どうして今の日本人は、事実に正面から向き合えなくなってしまったのか?
日本では、森友学園や加計学園の裏に潜む規制と権益をめぐる忖度問題、関係知事がミステリーと嘆息する東京オリンピック経費分担問題、憲法改正巡る神学論など、日本社会にこびり付くいている宿痾のごとき諸課題が山積している。
加えて、テロ等準備法案を巡る国会の混乱ぶりは対立ばかりが目に写り、冷静で本質的な議論が交わされているとはとても思えない。
今、世界に目を向けると対立と混乱が際限なく拡大再生産される傾向にある。G7サミット後、欧州の盟主ドイツのメルケル首相は、選挙演説で「ほかの国々を全面的に当てにできる時代は過ぎ去りつつある。そのことを我々はこの数日間、痛感した。我々欧州人は、自分たちの運命は自分たちで切り開いていかなければならない。」として、米英露との友好関係を維持しながらも、最後に「しかし、我々は自分たちの将来のために自ら戦う必要がある。」と発言した。
一方、米国のトランプ大統領は得意のツイッターで炭鉱労働者の雇用を守るため、温暖化ガス削減をめざす国際的枠組みの「パリ協定」からの離脱をほのめかや、欧州の期待を裏切るようにあっさりと離脱宣言をしてのけた。
日本にとって米国と欧州の対立の兆しは、北朝鮮・韓国・中国・ロシアといった周辺国との安全保障環境の深刻な状況を考えると、無視できない事態である。欧米対立という事実に向き合いその本質を考えないと、いつかは米国頼りの悲劇を招くことにもなりかねない。時代錯誤な平和観から脱却する処方箋は、事実に正面から向き合うことにあると思うのだが。
東京が広島・長崎になる日でけはご免被りたい!
北朝鮮の相次ぐミサイル発射でついに東京の地下鉄が緊急停止し、朝の通勤客に影響が出た。
政府はもしも東京が核の先制攻撃を受けた場合を想定して、東京の地下に網の目のように張り巡らされている地下鉄の駅や地下商店街に避難することを国民に呼びかけているらしい。しかし、国民はそのような訓練を誰も受けていないし、具体的に何をどうして良いのか皆目見当がつかないのである。
かたやトランプ政権が100日の時期を迎え、世界の安全保障の緊迫度が急速に高まってきた。特に朝鮮半島情勢は、赤信号が灯りそうなまでに切迫しつつある。
トランプ政権は、オバマケア撤廃や難民強制退去命令、メキシコ国境への壁建設等では相次ぐ失敗を繰り返している。足もとでは、ロシアゲートが急浮上して政権の先行きに不透明感が漂い始めている。
経済政策でも、TPP離脱宣言以外は、特に何かを始めたという気配もなく、ここにきて、法人税を35%から一気に15%に引き下げる減税政策を唐突に打ち出してきた。
しかし、その実現可能性となるや、早くも疑問符がつけられ始めている有様である。残るは、シリヤへのトマホーク攻撃のような軍事的行動をエスカレートさせる事で、支持率を確保することを考えているのかも知れない。
核・ICBMの開発阻止を目的に北朝鮮へ圧力を強めているのも、軍事政策強化による支持率獲得の狙いがあるとの憶測も一部で語られつつある。
だが、小国とはいえ、相手は若い独裁者が率いる危険な国家である。朝鮮半島に火の手があがれば、日本が真っ先に核攻撃され、広島・長崎の二の舞になりかねない。火遊びはご免被りたい。
新年度が始まったが・・・、このままでは出遅れ手遅れにならないのか!
