「今日は一日“渋谷陽一”三昧」に関してはNHKFMならでの、豊富な過去のアーカイブを編集してもっと聞かせて欲しかったとの期待が大きかったこともあり、個人的には少々残念でした。それに輪をかけたのはエンディングの編集でした。アーカイブからサウンドストリート最終回の別れ歌(Stairway to Heaven)を紹介する彼の肉声に続き同曲で幕を閉じる流れでしたが、時報を優先するためなのか何と!終わり間際に時間切れでフェイドアウトになってしまったのです。偶然かもしれませんが、同じNHKFMで2025年12月6日に「世界の快適音楽セレクション sameの音楽」内でコンサート映画The Song Remains the SameからStairway to Heavenを聴いたばかりだったことも手伝って、「せっかくの特集なのに、これじゃ渋谷さんが天国の階段から足を踏み外しちゃうじゃないか。」と気の毒にさえ思えてしまいました。
Jimmy Pageが1944年の1月生まれなので、もうじき82歳を迎えられるのですね。敬愛する同氏を念頭に置いてか、渋谷さんもまだまだ頑張らねばと仰っていたのを思い出します。
初めて聴いた時の印象はどうだったかというと、特にイントロの流れてきた瞬間は「これってBorn to Runのパクリじゃん!」でした。スリーブに採用されていた写真も白いTシャツにジーンズと、これまたBruce Springsteenっぽいし、Born to Runと同じく言葉数の多い歌詞にいたっては「こんなこと真顔で歌える奴が本当にいるのか?」なる驚きと同性かつ同世代ゆえの反感が大きく、十代の頃は正直フォローする気になれなかったものです。
「ずいぶん無理して歌っているなぁ。」と聞こえた「十七歳の地図」よりもロック色の強い歌声から逸れた、生来と思しき繊細な優しさのある声質が歌詞に寄り添うB面の「OH MY LITTLE GIRL」の方が当時から今に到るまで好きであり続けています。ややもすれば袋小路に入り込みそうな観念的過ぎるきらいもある作品群や、同じバラードとして名曲とされる「I LOVE YOU」の少し息苦しさを禁じ得ぬ抜き差しならない雰囲気よりも、この楽曲の方に十代の頃の思い出が投影され易く、共感を覚えるからです。