第2章 「過酷なイジメから生徒を救ったもの」
第2章「過酷なイジメから生徒を救ったもの」
「ぼくは学校に来たくない イジメはどんどんひどくなる ぼくがたえればいいんだ でも もう つかれたんだ らくになりたい」
クシャクシャに丸められた作文用紙に殴り書きされたその言葉。
その作文は,中学2年生のまだ幼い彼の,助けを求める心の叫びだった。
俺はそれをお母さんから見せられたときに、何も言えず、頭の中が真っ白になってしまった。
---------------------------------
【これは実話であるが、プライバシーに配慮し、登場人物の設定(性別や名前)を意図的に変更してあるため、フィクションということにしておく】
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学校でひどいイジメを受けていたのは、サトルという少し小柄の勉強も運動もそんなに得意ではない生徒だった。
俺はとても悔しかった。彼が学校でイジメられていたことに気付けなかったからだ。しかも、ここまで追い詰められた状態だったとは。
お母さんは涙を浮かべ,俺に話してくれた。
「イジメのことは学校には何度も相談したんです。これは、学校の授業の作文で書いたんです。当然、先生たちは把握していますよ。でも『様子を見ましょう。』『ただの悪ふざけでしょう』と、学校は何もしてくれません。こんな相談を塾にするのは変かもしれませんが、もう、誰に頼ったら良いのかわからなくて・・・」
「お母さん、相談してくれてありがとうございます。学校でのこととは言え、サトルくんは僕にとって大切な生徒です。僕でよければお力になります。作戦を立てて,すぐに実行します。」
そうは言ったものの、イジメ問題はそんな単純ではない。
はっきり言って、イジメをやめさせることは簡単だ。親が学校に怒鳴り込んだり、相手の家に押しかけて騒ぎにすれば、イジメる加害者たちは、面倒だからと、すぐにやめて、標的を変える。
しかし、これは根本的な解決ではない。
実は,サトルは小学校の時も、違うイジメっ子にターゲットにされ、イジメを受けていたらしい。
1000名以上の生徒をみてきての俺の持論だが,イジメられる子には、イジメられる理由が必ずある。
誤解しないで欲しい。当然、だからといってイジメを容認することはあってはいけない。卑怯で、被害者の心に傷を残すイジメはどんな理由があっても許されるべきではない。
が、本人が変わらなくてはいけないところもある。そうでなければ、また違うイジメっ子の標的になって、同じことを繰り返すだけだ。
俺は、考えた。
今回、俺や親御さんが守ってあげても、サトルは何も変わっていない。むしろ臆病になっている。またいつかイジメの標的にされるかもしれない。
見方を変えると、これは良い機会なのではないかと思った。とても過酷だが、彼に訪れた試練だ。この試練から逃げてはいけない。もちろんサポートは必要だが、大人が彼を守ってあげるのではなく、サトル自身に強くなってもらう。その際、俺や家族が味方なんだ、と伝えることが必要だ。
そして、その日の授業の最後に、俺はクラス全体に一か八か話をすることにした。
当然サトルにはクラスで打ち明けるという作戦の承諾を得た。そんな繊細な問題を打ち明けられるほど、塾での、サトルのいるクラスは、みんな本当に仲が良かった。
思い切ってサトルがイジメられている秘密をクラスに打ち明けることで、俺はあることを期待していた。
実は、塾の同じクラスにはイジメを乗り越えた生徒がいることを俺は知っていた。その子の話を聞かせたかった。そうすればサトルも勇気づくかと思ったわけだ。
しかし、予想外のことが起きた。
「みんな、ちょっと、一緒に考えてほしいことがあるんだ。」
いつになく真剣な表情で話し始めた俺に、みんな真剣な表情になった。
「実は、サトルが、学校でイジメられているんだ。俺は、お前らのことを自分の子どものように、弟のように思っている。そんな生徒の一人が苦しんでいるのは見ていられない。みんなはどうだろうか。イジメられた経験とか、それに似た経験で、それを乗り越えたって話があれば、サトルに教えてやって欲しいんだ。」
