こんにちは、タロット占い師・守田のり子です。


昨日の続きです↓
「人生全部コメディー!「愚者」について②」


ウェイト版に書かれたタロットの愚者は、
良く見ると、知的で男前な若者です。


しかし、ウェイト版より古いタロット、
例えば、マルセイユタロットの愚者は、
こんな感じです↓




なんと、みすぼらしいオッサン

しかも、犬にズボンを噛まれ、
お尻を出したまま放浪しています。
は、恥ずかしい

そして、服装は、まるでピエロのよう。


この人物は何者なのか



この人物は、『道化』だと言われています。

マルセイル版が出来た15世紀当時、
つまり中世ヨーロッパの時代、
社会は階層社会であり、
職業によるハッキリした序列がありました。

“階層が上の者”=“権力を持つ者”が、
下の人々を支配する社会。
当時、その力関係は絶対のものでした。


しかし、道化はその階級社会には
属していません。
道化は不具者であり、仲間外れ、
序列の外の存在だったのです。


でもそれは、逆に言うと、道化は
ヒエラルキー(社会の階層構造)に属さない、
『特権階級』だったとも言えます。

ヒエラルキーに属していると、
階層が上の人たち(国王や権力者など)に向かって、
文句や批判をいう事が出来ません。

もし言えば、その人は
社会から葬られてしまうでしょう。


でも、道化が何を言っても、
それは笑いの対象、コメディであり、
真面目に受け取る人などいません。


つまり、道化は当時の階層社会の中で、
唯一、どの階層に対して何を言っても、
許される存在だったのです。


続く。



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