3月27日、森友学園で大揺れの国会で平成29年度予算が成立した。これで国の新しい年度がスタートすることになったが、今年はなぜか新年度を迎える高揚感が湧いてこない。
あまりに世の中の状況が視界不良のままだからである。マレーシアでの金正男暗殺事件、北朝鮮のミサイル発射と核実験の兆候。韓国の大統領罷免とそれに続く逮捕劇。トランプ氏の強引な大統領令の発令に対する米国内の反発と抵抗。イギリスはEUに対して正式に離脱を通知し、今後2年をかけて離脱交渉に入ることを明確にした。
これに対してドイツを中心とするEUは離脱に伴う代償を英国に要求し、イギリスとの間での自由貿易にも厳しい制限を課す公算が強い。これをチャンスと見る中国は、急速にイギリスに接近して2国間貿易協定の秋波を送り始めた。中国の一帯一路構想の終着地はイギリスである。
イギリスのEU離脱は、中国にとって欧州に足がかりをつける絶好の機会を提供しているのである。そのイギリスもEU離脱を機に、深刻な国内問題に直面し始めている。ウエールズ、スコットランド、北アイルランドが連邦からの分離独立を唱え始めた。イギリスは消滅するのか?今、世界は誰の目にも混迷と混沌の渦の中に突入したように写る。
森友学園開校を巡る忖度があったかどうかや、首相夫人は私人か公人かを巡って口角泡を飛ばし、豊洲か築地かで大騒ぎし、東芝の経営危機に気をとられ、テロ等準備罪で大もめする国内の関心事を尻目に、トランプ大統領は米中首脳会談のさ中に、シリアの軍事基地をトマホークで攻撃した。世界は極度の緊迫状態の中で激しく動いている。このままでは、日本は出遅れ手遅れの国になりかねない。世の実相に刮目せよ!
政治家は何を優先すべきなのか?
突然降って湧いたような森友学園問題で、我が国の国会が機能マヒ状態に陥っている。
特に異常と思われるのが、法的に問題ないと言いながら、安倍総理大臣の夫人昭恵氏と森友学園との関係を巡る与野党の攻防戦だ。
はたから見ていると、国会が週刊誌の三面記事をもとに論戦を展開しているかのような気がする。冷静に考えてみると誰でも分かることなのだが、国会は疑惑追求の場ではない。確たる証拠があるならば検察に告発すれば良いことで、国会でフィーバーする話ではない。
世界の動きは、トランプ政権の低空飛行の支持率、イギリスのEU離脱通知、韓国の大統領の罷免と逮捕劇、中国の軍事費拡大等々、我が国に影響を及ぼす情勢で満ち溢れている。国内でも平成29年度の国の予算審議やテロ等準備罪法案等々、やらなければならない政治課題が山積している。疑惑スキャンダルに血道をあげる暇はないはずである。国会議員は週刊誌の記者ではないのだ。政治家はもう少し、国民の負託の重みを感じて貰いたいものである。
世界中が1人の男に振り回される?
第2次トランプショックが世界中を駆け巡った。
1月20日に米国大統領に就任したトランプ氏が、次々と大統領令を乱発し始めた。
メキシコ国境への壁建設と建設費の負担要求、TPPからの永久離脱、NAFTAの再交渉、中東・アフリカ7カ国を対象とした入国制限など、どれもこれも物議を醸すものばかりである。
トランプ氏は就任前から特定のマスコミや企業名をツイートして、恫喝まがいの圧力をかけていたが、就任後、まさかここまでやるとは想像だにしなかった。
1人の男に世界中が度肝を抜かれてしまった感がある。
しかし、今は、就任直後の彼の行動を世界は注意深く見守っている時期であり、このまま、世界が彼の言動と素直に受け入れるとは考えられない。
すでに難民入国禁止令をめぐって足下の米国内で反発するデモや集会が頻発しいる。
また、カナダ・ドイツ・フランスや首脳会談をしたばかりの英国のメイ首相からも批判的な意見が表明されている。
今月10日には安倍首相も訪米して、日米首脳会談が予定されているが、80年代の日米貿易摩擦が再現しかねない危うさを感じる。日本は現在東アジアでの中国の軍事的な膨張圧力に晒されている。安全保障問題と経済問題を外交上の駆け引きに利用されることも、取引外交を標榜するトランプ大統領である以上その可能性がある。
TPPに代わる日米FTA2国間交渉を要求してくることも予測されている。
ここは慌てて動かず、相手の出方を注視すべし!
