ロスタイムの「悲劇」と「喜劇」
サッカーの話題と言えば、昨日のチャンピオンズリーグ「チェルシー対バルセロナ」戦しかないでしょう。
ヒディング率いるチェルシーは、バルセロナの攻めを知り尽くした戦術だったと思う。
ボール支配率70%近いバルセロナだったけれど、チャンスが多かったのは実はチェルシーでした。
バルセロナはリーグ総得点100点で、内エトー、メッシ、アンリの3選手がその7割に当たる70得点を叩き出しています。
更にシャビ、イニエスタのテクニシャンが中盤を支配するも、逆にボールを持たせているようにも思えました。
この超攻撃型クラブをチェルシーは見事に完封したかに見えた。
実際カウンターなどで、ペナルティエリア付近ではいくつかの決定的なチャンスがありました。
しかし、ロスタイム93分、天才イニエスタのエリア外からのダイレクトシュートが右隅に決まり決勝ゴールとなった。
同点ゴールを決めたイニエスタ
しかし、ディフェンス面の脆さ、3つのペナルティ疑惑もあり攻守ともに完璧なマンチェスター・Uを前に課題が残る試合だったと思いました。
スペインで圧倒的な強さを誇るバルセロナですが、決勝までにこの課題を克服して優勝して欲しいですね。
奇跡!?
先日スペインに来た留学生で、スライディングタックルが原因で捻挫が3週間も続き一向に完治しないとのこと。
捻挫は少し良くなったと思ったところでやっても、再発しやすいなど結構厄介な怪我の一つです。
僕自身も数年前に足首の捻挫をしてしまい、1ヵ月はまともにボールを蹴ることができませんでした。
そこで知り合いのスペイン人に紹介されたのが、バルガスという村で自称Miragro「奇跡」と名乗るモグリの整体師。
とにかく捻挫くらいだったら3日で治ってしまうという、ブラックジャック先生のところにすがる思いでお願いすることにしました。
予約の電話で、「もしもし、ミラグロ(奇跡)さんですか?」
すると相手は「ハイ、奇跡ですよ。」
っと自分自身を当たり前のように奇跡と名乗る。
「予約したいのですが・・・」
「予約は要らない直接来てくれ」、ガシャン・・・。
なんとも無愛想な対応で、不安が募りました。
午後教えられた住所に行ってみると、普通の民家の前にズラーっと人だかりができていました。
僕は10人目くらいで一人3~5分といった早いペースで、次々と患者が入れ替わり民家に入っていきます。
少し待つと僕の出番になり、ドキドキしながら畳4畳くらいの狭い個室に案内されました。
ブラックジャックと思われる人物は、歯が無く太ったおばさんでした。
周りには包帯とバンテージ、塗り薬が置いてあるのみ。
早速診察をはじめ、痛い右足首をグリグリとされ、2~3発コキコキと骨らしき音を鳴らされ診察終了。
最後に言われたことが「何もしなくていい。とにかく3日間安静にしていなさい。」
あっけにとられているうちに診察は終り、料金は自分の払いたいだけ払ってくれということ。
たしか2~3千円ほど支払って狐につままれた思いで帰宅しました。
半信半疑の3日間、包帯を取り走ってみると痛みもなく見事に復活。
数年後の今も捻挫が再発することもなく完璧に治っています。
そして昨日再びあの怪しいおばさん宅に行きました。
相変わらず人だかりができていて、診察時間も3分ポキポキ鳴らすだけ。
数年前と変わらない怪しい光景でした。
しかし、最後に言う「3日後の火曜日には良くなっているよ」
っという言葉は、まさに奇跡を思わせます。
もぐり整体師の自宅前
フィジカル・トレーニング講義
いよいよ残り2か月余りとなった、コーチングスクール。
今日からフィジカルの練習方法について勉強します。
フィジカル一つとっても、有酸素、無酸素、有酸素でも年齢別、またはポジションによっても違い、時期なども考え、距離と回数、力のパーセンテージを変えるトレーニングなど細かくあるのに驚きました。
ただ一つ注意を受けたのが、陸上選手とサッカー選手のフィジカルトレーニングは違うとしつこく言われました。
練習を見ていても日本ほどフィジカルトレーニングを行わないスペインですし、フィジカルトレーニングで1日の練習が終わらないというのも大切なんだそうです。
これが陸上とサッカーのフィジカルトレーニングの違いなのでしょうかね。
それでも試合になると、なぜあのようなフィジカルが出せるのでしょうか?
これからこのフィジカル練習方法について詳しく解明していきたいと思います。
あと少しで卒業!
頑張ります!
