イーティーズ・プレイスの星空観測行 -8ページ目

イーティーズ・プレイスの星空観測行

岩手の移動天文台、「イーティーズ・プレイス」による、星空と天体の観測記録。 http://www.justmystage.com/home/etplace/


ωは全天で最大、M13は北天最大の球状星団

趣向を変えて、今回は最初に画像を1枚。関東以南に観測に出かけた際に、何度かお目にかかったことのあるω星団ですが、岩手では実ははっきりと見た記憶がありません。それもそのはずで、ケンタウルス座という、東北地方から見ればほとんど南天の星座といっても過言ではないような星座中にあります。北緯40°であれば、南中時でさえ、その高度はわずかに3°程度。内陸にいては、よほど高い山にでも登らない限りその姿を拝むことさえできません。

季節の星座分類では「春」の星座とされ、南中する様子が見られるのは1月末から6月半ばまででしょうか。そして、やっとその時期にさしかかってきた今日この頃、なんとしても「岩手で」見たい欲望に駆られ、沿岸南部に遠征しました。南に海が開けている場所、あるいは標高が高くて南側の視界がよい場所が狙い目です。最初に向かったのは、大船渡市は五葉山の麓、鷹生ダムの展望所です。が、現地についてガックリ。展望所に至る道が全面通行止めです。

とっとと諦めて、陸前高田市へ。元の、道の駅「高田松原」の建物前です。今でも、スクラップと化した多くの車の置き場になっていますが、少々のスペースはあります。「今夜はここ」と腰を落ち着けて、まずは星雲・星団・銀河の観測と撮影など、どころではなく、北風ビュ~ビュ~、西風ヒュルリ~ヒュルリ~ララ~。まぁ、月も残っていることもありましたので、しばらく様子見と相成りました。

やっと21:00頃から風が弱まり始め、いざ望遠鏡を設置して観測態勢に入ります。ほぼ予定通り、順調に次々と目的の天体を導入してはカシャカシャと、もう機械的に撮影、そして処理。天候は、ほんの1時間ほど軽く雪が舞った程度で、ほとんど終夜「晴れ」といってよいほどです。今回HPに追加した画像の一部がこれ。


「銀河」シリーズ


「星団」シリーズ


そして、「メシエ天体以外」シリーズ

さぁて、いよいよケンタウルス座の頭が見えてきました。しかし、出ているはずのω星団は肉眼では全く確認できません。望遠鏡頼みです。試し撮りをしたところ、大気を通ってきた赤い姿がボンヤリ写っています。高度は・・・まだ3°程度でしょうか。ここは北緯39°ちょうどで、それでも南中高度はせいぜい4°止まりです。が、この1°の違いが大きな違いを生むわけで、ついに岩手でとらえた大球状星団でした。次は是非肉眼でも確認したいものです。

「ω」とは、星につけられる記号です。星座ごとに、基本的には明るい順に(例外もあります)α、β、γ、δ・・・とつけられていきます。たとえば、さそり座(自分の誕生星座なので)のα星は「アンタレス」というふうになります。ギリシャ文字24の中で、オメガは最後ですが、古人が、星団だと気付かずに、1個の星だと思って記号を割り当てたもので、星団となってからも、そのままの記号で呼ばれています。

そんなこんなで、05:00近くまでねばってから、ISS撮影のために再び鷹生ダムを訪れました。展望所の反対側の駐車場から、ダムを歩いてわたり、五葉山を見渡す位置でカメラを構えて待ち構えます。通過予報時刻は、05:42~05:44、北→北東の低空(予報高度16°)ですが、ちょうど山の稜線に沿って見えるはずです。日の出1時間前ですので、薄明がギリギリ始まる時間帯、写しようによっては空がほんのり青く描写できそうです。結果は、


わずか40秒のみ

薄明が本格的に始まる前、ISSの光跡は雲に吸い込まれ、その雲の動きとともに山の背後に消えていったのでした。全天見渡しても、雲がかかっているのはこの一角のみ。山はホント、難しいです。ダム湖(「五葉湖」)にはほぼ全面に氷が張って、橋の照明を映していて、それはそれできれいな眺めとなっています。すぐ近くには温泉施設があり、けっこう流行っている様子。今度の遠征時にでも一風呂試してみましょう。

それにしても、沿岸部も寒いです。06:00時点で-7°ほどです。ところが、一歩内陸に入ると、これまたおもしろいように(?!)どんどん気温が下がっていきます。住田町で-12°、遠野市宮守町ではついに-18°(車内表示です)に。盛岡も10°ぐらいまでは下がったようですが、まだしばらく続きそうです。家の中の水道は、今のところ2/5(40%)が凍結状態・・・。

最後に、ωついででもう一つ。もう20年近く前になるでしょうか、ギリシャ文字(アルファベット)を憶えようとして、自己流の語呂合わせを作ったことがあります。【αβγδε/ζηθικλ/μνξοπ/ρστυ/φχψωの24文字】今思い出しても恥ずかしいもので、どうしもそっち(あっち?こっち?)系になってしまい・・・本邦初公開。「アベガデタイ/ゼッタイシタイカラ/ミニクシオッパイ/ファイカップサオメーガ」読み方と解釈はご自由に。お粗末様。
23日の新月から三日目、ということはもちろん三日月。ここしばらくは、毎月末あたりに月と金星が接近します。1月は比較的「ゆるい」接近で、離角は約7度といったところ。月の直径が約30′(1°の半分)ですので、月と金星の間は、月(満月)14個分という、だいぶ離れた接近となります。2月以降はかなり近づく月もあり、その中で6月には日面通過、8月には金星食と、今年は金星が大きな話題を呼ぶ年です。