前に座っていたイジメを乗り越えたことのある「その生徒」は下を向いてしまった。
「マズイ!失敗だったか、、、」
そう思った瞬間、一番後ろの席の体格の良いオサムが机を強く叩いて立ち上がった。
「ふざけんな!俺がいってやるよ!!北中まで行って、俺がそいつらぶっ飛ばしてやるよ!なぁ、サトル!心配すんなよ!もう大丈夫だから!」
オサムは興奮していた。本当に今すぐにでも駆け出しそうだった。友達思いの優しいオサムは涙目で怒鳴っている。
「オサム、ありがとう。でも、それはやめておけ。お前が悪者になってしまう。しかも、お前がずっとサトルを守ってあげられるわけではない。でも、本当にサトルのことを想ってくれているその言葉、嬉しいな。ありがとうな。」
オサムは黙って席について机に突っ伏した。
それからしばらく,クラスの全員が黙っていた。具体的な解決策が出たわけでもなく,俺としては不甲斐ないと思っていたが,実はこれで良かったことがわかった。
その日、授業終了後、オサムとサトルは一緒に帰っていった。中学校は違い、家も正反対なのに。
それを見た俺は、心が熱くなった。
サトルには、いくつか具体的に有効と思われる対処を教えたが、あとは、本人が精神的に強くなり、自らの力で乗り越えることを願うしかなかった。
俺は無力感を感じていた。
しかし、その数日後、お母さんから電話をもらった。
「あの日、塾から帰ってきて、すごくスッキリした表情だったんです。次の日も嫌がらずに学校に行って、今は本当に普通になったんです。本人に聞いたら、イジメはほぼなくなったって。先生何をしてくれたんですか?」
お母さんには経緯をすべて話した。
「サトルのことをそこまで想ってくださるお友達がいたなんて。本当に幸せです。その子には感謝してもしきれません。先生、ありがとうございました。」
大人は、子どもたちのことを未熟だと思い、子どものすることを信用せず、子どもの失敗を考えて不安になり、すぐに解決を焦り、根本的な原因を隠してしまうことがある。
実は,子どもたちは思ったよりタフで、困難が訪れても、どうにかしようともがく。そして成長し乗り越えていく。それが、本来の姿なんだ。
親や先生の役割は、適度な距離感で、子どもを見守り、必要なら最低限のサポートをし、あとは子どもの行動を信じることなんだ。
それから一年が経ち、彼らが卒業間近になったとき、サトルにイジメをどうやって克服したかを聴くことができた。
「あの時は、本当に苦しくてさ、死んだ方がマシだと思っていた。でもね、オサムが、本気で俺のことを心配してくれて、涙を流しながら、『俺がそいつらぶっ飛ばしてやる!』って言ってくれたじゃん。めっちゃうれしかったんだよ。なんか、俺は一人じゃない。力強い味方がいるって思ったら、すごく気が楽になったんだ。偶然なのかな、その後から、イジメられなくなったんだ。」
世の中には、「仲間」とか「勇気」「夢」「情熱」「努力」とか、そういった事柄を胡散臭いと毛嫌いする人もいる。
しかし、俺は、生徒たちをみてきて、実感している。それらは胡散臭くない。しかも教育には欠かせない要素なんだ、と思うようになった。
教育現場には、夢とか努力とかを堂々と語れる先生が必要なんだ。
エイメイグループの教育理念「教育に夢と感動を。そして少しのユーモアを。」
俺はこの塾の教育を日本中に広めたいと思った。いや、「エイメイのおかげで」「エイメイに出会えて良かった」「エイメイで人生が変わった」生徒たちや保護者様から何度もおっしゃっていただき、この教育を広めていく使命感を持った。
----------------------
大学を卒業し、23歳で塾を任され、俺は正式に塾長になった。若さゆえ、情熱の塊で生徒たちと向き合っていた。そんな初年度、塾の存亡を揺るがす大事件が起こる。。。今でも鮮明に覚えている。4月6日、午後、私服の刑事が塾に来た・・・
