経営の勘どころ・つかみどころ -8ページ目

早すぎる世界の動きや技術の動きに、日本はついて行けるかな?!

 北朝鮮が「沈黙の75日間」を破り、11月30日深夜ICBM級とされるミサイルを発射した。ロフテッド軌道で発射された高度は4475㎞に達し、通常軌道であれば確実に米国全土を射程内に収める飛距離性能を有すると目されている。

北朝鮮は猛烈な勢いで「国家核戦力完成」を目指しているのは明白だ。

 今後米国がどのような反応を示すのか?大きな懸念を孕む。極東に火の手があがれば、日本は確実に戦火に巻き込まれる。北朝鮮も中国も、日本を標的にしたミサイルを既に十分に配備済みであるからだ。

専守防衛の日本といえば、防衛力強化のため陸上配備型イージス・アショアを2基、秋田と山口に配備する予定だが、配備は2年以上も先の話だ。隣国とはスピード感がまるで違う。

 

 11月29日には米国上院予算委員会で法人税を35%から20%に引き下げる税制改革法案が可決された。

本会議可決までには曲折が予想されるが、法人税率を29%台に除々に引き下げつつある日本は、アッという間に米国に追い越され、先進国で法人税率が一番高い国になるかも知れない。

 

 中国はAI産業を2030年までに世界トップにする計画を明らかにしている。

今やオンライ決済による世界の電子商取引の40%は中国国内でなされているそうだ。アリババ集団・テンセント・百度などのIT企業が主役である。「誰であれ、AI分野のリーダーになった者が世界の支配者となる。」と言い放ったのは、ロシアのプーチン大統領である。中国のAIドローン編隊が日本上空を覆い尽くすのはそう遠くないかも知れない。

 

台風と政治の強風が吹き荒れた神無月に思う!

前月10月は陰暦で神無月と称される。俗説では、10月に全国の神々が出雲大社に集まり、諸国に神々がいなくなることから「神無月」とされ、出雲の国では反対に「神有月」と呼ばれるとのこと。

 神の不在をいいことに、10月は秋の長雨に追い打ちを掛けるように2つの台風が日本列島に上陸・接近しながら縦断していった。日照不足で作物の生育が遅れ、秋の観光シーズンを期待していた地方経済にも少なからず打撃を与えたようだ。

 加えて、10月10日には、衆議院が突然解散され、総選挙の告示と投開票が実施された。希望の党を中心に久かたぶりに野党陣営に追い風が吹くのかなっと思ったら、小池党首の「排除」発言で途端に逆風が吹き荒れ、選挙戦は与党の大勝に終わった。

 一衣帯水の中国でも、10月18日から5年に一度の中国共産党大会が開催され、全国の指導者が北京に大集合した。まるで、中国も神無月の季節がやってきたようである。

 この大会では事前の予測どおり、次世代の後継候補となるべき50代の中央政治局員は一人も選出されず、習近平総書記の名前が記述された党規約が採択され、「核心」の称号とともに長期政権の布石が打たれた。これをもって中国の国家戦略は、建国(毛沢東)から富国(鄧小平)を経て、強国(習近平)を目指すことが明確になったようである。

 富国強兵にひた走る中国。その目前に控える覇権戦略が、南シナ海と東シナ海の内海化であるとされる。トランプ政権のアジア戦略に共同歩調をとるしか道のない日本としては、これからが目の離せない、長く苦しい年月となるであろう。

 

2050年の未来社会はロボット社会になる!

昨年、ある新聞紙面に日本電産・永守重信会長のインタビュー記事が掲載された。「50年には世界人口が90億人超になる。介護などでその3倍の人型ロボットが働いているのではないか」と語っている。

 その上で永守氏は、「ロボットもドローンも動作するにはモーターが欠かせない。今後天文学的な数のモーター需要が生まれる。」と業界予想を披瀝していた。

 氏の指摘を待つまでもなく、目下AIとIOTを中心とする第4次産業革命時代に突入した感がある。

 東大特任准教授松尾豊氏は、現存する生物の大分類が出揃ったカンブリア紀とは、「生物に眼ができあがったことに起因する。」という、古生物学者アンドリュウー・パーカー氏が提唱した「光スイッチ説」を例示的に紹介した上で、AIとは、コンピュータに眼ができたことだと指摘し、今後機械やロボットの世界で「カンブリア爆発」が起きると予測する。

