、データ資源を自由に活用するための信頼性の高いデータ流通圏の構築を目指すこと、WTO改革などが宣言に盛り込まれたが、保護貿易主義や自国優先主義、移民問題に根ざした米国や欧州における民族主義の台頭、英国のEU離脱を巡る混乱など、経済・安全保障が複雑に絡み合い始めた世界の平和にかかわる課題は、すべて素通りした形だ。G7時代からリーマンショックを経てG20に軸足を移しつつある今の政治情勢が、いかに流動化しているかを実感できた2日間であった。


 加えて、サミット終了後の日ロ首脳会談に至ってはなんの成果もなく終わり、国民の目には空しさだけが残っただけの会談であった。さらに、トランプ大統領は、韓国に飛ぶ直前の記者会見で、日米安保は不公平条約だと噓ぶいて日本を牽制したあげく、その舌の根も乾かぬ翌30日には、南北朝鮮の軍事境界線「板門店」を訪れ、北朝鮮の金正恩委員長と会談して、世界中の視線を一斉に集めるという予想外の行動をとって見せた。次期大統領選挙を睨んでの行動とも評されているが、人々の不安心理を揺さぶり兼ねない行動だ。


 このような米国の単独行動主義の裏側には、米国だけでは治めきれなくなった世界における政治情勢の流動化があることを決して見逃してはならないだろう。戦後の我が国の外交・安全保障の基盤である日米同盟は、真に大切な安全システムではあるが、それだけに頼っているだけでは、決して日本の存立は保障されない。アジアの一員としての存在意義を世界に理解させる「普通の国」としての長期戦略が欠かせなくなるだろう。

 

令和の時代という未知の時間をどう生きる!

 皆様こんにちは! 恐縮ですが実は平成31年2月~4月まで、心静かに平成を見つめ直すため、これまで毎月欠かさず書いていたブログを一時的に休止していました。令和も早1ヶ月が過ぎようとしている今、新たな気持ちでブログを再開したいと思います。

 

平成から令和の世を迎えましたが、令和の時代は果たしてどんな時代になるのでしょうか? どんな時代が到来するのか、経営者ならずとも誰もが強い関心をもっているテーマだと思います。

 

皆さんは「論語と算盤」の渋沢栄一(日本の資本主義の父)をご存知だと思いますが・・・ 

5年後、福沢諭吉に変わる新しい1万円札の顔になる人物ですね。

 

 その栄一の玄孫(孫の孫)の渋沢 健氏が、  

社会の行方を見極める方向感覚について、「30年のリズム感」を提唱しておられます。

 

 この「30年のリズム感」とは、極論すれば、世の中は破壊と繁栄を30年毎の周期で繰り返しているとする説です。つまり、破壊の時期が30年続くと、次に繁栄の時期が30年続くという、いわば陰の時期30年と、陽の時期30年を一つの周期とする60年周期説を提唱しています。人生の還暦に似ていますね。

 

 渋沢 健氏は具体的にこのリズム感説を次のように裏付けています。

 

●1870年~1900年の30年は、陰の時代。 

 黒船来航に端を発した江戸時代の「太平の世の常識」が破壊された時代です。

●1900年~1930年の30年は、陽の時代です。

 文明開化、富国強兵と日清・日露戦争を経て日本が先進国の仲間入りした繁栄の時代です。

 ここで陰陽あわせて一回目の60年周期が終結しました。 

 

●1930年~1960年の30年は、第2の陰の時代に入ります。

 日中戦争、第二次世界大戦に続く敗戦と、新しい憲法公布や 戦後復興に至るまでの戦前の国家体制が破壊された時代です。

●1960年~1990年の30年は、第2の陽の時代といえます。

 東京オリンピックを起点とする高度経済成長とバブル経済、世界第2位の位の経済大国に登り詰めた繁栄の30年といえるでしょう。

  ここで2回目の陰と陽の60年周期が終結したといえます。

   

そして、現在の

●1990年~2020年の30年は、第3の陰の時代に当たります。

 バブル崩壊と長期にわたるデフレ経済、グローバル経済に呑み 込まれた「日の丸製造業」の凋落は、まさに破壊の時代の象徴 といえるでしょう。

 

平成から令和へと時代が変わろうとする今・・・

●来たるべき2020年~2050年は、陰から陽へ転換する時代にあたります。

 2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。加えて2025年には大阪万博博覧会が開催されます。 この二つの一大イベントの開催は、昭和における第2の陽の時代の再現です。

  これらを奇貨として日本経済が力強く蘇ればいいのですが、前途は容易ではないと思います。この先の30年には、超高齢社会・人口減少社会が待ち構えています。加えてデータの時代と言われるように、IOTやAIが雇用を脅かしかねない本格的なデジタル文明社会を迎えようとしているからです。

  今までの30年は、渋沢 健氏が提唱しておられる「30年のリズム感」でうまく時代の方向性を説明することができたのですが、これから迎える30年は、誰にも説明ができない、まさに未知の時間が待っていると云えるのではないでしょうか?