月没が20:00ということもあり、接近の様子だけを見るのであれば十分な高さで楽しめるのですが、風景とともに撮影となると、だいぶ暗くなってからのことですので、少々苦労しそうです。内陸もまずまずの天気が予想されてはいましたが、ここは思い切って一本松(陸前高田市)へ。満月の出を撮影して以来ですので、ほぼ半月ぶりのご対面です。


これは満月の出の比較明合成。300mの距離から100mm望遠

16:00前には現地到着。近くの駐車場であれこれ準備していたところ、大きなワゴン車が入ってきて、中から出てきたのは若者8名。ナンバーを見ると「尾張小牧」です。ボランティアでしょうか、それとも旅の途中でしょうか、寒風吹きすさぶ中をそろって一本松へと向かい、早々に体を縮こまらせて退散しました。こちらは、これから出動です。

この日の月没の方角(角度)は、北から西方向へ93°、金星は99°です。東や南の方向であればかなり融通の利く場所ですが、西方向はけっこう厳しいものがあります。松の木の真下か、堤防を進んだ場所しかありません。しかもぴったりの角度で撮影できそうな場所は・・・残念ながら海の中です。それでもギリギリ海面付近まで寄ってカメラを設置しました。木の真下でもいいのですが、木の大きさに比べて月が小さすぎます。三日月の地球照もくっきりと描写したいところですので、少々の望遠が使える距離まで下がって撮ります。木の全景用に55mm、木のアップと大きな月をねらって100mmと、二台での撮影としました。露出は地球照に合わせたところ、やはり木は暗くなってしまいます。画像処理で何とか、ということで、動画作成も視野に入れてどんどん連続シャッター。


100mm望遠での撮影。だいぶ離れています


画像処理でどうにか肉眼で見たイメージを再現


比較明合成するとこんな風になります

月と金星の間がけっこう離れていますので、理想的には一本松をはさむような形で沈んでいく画が欲しいところ。が、やはり予想どおり、狙ったアングルのちょっとだけ南寄りに没していきました。あと5°ほど北寄りに沈んでくれればぴったりでしたが、こればかりはしょうがありません。こちらが10mほど北寄りの場所で撮影しても同じですが、前述のとおりそこは海のど真ん中ですので何ともなりません。

一通り撮影後、ちょっと移動して望遠鏡を設置し、星雲・星団・銀河の観測と撮影に移行。東~南の空は比較的澄んでいますが、北~西は急にモヤモヤしてきました。湿度が相当高く、月明かりがなくて分かりづらいのですが、どうやら雪雲が迫ってきています。翌日の未明、北のごく低空ながら、ISSの通過が見られるはずですが、はたして。一本松の前ではオリオン座の南中にあわせて、無人カメラで撮影中です。


ちょうど南中の時間には木の真後ろ。左下にはシリウス

夜半前には、とうとう雪が舞い始めました。一旦望遠鏡にはシートをかけて待機です。放置したカメラは・・・けなげにシャッターを切り続けていましたが、木の背景は分厚い雲だけが写っていました。そのまましばらく様子を見ましたが、天候は回復せず、寒さにも耐えがたく、どうも中途半端な形で撤収と相成りました。

帰宅後、億劫にならないうちにと思って、画像処理に集中。あわせて、HPの「メシエ天体」のページのレイアウトも変更し、少しばかり見やすくなったのではないかと。これから画像をどんどん追加していく予定ですので、あまり大きいとスペースを取りますし、小さいと見づらくなり。そこのバランスをある程度考慮しての変更です。


検討の結果、このような形に

陸前高田市、行くたびに海が徐々に広がっているような気がします。地盤沈下のせいもあるでしょうし、海(波)が陸地を浸食してきているのかもしれません。国道45号線をはさんだ低地にはかなり海水が入ってきています。潮が満ちてきた時には、道路と海面がほぼ同じ高さになっていて、走っていて怖い思いもします。これからどんな形で復興していくのか、地域住民の意見や要望はうまくまとめられるのか、地元事情には詳しくない私でも、以前から何度も訪れている場所でもあり、やはり気になります。
1月23日16:39、今年最初の新月の瞬間です。新月の日は、もちろん月は全く顔を出しませんので、日没後の薄明が終了すれば、明け方の薄明が始まるまで完全な暗夜となります。もちろん、人工光のない場所での話ですが。そういえば、10年くらい前から、ここ岩手でも完全な暗闇の中で、心おきなく天体観測ができる安全な場所って・・・ほとんどなくなりました。

「大寒」の名のとおり、内陸地域は再びの真冬日の連続となりそうです。それに伴って、曇りや雪まじりの天気予報がしばらく続きます。こういうときは、沿岸は乾燥して晴れる日が多くなります。ただし、北~北西の風が吹きつけることは覚悟しなければなりません。海も荒れ模様です。

この時期は、冬至からはだいぶ日にちが経過したとはいえ、夜の時間がまだまだ長く、秋の星座が沈む早い時間には冬の星座たちが南中しており、それらが西に傾きかけた頃には春の星座、そして朝方未明には夏の星座まで顔をそろえてきます。寒さにさえ耐えられれば、じっくり腰を据えて、ほぼ一年分の星空を堪能することができます。

しばらく前に、HPの整理をする(不要な、あるいは人に見てもらうには不出来な画像をバッサバッサと削除)ことで、容量にやや余裕ができ、「メシエ天体コレクション」のページを追加しました。撮りためた写真もありましたので、「星雲」「星団」「銀河」「M天体以外」と分類し、小望遠鏡でも見える、撮影できるものに絞って掲載しております。そして、今宵も画像を追加すべく、狙いを絞って、そして再撮影も試みながらの一夜と相成りました。


