第89回日本音楽コンクール(ヴァイオリン部門) 本選の感想追記 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

2020年8~10月に東京で開催された、第89回日本音楽コンクールのヴァイオリン部門(公式サイトはこちら)。

本日11月13日に、本選の演奏の一部がNHK-FMで放送されたので聴いてみた。

ちなみに、第89回日本音楽コンクールについてのこれまでの記事はこちら。

 

第89回日本音楽コンクール(ピアノ部門) 1次予選通過者発表

第89回日本音楽コンクール(ピアノ部門) 2次予選通過者発表

第89回日本音楽コンクール(ピアノ部門) 3次予選通過者発表

第89回日本音楽コンクール(チェロ部門) 2次予選通過者発表

ピアノ部門 3次予選追記

ヴァイオリン部門 3次予選追記

ホルン部門 2次予選追記

チェロ部門 2次予選追記

声楽部門 2次予選追記

第89回日本音楽コンクール(ピアノ部門) 本選結果発表

第89回日本音楽コンクール(ヴァイオリン部門) 本選結果発表

第89回日本音楽コンクール(声楽部門) 本選結果発表

第89回日本音楽コンクール(チェロ部門) 本選結果発表

第89回日本音楽コンクール(ホルン部門) 本選結果発表

ピアノ部門 本選追記

 

 

 

 

 

なお、以下はいずれも高関健指揮、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団との共演である。

 

 

・平野友葵

 

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35 より 第1楽章(途中から)、第2、3楽章

 

若々しい勢いのある演奏。

ただその分、力が入るあまりか、雑音が混じるなどあまり美しくない音が散見され、洗練からはやや遠い印象。

とはいえ、終楽章ではその雑音性が野趣となって土臭い曲調に合い、また第1、2楽章で気になった音程の不安定さもかなり改善された。

 

 

・橘和美優

 

チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35 より 第2、3楽章

 

音作りが比較的丁寧で品がある。

特に第2楽章が美しく、ヴィブラートやフレージングがきれいに整えられ、嘆きの歌がすっと自然に聴き手の心に入ってくる。

終楽章も良いが、最高音域の半音階進行だとか、終盤の連続重音など、細かいところで音程がときどきずれるのは惜しい。

 

 

・髙木凜々子

 

シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47 より 第2、3楽章

 

遅いテンポによる朗々たる演奏。

繊細で鋭敏な感情表現を追い求めるのでなく、始終円満にたっぷりとメロディを歌い込み、シベリウスというよりもまるでブラームスのよう。

こういう朗らかでまったりと上機嫌なシベリウスもなかなか悪くない。

 

 

・北川千紗

 

シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47 より 全曲

 

今回の4人の中ではおそらく最も安定した演奏。

第1楽章の主要主題は、凍てつく心のように繊細な弱音表現がもっと欲しいけれど、カデンツァでの表現力はなかなか。

第2、3楽章は、情熱的な感情表現、仕上げの丁寧さ、そして協奏曲らしい華やかさ、これらのバランスの取れたかなりの出来栄え。

 

 

 

 

 

そんなわけで、以上の4人の演奏に、私の中で勝手に順位をつけるとすると

 

1. 北川千紗

2. 橘和美優

3. 髙木凜々子

4. 平野友葵

 

というような感じになる。

ただし、全演奏が放送されたわけではないので、全て聴いていたら印象は違っていたかもしれない。

 

 

なお、実際の結果については先日の記事(その記事はこちら)を参照されたい。

私の順位とは少し違っているが、方向性は似ている。

何を重視するかの差かもしれない。

 

 


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