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この話は第3章に譲る
「ぼくは学校に来たくない イジメはどんどんひどくなる ぼくがたえればいいんだ でも もう つかれたんだ らくになりたい」
クシャクシャに丸められた作文用紙に殴り書きされたその言葉。
その作文は,中学2年生のまだ幼い彼の,助けを求める心の叫びだった。
俺はそれをお母さんから見せられたときに、何も言えず、頭の中が真っ白になってしまった。
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【これは実話であるが、プライバシーに配慮し、登場人物の設定(性別や名前)を意図的に変更してあるため、フィクションということにしておく】
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学校でひどいイジメを受けていたのは、サトルという少し小柄の勉強も運動もそんなに得意ではない生徒だった。
俺はとても悔しかった。彼が学校でイジメられていたことに気付けなかったからだ。しかも、ここまで追い詰められた状態だったとは。
お母さんは涙を浮かべ,俺に話してくれた。
「イジメのことは学校には何度も相談したんです。これは、学校の授業の作文で書いたんです。当然、先生たちは把握していますよ。でも『様子を見ましょう。』『ただの悪ふざけでしょう』と、学校は何もしてくれません。こんな相談を塾にするのは変かもしれませんが、もう、誰に頼ったら良いのかわからなくて・・・」
「お母さん、相談してくれてありがとうございます。学校でのこととは言え、サトルくんは僕にとって大切な生徒です。僕でよければお力になります。作戦を立てて,すぐに実行します。」
そうは言ったものの、イジメ問題はそんな単純ではない。
はっきり言って、イジメをやめさせることは簡単だ。親が学校に怒鳴り込んだり、相手の家に押しかけて騒ぎにすれば、イジメる加害者たちは、面倒だからと、すぐにやめて、標的を変える。
しかし、これは根本的な解決ではない。
実は,サトルは小学校の時も、違うイジメっ子にターゲットにされ、イジメを受けていたらしい。
1000名以上の生徒をみてきての俺の持論だが,イジメられる子には、イジメられる理由が必ずある。
誤解しないで欲しい。当然、だからといってイジメを容認することはあってはいけない。卑怯で、被害者の心に傷を残すイジメはどんな理由があっても許されるべきではない。
が、本人が変わらなくてはいけないところもある。そうでなければ、また違うイジメっ子の標的になって、同じことを繰り返すだけだ。
俺は、考えた。
今回、俺や親御さんが守ってあげても、サトルは何も変わっていない。むしろ臆病になっている。またいつかイジメの標的にされるかもしれない。
見方を変えると、これは良い機会なのではないかと思った。とても過酷だが、彼に訪れた試練だ。この試練から逃げてはいけない。もちろんサポートは必要だが、大人が彼を守ってあげるのではなく、サトル自身に強くなってもらう。その際、俺や家族が味方なんだ、と伝えることが必要だ。
そして、その日の授業の最後に、俺はクラス全体に一か八か話をすることにした。
当然サトルにはクラスで打ち明けるという作戦の承諾を得た。そんな繊細な問題を打ち明けられるほど、塾での、サトルのいるクラスは、みんな本当に仲が良かった。
思い切ってサトルがイジメられている秘密をクラスに打ち明けることで、俺はあることを期待していた。
実は、塾の同じクラスにはイジメを乗り越えた生徒がいることを俺は知っていた。その子の話を聞かせたかった。そうすればサトルも勇気づくかと思ったわけだ。
しかし、予想外のことが起きた。
「みんな、ちょっと、一緒に考えてほしいことがあるんだ。」
いつになく真剣な表情で話し始めた俺に、みんな真剣な表情になった。
「実は、サトルが、学校でイジメられているんだ。俺は、お前らのことを自分の子どものように、弟のように思っている。そんな生徒の一人が苦しんでいるのは見ていられない。みんなはどうだろうか。イジメられた経験とか、それに似た経験で、それを乗り越えたって話があれば、サトルに教えてやって欲しいんだ。」