M天体だけではないのです

星雲・星団・銀河の撮影が中心とは言っても、他にも見ものが盛りだくさん。その中でも、見やすい四惑星が一晩で見られます。比較のために、同倍率で並べてみました。明け方には話題のガラッド彗星が6等台にまで明るくなってきて、真っ暗な空ならばそろそろ肉眼でも見えそうなほどです。実は、望遠鏡のファインダーで探していた時に、一瞬ですがM92球状星団を彗星と勘違いするところでした。M92は5等星クラスですので、そこまで明るくなっているはずはない、とすぐに判断した次第です。もっとも、ガラッド彗星とM92は、2月3日にかなり近づきますので、こちらも見逃すわけにはまいりません。

さて、合間に惑星や彗星などを観測・撮影しながらも、メインの星雲・星団・銀河は着々と、次々と視認しては撮影、もう機械的です。もちろん、すべてのコマが採用というわけではありませんし、見栄えのしないものや、強風によって乱れた画像などはボツとなります。今回追加した主な画像は以下のとおりです。


銀河


球状星団


散開星団


惑星状星雲

銀河系には、そして大宇宙には、文字どおり星の数ほど、そして数え切れないほどの星雲・星団・銀河が浮かんでいます。月や惑星ももちろんですが、これらの天体は何度見てもわくわくします。自分の、そして地球と人間の現在・過去・未来を垣間見ているような気持ちになり、生命が存在していることの理由と命の来し方行く末を考えるヒントになるのでは、といつも思っています。

話変わって、25日は二日月、26日は三日月ですが、地球照の月が沈んでいく光景をどこかで見たいもの。特にも、26日には月のそばに金星が輝いていて、そろって地平線・水平線に沈んでいくところが見られます。月没が20:00頃と、暗くなってしまいますが・・・。天気から判断して、やっぱり沿岸でしょうか。そうなるとやっぱりあそこしかないんです。
16日に下弦となり、月の出が夜半を過ぎてくるとともに、岩手県内陸地域にも晴れの日がやってきました。ただし、各種予報とは(ちょっと)違って、夕方から深夜までは曇りやボンヤリした空模様ばかりで、スッキリとした晴れ間・快晴は3日とも午前3時を過ぎてからという、何とも中途半端というか、罪作りというか。

17日の観測も、実際は16日の日没とともに出かけたもので、HP用に星雲・星団・銀河を撮影することが最大の目的でした。南の方が晴れの可能性が高い予報でしたので、矢巾~紫波~花巻、と移動しましたがずっと曇りでしたので、花巻~矢巾、そして再び矢巾~紫波と、もうさまよいっ放し。やっと星が見え始めたのは17日の午前3時頃から(ただし雲が次々に湧いてくる状況)です。結局、目的の画は1枚も撮れず。紫波で唯一雲間にとらえたのは、・・・。


下弦の月、土星(左)、スピカ(右)による「にこにこトライアングル」

未明、ISSの通過が予報されていましたので、急いで盛岡の岩山へ移動。日本海から東北・北海道上空と、久しぶりにほぼ直上を航行するため、南西に見え始めたISSはまっすぐに駆け上り、頭上をとおって北東方向で見え終わりです。が、肝心の南西には厚い雲がかかっていて、その動きも複雑です。通過時だけ、一瞬でも晴れ間が出ることを祈ってシャッターを切り始めました。幸い、-2.2等級のISSの輝きは雲を通して十分に見える(写る)ほどでした。


盛岡市街上空、左(の下)の赤い星は火星

同日の日没直後、紫波と決めてお出かけ。絶対移動しないぞ、と覚悟して。が、深夜までどんより。夜半過ぎからポツリポツリと星は見え始めるのですが、薄い雲が空一面です。天気の分類的には「晴れ」なのでしょうが、こちらの望みとはかけ離れています。そして、スッキリとなるのはまたしても午前3時頃からで、下弦過ぎの月が出てきてしまいました。それでも、いくつかの銀河は意地で(?)撮影。


いくつか(多く)は再撮影となりそうですが

ISSは、北東から東に通過予報でしたので、「野村胡堂・あらえびす記念館」駐車場にて迎え撃ち。月明かりが不足していましたので、やむをえず高感度・長露光での撮影です。ノイズ処理なしでの連写ですので、どうしても「熱カブリ」が出てしまい、画像処理後は、こちらもやむを得ず少々のトリミング。


胡堂は岩手出身の作家・音楽評論家で「銭形平次」の生みの親

さて、第三夜。天気予報では、晴れ出すのは19日午前3時過ぎとなっていましたので、もう慣れたもの、深夜に雲が動き出すのを確認してからの出発です。目的は、ISSと、白昼(08:00~10:00)に起きる「さそり座δ(2.3等星)の星食」の撮影に絞りました。観測地は網張(雫石町)周辺。

期待通りの快晴です。星食観測のためには、暗いうちに望遠鏡を設置・調整しておく必要がありましたので、4時頃には完了、した直後、除雪車が動き始めまして・・・。迷いましたが、運転士さんにお願いして、自分の周囲だけよけてもらったら、雪上の孤島みたいになってしまいました。お礼に、望遠鏡で月を見ていただきました。喜んでいただけたと思いますが。


ロンギヌスの槍?

