タイカ・ワイティティ監督、クリス・ヘムズワース、ケイト・ブランシェット、トム・ヒドルストン、テッサ・トンプソン、マーク・ラファロ、カール・アーバン、イドリス・エルバ、ジェフ・ゴールドブラム、アンソニー・ホプキンス出演の『マイティ・ソー バトルロイヤル』。

 

 

世界の終末“ラグナロク”によって故郷のアスガルドに危機が迫っていることを知った雷神ソー(クリス・ヘムズワース)は義弟のロキ(トム・ヒドルストン)とともに父オーディン(アンソニー・ホプキンス)を捜すが、オーディンからソーの姉で死の女神ヘラ(ケイト・ブランシェット)の存在を教えられる。復活したヘラは9つの世界の征服を目論んでアスガルドに戻ってくる。

 

ネタバレがあるのでご注意ください。

 

 

“アベンジャーズ”の一員でもある雷様「マイティ・ソー」のシリーズ第3弾。

 

時系列的には2015年公開の『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のあとで、ちょうど地球ではアベンジャーズの面々が『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で仲間割れしてる頃。

 

ソーと超人ハルクはシビル・ウォーには参加していなかったので、「一方、その頃…」ってな感じでここでは彼らの物語が描かれる。

 

といっても、正直なところ僕は神様たちが神話の世界とか宇宙で戦う映画にはたいして興味がなくて実は「マイティ・ソー」シリーズ2作目の『ダーク・ワールド』も観ていないんですが、今回は予告篇に釣られて。

 

だって“ヘドリアン女王”が出てくるみたいなので。

 

 

 

あ、こっちか。

 

 

ほぼ同じ絵ヅラw

 

※東映戦隊モノ「電子戦隊デンジマン」のへドリアン女王は「マイティ・ソー」の原作コミックのヘラのデザインを参考にしているので、両者が似ているのは偶然ではないんですが。

 

ケイト・ブランシェットはこれまでにも『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』や『ハンナ』『シンデレラ』などですでに悪役を演じているけど、今回の敵ヘドリアン…じゃなくてヘラはその決定版。

 

これほど悪役が様になる女優さんも他になかなかおりますまい。

 

もうだからこれはハリウッドが作る戦隊モノだと思って観よう、と。

 

お話はまったくと言っていいほどなくて、全篇に渡って神様や緑の巨人が戦ってるだけ。しかも舞台は神様たちが住む世界だから地球もほとんど出てこない。

 

この映画を一言で表現すると「心地よい時間の無駄遣い」。

 

公開前には上映時間は100分弱ぐらいとか言ってたのに、結局完成作品は130分超え。

 

「ノリが『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に近い」と言われてたんでちょっと予想はしていたんだけど、なんというか、ほんとに週刊連載されてるアクション漫画を読み飛ばしてる感じで。

 

1作目を観た時に感じたことだけど、要するにこれは無敵の主人公が悪と戦い、パワーアップしてさらに強くなって…という幼児の頃にやってた超合金やプラモデル、レゴや積み木を使った「ごっこ遊び」みたいな、「世界一強い」「こっちは地球一強い」「こっちは宇宙一強い!」「その一億倍強い!!」とガキンチョどもが脳内マウンティングし合ってるのと同じことを映画でやってるんですよね。

 

だから懐かしいノリではあるんだけど、ある種の虚しさも感じたりして。

 

神話ってもともとそういうどーでもよさに溢れてもいるものだけど。

 

なのであまり内容について真剣に語ってもしょうがない気はするんですが。

 

北欧神話、というと、僕はどうしてもモンティ・パイソンのコントを思い出してしまって。○○の息子△△の従兄弟の××の…みたいな説明が延々続いてなかなか話が始まらない、っていうw

 

パイソンズには関根勤も出ていた『エリック・ザ・バイキング』という映画もあった。

 

『エリック・ザ・バイキング』(1989) 監督:テリー・ジョーンズ 出演:ティム・ロビンス ジョン・クリーズ

 

 

「マイティ・ソー」は北欧神話を基にしてるけど、そこにさらにアメコミの世界の住人たちがあれこれ顔を出すので、もうなんでもあり。

 

掴みどころがなくて顔にヘンなペイントをしてるグランドマスター(ジェフ・ゴールドブラム)なんて、実に戦隊モノのキャラっぽい

 

ドクター・ストレンジことベネディクト・カンバーバッチもちょこっとだけ登場。

 

浅野忠信演じるホーガンも出ますよ。出番すぐに終わっちゃうけど。

 

 

 

それにしても、僕は1作目しか観てなかったけど、このシリーズって回を重ねるごとに登場キャラが次々と容赦なく殺されまくってくのね。ソーの母親のレネ・ルッソの姿が見えないと思ってたら、どうやら前作で殺されてしまったようで。

 

今回もホーガンをはじめ、これまでソーとともに戦ってきたウォリアーズ・スリーも全員抹殺されてしまう(シフはどうなったんだっけ?)。

 

しかもソーはナタリー・ポートマンが演じていた恋人のジェーンとも別れたらしくて、さらにはアンソニー・ホプキンス演じるソーの父親オーディンも寿命が尽きて死んでしまう。

 

ロキやヘイムダル(イドリス・エルバ)などわずかを除いてお馴染みの登場人物たちが一掃^_^;

 

ソーは仲間のウォリアーズ・スリーの死に対しても特にリアクションがなかったし、「世界の終わり」がどーとか言ってるわりには死んだ者たちへの関心が驚くほど薄いんだよね。もう過ぎたことは気にしない、みたいな。

 

いくら神様だからって、おおらかにもほどがあるでしょ(;^_^A

 