 

●このような新しい時代を迎えるに当たって、経営者には何が必要なのでしょうか?

  皆さんはどう思いますか?

  その答えは人それぞれでしょうが、私が今考える答えは一つです。

 

●それは、経営者の心眼を磨くことです。自らの心と眼力を磨くことが、AIにも負けない人としての力を発揮することができるからです。

  そのためには自分の経験にだけ頼るのではなく、多くの人の経験や知識に裏付けられた『本物の知見』を学ぶことが大切だと思います。

 

●「本物の知見」を学ぶということは、いわば未知の時間における「経営のナビゲーター」持つようなものです。

 経営を進める上で困ったとき、迷ったとき、一歩、前に進もうとするとき、必要な知見と勇気を得ることができるなら、経営者にとってはこんな有り難いことはないでしょう。

 

●その意味で令和の時代は、自らの身辺に忍び寄る偽物・フェイク情報を排除し、厳しく本物に向き合いながら、らせん的に発展していく「令和のリズム感」が欠かせないと思います。既に投資の世界では、経済活動を通じて社会との調和を指向する企業に投資が集中する傾向(ESG投資)が色濃くなってきました。

  令和を英語に訳すると「美しい調和」(ビューティフル・ハーモニー)だそうです。令和の時代という未知の時間に向き合わねばならない経営者は、社会への価値還元と持続可能性に資する経営を実現するために、『本物の知見』に裏付けられた勇気あるハーモニー経営を心掛けたいものです。

 

 

 

   

 

平成という文字が愛おしい!

 新年明けましておめでとうございます。

いよいよ平成最後の年を迎えることになりました。そこかしこで、「平成最後の・・・」というフレーズを耳にする機会が増えてきました。
 今年も、新年恒例の実業団駅伝や箱根駅伝をテレビ桟敷で堪能してはいたが、それでも頭の片隅に張り付いていることは、今年はどんな年になるのか?_といことである。


 ハイテク覇権と安全保障が複雑に絡み合った米中貿易戦争の行方。イギリスの合意なきEU離脱への懸念。隣国・北朝鮮と米国間での核ミサイル問題の交渉の行方。加えて韓国内での日本企業に対する元徴用工の賠償訴訟問題や韓国駆逐艦による自衛隊哨戒機へのレーダー照射問題。ロシアとの北方領土を巡る秘密交渉の行方。辺野古問題で県民投票を実施する運びとなった沖縄県での基地問題。メキシコ国境の壁建設予算を巡り政府機関を一部閉鎖するに至ったトランプ政権。気になる課題は山のようにありそうな年だ。


 我が国は、元号が変わり国民が心機一転して新しい世を迎える門出を祝うように、念願のTPP11やEUとのEPAが発効し、自由貿易圏の旗手としてその中心に座る可能性はあるものの、消費税増税による景気腰折れリスクや、統一地方選や夏の参議院選挙という「波乱の亥年選挙」を迎えるなど、今年は最後まで息の抜けない年になりそうである。

 

平穏無事を祈りたいが「平成」という文字が愛おしい気分になってているのは小生だけなのかな?

 

平成の後の世に、消費税はフタ桁税率になる!?

  平成最後の国の予算案が、今月21日に閣議決定された。予算総額は過去最大の101兆円4,564億円となった。予算膨張の要因は、➊来年10月に予定されている消費税増税対策に2兆280億円を計上。❷消費税収拡大を見込んで教育費無償化による歳出拡大で7,157億円を上乗せ。❸来年の参議院選挙を睨んでの社会保障費の抑制緩和と防衛費の増額などである。特に消費税増税対策は、来年度の税率引き上げによる税収増1兆3千億円を倍近く上回っている。消費税フタ桁時代を願望する財務省の決意がにじみ出ている予算ではあるが、内外の情勢が果たしてこれを許すかどうかである。