ISSの撮影のために一旦現地を離れます。すると今度は道路の除雪車が・・・。近づいてくるキャタピラの音にドキドキ・ハラハラしながら、大急ぎで用を足す時のような感覚です。アングルの工夫がもう少しあってもよかったかもしれませんが、北極星の下を通った光の矢が岩手山にグサッ、というイメージはとらえられたようです。

未明、休暇村網張の宿泊客でしょうか、散歩中に声をかけてくれた方がいらしたので、望遠鏡で月をご覧いただいたところ、「逆さまに見える!」と驚いて、感動(?)されたようです。ところが、「これから形が変わっていくんですか?」との問いに、今度はこっちがビックリです。どうやら、月は毎日太ったり痩せたりを繰り返していると思っていたようです。実は、世の中にはそのように信じている人って、意外に多いのかもしれません。


思わず手を合わせたくなるような、早池峰山からの日の出

さて、08:00になり、そろそろ星食の撮影態勢へ。肉眼では、もちろん全く見えず、慣れていないと月を見つけるのも困難なほどの晴天。白昼観測は、日食を除けば、数年前のアンタレス食以来ですので、すっかり感覚も忘れています。カメラモニターを確認しながら、とりあえず撮影開始、露出は1/500秒で。ところがやがて、日差しで体も温まり、スキー場のリフトが動き始め、快晴の青空の下で見る情報量が多すぎて、撮影がどうもお座なりに。

終わり頃になって、望遠鏡の動きが遅い(実は止まっていました)気がしたのですが、まばゆい明るさの中での錯覚だろう、などと思い込んで、しかもモニターの確認も怠ったまま撮影を続けてしまうことに・・・。駆動用バッテリーが消耗して途中から切れていました。撮れていたコマでも、日が高くなるにつれての露出過多が目立ちました。「(バッテリーは)充電したはず」「(望遠鏡は)動いているはず」「(モニターは)確認したつもり」などの初歩的ミスが重なって、せっかくの機会はおじゃんに。


あれこれ画像処理したらこんなことに(月の左下のポッチ)

それでも、写ったコマを活かしてどうにか動画作成を、と試みましたが、現在の自分の技術では、満足のいく(人様に見せられるような)画像処理は、残念ながらできませんでした。まぁ、同じような現象が数年内には起きる「はず」ですので、今回のような失敗を繰り返すことはない「はず」です・・・。
2012年初の満月の瞬間は1月9日16:30です。大きな月を背景にして、一本松の威風堂々とした立ち姿を記録しておきたい、と思い、シミュレーションを兼ねて前日の8日に現地入りしました。8日の月の出は15:34、月の出の方角(角度)は、真北から東方向に62°です。9日は出が16:35、角度が65°ですので、方角の見当がつけられそうです。

望遠レンズか望遠鏡の直接焦点で、できれば木の枝ぶりと月が同じくらいの大きさ(広がり)で描写できればベストですが、そのためには少なくとも500m、できれば1kmぐらい離れた場所から撮影したい。しかし、それは地形的に不可能な話で、気仙中学校裏の堤防に上がった、距離にして約300mほどのところが限界です。8日は300mmレンズで撮影してみましたが、バランス的にどうも中途半端。


15:55撮影。空が明るく、月もボンヤリしています

手持ちのレンズは100mm~300mmのズームと500mmの67カメラ用望遠レンズです。カメラは二台ありますので、ズームレンズの焦点距離をどこに設定するか悩ましいところです。また、500mmだと枝の部分が画角からはみ出しそうで、これも撮ってみないと分からない。この日はここまでとし、夜間は比較明撮影へ。

かなり強い風が北~西から吹きつけていて、雲が出やすい空です。最初に出向いたのは箱根山展望台で、広田半島から唐桑半島方向を望んでの撮影です。開始直後から、西から延びる雲が南に広がってきます。雲のたまり方から見てここは無理そうです。北の方角が晴れていて、時間もありましたので、大槌町の船越湾、タブの大島方向を撮影に向かいました。しかし、ここも雲の流れは消えず、しばらく撮影はしたものの、作品にはならず。



この夜はこれで万事休す。大船渡まで戻り、やむなく現地車中泊となりました。完全冬装備の服装で寝袋入り。十分暖かく快適です。翌朝、散歩がてら、碁石海岸の遊歩道を、碁石岬から赤土倉まで、アップダウンの山道を数キロ歩いてみました。厚着してこれだけ歩くとけっこう汗ばんでくるほどです。碁石埼灯台~大浜~椿園~赤土倉まで、被写体になりそうな風景が続きます。

さて、時間は経過し夕方に。月の出にあわせてカメラを設置し、待ち構えます。風もなく快晴、最高の状態で初満月を迎えることができそうです。月は、予想通り、山と山の間、一本松のシルエットがちょうど浮かび上がるところから出てきます。木を写そうと思えば月は丸くは写らず、月を丸く描写しようと思えば木は暗くて写らず。ここは月メインでいくこととしました。二台のカメラの違いを際立たせるために、ズームは100mmとし、松の木全体が収まる画角に設定。500mmは、辛うじて枝全体が画角に収まり一安心。





動画撮影(微速度動画)を兼ねていましたので、二台のカメラを行ったり来たり、こっちのシャッターを切ったらすぐにそっちへ、そっちが終わったら即こっちへ、の繰り返しが一時間ほど。途中、露出を変更したりでバタバタでしたが、どうにか無事に撮影を終了しました。その後は、前夜断念した場所を含めて比較明撮影。まずは箱根山。


今見ても凄まじい光景です

次に大船渡市の碁石海岸へ。ここで、急に西から雲が出てきて、南を通過して東の空に消えるまでたっぷり二時間ほど。予定より大幅に遅れて碁石埼灯台の撮影。結局、ここでの時間のロスが響いて、間もなく気力・体力の限界を迎えることになります。穴通磯の再撮影まで予定に入っていましたが、またの機会ということに。


