呼吸に関わる筋は、すべて肋骨に付着部をもつ。呼吸を助けることに加え、これらの筋は、すべて体幹運動時の胸郭の安定化に関与している。呼吸に関わる筋には、肋間筋、肋下筋、腹横筋、肋骨挙筋、上後鋸筋、下後鋸筋、横隔膜がある。
▲基礎・臨床解剖学 翻訳早川敏之
肋間筋は、隣接する肋骨をつなぎ、外肋間筋、内肋間筋、最内肋間筋の3筋が重なり合う。肋下筋は、1つ以上の肋骨にまたがり、下部胸郭でよく発達している。腹横筋は、胸肋筋ともいい、肋骨を胸骨に結びつける。
▲基礎・臨床解剖学 翻訳早川敏之
横隔膜は、呼吸に関わる最も重要な筋である。ドーム状の筋腱膜で、上方に凸になっている。食道、大動脈、下大静脈、交感神経管、内臓神経の通る開口部を除き、胸腔と腹腔を完全に分離している。
▲基礎・臨床解剖学 翻訳早川敏之
競技動作において、胸郭を安定した状態で動作をおこなうことは大切だ。胸郭が安定しないと、姿勢が崩れやすく、また呼吸が乱れやすくなる。胸郭が薄くなっている、鳩尾辺りが落ち窪んでいる場合は、胸郭を安定して維持できていない。
胸郭を安定させて動作できているかを、股割りで検査する。胸郭を安定した状態を維持して動作をするためには、背筋の第1層の僧帽筋と広背筋を確実に作用させたい。そして、さらに背筋の第三層の上後鋸筋と下後鋸筋まで体幹運動時の胸郭の安定化に作用させたい。
股割り動作をするときに、背中が丸くなる場合は、背筋の1層レベルでコントロールできていない。競技動作のような激しい運動をする場合は、呼吸にかなりの負担がかかるので、胸郭を安定させて維持させるためにも、背中を使えるようにしたい。