 今年7月以降に勃発した米中貿易戦争は、大国間の覇権を巡る争と化しており、年明け以降もますます長期化し、かつ深刻化することが予想される。英国の合意なきEU離脱のリスクも見逃せない。ドイツもフランスも難民問題や国内の経済不振で共に政権が揺らぎつつある。米国もトランプ政権内の重要閣僚が次々と辞任し、政権そのものの先行きに信頼が持てない。さらにFRB(米連邦準備制度理事会)の利上を巡る政権との対立も見逃せないリスクである。ロシア疑惑も年明けには山場を迎えるとの観測もあり、今後のトランプ政権への影響が気になるところだ。株価もこのところ乱高下が激しくなり、世界経済に暗雲が垂れ込めつつあるなかで新たな年を迎えようとしている。


 そんな中での我が政府の過去最大規模の予算案決定は、とりわけ平成後の消費税増税を確実なものにしたい財務省のなりふり構わぬ執念が感じられる。ますます高齢化と人口減少が進行する中、財政再建の道を模索する姿勢は理解できるとしても、再建の道は厳しいと云わざるを得ない。


 来年の景気の行方は、財務省ならずとも気になるところであるが、それでも明るい兆しが無いわけではない。来年は安倍政権が念願としていたTPPが実質的に発効(形式的には今月30日発効)する。続いてEUとの大型EPAも発効することから、日本経済には明るい兆しもある。しかし、過去2度も増税延期を繰り返してきた安倍政権である。参議院選挙や国内景気、株価などの動向にはとりわけ敏感な政権であることに加えて、肝心の消費税でも軽減税率導入を巡る混乱が予想されるなど、まだまだ来年の消費税増税は不透明感が拭い切れないのが現状であろう。

 

 

日仏の会社統治紛争が勃発か!?


日産のカリスマ経営者カルロス・ゴーン会長が、11月19日羽田空港にビジネスジェット機で到着した直後、東京地検特捜部に逮捕された。同時に日産の代表取締役グレゴリー・ケリー容疑者も都内の車中で逮捕された。一般人には夢想谷しなかったショッキングな事件である。
 直接の容疑はまだ明らかにされていないが、報道を見る限り、自らの役員報酬を50億円(直近3年を含めると80億円)有価証券報告書に過少に記載した虚偽記載容疑ということらしい。今後、取り調べが進むにつれて容疑の全貌が明らかになるであろうが、経営不振から倒産の危機に直面した日産を救援する形で、平成11年に仏ルノー社が日産に資本注入し、同時に経営立て直しのために送り込んだのが、後にコストカッターと称されたカルロス・ゴーン氏である。


 日産の経営は、その後V字回復を遂げ、ゴーン氏は、同社の社長・CEOに登り詰めるとともに、仏ルノー社のCEOも兼任した。平成28年には日産が三菱自動車を傘下に納め、ゴーン氏は三社連合のトップに君臨することになり、文字どうり世界の自動車産業のカリスマ経営者と呼びにふさわし地位を獲得した。


 仏ルノーは日産の株式を43.4%保有しているという。現在ではルノーの利益の半分は日産が稼ぎ出していると云われているが、仏ルノーの大株主が仏政府である。経済面でもまた、ルノーが4万8千人の雇用抱えているという事実だけでも、日産は絶対手放せない金の卵である。近年、日産車の生産をルノー工場に移管させて、さら雇用吸収力を高めようとする動きが強まっていたと聞くが、一方の日産も、5万9千人の雇用を抱えている。日本政府にとっても、日産車の生産が仏政府の意向にそって、ルノー工場に移管されてしまっては、国内雇用に悪影響が出かねない。また、生産技術面でも、ルノーに吸い上げられてはという不安もある。


 ルノー・日産・三菱自の経営統合の動がささやかれ、日産サイドが警戒していたとの風聞もあり、今回のゴーン会長の逮捕劇は、日仏間の会社統治紛争の様相を呈しているとみてもいいのかも知れない。今後の推移に注目である。

 

 

平成から次の世へ! そろそろ準備に入らないと!