前に座っていたイジメを乗り越えたことのある「その生徒」は下を向いてしまった。
「マズイ!失敗だったか、、、」
そう思った瞬間、一番後ろの席の体格の良いオサムが机を強く叩いて立ち上がった。
「ふざけんな!俺がいってやるよ!!北中まで行って、俺がそいつらぶっ飛ばしてやるよ!なぁ、サトル!心配すんなよ!もう大丈夫だから!」
オサムは興奮していた。本当に今すぐにでも駆け出しそうだった。友達思いの優しいオサムは涙目で怒鳴っている。
「オサム、ありがとう。でも、それはやめておけ。お前が悪者になってしまう。しかも、お前がずっとサトルを守ってあげられるわけではない。でも、本当にサトルのことを想ってくれているその言葉、嬉しいな。ありがとうな。」
オサムは黙って席について机に突っ伏した。
それからしばらく,クラスの全員が黙っていた。具体的な解決策が出たわけでもなく,俺としては不甲斐ないと思っていたが,実はこれで良かったことがわかった。
その日、授業終了後、オサムとサトルは一緒に帰っていった。中学校は違い、家も正反対なのに。
それを見た俺は、心が熱くなった。
サトルには、いくつか具体的に有効と思われる対処を教えたが、あとは、本人が精神的に強くなり、自らの力で乗り越えることを願うしかなかった。
俺は無力感を感じていた。
しかし、その数日後、お母さんから電話をもらった。
「あの日、塾から帰ってきて、すごくスッキリした表情だったんです。次の日も嫌がらずに学校に行って、今は本当に普通になったんです。本人に聞いたら、イジメはほぼなくなったって。先生何をしてくれたんですか?」
お母さんには経緯をすべて話した。
「サトルのことをそこまで想ってくださるお友達がいたなんて。本当に幸せです。その子には感謝してもしきれません。先生、ありがとうございました。」
大人は、子どもたちのことを未熟だと思い、子どものすることを信用せず、子どもの失敗を考えて不安になり、すぐに解決を焦り、根本的な原因を隠してしまうことがある。
実は,子どもたちは思ったよりタフで、困難が訪れても、どうにかしようともがく。そして成長し乗り越えていく。それが、本来の姿なんだ。
親や先生の役割は、適度な距離感で、子どもを見守り、必要なら最低限のサポートをし、あとは子どもの行動を信じることなんだ。
それから一年が経ち、彼らが卒業間近になったとき、サトルにイジメをどうやって克服したかを聴くことができた。
「あの時は、本当に苦しくてさ、死んだ方がマシだと思っていた。でもね、オサムが、本気で俺のことを心配してくれて、涙を流しながら、『俺がそいつらぶっ飛ばしてやる!』って言ってくれたじゃん。めっちゃうれしかったんだよ。なんか、俺は一人じゃない。力強い味方がいるって思ったら、すごく気が楽になったんだ。偶然なのかな、その後から、イジメられなくなったんだ。」
世の中には、「仲間」とか「勇気」「夢」「情熱」「努力」とか、そういった事柄を胡散臭いと毛嫌いする人もいる。
しかし、俺は、生徒たちをみてきて、実感している。それらは胡散臭くない。しかも教育には欠かせない要素なんだ、と思うようになった。
教育現場には、夢とか努力とかを堂々と語れる先生が必要なんだ。
エイメイグループの教育理念「教育に夢と感動を。そして少しのユーモアを。」
俺はこの塾の教育を日本中に広めたいと思った。いや、「エイメイのおかげで」「エイメイに出会えて良かった」「エイメイで人生が変わった」生徒たちや保護者様から何度もおっしゃっていただき、この教育を広めていく使命感を持った。
----------------------
大学を卒業し、23歳で塾を任され、俺は正式に塾長になった。若さゆえ、情熱の塊で生徒たちと向き合っていた。そんな初年度、塾の存亡を揺るがす大事件が起こる。。。今でも鮮明に覚えている。4月6日、午後、私服の刑事が塾に来た・・・