平成29年 酉年の年頭所感
トランプアメリカ大統領がまもなく誕生するという波乱含みの年明けを迎えた。
新たな年の政治、経済、安全保障に絞って、これらがどのように今年は展開するのか、その動向に目を向けて、年頭にあっての一考察を試みる。
政治=予測不能な3大リスク
(1)トランプ大統領のアメリカン・ファーストは、世界に何をもたらすのか。保護貿 易主義、力による2国間経済協定の強要、為替や関税の悪用。あまり好ましくない 不測の事態が心配される。中国を為替操作国として、高関税を発動すれば両国間で の激しい経済戦争勃発か?そうなれば、その火の粉が我が国にも降りかかってくる のは必定である。
(2)中国の習近平の権力基盤の行方は、どうなるか。今年は5年に一度の指導者交代の 年を迎える。指導部の65歳定年制を打破した権力基盤を確立できるか? できたにしても、できなかったにしても、日本への影響は避けられまい。
(3)EUは結束するのか、解体の方向に突き進むのか? 今年はフランスでも大統領選 挙が予定されている。極右政党ルペン氏の支持率が急速に高まっていると聞く。ド イツでも総選挙が予定され、メルケル首相率いる与党勢力の苦戦も予想されている。 英国がEUを離脱した後の、2大国独仏の政権が交代してナショナリズム色の強い 政党が政権の座につくようなことがあれば、もしかするとEUが解体に向かって一 気に突き進み可能性もある。今年はEUから目が離せない。
経済=気になる3つの動向
(1)金利はどうなるか?とりわけ米国FRBの利上げ次第では、世界のマネーが米国に 大逆流しかねない。そうなると、多くの新興国経済は打撃を受ける可能性があり、 日本も無傷では済まない情勢となろう。
(2)トランプ政権誕生で、自由貿易体制が根底から揺さぶられかねないリスクが濃厚だ。 TPPも風前の灯火か?後は力を背景にした2国間経済交渉が待っている?
(3)資源価格の動向がどうなるか? 原油価格は、OPECやロシアが強調して生産量削 減の合意に達した。今年は徐々に価格が高値傾向になりつつある。米国のシューエ ル生産次第で、再び安値に戻る可能性もあるが要注意である。原油以外にも、レア メタルなどの価格動向にも注意を払う必要があろう。
安全保障=気になる3つの地域
(1)東アジア情勢は、我が国の安全保障に密接不可分であるが故に、東シナ海や尖閣諸 島をめぐる中国の圧力、竹島や慰安婦問題での韓国との軋轢、北朝鮮の核・ミサイ ル問題、台湾と米国と中国との摩擦の可能性等々、気の抜けない問題が山盛りだ。 加えて、南シナ海をめぐるフィリピンと 中国の歩みより、米国トランプ政権の関 与動向も今年の焦点になりそうだ。
(2)EUとロシアの経済制裁問題も、どう展開していくのか? EUの大国独仏の政権 が交代したり、ウクライナやクリミアで紛争が拡大するようなことになれば、ヨー ロッパ全体がきな臭くなってくる。難民問題も国内の混乱に拍車を掛けているだけ に、今年は、目が離せそうもない。
(3)シリア、イラク、ISそしてトルコ情勢が今年は終息するのか、拡大するのかも大きな焦点に一つである。これに、トランプ政権とロシアの関係改善?次第でその情勢は大きく動く可能性がある。これに中国やEUがどのように絡んでくるのか、世界の火薬庫といわれて久しい中東地域の動向にも目が離せそうもない。
いずれにしても、今年は、安穏とはしていられない年であることだけは間違いない。
世界中で番狂わせの政治的選択が続発する兆候あり!