 カメラに内蔵されるイメージ画像は人間の網膜にあたる。だが網膜だけでは人は物を見ることはできない。網膜で受けた信号を「見える化」する認識機能が必要となる。この機能を司るのが脳の後部にある視覚野である。人の視覚野にあたるのがディープラーニング(深層学習)であり、これらイメージセンサーとディープラーニングの組み合わせで、コンピュータは「眼」を獲得することになったという。

 眼のもたらす情報量は圧倒的で、眼を持つ機械・ロボットは今後、新たなカテゴリー産業となり、現在の機械・ロボット市場とは異次元の巨大市場に成長すると予測する。未来社会は人と機械の共生という課題に直面する事だけは確かなようである。

 

人生の一回性を思う!


「人間五十年、下天のうちにくらぶれば、夢まぼろしのごとくなり。一度生を受けて滅せぬもののあるべきか」。

 戦国時代を平定へと向かわしめた天下一の闘将、織田信長が桶狭間の戦いに臨んで舞った謡曲の一節である。

 この謡の主人公は、一ノ谷の戦いで源氏方の熊谷直実に討たれた平家の武将、平敦盛である。人は生まれ、生きて、必ず死ぬ、という決して抗えない天理が、聞く者の心に響く有名な一節である。

 

 先月下旬、私が人生の師と仰ぐ人の訃報に接することになった。

あんなにパワフルで頑強な精神を持った畏敬の人物が、まさか自分たちの前から、かくもあっさりと姿を隠してしまうものであろうか。にわかに信じ難いことであり、まさに人の世の無常を感じざるを得ない。

 「人生は唯一度なるものなり」という人生の一回性こそが、生きとし生けるものの本質であることを今更ながら思い知らされる。

 

 さて、冒頭の一節にある「下天」とは、仏教でいう「四天王」とその一族が住む世界を意味するそうだ。下天における一昼夜は、人間世界の五十年に当たるそうで、その下天の時間軸で考えたら、人の一生は短くはかない夢まぼろしのようなものであり、かつ、それは必ず消え失せてしまう一回限りのものであることを教えてくれる。

 この本質を知る者は誰しも自らの人生は有限であり、しかも、下天にあらざる人の世の時の流れの早さを覚知し、思わず身を固くすることであろう。まさに「光陰矢の如し」だ。

 IOT、AIの登場でシンギュラリティー時代の劈頭に立たされた今日、人は下天とは真逆の超短時間で展開する異次元の世界の挑戦を受けようとしている。人はこれにどう対処すべきなのか?確たる答えを持ち合わせているわけではないが、直感的には、どんな時代においても、人は物事の本質を見抜く心眼を杖に歩むしかないと思う。

 

 

日本人が静かに考える季節がやってきた!

 盛夏到来ながら連日憂鬱なニュースに辟易させられる。

安倍総理夫妻が絡むとされる森友学園や加計学園問題を筆頭に、秘書パワハラ疑惑の豊田真由子議員。略奪不倫報道の今井絵理子議員や、退任式に笑顔で臨む稲田朋美防衛大臣の異様な振る舞い。

 北朝鮮が同じ月に二度もICBMの発射実験を繰り返す中、緊張感の微塵も感じられない態度には唖然とさせられる。

 

 場外でも松居一代のネット上での異常な行動。LINEで浦和レッズファンを煽り立てる上西小百合議員の不可解な行動。 テレビを消したくなるような低俗な事件のオンパレードである。

 マスコミもここに来て、異様な程に安倍政権への批判報道を繰り返す。小池百合子東京都知事率いる都民ファーストに歴史的な惨敗を期した自民党の支持率も今や30%を切る水準まで急落した。今月は内閣改造で史実率を巡り大騒ぎすることだろう。

 しかし、日本を取り巻く情勢を省みるとかかるスキャンダルまがいの内政問題にエネルギーを費消している余裕があるのだろうか?大いに疑問である。

 朝鮮半島の情勢は日を追ってきな臭くなってきた。中国もますます強権政治色を強め、膨張政策を顕わにしている。米ロ対立もまるで冷戦時代に戻ってしまったかのような有様だ。

 

平和は決して与えられるものではない。相手に隙を見せない不断の政策努力が欠かせない。これが、世界の政治の現実でもある。8月は広島・長崎の原爆の日と終戦記念日の月である。心静かに考えてみよう。

 

 

シンギュラリティーに突き進む人類の未来とは!?

