梅之助はゲームの方はやっていませんが、「艦これ」のおかげで、軍事評論家以外にも知られるようになった特型駆逐艦という言葉。

この特型駆逐艦は1番艦が竣工した1928(昭和3)年当時、凌波性の点でこれまで外洋での戦闘には向かなかった従来の駆逐艦の性能を大きく覆し、外洋航行能力・火力・雷装を高性能化して、大きく世界にインパクトを与えました。

一般に特型駆逐艦として誕生したのは「吹雪型」の24隻。

ただし本型は建造期間が長い事もあり、Ⅰ型(吹雪型)、Ⅱ型(綾波型)、Ⅲ型(暁型)の種類で分類される事もあるようです。終戦の時点で残存していた同艦型は「潮」と「響」のみで、「潮」は解体され、「響」はソ連への賠償艦となりました。

 

で今回紹介するのは、その駆逐艦「響」(Ⅲ型に相当)。現在、ウラジオストック沖のカラムジナ島沿岸に眠っています。

 

画像引用は→こちらのサイトより。2012年に地元ロシア人ダイバーが撮影したものです。

 

 

 


 

 

 

 

駆逐艦「響」は「吹雪型」の22番艦(III型の2番艦)として、1933(昭和8)年3月に竣工。

開戦以来、数多くの作戦に従事して幾度も大きな損傷を受けるも、その度に復活し、「不死鳥」とも呼ばれた駆逐艦でした。敵兵の大量救助で知られる工藤俊作中佐も一時、この艦の艦長を務めています。

1945年の戦艦大和出撃にも随伴するものの、途中で機雷に接触して本土に戻り、最終的には新潟港にて防空砲台となりました。同年8月15日朝に行ったB-29への機銃射撃が帝国海軍最後の射撃と言われています。

 

対米英開戦直後の「響」 (Wikipedia より)

 

戦後は復員輸送艦として従事。1947年、ソ連に引き渡され「ヴェールヌイ(真実の、信頼できる、の意味)」に改称されました。最終的にはソ連海軍航空隊の標的艦として1970年代に処分されています。

 

沈没地点は地元のダイビングスポットとなっており、最後に残った日本海軍特型駆逐艦の姿を今も確認する事が出来ます。

 

 

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