 朝夕だいぶ冷え込んできましたが、もう少しで平成30年も大詰めの時期を迎えます。先月もブログのテーマに取り上げましたが、来年4月には天皇の生前退位が予定されていますので、フルスペックの平成の世は、今年が最後の年ということになります。

 

日本の最初の年号は西暦645年、孝徳天皇の即位に合わせて制定された「大化」からはじまるといわれています。爾来、天皇制のもとで歴代の天皇の即位にあわせて、元号がその都度定められてきましたが、平成は大化以来、247番目の元号になるそうです。そして来年5月に皇太子殿下が新天皇に即位されると、248番目の新元号が公布されることになるわけです。

 

 さて、もうすぐ訪れるであろう新しい世を国民に告げる248番目の元号はどんなネーミングとなるのでしょうか? そして、その新しい年号は、いつどんなタイミングで誰から発表されるのでしょうか。カレンダー業者ならずとも気になるところであります。多分、管官房長官から、年内には発表されるのではないかと私は予想しています。そうでないと、官公庁も民間企業も年号変更に伴う各種書類の年号欄の変更や、コンピュータシステムの変更等の改修作業が間に合わなくなる可能性があるからです。皆さんの会社も年号変更に伴う影響をそろそろ考えても良い時期かなあ~と思いますがいかがでしょうか。

 

 

 

 

 

フルスペックの平成30年だが、そうは簡単に終わりそうもない年のようだ!

今月26日、京都御所から来年10月に予定されている天皇の即位に使用される「高御座」と新皇后の「御帳台」が皇居にトラックで移送されてきた。いよいよ平成の元号から新元号に変わる準備が目に見える形で動き出したようだ。このまま平穏無事に新時代へ移行していければ・・と願いたいものだが、平成30年はそう簡単に終わりそうにない雲行きである。


 そもそも今年は、世の人々の願いも虚しく、いろいろな不穏な出来事が次から次に起こっているのだ。振り返れば、平昌冬期オリンピックを契機に歴史的な米朝首脳会談が開催され、それを受ける形で南北首脳の往来が相次ぎ、にわかに我が国を取りまく国際情勢が流動化してきた。安倍首相も日朝首脳会談に意欲を示す談話を発表したり、この秋には中国を訪問して習近平国家主席との首脳会談を目論んでいる。国際政治はその舞台裏で激しく動き始めている様子が覗える。


 他方、経済面でも今年は、11カ国による米国抜きのTPP交渉が成立し、続いて日・EUとのEPA交渉が成立するなど自由貿易体制が強化される一方で、トランプ政権による鉄鋼・アルミの制裁関税の発動を皮切りに米中貿易戦争が勃発し、今や米国トランプ政権は2500億$に及ぶ制裁関税を中国からの輸入品に課するまでに発展した。心配なのはトランプ政権は制裁の手を緩める気配がなく、相手の出方次第では中国からの全輸入品に制裁関税を課すと息巻いていることだ。

 

 さらに中東では、米国によるイランへの本格的な経済制裁を前に、EU主要国との間の同盟関係にひび割れが生じはじめ、この影響を受けて原油が高騰、9月の国内におけるガソリン小売価格も1㍑150円を突破してきた。

 自由貿易体制を自認する日本ではあるが、米国の勢いに押されるままに日米物品貿易協定(TAG)の交渉入りを約束するまでに押し込まれつつある。自動車への制裁関税を回避するための方便とみる向きもないではないが、それだけで済まされないような気がする。相手はなんと云っても前言を平気で覆すトランプ大統領であるからだ。


 さて、国内に限って目を向けてみても、今年は6月の大阪地震、7月の西日本豪雨災害(死者行方不明者200人超)、オウム死刑囚13人の死刑執行、7・8月には歴史的な酷暑襲来で、熊谷市では気温が41.1度を記録し、国内最高記録を更新した。9月には台風21号によって発生した高波被害で、関西国際空港が水没し、おまけに関空につながる橋梁にタンカーが衝突して交通が遮断されるなどの大被害が発生した。その翌々日の未明には北海道胆振地方で震度7の地震が発生し、大規模な山崩れと全道一斉停電となる国内初のブラックアウトが発生した。訪日客もその後激減し、地方の観光経済にとって大打撃となった。今も台風24号が接近中であるから心配は尽きない。ことほどさように今年はひときわ災害が目立った年になりそうである。

 

 まだ年末でもないこの時期にもう既に書き切れない程の出来事が連続して発生しているのである。今年も残り3ヶ月となったが、この先何が起こるかまったく分からないと云う他はない。
 平成30年! 今年もそう簡単に終わりそうもない年のようである。

 

 

災害レベルの猛暑は温暖化現象なのか? 秋の涼しい空が恋しい!

