『となりのトトロ』のお父さんの返答が神過ぎる……! | ほんえすんの制作ノート

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編集者・ライター・絵本作家として活動する洪愛舜ともうします。webマガジン「目黒駅前新聞」編集長、絵本はひらがなのほんえすんで出しています。
お仕事を通じてのアレコレや、子育てしていて感じたことなどもつれづれます。

突然ですが、『となりのトトロ』のお話です。

子どもの頃から幾度となく観てきた映画ですが、親になって観たら観方が全然変わるというか、泣けるポイントが変わってくるのを感じます。
一番泣けるシーンは、

おばあちゃんとお留守番していたメイが、サツキの学校に行ってしまうところ……

必死で堪えながらも涙が流れてしまうメイの顔を見ると、ボロボロ泣いてしまいます。
何と言うか、

子どもが健気に頑張っている姿

がたまらないんですよね……。

そして、親になってからトトロを観て一番びっくりしたのは、

お父さんのすごさ

です。

何がすごいって、もちろん、4歳児のメイを肩車して家から塚森まで山道の階段昇っていくって、大学教授のもやしっ子かと思ったのに体力&筋力すごいんですねお父さん、とかそういうことではなくて、

このお父さん、子どもの質問に対して、一度も「否定的な返事」をしないんです。

サツキの「お父さん、この家やっぱり何かいる!」という言葉に対して、
「そりゃスゴイ、お化け屋敷に住むのがお父さんの夢だったんだ」と答えたのはとても有名な話ですが、

それ以外にも、

メイと二人で過ごしているとき、遊び始めてすぐなのにお弁当を食べたくなったメイが
「お父さん、お昼まだー?」といきなり言っても
「え、もう?」と答え、

トトロに会った!と主張するメイには
「サツキもお父さんもメイが嘘を言ってるなんて思っていないよ。
メイはきっと塚森の主に会ったんだ。でも、いつでも会えるとはかぎらないんだよ」
と答え、

そして極め付けは!
庭に蒔いたドングリが早く芽吹いてほしくて
「お父さん、明日は芽出るかな?」と聞くメイに対して、
「そうだな、トトロだったら、知ってるんだろうけどな」
という神返答!!

育児書などで、
「子どもになるべく否定的な言葉をかけないことが大切」
と書かれていますが、どうしても日常の中では「もーーー……」と思うことが多く、
つい反射的に否定的な言葉で返してしまうことがあります。

仕事し始めて早々に「お昼まだー?」と聞かれたら
「さっき朝ごはん食べたばっかりでしょ!
今仕事してるから遊んでなさい!」

とか言っちゃうかも……

毎晩毎晩毎晩、「明日は芽出るかな?」と聞かれたら、
「毎晩聞かれても私にはわからないよ!
いいからもう早く寝なさい!

とか言っちゃうよね……

それを、あのお父さんは、こんなに素敵な言葉で答えているのです。
す、素晴らしい……。

どうやったらこんな素敵な返答ができるのかなぁ。
3歳児に質問攻めにくさくさしてきたら、トトロを観て返答力を高めようと思います。


↑となりのトトロのDVDと、徳間書店さんから出てる徳間アニメ絵本版「となりのトトロ」。
このアニメ絵本は、情景の描写など、言葉がとても丁寧に書かれていて、「話し言葉」ではない「書き言葉」を学ぶのにとても良いと思います。