2020年8月に東京で開催された、第89回日本音楽コンクールの作曲部門(公式サイトはこちら)。
本日11月19日に、本選の演奏がNHK-FMで放送されたので聴いてみた。
ちなみに、第89回日本音楽コンクールについてのこれまでの記事はこちら。
(第89回日本音楽コンクール(ピアノ部門) 1次予選通過者発表)
(第89回日本音楽コンクール(ピアノ部門) 2次予選通過者発表)
(第89回日本音楽コンクール(ピアノ部門) 3次予選通過者発表)
(第89回日本音楽コンクール(チェロ部門) 2次予選通過者発表)
(第89回日本音楽コンクール(ヴァイオリン部門) 本選結果発表)
・原島拓也(はらしま たくや)
原島拓也:寄せ木ファッション 琵琶と管弦楽のための (12分27秒)
(琵琶)原島拓也、(管弦楽)東京フィルハーモニー交響楽団、(指揮)三ツ橋敬子
~2020年11月9日 NHK・CR505スタジオにて収録~
作曲者が演奏に加わったのは、コンクール史上初のよう。
琵琶とオーケストラの各楽器が様々な音を織りなしていく。
ことさらに日本風の音階を使っているわけではなさそうだが、琵琶の音色のためかどこか和風な、明るさのある音楽という印象を受けた。
・冷水乃栄流(ひやみず のえる)
冷水乃栄流:TOKYO REQUIEM for Orchestra (13分42秒)
(管弦楽)東京フィルハーモニー交響楽団、(指揮)三ツ橋敬子
~2020年11月10日 NHK・CR505スタジオ~
各楽器が奏でる断片的な音型の合間に、ときどきモーツァルトやヴェルディやフォーレのいわゆる三大レクイエムのメロディが顔を出すという、ベリオのような引用手法がみられる。
調性的な断片も多く、ときに現れる音階音型反復などチン・ウンスクのようにカラフルでキッチュな印象(大都会東京らしい?)。
・波立裕矢(はりゅう ゆうや)
波立裕矢:模細工状の蝶/重力Ⅳ for Orchestra (18分05秒)
(管弦楽)東京フィルハーモニー交響楽団、(指揮)三ツ橋敬子
~2020年10月11日 NHK・CR505スタジオ~
ショパンのエチュード「蝶々」、ドビュッシーのエチュード第2番、ラヴェルの「蛾」、これらの曲をそのまま引用するというよりも素材を織り合わせて作られた作品。
蝶や蛾の羽の模様あるいは羽ばたきのようなうねりや流れがある、というとそうかもしれない。
※余った時間で以下の2018年入賞者分が再放送された。
・小宮知久(こみや ちく)
小宮知久:Obsessive Paroxysm for orchestra (17分23秒)
(管弦楽)東京フィルハーモニー交響楽団、(指揮)渡邊一正
~2018年9月27日 NHK・CR509スタジオ~
・井上渚(いのうえ なぎさ)
井上渚:己を描く窓~オーケストラのための (12分08秒)
(管弦楽)東京フィルハーモニー交響楽団、(指揮)渡邊一正
~2018年9月27日 NHK・CR509スタジオ~
そんなわけで、以上の本年分の3人の曲に上記のような特徴は感じたが、私の中で勝手に順位をつけるような優劣のほどは分からなかった。
なお、実際の結果については以下の通り。
【本選結果】
1位: 波立裕矢(はりゅうゆうや)(25)=千葉県出身・東京芸大大学院
2位: 冷水乃栄流(ひやみずのえる)(23)=和歌山県出身・東京芸大大学院
3位: 原島拓也(はらしまたくや)(26)=東京都出身・桐朋学園大作曲専攻研究生修了
本年の日本音楽コンクール本選のラジオ放送は以上で終了。
なお、テレビ放送も予定されており、日程は以下の通り。
NHK Eテレ 第89回日本音楽コンクールドキュメント
12月13日(日) 14:30~15:30
NHK BSプレミアム および BS8K
BSプレミアム「クラシック倶楽部」 5:00~5:55
BS8K 16:00~(全曲放送予定)
12月14日(月) ピアノ部門
12月15日(火) バイオリン部門
12月16日(水) 声楽部門
12月17日(木) チェロ部門
12月18日(金) ホルン部門
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