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この話は第3章に譲る
第1章 「夢の途中」
第一章「夢の途中」
「よし!やるしかない!」
左腕につけた「アナログ」の腕時計は7時25分。なんとも中途半端な時間であるが、この塾「エイメイ」の授業開始の時間だ。6年前に俺が生徒としてエイメイに通っていたときも当然7時25分であった。
俺は、緊張と不安と喜びと、複雑な気持ちで2階の教室へ向かった。教室の前でもう一度声に出して言った。「よし!やるしかない!」その3秒後、目の前のスチール製の安っぽく軽いドアを勢い良く開けた。
「こんばんは!」
そこには想定通り、中学2年生の総合クラスの生徒たち、7人の男子と4人の女子がいた。想定通り、生徒たちは緊張している。俺以上に。
例外なく全員の視線はこの俺に向けられていた。当然だ。俺は教師なのだ。あの、夢にまで見た教師なのだ。大学3年と、予定より少し早いが、俺はとうとう(塾の、ではあるが)教師になったのだ。
--------------------------
--------------------------
【俺の塾の先生としての今までのストーリーを小説風に書いてみたくなった。
登場人物:主人公「坂上大也」。まぁ、事実をもとに、プライバシーに配慮しながら、登場人物は特定できないように、結構設定もアレンジしていますので、これはフィクションということにしておく。】
--------------------------
--------------------------
「もう一度、こんばんはー!今日からみなさんの数学を担当する坂上といいます!よろしく!」
誰からも返事はなかったが、これも想定内。
俺は、この2時間の授業のために、授業直前まで合計15時間は準備をしたであろう。想定内のことしか起こらないくらいになるまでに準備をした。もう二度とあんな失敗はしたくないからだ。
次の瞬間、
あのスチール製の軽いドアが開いて、「遅れてすいませ~ん。。」男の子が照れながら下を向いて入ってきた。
「田岡裕太、だな?こんばんは!」ふっ、これさえも想定内。先輩の先生から情報は得ていた。田岡という生徒は必ず数分遅刻をするからね。と。
遅刻魔の裕太は初めて見る俺が名前を知っていたことに一瞬驚いたが、すぐに席についた。
俺は無言で教室から出た。生徒たちは、驚き、遅刻に対して先生が怒ったのかと、裕太は特に気になっていたようだ。俺としては、そんな意図はないので、急いで教室に入り直す。
勢い良く軽いドアを開け、
「こんばんは!今日からみなさんの数学を担当する坂上といいます!よろしく!」
と初対面を装って大きな声で同じ挨拶を繰り返した。
生徒たちは一瞬驚いたが、くすっと笑ってくれた。
「やりなおしたんだよ~。裕太が遅刻しちゃったからな~。今度からは一回だけにさせてくれよ!裕太!遅刻するなよ~!」
と言いながら
ホワイトボードに漢字で【坂上大也】と書く。
「この下の名前読める人いる?今までに読めた人は2人しかいないんだぜ!」この後半のセリフがポイントなのだ。そうすると生徒はゲーム感覚で当ててくる。ほら。元気な男子のひとりが早押しクイズかのように言った。
「タイヤ?」
「おい!俺は自転車のタイヤじゃねーぞ!」
みんなどっと笑った。中学二年生の笑いのツボなんてこの程度に浅い。と余裕に思ったが、それは初回だから生徒たちのテンションも少し高かったからだと後から知る。
「ダイヤ?」
「うーん。そんなに高価じゃない!」
実際この名前を読めた人は今までにも数少ない。高校時代なんて、担任の先生から入学式の後のホームルームで「サカガミ、、ダイヤ、くん」と言われ、よく間違われるので、少し面倒で訂正せず、「はい」と返事をしてしまったから、俺は高校の3年間、みんなからダイヤだと思われていたくらいだからな。
そんなことはどうでも良い。今は大事な生徒たちとの初対面のツカミの時間だ。塾長は何より大切にしろと念押ししていた。
「あれ~、正解はいないな。答えは、『ヒ・ロ・ヤ』」