この夏は、6月末にはやばやと梅雨明けを迎え、7月初旬には、西日本各地が豪雨に見舞われ、多数の犠牲者を出した。

その後も夏の高気圧が日本列島を包み込むように居座り、災害レベルの酷暑をもたらし、多数の熱中症患者が病院に運ばれる事態となった。
 これは地球温暖化の前触れなのだろうか? 大いに不安を感じる。

9月1日は立春の日から210日目の、いわゆる「二百十日」に当たるが、先人の長い生活体験から、この二百十日から二百二十日の10日間にかけて野分(のわき:台風)が吹き荒れて、海も陸も強風と大雨によって、稲や果実に被害を受け、漁師も海で命の危険に晒されるなど、厄日の期間と記憶されている。
 しかし、今年の夏はこの二百十日よりも早い7月から8月末まで、台風が20個も発生して、10日どころか2ヶ月もの間、酷暑と豪雨による被害を各地にもたらしているのである。温暖化がもたらす異常気象か?と不安に感じるのは私一人ではないと思うのだが。
 いずれにしても、もうすぐ暦は9月を迎える。今はひたすら、あの秋の透き通るような涼しい空を恋しがるばかりである。

 

2018年7月6日に起こった事!

6月下旬に梅雨明けし、その後の災害レベルの猛暑列島と化した日本だが、7月6日という日は歴史に刻んでいい日であると思われる。

それ程までに象徴的な出来事が集中して発生した日が7月6日なのである。


 この日、法務省(上川陽子法務大臣)は、オウム真理教の教祖・麻原彰晃を含む7人の死刑囚の刑を執行した。平成の時代を代表するテロ事件として人びとの記憶に深く刻まれている地下鉄サリン事件の首謀者への死刑執行は、予想されていたこととはいえ、社会に大きな衝撃を与えるものであった。これに続いて26日にはさらに6人のオウム死刑囚に刑が執行され、結果13人全員が死刑となったのであるから並の出来事ではないことは確かである。
 おりもおり、その当日、異常に発達した梅雨前線が西日本中心に大雨をもたらし、16府県に及ぶ200人超の死者行方不明者を出す大災害が発生したのである。後に、平成最悪の豪雨災害と称されるほどの大災害となり、政府も14日には「特定非常災害」に指定するに至っている。


 かかる事件と災害に揺れ動いているまさにその当日、海の向こうのアメリカでは、トランプ政権が中国に対して340億ドルの制裁関税を発動した。6月の鉄鋼・アルミに対する25%の制裁関税(通商法232条)に続く措置で、今回は知的財産侵害に対する対抗措置として通商法301条を発動しての制裁関税である。その内容は中国の自動車や半導体、医療機器・産業用機械等のいわゆるハイテク機器に対して25%の制裁関税を課すというものであり、これは中国政府が推し進めようとしている、「中国製造2025」というハイテク産業育成策に対抗する意図があると目されている。中国も間髪を入れず、アメリカの自動車や大豆・農産物・ウィスキーなど545品目に対して同規模の制裁関税を課すことを発表した。トランプ政権はこれに対して、7月中には500億ドル規模まで制裁品目を拡大するとしており、中国の対抗措置を見据えつつ、9月までに約6000品目に対して総額2000億ドル(22兆円)規模の制裁関税を課すとしている。最終的には中国からの年間輸入額に相当する5000億ドルまでその規模を拡大すると公言している。

 

 保護貿易主義がもたらす21世紀の貿易戦争が、あとから振り返るとこの日、すなわち7月6日に勃発したと記憶されるかも知れないのだ。おりしもこの6日、日本政府は、先月の国会で承認成立したTPP11の国内手続きを完了した旨を、TPPの寄託国ニュージランドに正式に通知した。TPP11で国内手続きを既に完了しているメキシコ・シンガポールに次いで、3番目の手続き完了国となったのがこの6日である。カナダ、ニュージランド、オーストラリアも年内完了が見込まれているので、TPP発効はカウントダウンの段階に入ったといえるだろう。世界のGDPの11%:人口5億人の巨大な自由貿易経済圏がまもなく誕生する。

 これに歩調を合わせるように今月19日には、日本とEUの間でEPA(経済連携協定)がEUのトゥスク大統領とユンケル委員長がそろって来日して、安倍首相との間で正式に締結された。こちらも世界のGDP30%:人口6億4000万人という巨大な自由貿易経済圏が成立することになる。


 アメリカ・トランプ政権が強引に進める保護貿易主義に、TPP11&日本・EUのEPAが必死に対抗しようとしている構図が、この7月6日を境に誰の目にも明らかになってきた。

 今後どちらの勢力に軍配があがるかは見通せないが、7月6日に起きたアメリカと中国の双方による制裁関税の報復合戦と、日本におけるTPP国内手続完了と日・EU間のEPA協定締結の動きは、ある意味で経済面での歴史的な対立軸の形成の端緒となった象徴的な出来事として、将来人々の記憶に刻まれるやも知れない。