●ラブストーリーズ コナーの涙/THE DISAPPEARANCE OF ELEANOR RIGBY: HIM
監督 ネッド・ベンソン
☆☆
出/ジェームズ・マカヴォイ、ビル・ヘイダー、キアラン・ハインズ
https://www.assignmentx.com/2014/movie-review-the-disappearance-of-eleanor-rigby-them/
上記HPより画像お借りしています。
上映時間:95分
なんか全然ピントは合わないんだけど、ヴィオラ・デイヴィスっぽい人が講義してるなーと思っていると、エンドクレジットにやっぱりデイヴィスの名前が出ていて、次のエリナーの愛情を観ると、本当にヴィオラ・デイヴィスだったという事がわかります。
なんか、それぐらいしか映画が二本に分かれている意味がないのが辛いな。
クレジットにしてみても、光の当たり方で見え方は様々に変わるというのを現わしているんでしょうけれど……なんか両方の映画を観た後だと、いかにもとってつけた感じがしちゃいますね……。
ビル・ヘイダーは相変わらず最高なんだけれども、彼を観ると即『スケルトン・ツインズ 幸せな人生のはじめ方』を思い出して、観たくなっちゃうので困ります。コナーの涙からエリナーの愛情の間で観ちゃったよもう。『スケルトン・ツインズ 幸せな人生のはじめ方』最高だな!
でまあ、ヘイダーは本作でも良いんですよ。台詞が良いんですね。だからまあ、脚本も書いている監督にも良いところはあるんでしょうけれども……。
「もう友達じゃいられない。俺はここに居るけれども、お前に対して何も言えなくなってる」
この台詞がとても気にいりました。
ちゃんと全体と絡めた台詞になっているのが良いです。
マカヴォイが他の人と一緒に音楽を楽しめないという性格がしつこいぐらい強調されます。最低な音楽だな、変えろ! みたいな。
他人のボリュームを勝手にいじる様からも、割と狭量な人間であると察せられますね(それにしても、キアラン・ハインズの父ちゃんが音楽を聞ている際の音量は近所迷惑レベルですけどね)。
このボリュームを絞る、という行為がちゃんと相手が意見を言うのを委縮させているという態度に繋がっているので良いんですよ。
後そうですね、キアラン・ハインズのお父ちゃんが一生懸命息子に助言しようとするんですけれど、ろくなアドバイスが浮かばない。結果、誰しも一度は聞いた事がある感じの助言をしてしまい、息子に「は? そんな斬新な説教初めて聞いたっすよ」みたいな嫌味を言われてしまう。
でまあ、最後は息子の心に響く会心の助言をしてやれるんですけれども……その流れ星云々の場面を観ていて、良かったね父ちゃん尊厳が保てて、という風に感じてしまったんですよね。
これが何故かと言うと、息子が父親を評価する事を続けているからです。
もうなんつーか、採点してますよね。
そもそも邦題がラブストーリーズってなってるから夫婦の話かと思ってしまうわけですが、これって人間関係の話ですよね。特に親子の。
つーか原題は<エリナー・リグビーの消失>なわけで、『涼宮ハルヒの消失』とは違うんですけれども、ビートルズが歌っていた<エリナー・リグビー>が女の名前なわけで。あの歌は、孤独で居場所がないみたいな歌でしたね。で、その<エリナー・リグビー>が消失するわけですから、まあハッピーエンドを現わすタイトルだと捉えていいんじゃないでしょうか。この場合消えるのは歌の方であって、女の方じゃないですよ。
で、歌が消えるというと思い出すのが、男がとってきた行動の数々です。歌を変える、音量を絞る。<エリナー・リグビー>なんか消えちまいな。俺にはエリナー・リグビーが居るからな。
あと劇伴が素敵な感じがしたんですけれども、担当はサン・ラックスさんという事で。
●ラブストーリーズ エリナーの愛情/THE DISAPPEARANCE OF ELEANOR RIGBY: HER
監督 ネッド・ベンソン
☆☆
出/ジェシカ・チャスティン、ヴィオラ・デイヴィス、ジェス・ワイクスラー
上映時間:105分
うおっ! イザベル・ユペールがお母さんかと思ったらお父さんはブライアン・デ・パルマか! 最近フランスだもんな! って一瞬思ったけどよく見たらウィリアム・ハートやんけ!(ビビった)
いやあの、男と女の視点の違いみたいなのをあらわすのに、男は自分から告白したつもり、女は自分が見抜いたつもり、っていうコナーの涙と同じ場面だけど展開が別という場面が用意されているんですけれども……えっ! 映画を二本に分割して製作したのってたったこれだけの為なの? これだけの為に同じ場面を二回観せられてたわけ? 何の意味があるの?
っていうかあんなに巨大な問題に関する事なのにお互いの見え方があそこまで違っていたら、この夫婦は別れた方が良かったとしか思えないよ!
そしてエンディングなんすけど……続きを描いちゃったから、本当に映画を分割した意味が無くなってしまいましたね。
この映画は、明らかに『コナーの涙』に対する、ちょっと矛盾をはらんだ続編ですよね。
男女の視点の違いとか、もうちょっと欲張りますと視点が変わる事で明かされる事実!的な脚本構成の妙を楽しみたかったのに。そんなん皆無。
ごめんなさいね。二本合わせた上映時間が二百分。三時間越え。多分、たぶんこれ、一本の映画に二時間内で納められた。そして一本の中で展開させた方が面白かった。
にしてもイザベル・ユペールがジェシカ・チャスティンのママってのは、凄い説得力だったなー。
ウィリアム・ハートと今回は出てこないキアラン・ハインズがセットで、子供に対して上手にコミュニケーションできない男親を表現しています。ってか両者の違いが全くないのは流石にどうかと思った次第。演じている人が違うだけっていう。
多分どこの誰もが同じような経験をしている、というのを伝えたいんでしょうね。男とジョン・ヘイダーが喧嘩するのとそっくりに女と妹が喧嘩しますしね(しかしこの姉妹喧嘩場面のジェシカ・チャスティンが凄すぎて、完全にジェームズ・マカヴォイを超えていますね)。
それにしても、どう言葉をかけたらいいのか判らない時のウィリアム・ハートの馬鹿面は絶品でしたね! いいアドバイスを思いついた後の表情と比べて大爆笑。
あとジェシカ・チャスティンの眉無しメイクの時って、デヴィッド・リンチの『砂の惑星』にあんな顔の人出てなかったっけ?
それとごめんな! 『男と女』のポスター貼ってるのは良いんだけどさ、あの映画には続編があるからな!

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