お酒の害 | 日本の未来を考える

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旧ブログ名:NHK朝ドラ『梅ちゃん先生』、『純と愛』批判をメインにしたブログ。リンクはご自由にどうぞ。

今日は別のネタの予定でしたが、
NHK・クロ現 「あなたの飲酒大丈夫?」 について書きます。

http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3516.html

番組ではサラッと流している部分が多かったので、補足を交えながら感想を書きます。

厚労省の発表によると、「アルコール依存症」の人がついに100万人を超えました(その予備軍は、約1千万人)。

簡単に説明しますと、「アルコール依存症」とは、
お酒が手放せない、毎日飲んでしまう、身体に異常をきたしている、どうしても止められないという症状の総称です。

一般的に、「酒好きの人」と思いがちですが、れっきとした「病
気」です。

理性をコントロールする脳の「前頭葉」が萎縮(機能低下)しているため、自分の意志ではお酒を止めようとしても止められない・・・つまり、「脳の障害」なのです。

他の部位と違い、回復が見込めない脳、それも理性、感情をコントロールする「前頭葉」がダメージを受ければどうなるか。

・我慢できなくなる
・己の感情のまま行動する
・ろれつがまわらなくなる
・運動機能に障害が起こる

いわゆる「酔っ払い」状態ですが、これが常態化すれば、極めて深刻な事態になることは容易に想像できるでしょう。

WHO(世界保健機関)によると、アルコールは、60以上の病気の危険因子に指定されています。

お酒といえば、「肝臓の病気」を想像しがちですが、さにあらず。

消化器官(食道、胃、肝臓、すい臓)、循環器系(心臓、血管)、感染症(肺炎、結核)、生活習慣病(高血圧、肥満)、精神疾患(うつ、睡眠障害)、脳障害(認知症)など数多くあります。もちろん、ガンも。
また、交通事故(飲酒運転)や暴行(DV)、自殺とも深く関連します。
(若年自殺の最も大きな背景として飲酒が指摘されています)

にもかかわらず、今まで大きな社会問題として取り上げられませんでした

その主な理由は、
1.日本が「お酒に甘い社会」であること
2.テレビ、新聞の大手スポンサーが「酒造メーカー」であること
 の二つです。

1.については、異論はないでしょう。
酒飲みは、「酒豪」、「上戸」などと呼ばれ、古来より美徳とされてきました。
「酒の勢いで・・・」、「二日酔い」、「記憶がない」といった酒の失態に対しても非常に寛容です。

「酒は百薬の長」という酒飲みにとって都合の良い話があります。
ある中国の皇帝が税収増のため、酒や塩を国の専売にしたのですが、その時の宣伝文句が「酒は百薬の長である。どんどん呑むべし」でした。当時、中国の文献は日本人にとって非常に有り難い物でしたから、それを読んで鵜呑みにした人達がデマを広めたわけです。

しかし、兼好法師は、「酒は百薬の長と言えど、万病の源でもある」と言っていますし、戦国大名・毛利元就も、息子達へ宛てた手紙に「長生きしたければ酒を飲むな」と書きました。

日本人の方が正しいこと言ってるじゃねーか!(゚ ロ ゚ ; )

2.については、民間企業である以上、ある程度は仕方ありませんが、WHO総会で指摘されたアルコール広告の「自主規制」が最も甘いのは日本です。
特に3.11以降の景気悪化を受け、他の企業が広告を減らしている中、酒造メーカーだけは広告を増やしました。
以前は、夜10時以降だったテレビCMが、現在は午後6時(まだ子供が起きている時間)から堂々と流れています。

「自主規制」など、どこ吹く風、でしょうか。( ̄□ ̄;)!!

人気俳優や芸能人、一流スポーツ選手を起用し、
「ビールこそ元気の源だー」ヽ(‘ ∇‘ )ノ と言わんばかりのCMが流されている日本ですが、海外ではどうなのでしょう?

フランスでは、アルコール広告は「全面禁止」
アメリカでは、「飲む動作」を入れた広告が禁止
イギリスでは、「元気」や「活力」のイメージ広告が禁止  です。

日本のCMなら、思いっきり違反広告です Σ( ̄ロ ̄lll)

ちなみにイギリスでは、日本の「バカヤロー!」が、「この酔っ払いめ!」だそうです。

~~~~~

大人の人が、”たしなみ”として適量を呑む分はいいと思うのです。

問題は、飲酒行為自体が「目的」の人です。
「ストレス発散」「はけ口」「うさ晴らし」でアルコールにおぼれることは、本人の健康だけでなく、公衆衛生の悪化などの社会問題になります
(特に、若年層、妊婦への影響が大きい)

アルコールによる社会的損失は、少なくとも年に4兆円以上だそうです。

参照:アルコール健康障害対策基本法ネットワーク
http://alhonet.jp/who.html

アルコールは、麻薬に次いで依存性の高い「薬物」です。
一度、アルコール依存症になってしまえば、そこから抜け出すのは非常に困難です。
家族だけでなく周囲にも多大な迷惑をかけてしまい、人生を棒に振る人もいます。

まとめ

・酒造メーカーは、「カネ儲け至上主義
」の営業戦略をやめよ。
・国は、国民の健康
に配慮し、WHOの採択を受け入れるべきである。

魅力的なCMにひかれ、軽い気持ちで手をのばす子供もいるでしょう(私がそうでした)が、その危険性を指摘し、教育するのは、親の役目です。