前回は2000年7月で、もちろん観測・撮影しましたが、現在のようなデジタルカメラのない時代、フィルムによる撮影で、適正露出は手探り状態のまま、一度の何コマも撮影して何本もフィルムを消費した記憶があります。当時はそれでも、それなりの画像に仕上がったものと満足していたものです。機材やソフトの発達には、天文の世界でもほんとに驚きです。画像や動画の処理・作成が自分の机の上でできるなんて・・・。
さて、当日の天気はと言いますと、岩手県内陸は「曇時々雪」という、最悪の予報です。沿岸地域も、肝心の皆既の時間帯に雲が広がる予報がほとんどの中、TVIとYahooのみが終夜晴れの予報を打っていました。天気予報に関しては、失礼ながら日頃あまり信用していない2メディアの予報ではありましたが、ここは藁にもすがる思い、田野畑村の北山崎を目指しまして出発です。
快晴であれば撮りたい写真がありましたので、17:00頃には到着。北山崎の展望台に出てみると、わずかに雲が出ていましたが、どんどん東に流れていて、西~南は快晴に向かっています。すでに月は出ていて、満月に照らし出された「海のアルプス」の絶景が目の前に広がっています。南中過ぎのフォーマルハウト(みなみのうお座の1等星)が西に傾き始めています。

たくさんの漁船が出ています
いよいよ月食観測の準備。望遠鏡による観測・撮影に加えて、予備のカメラで固定連続撮影も敢行です。予定では、1分間隔で「半影~部分~皆既~部分~半影」の全経過を収めるつもりです。20:31~02:31ですので、6時間にわたり360コマの画像になるはずです。それぞれの時間帯、食分に応じて露出を変えながらですので、カメラ1台につき1000コマ程度になるでしょうか。問題は、体力と気力、そしてもちろん天気です。

全経過コンプリート!
途中、何度か雲が通りすぎ、また最後の方ではずっと薄雲がかかってしまいましたが、望遠鏡をとおして露出を調整することによって、初めて皆既月食の全経過をものにすることができた次第。帰宅後の画像処理を考えずに、もうただただ取り散らかした一夜でした。天気的には、先の2メディアの予報が正解、中には、夜半から雲量80%以上の曇という予報を出したところもありましたが、すべてはずれ、という結果でした。

固定撮影画像の合成(21:51~23:33)

同じく(23:35~01:14)
次は動画。コマの選択と、各コマの編集にだいぶ手間取りましたが、月のアップ版と固定撮影版の二本が完成。かなり繊細な作業を行ったつもりではありましたが、アップ版では月がわずかに、微妙に揺れてしまい、固定版では、そもそも撮影時のピントが怪しい。原因は・・・念のためにレンズに巻いたカイロ用のベルトが、何らかの拍子に(重さか?)ずれたことによるものではないかと推認されます。
動画(月アップ版:YouTube)を見る
動画(固定撮影版:YouTube)を見る
次に同様の好条件で皆既月食が見られるのは2018年です。7年後ですので近いですねw。天文・宇宙の世界、5年10年は当たり前、20年以上の待ち時間でちょっと長いかな、と感じる程度です・・・ハレー彗星の回帰まで、あと50年。