 AI(人工知能)の発達度合いには正直驚かされる。将棋界では最近電王戦というAIと人間による対戦が行われた。AIが挑んだ対戦相手は将棋界の最高峰「佐藤名人」である。結果はAIの完勝に終わった。囲碁の世界でも、AIが世界チャンピオンに打ち勝っている。これでAIは、人間の頭脳を凌駕する知能を有したことが証明されたといっても良いだろう。

 

 このAIに関しては2045年問題という言葉を最近よく耳にする。人類の知の総和をAIが超越することをシンギュラリティー(技術的特異点)というが、2045年頃に人類はこのシンギュラリティーに直面すると予測されているのだ。

 人工知能が全人類の知の総和を超越するとしたら、その後の人間社会はどうなってしまうのか?それは今のところ誰にも分からないのである。それだけに不安でもあり不気味でもある。それはあたかも死後の世界はどうなっているのかという疑問に応えるに等しい予測不能なテーマであるからだ。

 

 今、IOTとAIをビックデータで融合する技術開発が進展している。衝突回避を実現する自動運転技術、タクシー運転手にお客が拾いやすい地域を教えるカーナビ、Fintechに代表される自動金融取引の拡大など、今や生産現場に限らず金融やサービス業務、医療・介護現場など広範な分野でAIが利活用され、多種多様な知見を機械が学習し始めている時代だ。

 

人間が気づいた時には、AIはすでに神の存在となっているかも!?

 

 

 

どうして今の日本人は、事実に正面から向き合えなくなってしまったのか?

 日本では、森友学園や加計学園の裏に潜む規制と権益をめぐる忖度問題、関係知事がミステリーと嘆息する東京オリンピック経費分担問題、憲法改正巡る神学論など、日本社会にこびり付くいている宿痾のごとき諸課題が山積している。

 加えて、テロ等準備法案を巡る国会の混乱ぶりは対立ばかりが目に写り、冷静で本質的な議論が交わされているとはとても思えない。

 

 今、世界に目を向けると対立と混乱が際限なく拡大再生産される傾向にある。G7サミット後、欧州の盟主ドイツのメルケル首相は、選挙演説で「ほかの国々を全面的に当てにできる時代は過ぎ去りつつある。そのことを我々はこの数日間、痛感した。我々欧州人は、自分たちの運命は自分たちで切り開いていかなければならない。」として、米英露との友好関係を維持しながらも、最後に「しかし、我々は自分たちの将来のために自ら戦う必要がある。」と発言した。

 

 一方、米国のトランプ大統領は得意のツイッターで炭鉱労働者の雇用を守るため、温暖化ガス削減をめざす国際的枠組みの「パリ協定」からの離脱をほのめかや、欧州の期待を裏切るようにあっさりと離脱宣言をしてのけた。

 

 日本にとって米国と欧州の対立の兆しは、北朝鮮・韓国・中国・ロシアといった周辺国との安全保障環境の深刻な状況を考えると、無視できない事態である。欧米対立という事実に向き合いその本質を考えないと、いつかは米国頼りの悲劇を招くことにもなりかねない。時代錯誤な平和観から脱却する処方箋は、事実に正面から向き合うことにあると思うのだが。

 

東京が広島・長崎になる日でけはご免被りたい!