ここまで全てのことは想定内であったが、次の裕太の発した一言は想定外であった。
「エロヤ?」
「おい!ちげーよ!誰がエロだ!」
生徒のみんなが大爆笑をする。
俺も、これはラッキーとばかりに、
「どうやったらエロヤなんだよ!ヒ!ロ!ヤ!いいか!絶対にエロヤなんて呼ぶなよ!」
裕太は期待通り
「エロヤ~~!!」
みんなも大爆笑。
想定外ではあったが、とりあえずツカミは成功か。ニックネームなんてあとからいくらでも変えられるだろうし、とその時は軽く思っていたのだが、それから現場で先生をしていた11年間は、ほとんどの生徒から「エロヤ」と愛情を込めて呼ばれ続けた。ちなみに多くの保護者様からも「エロヤ先生」と嬉しいことに愛称で呼んでもらった。
「みんなとは初対面なんだから、何か先生に質問はないか?」
「先生!あ、間違えた、『エロヤ』、きょうだいいる?」
「先生で間違ってねーよ!!おー、きょうだいいるぞ!超凶暴な兄貴と、10歳も上の姉がいる。俺は末っ子だ。」
「私もお兄ちゃんいる。ウザい。いらないよね~」と元気な女子が言ってくれた。
「お!俺も中学時代は兄貴いらないって思っていたよ!今では仲良いけど、あの頃は毎日ケンカ。あのね、みんなが想像するケンカじゃないぞ、もう、殺し合いだぜ」
「え~!うそ~!」
「本当だよ!一緒に食卓でご飯食べていても、ヒジが当たったという理由で殺し合いのケンカ。自分の領域を決めて、線を引いて、お互いが入ったら殺し合いのケンカ。もう、国同士の戦争と一緒だよ。空中でも入ったらケンカだもんな。殺し合いの。」
「すげ~。エロヤも結構ケンカ強そうだけど、お兄ちゃんも強いの?」
「そりゃそうだよ。兄貴は地元じゃ有名な暴走族のリーダーやっていたんだよ。暴走族同志の抗争事件で少年院にまで入ってんだよ」
「え、マジ?こえー」
「いや、面白い話があって、その抗争事件の裁判があってさ、母親が見に行ったんだけど、兄貴の前にたくさんの仲間がすでに警察に捕まっていて、先に調書など取られてて、『坂上は武器は絶対に使わない主義だった』と全員が言っていて、罪も軽くなるかな~って思われていたんだけど、裁判のとき、裁判官が『坂上くん、右腕をまくって見せてみてください』と、兄貴はなんだ?と思いながら腕をまくると『異常なほどに太い右腕を凶器と同等とみなします』と言われたらしいんだよ。前代未聞だよな」
俺は腕をまくってみせ、兄貴は俺よりこんなに太いんだぜ!もう丸太!と言いながら大げさにしてみた。その後も兄貴とのエピソードをいくつか話し、大爆笑であった。
この10分で生徒たちの心は完全に掴んだ。このときは初めてではあったが、現場で11年先生をやった今だから分析できるが、この10分間のツカミの時間がそのあとの生徒たちとの関係に大きく影響するほど物凄い価値のある時間であるのだ。
「先生、なんで、金髪なの?そんなんでいいの?」もう一つ質問が出た。
「3年B組!キンパツ先生!って言いたくてな。」
「なにそれ。先生なのに、金髪で、いいの?」
生徒から言われて改めて思ったが、塾長はこんな俺の髪を黒に戻せなどと言わなかった。その非常識さが、この塾の特徴なのだ。
現に、この瞬間も隣の教室では生徒たちの大爆笑が聞こえる。
「お!こんな時間か!」わざとらしく腕時計を見た俺は言った。
「授業入らないとな!最後の質問だれか?」
「先生はなんで先生になったの?」とまた裕太からの質問。
この質問には、一言で答えることは無理だった。どこから話そうか。
小学校の頃、運動会のとき勝手に遊んでいたら、ガタイの良い先生から首をシメられ、恐怖を覚えて、こんなのが教育か?と思ったことか。
いや、中学1年のとき、兄貴の友達からもらったボンタンをはいて登校したときに生活指導の先生に呼び出され「お前は、みんなへの影響が大きい。リーダーになれる。お前は自覚をして、その力を正しい方向へ使うべきだ」と言われたことか。
でも、中学3年で、この塾「エイメイ」に入って、尊敬できる大人に初めて出会って、俺は先生を本気で志したんだ。その話を生徒たちにしてあげよう。