白亜のすてきな灯台です

帰路、海岸から数キロ内陸に入ったとたんに本格的な雪降り!は、紫波までずっと続きます。あっという間に道路は真っ白になり、気温も下がって所々凍結が始まっています。あの快晴は夢だったんじゃないかと、本気で思うほど。沿岸では、椿が咲いているというのに・・・。
謹賀新年。毎年恒例の天体観測初めは、4日頃に極大を迎える「しぶんぎ座流星群」です。現在は、公式の星座としては存在しないものですが、流星群の名称としては正式に採用されたものです。極大は4日16:00、しかもこの群は極大が鋭い(逆に言えば、極大をはずれると出現は激減)こともあり、多くの出現は期待薄です。

何とも(日本時間では)中途半端な時刻での極大ですので、月明かりのない4日と5日の未明での観測を計画しました。場所は、この時期の好天と言えば当然沿岸部ということになります。GPV気象予報(最近の信頼筋)とにらめっこした結果、4日は普代村~田野畑村あたり、5日は陸前高田と決定。

3日夕方に出発し、普代村の黒崎に到着した頃は雲が多い時間帯。予報では23:00頃から雲量が減り始め、未明にかけては快晴が広がるはず。月没が02:00頃でしたので、それまでに周囲の景観を撮っておきたいところ。南天の雲が少なめでしたので、くろさき荘の裏から展望台に下りてアンモ浦を撮影してみましたが、やはり小さな雲が湧き続ける状況で、比較明撮影は断念。


これが雲が最も少なかったころ。断崖絶壁。

月明かりがわずかに残る中、北天が快晴状態になってきましたので、「北緯40度シンボル塔」へ。村内を北緯40°の緯線が通っていますが、碑そのものは、カーナビのGPS表示では北緯40°00′24″ほどです。一晩中街灯に照らされておりますので、塔の影に入っての撮影です。近づくと地球儀が回るらしいのですが、日中に来たことがありませんのでww、どんな風になるのかは目撃したことはありません。夜間には何度か来ているのですが。


スッキリ快晴、75分間撮影。

月が林の向こうに沈んだ02:00過ぎには完全な快晴の夜空が広がっています。「それらしい」流星がすでにいくつか流れています。輻射点(りゅう座の一角)が徐々に昇ってきて、コンディションは整いました。カメラを向けたのは、北斗七星としし座の方向で、流星は左から右で下から上という狙いです。中速~やや高速の、かすかな流星は出るのですが、カメラ写りのよさげなものはついに現れず。


左の北斗、右にしし。

4日は現地にて車中泊。夜から5日未明にかけては陸前高田の予定でしたので、午後になってから、45号線を南下します。山田~大船渡を通のは、実はあの日から10ヶ月経ったこの日が初めて。見るのが怖くて、どうしても足が向かなかった地域です。いろいろな映像や画像をとおして分かってはいても、実際に目にする光景は・・・。

夕方の陸前高田市は、晴れてはいますが、強風が吹き荒れています。18:00頃には西の低空をISSが通過しますので、「ISS初め」を兼ねて一本松へ。通過の1時間ほど前には空は完全な曇へ。30分前から徐々に晴れ間が出てきて、雲間をとおる光跡を何とか捉えました。通過の1時間後には快晴状態になるのですが、タイミングがどうも・・・。


15秒露出の10コマを合成・トリミング

流星群に備えてしばらく待機しましたが、風が治まる気配もなく、というよりもますます強くなり、車が揺さぶられるほどです。天気はどんどんよくなってくるのですが、風を遮るものもない吹きさらしの場所ですので、ここは移動。が、遠野に入ったところで、現地(一本松)にファイル(いろいろなデータや記録)を置き忘れてきたことに気付き、やむなくUターン・・・。

風は変わらず、外に出るのもためらうほど。月没を待って、仮眠としました。02:00を過ぎ、月が傾き始めた頃に意を決して撮影モードに。風圧で重くなっているドアを開け、駐車場所から歩いて向かいますが、北~北西から吹きつける猛烈な風に体が持って行かれそうな、台風並の悪条件。三脚を低くして、石のおもりをつけての撮影です。東の空にはおとめ座が昇ってきており、スピカと土星が並んでとても綺麗です。


かすかな流星がいくつか

風に背を向けながら、ほぼ東の空だけを見ていましたが、マイナス等級と思われる「大」が2個流れ、これは残念ながら画角外。それでも、しぶんぎ群を「出た!見た!」と実感したのは久しぶりです。15年ほど前に、静岡県御殿場市にて、富士山に突き刺さるように出現した火球を目撃して以来です。この時期、オリオン座が完全に沈んだ明け方近くには、すでにさそり座が顔を出し始めます。


右下の赤い星がアンタレス(さそり座α)

一年の運試しでもあるしぶんぎ座流星群でしたが、出現・撮影こそイマイチではありましたが、天気がよかった(強風の中でも)こと等もあり、総合的には「吉」といったところでしょうか。今年は見逃せない天文現象が年間を通して目白押しで、それぞれに備えてこれからあれこれとシミュレーション。さしあたっては、一本松撮影の新たなアイディアが満月の夜に。快晴を願う。
どの天気予報を見ても、岩手県内陸は毎日が雪模様、沿岸地域は晴れベースで推移するという、典型的な冬モードの天候になりました。盛岡でも、日中は日が差すものの、夕方になるとモクモクと雪雲が湧いてくる日々。くっきりとした岩手山もしばらく見ていませんねぇ。そして何より・・・さむい!!「寒さ」と「痛み」にはめっぽう強い私ですが、やっぱり寒いものは寒い。もちろん、余裕で耐えられますが。

