120% | スペイン・サッカー珍道中

120%

今日はセミプロリーグと呼ばれている4部の試合を見に行きました。


知り合いの監督(元トレドB5部)が、今年2月頃4部「モーラ」の監督に就任してから7連勝と、5位から一気に昇格圏内に浮上して、今日は首位とホームで対戦する重要な試合です。


対戦相手は中盤に元2部でプレーしていた厳つい黒人や、190センチくらいあるディフェンスなど揃え、いかにも強そうなイメージでした。


一方「モーラ」は中盤にエトーみたいな黒人と、他には160cm台と小柄な選手などもいて、正直勝つのは厳しいだろうなと思いました。


しかし試合が始まってチャンスを何度も作り先制点を挙げたのはモーラでした。


2~3人小柄な選手ながらも特徴をいかしたポジションと攻め方は、サッカーはただ単に見た目の身体能力だけではないんだという事を証明してくれ、結果的に3-1と勝利したのです。


モーラの監督とは昔からの知り合いでたまに飲みに行ったりしたのですが、誰とでも仲良くなるというのが一番印象的でした。


また元サッカー選手でしたが、ハッキリ言ってプレーの方は下手っぴでしたね。


そして引退後はコーチライセンスをとり、2年前トレドBが6部のときに初めて就任し、就任1年目にして5部に昇格させたのです。


この時はまぐれと思っていましたが、今シーズン初の5部リーグで残留をノルマにしながらも常に上位につけるなどスタートからチーム作りは完璧でした。


その采配を高く評価した4部のモーラが今年の2月頃抜擢して、5~6位で停滞気味だったモーラを立て直し、今日の勝利で8連勝とその実力を証明したのです。


彼には特別に優れた戦術・知識・経験があったわけでもありませんが、ただ一つ選手の能力を引き出すのが上手く、選手を暗示に掛けさせる話術を持っていました。


今日の首位とのガチガチの試合で見た光景が、それを思わせました。


プレー中でありながら彼が選手を呼べば、必ずベンチの方まで指示を聞きに来るという神の声を持っているのです。


その指示を受けた選手は暗示にかかったように120%の力でプレーします。


高い集中力と、実力以上の力を出した選手の勢いは、もはや誰にも止めることはできません。


良い選手というのはゴマンといますが、それを100%以上の力で使いこなす監督はなかなかいないものです。


選手が頑張ってもせいぜい80%が限度だと思います。


残り20%は試合前の監督の指示やモチベーションの上げ方、それ以上になると正に暗示をかけるしかないと思います。


知識だけ沢山持っていて、試合前後に長いミーティングを行う監督もいれば、怒鳴り散らす監督もいます。


それぞれ監督が勉強をして自ら経験を積んで得た結果なので、どれが一番良い方法かは答えはないですが、選手の能力を引き出すのも重要な戦術の一つなんだなと勉強になりました。