でも、そこからは簡単ではなかった。という話も生徒たちにはセットで話をしたい。
が、今日はさすがに勉強に入らなくてはならない。
「この話は今度にしよう!楽しみにしてろ!」
そういってから、自然な流れで数学の授業に入っていった。
--------------その3年前のこと
大学に合格したときに卒業した塾「エイメイ」へ中学ぶりに顔をだした。
塾長に「教育学部か?じゃ、大学生講師として、うちで先生をやってみろ」と言われ、軽い気持ちで採用試験の模擬授業に挑んだことはターニングポイントであった。
模擬授業は、先生たちを生徒に見立てて授業をするのだが、1歳や2歳くらい年上の大学生講師たちから、ものすごい指摘(当時の指導は職人に近く、キツイ言い方ばかりであった)を受けた。
一人の数学科の先輩から
「はっきり言って、準備不足。そんなんで生徒たちの大切な時間を奪うつもりだったの?先生には向いてないんじゃない?」
とまで言われた。俺は完全に自信を打ち砕かれ、呆然としてしまった。
反省をしている素振りを含めた作り笑顔をして全員の先生に頭を下げて「ありがとうございました」と言った。全員が教室から出終わる前に、俺の目には涙が溢れていた。
最後に教室には俺一人が残された。ホワイトボードを綺麗に消しながら、何も考えることができないくらいショックを受けていた。
数分が経ち、塾長が教室に入ってきた。「坂上。わかっていると思うが、不採用だ。今のままではお前を先生として大切な生徒たちの前に立たすことはできない。」
「・・・はい」
俺は、すべてが終わったような気がしていた。
部活動でも中学でも高校でも部長を務め、友達関係でも常にリーダーシップをとってきた俺は、先生に向いている。と信じて疑わなかったんだ。
しかし、今日それがすべて打ち砕かれた。
もちろん、俺の油断、準備不足がすべての原因。そう思いながら涙が止まらなかった。
塾長は
「坂上、もう一度やってみろ。すぐにとは言わない。今回、お前は良い経験をした。俺は、お前の中に光るものが見える。全員が不採用だと言っていた。当然だ。だが、俺は、お前のことを諦めない。必ず、このエイメイの力になってくれ。」
そう言った。
その夜は眠れなかった。俺は教師には向いていないのか。いや、ここから俺は這い上がるんだ。順風満帆な人生なんてドラマにならない。ここからが始まりだ。やっとのことで気持ちを整えることができた。
あのときの塾長の言葉がなければ、俺は教師という夢から逃げていたかもしれない。本当に当時の塾長には感謝している。
不思議な話ではあるが、一度、ボロボロな状態で塾の採用試験に落ちた、この俺が、数年後にはこの塾の塾長になり、会社化し、今は社長をやっているのだから、あのときの模擬授業で俺に「先生に向いてない」と言った先輩たちは驚いているだろうな。全員に感謝だな。
つづく・・・
「よし!やるしかない!」
左腕につけた「アナログ」の腕時計は7時25分。なんとも中途半端な時間であるが、この塾「エイメイ」の授業開始の時間だ。6年前に俺が生徒としてエイメイに通っていたときも当然7時25分であった。
俺は、緊張と不安と喜びと、複雑な気持ちで2階の教室へ向かった。教室の前でもう一度声に出して言った。「よし!やるしかない!」その3秒後、目の前のスチール製の安っぽく軽いドアを勢い良く開けた。
「こんばんは!」
そこには想定通り、中学2年生の総合クラスの生徒たち、7人の男子と4人の女子がいた。想定通り、生徒たちは緊張している。俺以上に。
例外なく全員の視線はこの俺に向けられていた。当然だ。俺は教師なのだ。あの、夢にまで見た教師なのだ。大学3年と、予定より少し早いが、俺はとうとう(塾の、ではあるが)教師になったのだ。
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【俺の塾の先生としての今までのストーリーを小説風に書いてみたくなった。
登場人物:主人公「坂上大也」。まぁ、事実をもとに、プライバシーに配慮しながら、登場人物は特定できないように、結構設定もアレンジしていますので、これはフィクションということにしておく。】