沿岸部は、晴れてはいてもこちらはこちらで強風注意報・警報と乾燥注意報が出っぱなしの日々。それでも晴れているのなら、ストレスをためて寒さに耐えるよりは遙かにまし。ということで、晴れが最も期待できそうな沿岸北部へ。ISSが北の低空を通過する姿も見られそうなので、画になりそうな場所ということで、普代村の黒崎まで足を伸ばしてみました。


漁火が雲に反射して海を照らしています

通過時刻の直前までは、西~北~東まで、筋状の雲に覆われ、低空は黒い厚い雲が広がっている状態でした。ISSの予報最大高度(仰角)が18°でしたので、半ば諦めかけましたが、20~30分前頃からすぅ~っと雲が流れ始め、わずか2分弱ではありましたが、その姿を収めることができた次第。上空のISSの光跡と、海に浮かぶ、港に帰ろうとする漁船の光跡が対照的な画になりました。

その後もしばらくは雲が出たり消えたり、消えたり湧いたりの繰り返しで、なかなかスッキリとしない状態が続くのですが、やっと20:00頃になって西の空から快晴の空がやってきます。特段の見ものがあるわけではないのですが、何度も見ている星雲・星団のあれこれ、銀河のそっちこっちなどを気の向くままに観測し撮影する。こんな時間も必要です。

快晴とはいえ、警報のとおり、西からの風が強烈です。周囲は林に囲まれているのですが、西風の通り道だけがポッカリと開いていて、そこから強さを増したような風が吹き込んできます。車を風よけにしても、完全に防ぎきれるものではありません。眼視は問題ないとしても、この強風では、頑丈にできている望遠鏡の鏡筒も揺れて、撮影は困難です。


突風にやられてこの通りブレブレ

それでも、風が弱まった隙を狙って撮った何枚かは採用決定。今回は、散開星団を中心に観測してみました。「星団」というものはどれも似たり寄ったりでそれほど特徴もないし、じっくり見ても面白味に欠ける対象、と考えた頃もありましたが、よ~く観察すると、それぞれの個性があって、並べてみると実に興味深い天体です。散開星団も球状星団も、いろいろな「顔」があって、もしかするとその中に文明を謳歌している異星人が暮らしているかもしれませんし。


こんなに近くに3つの星団が並んでいる景色も珍しい

深夜近くになり、強風とともに、西から雪片が運ばれてきます。上空は快晴のままですので、わずかに内陸に入ればきっと雪になっているのでしょう。少し雲も出てきた頃を潮時として、撤収。乾燥した空気で、顔面や唇がパキパキした感じです。寒さ対策は・・・ミッチリ着込んでいますし、広い駐車場で誰に気兼ねすることなく走ったり踊ったりすることで、体を温めることもできます。

帰路、予想通り、数キロ内陸に入ったあたりから雪が舞い始めました。そして、盛岡市玉山区の薮川~岩洞湖周辺~外山は、時折一時停車せざるを得ないほどの激しい地吹雪です。除雪車が深夜にフル稼働しているようで、心から感謝です。でも、二往復ぐらいしないと間に合いそうにないほどの降り方でした。峠を下って市街地に入ったとたん、ほとんど雪が積もっていないことを見てびっくり。04:00前には床に入り・・・目覚めて・・・外を見ると・・・雪が・・・。やっぱりね、そういうことですか。
今年最後の天体ショー「ふたご座流星群」がやってきました。極大の予報日時は15日02:00と好条件ながら、その前後には月齢18~20の太った月がふたご座~しし座を移動します。差し引きでは圧倒的にマイナスの、ほぼ最悪条件です。それでも、毎年の風物詩ですので見ないわけにはいきません。天気予報をあれこれ見ながら観測地を探します。

ふたご群は、極大を過ぎると一気に出現数が減りますので、できれば13~14日と14~15日の二晩観測できれば最高です。13日夜の天気は、気象庁の予報で終夜晴れそうなのは沿岸南部のみ。ここは迷うことなく陸前高田市の一本松へ。西天の微速度撮影も兼ねて、日没前には到着。長時間撮影になるはずですので、駐車場所から、バッテリー充電用の電源も携行しての移動です。大荷物を抱えて、時折よろよろしながら海岸の砂地へ。

19:00前には月が昇り始め、周囲はあっという間に明かりに包まれます。肉眼ではある程度見えそうですが、よほど明るい流星(1~2等星級以上)でなければ写真は無理そうです。それでも、ふたご座が昇り始めて20:00を過ぎたあたりからポツリポツリとそれらしい流星が出始めました。西~北を中心に見ていた22:00台には、肉眼では10個程度と、まずまずの出現状況でした。ところが、23:00台になると雲が出始め、00:00頃には星がほとんど見えなくなってしまう状態。気温はずっと-3度程度で、何となく体調も思わしくなく、翌日の極大に希望を残しながら途中リタイア。またしても、○○庁の「晴れ晴れ詐欺」にしてやられたか・・・。


写真ではかすかな光ですが肉眼では結構な見もの

微速度動画:一本松西天(YouTube)を見る

明けて14日。岩手県内の天気は荒れ模様で、広い範囲で夜遅くには雪が降り始めそうです。「GPV気象予報」によれば、どうにか晴れそうなのは沿岸北部の狭い範囲のみ(気象庁はずっと曇を予報しています)。10日の皆既月食観測で田野畑村の北山崎に行ったばかりですが、ここはもう一度賭けてみる価値あり。流星観測前に、以前から撮りたかった景色があって、途中立ち寄って撮影しました。やっと快晴の星景に恵まれ、田野畑の海岸線の絶景を収めることができた次第。


