バート・バカラック逝去の知らせから、B.J.トーマスの雨にぬれてもに続いてストラングラーズがカバーしていたウォーク・オン・バイのことを思い出していました。初めて聞いたのは確かTBSラジオのスネークマンショーにおいてでしたが、彼らの音源をレコード時代に買うことはなかったので、次に聞けたのはCD時代になってからブラック・アンド・ホワイトのボーナストラックでありました。

 

スリーブデザインおいて作品の表題がなく、メンバーによる白黒の画像のみでタイトルを表しているようですね。ライナーノーツを改めて読んでみると、「ヒュー・コーンウェルにインタヴューした渋谷洋一が腕をギュッとつかまれ、『今日は殴らないからね。』とニヤリ微笑まれて小便をちびりそうになったとか、極真会館に殴り込みに行ったジャン=ジャック・バーネルがあばらを折られて帰っていった...云々。」なる音楽面以外のエピソードの記述は覚えていましたが、その他はことごとく記憶から消え失せておりました。

 

 

ストラングラーズはパンク・ニューウェーブ一派としては珍しく?キーボードが目立っていたせいかドアーズが言及されることも多かったようで、そのあてつけでもあるかのようにウォーク・オン・バイではドアーズハートに火をつけてを連想させるような編曲がされているように聞こえます。ボーカルパート(主題)→キーボードソロ→ギターソロ→ボーカルパート(主題)、というような流れ。しかし、ドアーズはベーシストがいないことで有名だったのに対し、ストラングラーズはほぼリードベースと呼べそうなジャン=ジャック・バーネルによる強烈なベースラインが特徴的であって、実際には互いにだいぶ異質なサウンドではないかと思えます。事実、ウォーク・オン・バイでも非常に硬質で攻撃的なベースが聞けるのに比べると、ハートに火をつけてでのレイ・マンザレクの左指から繰り出されるキーボードベースは、どんよりした音像の催眠術的なリフレインであって、互いに印象的でありながら決して重なることはなさそうです。

 

↑ ジャン=ジャック・バーネルのベースってリッケンバッカーだと思い込んでましたが、どうやらフェンダーのプレシジョンベースだったみたいですね。ちょっと意外。

 

それにしても、ストラングラーズが演ってもバカラック色が全く消えていないのは凄いですね。バート・バカラック楽曲の歌い手さんとしても有名なディオンヌ・ワーウィックさんの原曲ウォーク・オン・バイを連想できないどころか、どう頑張っても似て非なるものに出来ないと思えるほど、バート・バカラックという作曲家の偉大さをストラングラーズのカバーバージョンから再発見するのでありました。

 

↑ リリース当時の某音楽雑誌レビューが残っておりました。

やっつけ仕事の臭いがプンプンするけれど、インターネット時代じゃないから情報も限られているし、内容が客観より主観寄りにならざるを得なかったのでしょうね。感性が共感できれば面白いかもしれませんが...。