それに神様なのに髪の毛は簡単に切られちゃうのね。

 

まぁ、ソーの髪を切ったのはマーヴェルのアメコミ世界の「神様」みたいな人ですがw

 

 

 

オーディンはソーに「ムジョルニアにお前の力が宿っているのではない。それはお前の力を制御するためにあるのだ」と語る。

 

だからヘラによってソーの万能ハンマー“ムジョルニア”が破壊されたことは、結果的にソーの真の力を発揮させることになる。

 

ヘラとの戦いで宇宙の彼方の星に飛ばされたソーはそこの闘技場でハルクとの再会を果たして、もともとアスガルドの戦士だったヴァルキリー(テッサ・トンプソン)も仲間に引き入れて、ヘラから故郷を守るためにアスガルドに舞い戻る。

 

あとはもう、神々の、遊びw

 

今回、映画の原題『ソー:ラグナロク』が『バトルロイヤル』といういかにも脳筋で頭悪そうな邦題にされたことに不満を持つ人たちもいらっしゃるようですが、内容はほんとに「バトルロイヤル」というタイトルが相応しい清々しいほどに単純明快なドンチャン騒ぎなので、僕はこの邦題はありかな、と思います。

 

このシリーズって幼児の万能感を満たしてくれるような「強い者が自分よりも強い者と戦ってさらに強くなる」という強さの倍々ゲームみたいな話で、だからソーやヴァルキリーみたいに酒かっくらいながら観てれば気持ちイイのかもしれないけど、わけあってアルコールを断っている状態なのでシラフで観てると醒めて観るトリップ・ムーヴィーみたいなのね。

 

なんかイイ年こいた大人たちがヘンなメイクしたり鎧着込んで暴れまわっている。ドラゴンや炎の大巨人も出てきたりして、腕力とか超能力だけじゃなくて、サイズの方もどんどん馬鹿デカくなっていく。

 

YouTubeで巨大ロボの大きさの比較動画とか観てると、どんどんサイズがデカくなっていってそのうち惑星ぐらいのロボットとか、星雲ぐらいとか、さらには銀河ぐらいの大きさの奴が出てきたりして笑いつつも呆れてしまうんですが、そういうのをハリウッドが大金かけて作ってるという、この壮大な空疎ぶり。

 

『ガーディアンズ~』もそうだけど、映画としては内容がスッカスカだからこそ、登場キャラたちや彼らの互いの関係をあれこれ想像して楽しむことができるんでしょう。

 

自分がただ映画を一方的に観客として観ているだけじゃなくて、その物語世界に参加してるような気分になれるんだろうな。

 

それもまた子どものごっこ遊びにとてもよく似ている。

 

残念ながら僕はそういう能力が退化してしまっているので、ただひたすら戦いのための戦いに明け暮れる雷様やその他大勢の神様たちのドタバタは観ていてちょっとしんどいものがありましたが。

 

確かにレッド・ツェッペリンの「移民の歌」をバックにバトルが繰り広げられるとアガるけど、あの曲が流れたらどんな映像だろうとそりゃ燃えるでしょ。8割方は曲の力だよね。

 

それでもソーとハルクとの友情はなんともほっこりさせられるし(ソーがハルクの巨根を見て「忘れられない」と呟くウホッな場面も。あと登場キャラたちが「肛門」連呼とか)、相手が気を許すと裏切るロキのワンパターンなやり口にソーが「だんだん行動が読みやすくなってるぞ」とツッコむところは可笑しいし、この兄弟のコンビぶりはなかなか楽しい。

 

 

 

 

僕は悪役としてのロキにはずっと不満でこれまでは嫌いなキャラだったんだけど、この映画での彼はコメディリリーフなので好感が持てましたね。

 

そういえば、劇中劇でロキをよりによってジミー大西…じゃなくてマット・デイモンが演じてましたが、なんの嫌がらせだ^_^;

 

仲良しのベン・アフレックはDCのバットマンを演じてるけど、敢えてのマーヴェル出演だろうか。

 

それにしても、オーディンを長とするアスガルドの一族ってほんとにろくでもない奴らばかりだな^_^;

 

長女のヘラは9つの世界(前作を観てないからなんのことだかよくわかんないが)を支配しようとして暴れまわるしロキもあっちについたりこっちについたりのコウモリ野郎だし、父親で最高神のオーディンもまた、かつては娘のヘラとともに略奪の限りを尽くしていたことがわかる。

 

アスガルドはそのような者たちによって作り上げられていた。

 

だから最後にその呪われたアスガルドが滅びるのは必然だったのだとも言える。

 

国は場所ではなく民である、ということ。

 

“神々の黄昏”ラグナロクによって消滅するアスガルドを民とともにあとにして地球に向かうことにしたソーだったが、彼らの乗る宇宙船よりもはるかに巨大な船が間近に迫っていた…。

 

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に続く!

 

お馴染みのキャラたちの大暴れを眺めていろいろツッコミ入れながら、はるか宇宙の彼方へとしばし旅に出る。そんな映画かな。

 

もうどんなタイプの映画なのかだいたい予測したうえで観ていたから腹が立つとかガッカリすることもなかったけど、やはり自分はこういう映画を無邪気に楽しめる時期は過ぎてしまったのだな、とちょっとしんみりもしたりして。

 

毎度のように最初は「これはもう自分は観る必要のない映画だ」と思うんだけど、でも予告篇観ると面白そうだと思えてきて、結局劇場に足を運んでしまう。で、またちょっと後悔したりなんかして。その繰り返し。

 

ソーがロキに言ってたように「行動が読みやすくなってるぞ。成長しろよ」ってことかな(;^_^A

 

 

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