右端の建物は「羅賀荘」照明はもう戻らないのでしょうか

やって来ました北山崎。月食の時には先客がいましたが、今夜は広い駐車場には私一人。計画通り、駐車場では、赤道儀を設置してガイド撮影、展望台では固定撮影の二本立てです。月明かりをなるべく避けたいのですが、画を考えてオリオン座を端に配置し、おうし座・ぎょしゃ座が入るアングルで。先の、海岸線撮影を行っていた20:00台には、西~南西の端に至る、超長径路の流星がいくつか見られましたので、極大に向けてどんどん出現数が増えていくのではないかという大きな期待がありました。

展望台に立ってまず目に入ったのは、昇り始めた月齢19の月と、沖にズラリと並ぶ船の漁り火です。イカ漁でしょうか、月の光に負けないほどの煌々とした集魚灯です。あの灯りの下で働く、海に生きる一人一人に思いをはせ、猛烈な感動・感激を憶えた瞬間です。ただ、思い返してみると、数年前にやはり同じ場所でふたご座流星群を観測した時には、もっと多くの船が出ていて、展望台を真正面から照らす灯りにまぶしさを感じたほどでした。


画角右端にシリウス、中央はプロキオン

固定撮影用カメラを設置して撮影開始。何度も来ている、広々とした板張りの展望台・・・思わず寝転がってそのままあっちこっちゴロゴロしてみました。とても日中にはできないことですが、想像以上に気持ちいいものでした。空間を独り占めした気分で、大地・海・空が自分の中で一体化したような高揚感です。あの漁り火の数々に鼓舞されたのかもしれません。

肝心の流星群ですが、14日のうちは低調、日付が変わった00:00~01:00台になってやっと「群」らしい出現になりました。それでも、(全天を見ていたわけではありませんが)感覚的には1時間当たり20個程度でしょうか。月がなければ、たぶんその4~5倍は見えたはずです。肉眼でこうですので、写るのはその数分の1です。何コマかを、HP用にまとめたものが以下のものです。


オリオン座はガイド撮影、北山崎は固定撮影


左が「緑流星」ともう一つを合成したもの

極大時刻あたりにはめっきり数も減り、「終わりかな」と一時思いましたが、ここ数年は大きめの流星が極大時刻の少し後で出る傾向がある、という記事を思い出し、もう少しねばってみることにしました。そのとおりに、03:00を過ぎてから明るめの流星がいくつか見られました。その中でも、03:09に南東に出現した流星は、途中から青みがかった緑色に変わり、最後の方は線香花火のようにパチパチしながら消えていきました。残念ながら画角のわずかに上での出来事でしたので、写真に収めることはできませんでした。悔しさをこらえていたら03:43再び緑の流星が。水平線近くの低い位置でしたが、明らかに色が違います。


緑流星のコマをトリミングしたもの

これまでに、(たぶん)数万の流星を見てきましたが、こんな色の流れ星は始めて見ました。肉眼では白い閃光に見える流星も、写真では、赤やオレンジ・緑など、虹色成分の光りで写ることは普通ですが、肉眼で見ても明らかに緑色というのは珍しいのではないでしょうか。あれこれ調べてみましたが、(おそらく)大気中の酸素成分が多く発光した結果ではないかと思います。いろいろな条件がそろわないと見られない現象ではないでしょうか。いいものを見た(それも立て続けに2個)ということで、記憶と記録の両面でまずまずの結果でした。

流星群ですが、来年は主な群の極大はほとんど好条件で見ることができそうです。月齢と極大時期の関係でそうなるのですが、ふたご群も最高の条件で、1時間当たり200個を超えるのではないかと、今のうちからわくわくです。条件のよい流星群だけでなく、金環日食、金星の日面通過、金星食、木星食、これらのすべてが日本にいながらにして来年1年のうちに見られる天体ショーです。半年や1年、あっという間です。
何日も前から、毎日毎日何度も天気予報(週間天気)をチェックし続けたのは、2009年の部分日食の時以来かもしれません。それほど待ちに待った天体ショーが目の前でくり広げられるからです。それは、「皆既月食」。月食そのものは年に数回必ず起きますし、皆既についても毎年最低でも1回は見られます。ただし、月の出には食が始まっている「月出帯食」や欠けたまま沈む「月没帯食」が多く、食の全過程が、好条件で見られるのはほぼ10年に1回です。

前回は2000年7月で、もちろん観測・撮影しましたが、現在のようなデジタルカメラのない時代、フィルムによる撮影で、適正露出は手探り状態のまま、一度の何コマも撮影して何本もフィルムを消費した記憶があります。当時はそれでも、それなりの画像に仕上がったものと満足していたものです。機材やソフトの発達には、天文の世界でもほんとに驚きです。画像や動画の処理・作成が自分の机の上でできるなんて・・・。

さて、当日の天気はと言いますと、岩手県内陸は「曇時々雪」という、最悪の予報です。沿岸地域も、肝心の皆既の時間帯に雲が広がる予報がほとんどの中、TVIとYahooのみが終夜晴れの予報を打っていました。天気予報に関しては、失礼ながら日頃あまり信用していない2メディアの予報ではありましたが、ここは藁にもすがる思い、田野畑村の北山崎を目指しまして出発です。

快晴であれば撮りたい写真がありましたので、17:00頃には到着。北山崎の展望台に出てみると、わずかに雲が出ていましたが、どんどん東に流れていて、西~南は快晴に向かっています。すでに月は出ていて、満月に照らし出された「海のアルプス」の絶景が目の前に広がっています。南中過ぎのフォーマルハウト(みなみのうお座の1等星)が西に傾き始めています。


たくさんの漁船が出ています

いよいよ月食観測の準備。望遠鏡による観測・撮影に加えて、予備のカメラで固定連続撮影も敢行です。予定では、1分間隔で「半影~部分~皆既~部分~半影」の全経過を収めるつもりです。20:31~02:31ですので、6時間にわたり360コマの画像になるはずです。それぞれの時間帯、食分に応じて露出を変えながらですので、カメラ1台につき1000コマ程度になるでしょうか。問題は、体力と気力、そしてもちろん天気です。


全経過コンプリート!