 北朝鮮の相次ぐミサイル発射でついに東京の地下鉄が緊急停止し、朝の通勤客に影響が出た。

政府はもしも東京が核の先制攻撃を受けた場合を想定して、東京の地下に網の目のように張り巡らされている地下鉄の駅や地下商店街に避難することを国民に呼びかけているらしい。しかし、国民はそのような訓練を誰も受けていないし、具体的に何をどうして良いのか皆目見当がつかないのである。

 

 かたやトランプ政権が100日の時期を迎え、世界の安全保障の緊迫度が急速に高まってきた。特に朝鮮半島情勢は、赤信号が灯りそうなまでに切迫しつつある。

 トランプ政権は、オバマケア撤廃や難民強制退去命令、メキシコ国境への壁建設等では相次ぐ失敗を繰り返している。足もとでは、ロシアゲートが急浮上して政権の先行きに不透明感が漂い始めている。

 経済政策でも、TPP離脱宣言以外は、特に何かを始めたという気配もなく、ここにきて、法人税を35%から一気に15%に引き下げる減税政策を唐突に打ち出してきた。

 しかし、その実現可能性となるや、早くも疑問符がつけられ始めている有様である。残るは、シリヤへのトマホーク攻撃のような軍事的行動をエスカレートさせる事で、支持率を確保することを考えているのかも知れない。

 核・ICBMの開発阻止を目的に北朝鮮へ圧力を強めているのも、軍事政策強化による支持率獲得の狙いがあるとの憶測も一部で語られつつある。

 だが、小国とはいえ、相手は若い独裁者が率いる危険な国家である。朝鮮半島に火の手があがれば、日本が真っ先に核攻撃され、広島・長崎の二の舞になりかねない。火遊びはご免被りたい。

 

新年度が始まったが・・・、このままでは出遅れ手遅れにならないのか!

3月27日、森友学園で大揺れの国会で平成29年度予算が成立した。これで国の新しい年度がスタートすることになったが、今年はなぜか新年度を迎える高揚感が湧いてこない。

 あまりに世の中の状況が視界不良のままだからである。マレーシアでの金正男暗殺事件、北朝鮮のミサイル発射と核実験の兆候。韓国の大統領罷免とそれに続く逮捕劇。トランプ氏の強引な大統領令の発令に対する米国内の反発と抵抗。イギリスはEUに対して正式に離脱を通知し、今後2年をかけて離脱交渉に入ることを明確にした。

 これに対してドイツを中心とするEUは離脱に伴う代償を英国に要求し、イギリスとの間での自由貿易にも厳しい制限を課す公算が強い。これをチャンスと見る中国は、急速にイギリスに接近して2国間貿易協定の秋波を送り始めた。中国の一帯一路構想の終着地はイギリスである。

 イギリスのEU離脱は、中国にとって欧州に足がかりをつける絶好の機会を提供しているのである。そのイギリスもEU離脱を機に、深刻な国内問題に直面し始めている。ウエールズ、スコットランド、北アイルランドが連邦からの分離独立を唱え始めた。イギリスは消滅するのか?今、世界は誰の目にも混迷と混沌の渦の中に突入したように写る。

 森友学園開校を巡る忖度があったかどうかや、首相夫人は私人か公人かを巡って口角泡を飛ばし、豊洲か築地かで大騒ぎし、東芝の経営危機に気をとられ、テロ等準備罪で大もめする国内の関心事を尻目に、トランプ大統領は米中首脳会談のさ中に、シリアの軍事基地をトマホークで攻撃した。世界は極度の緊迫状態の中で激しく動いている。このままでは、日本は出遅れ手遅れの国になりかねない。世の実相に刮目せよ!
 

政治家は何を優先すべきなのか?

 突然降って湧いたような森友学園問題で、我が国の国会が機能マヒ状態に陥っている。

特に異常と思われるのが、法的に問題ないと言いながら、安倍総理大臣の夫人昭恵氏と森友学園との関係を巡る与野党の攻防戦だ。

 はたから見ていると、国会が週刊誌の三面記事をもとに論戦を展開しているかのような気がする。冷静に考えてみると誰でも分かることなのだが、国会は疑惑追求の場ではない。確たる証拠があるならば検察に告発すれば良いことで、国会でフィーバーする話ではない。

 世界の動きは、トランプ政権の低空飛行の支持率、イギリスのEU離脱通知、韓国の大統領の罷免と逮捕劇、中国の軍事費拡大等々、我が国に影響を及ぼす情勢で満ち溢れている。国内でも平成29年度の国の予算審議やテロ等準備罪法案等々、やらなければならない政治課題が山積している。疑惑スキャンダルに血道をあげる暇はないはずである。国会議員は週刊誌の記者ではないのだ。政治家はもう少し、国民の負託の重みを感じて貰いたいものである。