ふたご群は、極大を過ぎると一気に出現数が減りますので、できれば13~14日と14~15日の二晩観測できれば最高です。13日夜の天気は、気象庁の予報で終夜晴れそうなのは沿岸南部のみ。ここは迷うことなく陸前高田市の一本松へ。西天の微速度撮影も兼ねて、日没前には到着。長時間撮影になるはずですので、駐車場所から、バッテリー充電用の電源も携行しての移動です。大荷物を抱えて、時折よろよろしながら海岸の砂地へ。
19:00前には月が昇り始め、周囲はあっという間に明かりに包まれます。肉眼ではある程度見えそうですが、よほど明るい流星(1~2等星級以上)でなければ写真は無理そうです。それでも、ふたご座が昇り始めて20:00を過ぎたあたりからポツリポツリとそれらしい流星が出始めました。西~北を中心に見ていた22:00台には、肉眼では10個程度と、まずまずの出現状況でした。ところが、23:00台になると雲が出始め、00:00頃には星がほとんど見えなくなってしまう状態。気温はずっと-3度程度で、何となく体調も思わしくなく、翌日の極大に希望を残しながら途中リタイア。またしても、○○庁の「晴れ晴れ詐欺」にしてやられたか・・・。

写真ではかすかな光ですが肉眼では結構な見もの
微速度動画:一本松西天(YouTube)を見る
明けて14日。岩手県内の天気は荒れ模様で、広い範囲で夜遅くには雪が降り始めそうです。「GPV気象予報」によれば、どうにか晴れそうなのは沿岸北部の狭い範囲のみ(気象庁はずっと曇を予報しています)。10日の皆既月食観測で田野畑村の北山崎に行ったばかりですが、ここはもう一度賭けてみる価値あり。流星観測前に、以前から撮りたかった景色があって、途中立ち寄って撮影しました。やっと快晴の星景に恵まれ、田野畑の海岸線の絶景を収めることができた次第。

右端の建物は「羅賀荘」照明はもう戻らないのでしょうか
やって来ました北山崎。月食の時には先客がいましたが、今夜は広い駐車場には私一人。計画通り、駐車場では、赤道儀を設置してガイド撮影、展望台では固定撮影の二本立てです。月明かりをなるべく避けたいのですが、画を考えてオリオン座を端に配置し、おうし座・ぎょしゃ座が入るアングルで。先の、海岸線撮影を行っていた20:00台には、西~南西の端に至る、超長径路の流星がいくつか見られましたので、極大に向けてどんどん出現数が増えていくのではないかという大きな期待がありました。
展望台に立ってまず目に入ったのは、昇り始めた月齢19の月と、沖にズラリと並ぶ船の漁り火です。イカ漁でしょうか、月の光に負けないほどの煌々とした集魚灯です。あの灯りの下で働く、海に生きる一人一人に思いをはせ、猛烈な感動・感激を憶えた瞬間です。ただ、思い返してみると、数年前にやはり同じ場所でふたご座流星群を観測した時には、もっと多くの船が出ていて、展望台を真正面から照らす灯りにまぶしさを感じたほどでした。

画角右端にシリウス、中央はプロキオン
固定撮影用カメラを設置して撮影開始。何度も来ている、広々とした板張りの展望台・・・思わず寝転がってそのままあっちこっちゴロゴロしてみました。とても日中にはできないことですが、想像以上に気持ちいいものでした。空間を独り占めした気分で、大地・海・空が自分の中で一体化したような高揚感です。あの漁り火の数々に鼓舞されたのかもしれません。
肝心の流星群ですが、14日のうちは低調、日付が変わった00:00~01:00台になってやっと「群」らしい出現になりました。それでも、(全天を見ていたわけではありませんが)感覚的には1時間当たり20個程度でしょうか。月がなければ、たぶんその4~5倍は見えたはずです。肉眼でこうですので、写るのはその数分の1です。何コマかを、HP用にまとめたものが以下のものです。

オリオン座はガイド撮影、北山崎は固定撮影

左が「緑流星」ともう一つを合成したもの
極大時刻あたりにはめっきり数も減り、「終わりかな」と一時思いましたが、ここ数年は大きめの流星が極大時刻の少し後で出る傾向がある、という記事を思い出し、もう少しねばってみることにしました。そのとおりに、03:00を過ぎてから明るめの流星がいくつか見られました。その中でも、03:09に南東に出現した流星は、途中から青みがかった緑色に変わり、最後の方は線香花火のようにパチパチしながら消えていきました。残念ながら画角のわずかに上での出来事でしたので、写真に収めることはできませんでした。悔しさをこらえていたら03:43再び緑の流星が。水平線近くの低い位置でしたが、明らかに色が違います。

緑流星のコマをトリミングしたもの
これまでに、(たぶん)数万の流星を見てきましたが、こんな色の流れ星は始めて見ました。肉眼では白い閃光に見える流星も、写真では、赤やオレンジ・緑など、虹色成分の光りで写ることは普通ですが、肉眼で見ても明らかに緑色というのは珍しいのではないでしょうか。あれこれ調べてみましたが、(おそらく)大気中の酸素成分が多く発光した結果ではないかと思います。いろいろな条件がそろわないと見られない現象ではないでしょうか。いいものを見た(それも立て続けに2個)ということで、記憶と記録の両面でまずまずの結果でした。
流星群ですが、来年は主な群の極大はほとんど好条件で見ることができそうです。月齢と極大時期の関係でそうなるのですが、ふたご群も最高の条件で、1時間当たり200個を超えるのではないかと、今のうちからわくわくです。条件のよい流星群だけでなく、金環日食、金星の日面通過、金星食、木星食、これらのすべてが日本にいながらにして来年1年のうちに見られる天体ショーです。半年や1年、あっという間です。