途中、何度か雲が通りすぎ、また最後の方ではずっと薄雲がかかってしまいましたが、望遠鏡をとおして露出を調整することによって、初めて皆既月食の全経過をものにすることができた次第。帰宅後の画像処理を考えずに、もうただただ取り散らかした一夜でした。天気的には、先の2メディアの予報が正解、中には、夜半から雲量80%以上の曇という予報を出したところもありましたが、すべてはずれ、という結果でした。


固定撮影画像の合成(21:51~23:33)


同じく(23:35~01:14)

次は動画。コマの選択と、各コマの編集にだいぶ手間取りましたが、月のアップ版と固定撮影版の二本が完成。かなり繊細な作業を行ったつもりではありましたが、アップ版では月がわずかに、微妙に揺れてしまい、固定版では、そもそも撮影時のピントが怪しい。原因は・・・念のためにレンズに巻いたカイロ用のベルトが、何らかの拍子に(重さか?)ずれたことによるものではないかと推認されます。

動画(月アップ版:YouTube)を見る

動画(固定撮影版:YouTube)を見る

次に同様の好条件で皆既月食が見られるのは2018年です。7年後ですので近いですねw。天文・宇宙の世界、5年10年は当たり前、20年以上の待ち時間でちょっと長いかな、と感じる程度です・・・ハレー彗星の回帰まで、あと50年。
岩手県内陸は、ずっと曇り・雪・雨。日中~夕方には晴れ間がのぞいても、夜になるとまたいつものとおり。で、たまったフラストレーションを解消しに、晴れが続いていると思われる沿岸へGO!ただし、高潮、乾燥、強風の各注意報が出ています。24日(木)にも田野畑村の北山崎~普代村黒崎周辺に出かけましたが、強風の中で時折雪が舞い散るあいにくの天気。快晴の時間帯もあるにはありましたが、長くは続きません。一応望遠鏡は設置して観測・撮影に備えはしたものの、これといった成果はなし。

しかも、天体の自動導入と追尾に欠かせないPCコントローラーがダウンしてしまうというハプニングにも見舞われ、ある意味散々。もっとも、新月直前の、ほんとの暗夜(月明かり・人工光なし)の中で、冬の天の川やアンドロメダ銀河の肉眼での見え方には久しぶりに感動しましたし、かなり暗い流星までたくさん見えたことは収穫でした。25日には一旦帰宅してコントローラーの入院手続き。液晶その他の不具合らしく、全治一週間程度の見込みです。

その夜、根腐れ等による衰弱が伝えられている、陸前高田市の一本松へ。予報では全メディア「晴れ」です。歩いて近づいていくと、前には聞こえていた、海水くみ取りポンプの音が聞こえてきません。撤去されたようです。何となく放置されて、ポツンと立っているように感じましたし、心なしか樹勢にも衰えが感じられます。空を見上げると、一面の雲。この夜は結局、晴れだしたのは21:00頃からで、夜半までは雲が多いながらどうにかもったものの、最後は一面雲に覆われてアウト。

一日おいて27日。天気予報は各局ばらばら。終夜晴れの予報はIATとNHK、気象庁その他は20:00前後から曇り。この日は、二日月と金星が接近する様子が見られます。どちらも沈むのが早い時間ですので、明るいうちから準備が必要です。夜の天気は不安でしたが、一本松と月(地球照)の写真でも撮りに、の気分ででかけてみました。


実際の月はこんなに小さいです

風もなく、しばらく快晴が続きそうです。ここでは、南天~西天、そして東天については微速度動画を撮影しています。北天については短時間撮影のみですので、天気が許す限り、長時間撮影を敢行。17:18、まだ薄明が残る中での撮影開始。北斗七星が昇りきるまで約6時間の長丁場です。しばらく快晴が続くのですが、湿度が異常に高く(90%以上)、空全体がモヤ~ンとした感じです。


撮影の合間に、サブのカメラにて。沈む「夏」の大三角


オリオン座・ふたご座・冬の大三角


北斗七星が昇りきったところ

七星が昇る過程の後半、5つ目から7つ目までの星が昇る時間帯にかなり雲が出て、「やっぱりダメか」と諦めかけた頃、北西からすう~っと雲が晴れて、短時間でしたが快晴が訪れて、昇りきった北斗がその姿を見せてくれました。「奇跡」の一本松のなせる業でしょうか。

一本松と北天の星々微速度動画(YouTube)

11月末~12月初旬は、曇り~晴れ~雨~雪と、毎日天気が変わりそうです。なかなか観測計画も立てられず、撮りためた画像の処理などが中心となりそうです。10日(土)~11日(日)の皆既月食に向けて、さてどんな撮影スタイルにしようかと、今のうちから備えつつ。数年に一度の、最高条件の皆既月食。晴れてね。