トランプショックが世界中を駆け巡った。
フイリピンのドゥテルテ大統領もかすむ程の衝撃である。
日本、中国、メキシコなど名指しでやり玉にあがった国は数知れない。
同盟国といえども不安と疑心が昂じている。
トランプ勝利の分析が伝わってくるが、代表的なものは白人中間層の不満がオバマ政権を継承するクリントン候補に拒否反応を示したという見方である。
選挙後はトランプに反発する市民のデモも頻発しており、米国が分裂すると警鐘を鳴らす者もいる。隣国韓国でも朴槿恵大統領が辞任寸前まで追い込まれつつあり、政局は一気に不安定になってきた。
日米韓連携の一角が崩れるのか?
東アジアの安全保障情勢に不透明感が漂い始めてきた。
来年はフランスでも大統領選挙がある。極右政党の躍進が予想されている。英国のEU離脱に続いて フランスの離脱の可能性も否定できない。オランダ・イタリア・ベルギー・ドイツでさえもテロや難民問題で、右傾化の傾向を強めているようだ。
世界の政治は番狂わせの選択が続発するかも知れない。要注視だ!
ハロウィンで盛り上がり、アメリカ大統領選に振り回される日本!?
10月下旬、ゾンビや魔女い扮した人びとが突如渋谷の駅前広場に大挙して押し寄きた。
DJポリスも登場して大騒ぎ。いつの間にか晩秋の風物詩になってきたかのような有様である。 海の向こうではクリントンとトランプによるアメリカ大統領選挙が終盤戦に突入した。
新たなメール問題が発覚してクリントン有利と囁かれていた選挙情勢はここにきて急変。
トランプの支持率がクリントンのそれに肉薄してきたという。
8日に始まる世紀の選挙。どちらが勝つか分からなくなってきた。
同盟国アメリカのリーダー選びに一喜一憂するしかないのがわが国の立ち位置である。
ハロウィンも米国からの輸入行事といわれているから、この時期の日本は良くも悪くも米国に振り回されている感がある。
それ以外にもプーチン大統領やドゥテルテ大統領の言動にも過敏にならざるを得ないのが日本の姿である。
信じられない無責任な不祥事が続発! 日本って本当に大丈夫なの?
開いた口が塞がらない不祥事が続発している。
首都東京を巡る一連の騒動だ。
小池百合子新知事が本部長を務める「都政改革本部」の調査チームは、2020年の東京オリンピックの大会費用が総額3兆円超となる可能性があることを明らかにした。
誘致立候補時(2013年1月)の総費用見積額7,300億円と比較すると4倍強の膨張ぶりである。大会組織委員会と東京都と国の三者間をガバナンスする人が存在しないことが問題の背景にあると指摘されている。
もう一つの不祥事が豊洲新市場の地下空間問題である。
専門家会議が提唱した盛土がされていなかった問題で、都庁の内部調査の結果、KY(空気を読めなかった)の欠如で、誰がいつどのように決めたか特定できなかったと報告された。多額の税金を使う役人の無責任ぶりに、国民は呆れる一方で強い不安を感じる。
ニッポンは本当に大丈夫なの!
早くも始まった国の来年度予算編成! さて、その台所事情は!
Rio五輪の興奮もつかの間、国の来年度予算編成のための概算要求が8月末に出揃った。総額101兆円を突破した模様だ。本年度の当初予算96兆7千億円と比較すると約5兆円増加している。
概算要求額101兆円の主な内訳は、政策経費が77兆円、国債費が24兆円(内、利払い費10兆円)である。国の借金返済が財政を圧迫している状況は今年も変わらない。政策経費77兆円の内、最も多いのが年金・医療などの社会保障給付費で、要求額は31兆円に達する。次に大きいのが地方交付税などを含む総務省予算で、要求額は16兆円超となっている。
この二省の要求額合計だけで政策経費の6割超を占めてしまう。少産多死社会に突入した今、避けて通れない政策経費ではあるが、働き方改革や待機児童解消、老朽インフラ整備、安全保障整備費など、手当すべき予算項目は多いのだが?