120%
今日はセミプロリーグと呼ばれている4部の試合を見に行きました。
知り合いの監督(元トレドB5部)が、今年2月頃4部「モーラ」の監督に就任してから7連勝と、5位から一気に昇格圏内に浮上して、今日は首位とホームで対戦する重要な試合です。
対戦相手は中盤に元2部でプレーしていた厳つい黒人や、190センチくらいあるディフェンスなど揃え、いかにも強そうなイメージでした。
一方「モーラ」は中盤にエトーみたいな黒人と、他には160cm台と小柄な選手などもいて、正直勝つのは厳しいだろうなと思いました。
しかし試合が始まってチャンスを何度も作り先制点を挙げたのはモーラでした。
2~3人小柄な選手ながらも特徴をいかしたポジションと攻め方は、サッカーはただ単に見た目の身体能力だけではないんだという事を証明してくれ、結果的に3-1と勝利したのです。
モーラの監督とは昔からの知り合いでたまに飲みに行ったりしたのですが、誰とでも仲良くなるというのが一番印象的でした。
また元サッカー選手でしたが、ハッキリ言ってプレーの方は下手っぴでしたね。
そして引退後はコーチライセンスをとり、2年前トレドBが6部のときに初めて就任し、就任1年目にして5部に昇格させたのです。
この時はまぐれと思っていましたが、今シーズン初の5部リーグで残留をノルマにしながらも常に上位につけるなどスタートからチーム作りは完璧でした。
その采配を高く評価した4部のモーラが今年の2月頃抜擢して、5~6位で停滞気味だったモーラを立て直し、今日の勝利で8連勝とその実力を証明したのです。
彼には特別に優れた戦術・知識・経験があったわけでもありませんが、ただ一つ選手の能力を引き出すのが上手く、選手を暗示に掛けさせる話術を持っていました。
今日の首位とのガチガチの試合で見た光景が、それを思わせました。
プレー中でありながら彼が選手を呼べば、必ずベンチの方まで指示を聞きに来るという神の声を持っているのです。
その指示を受けた選手は暗示にかかったように120%の力でプレーします。
高い集中力と、実力以上の力を出した選手の勢いは、もはや誰にも止めることはできません。
良い選手というのはゴマンといますが、それを100%以上の力で使いこなす監督はなかなかいないものです。
選手が頑張ってもせいぜい80%が限度だと思います。
残り20%は試合前の監督の指示やモチベーションの上げ方、それ以上になると正に暗示をかけるしかないと思います。
知識だけ沢山持っていて、試合前後に長いミーティングを行う監督もいれば、怒鳴り散らす監督もいます。
それぞれ監督が勉強をして自ら経験を積んで得た結果なので、どれが一番良い方法かは答えはないですが、選手の能力を引き出すのも重要な戦術の一つなんだなと勉強になりました。
過激ドラマ
各クラブ色々なドラマが展開されてきたリーグも終盤を迎え、2ヶ月後には天国と地獄の両方を見ることになります。
最終試合を諦める者、余裕の表情で望む者、何が何でもと死に物狂いで戦う者・・・
まさにリーグはドラマです。
スペインリーグ頂点のバルサとレアルのデットヒートは皆知っての通りですが、そのピラミッドの底辺でも同じように壮絶なデットヒートが繰り広げられています。
その一つ僕の地元であるトレド(3部)は2年連続入れ替え戦で決勝まで行き涙をのんできた。
去年のトレドは酷かった。
圧倒的な強さでリーグ優勝して、入れ替え戦でもその強さは抜き出ていました。
決勝ではアウェイで勝って、満員トレドホームで引き分け以上で2部昇格だったのにまさかの負け試合。
選手はじめ、関係者、サポーター皆が一瞬にして天国から地獄へ落ちた日でした。
40試合笑って試合してきたのに、残り1試合で全てが水の泡となる過酷な入れ替え戦。
今年のトレドもぶっちぎりの1位で、いよいよ来月から始まる入れ替え戦にノミネートされました。
トレドは途中スポンサー離れなど、給料未払いなどの問題で3位まで順位を下げた時期もありました。
しかし、終盤何とか持ちこたえて1位独走中。
今季3度目の入れ替え戦。
負ければクラブ消滅、勝てば2部の栄光。
まさに天国と地獄。
今までみたドラマで一番怖いかもしれません。
試合を観に行くのがホント怖いですね。
そしてトレドの下部組織では日本人がプレーし、トレドB4位と1位と勝ち点5ポイント差で昇格を目指しております。
こちらも残り4試合で全勝しなければいけません。
最後に勝たなければいけないプレッシャーは、今まで勝ってきたプレッシャーを全て背負う事になるので、決勝という場面に遭遇した者にしか分からない相当な重圧でしょうね。
是非勝ってほしいです。
ルーゴとピント遠征を終えて
先週から約1週間、ヒューマンアカデミーのフットサル遠征でルーゴ(1部)に行ってました。
毎年恒例となっていて、今回は個人留学参加者と、ヒューマンの団体メンバーで構成。
内容は午前中マネジメントや、クラブの組織についてや練習・試合の分析など講義を受けます。
最終日にはトップの監督から戦術などの講義を受け、非常に勉強になったようです。
その後、2時間のクリニックをして、午後は練習試合を行いました。
今回の遠征では市役所訪問や、議会訪問、ラジオ、テレビ出演などの予定が入っていたせいでかなりハードな日程になってしまいました。
そして、3日間のマドリッド滞在では、鈴村選手が現在テストを受けている、同じく1部(ピント)のクラブ練習に参加しました。
1部の選手に混じっての練習参加はテクニック・スピードともに圧倒的な差を見せつけられましたが、皆貴重な体験ができたことで大変満足していたようです。
「ルーゴ」と「ピント」の監督にそれぞれ今からトップレベルでやっていくには何が必要かを尋ねたところ、いずれも「判断のスピード」を挙げていました。
オフェンス、ディフェンス、個人技全てにおいて「判断スピード」が重要となり、その練習方法も色々と伝授されました。
また個人的にも是非留学したいという声が聞けて嬉しかったです。
取りあえず10日間移動距離も含めかなり疲れましたが、僕自身も凄く勉強になった遠征でした。

フットサル日本代表監督決定!
フットサル日本代表監督に、カハ・セゴビアのミゲルロドリゴ氏が就任しました。
初のスペイン人監督で、その年俸は1000万円を超えるようです。
果たして今後、この金額に見合った成果が出せるのかが見ものですね。
鈴村選手1部「ピント」挑戦!
フットサル・スペインリーグ2部「タラベラ」に所属していた鈴村選手は、今年1月に退団しました。
その後鈴村選手の活躍を見てきた1部所属の「ピント」からオファーがあり、約2か月後の今週からテストを行うことになりました。
既に2回練習試合を行いましたが、まだ一度も練習したことのないメンバーでいきなりの練習試合です。
2ヵ月のブランクを全く感じさせないプレーと、それ以上に仲間とすぐに打ち解ける順応力には驚きました。
これもスペインで長い下積み時代があったからだと思います。
他の選手がミスするなか、鈴村選手は高い集中力と、安定したパフォーマンスで攻守ともに見せ場を作り周りからの評価も高かったです。
まだまだ始まったばかりでテスト期間も分かりませんが、きっと契約をものにすると思います。
是非1部でプレーする鈴村選手を見たいものですね。
フィジカル、技術よりも大切な個人の能力・・
先日の講習会で、「シーズンが始まる前に準備すること」を題材に皆の意見を言い合いました。
勿論中には実際にコーチとして少年達を教えている人もいるので、おおそよ必要不可欠の同じ答えでした。
そして次に「良い選手を見極めるには?」という問いに対して、
高い技術・フィジカルの強さ・戦術の理解などが挙げられ、ごく当り前で差し支えない答えだと僕も思いました。
しかし講師のラウール氏は、良い選手を見極めるには、精神面・心理的に強く、モラルある選手でなければ決して良い選手とは言えないと言ってます。
つまり、いくら高い技術、強いフィジカルを持っていても、極度緊張や叱られて落ち込む選手、私生活でだらしのない者は良い選手ではないということです。
逆にいえばメンタル・モラルがしっかりしている選手は、仲間とも上手く打ち解け、練習への意気込みも強く、高い集中力で技術の成長も格段に違います。
またフィジカルもメンタルが良ければ、怖いなあとか、疲れるなあと思わず、競り合いなどで負けることもないですね。
フィジカルで一つ思ったのが、日本のフィジカルとスペインのフィジカルのニアンスが多少違うと思います。
日本では単純に長い距離を走り続け、足が速く筋力がある選手を指しますが、スペインではプラスアルファ「闘争心」も含みます。
10Kmの距離を早く走り、50m5秒台の俊足、筋骨隆々だけれど闘争心が低い選手と、5kmしか走れなく、50mも平均的、身体も平均だけれど、闘争心が人一倍ある選手であればスペインでは後者が評価されるのです。
「闘争心」=「メンタル」は技術・フィジカルの上に成り立っていると考えます。
このメンタルも鍛えることができ、子供のうちからやらなければいけません。
まさに「心・技・体」です。
どんな競技でも、一流の選手と接する機会があれば良く分かりますが、皆モラルがあり堂々としてますよね。
僕も仕事柄多くの人と会ってきましたが、元一流選手と呼ばれる人などは、最初知らなくてもやはり会って話をするだけで「あれ、何かこの人違うなあ」って思いますもの。
日本とヨーロッパ・サッカーの差は、技術・フィジカル・環境も勿論ありますが、このメンタル面でも格差があるのではないですかね。
日本の忘れ去られている「大和魂」というのがあればきっと強くなる気がします。
でも「大和魂」ってなんでしょうね・・・