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「もう一度、こんばんはー!今日からみなさんの数学を担当する坂上といいます!よろしく!」
誰からも返事はなかったが、これも想定内。
俺は、この2時間の授業のために、授業直前まで合計15時間は準備をしたであろう。想定内のことしか起こらないくらいになるまでに準備をした。もう二度とあんな失敗はしたくないからだ。
次の瞬間、
あのスチール製の軽いドアが開いて、「遅れてすいませ~ん。。」男の子が照れながら下を向いて入ってきた。
「田岡裕太、だな?こんばんは!」ふっ、これさえも想定内。先輩の先生から情報は得ていた。田岡という生徒は必ず数分遅刻をするからね。と。
遅刻魔の裕太は初めて見る俺が名前を知っていたことに一瞬驚いたが、すぐに席についた。
俺は無言で教室から出た。生徒たちは、驚き、遅刻に対して先生が怒ったのかと、裕太は特に気になっていたようだ。俺としては、そんな意図はないので、急いで教室に入り直す。
勢い良く軽いドアを開け、
「こんばんは!今日からみなさんの数学を担当する坂上といいます!よろしく!」
と初対面を装って大きな声で同じ挨拶を繰り返した。
生徒たちは一瞬驚いたが、くすっと笑ってくれた。
「やりなおしたんだよ~。裕太が遅刻しちゃったからな~。今度からは一回だけにさせてくれよ!裕太!遅刻するなよ~!」
と言いながら
ホワイトボードに漢字で【坂上大也】と書く。
「この下の名前読める人いる?今までに読めた人は2人しかいないんだぜ!」この後半のセリフがポイントなのだ。そうすると生徒はゲーム感覚で当ててくる。ほら。元気な男子のひとりが早押しクイズかのように言った。
「タイヤ?」
「おい!俺は自転車のタイヤじゃねーぞ!」
みんなどっと笑った。中学二年生の笑いのツボなんてこの程度に浅い。と余裕に思ったが、それは初回だから生徒たちのテンションも少し高かったからだと後から知る。
「ダイヤ?」
「うーん。そんなに高価じゃない!」
実際この名前を読めた人は今までにも数少ない。高校時代なんて、担任の先生から入学式の後のホームルームで「サカガミ、、ダイヤ、くん」と言われ、よく間違われるので、少し面倒で訂正せず、「はい」と返事をしてしまったから、俺は高校の3年間、みんなからダイヤだと思われていたくらいだからな。
そんなことはどうでも良い。今は大事な生徒たちとの初対面のツカミの時間だ。塾長は何より大切にしろと念押ししていた。
「あれ~、正解はいないな。答えは、『ヒ・ロ・ヤ』」
ここまで全てのことは想定内であったが、次の裕太の発した一言は想定外であった。
「エロヤ?」
「おい!ちげーよ!誰がエロだ!」
生徒のみんなが大爆笑をする。
俺も、これはラッキーとばかりに、
「どうやったらエロヤなんだよ!ヒ!ロ!ヤ!いいか!絶対にエロヤなんて呼ぶなよ!」
裕太は期待通り
「エロヤ~~!!」
みんなも大爆笑。
想定外ではあったが、とりあえずツカミは成功か。ニックネームなんてあとからいくらでも変えられるだろうし、とその時は軽く思っていたのだが、それから現場で先生をしていた11年間は、ほとんどの生徒から「エロヤ」と愛情を込めて呼ばれ続けた。ちなみに多くの保護者様からも「エロヤ先生」と嬉しいことに愛称で呼んでもらった。
「みんなとは初対面なんだから、何か先生に質問はないか?」
「先生!あ、間違えた、『エロヤ』、きょうだいいる?」
「先生で間違ってねーよ!!おー、きょうだいいるぞ!超凶暴な兄貴と、10歳も上の姉がいる。俺は末っ子だ。」
「私もお兄ちゃんいる。ウザい。いらないよね~」と元気な女子が言ってくれた。
「お!俺も中学時代は兄貴いらないって思っていたよ!今では仲良いけど、あの頃は毎日ケンカ。あのね、みんなが想像するケンカじゃないぞ、もう、殺し合いだぜ」
「え~!うそ~!」
「本当だよ!一緒に食卓でご飯食べていても、ヒジが当たったという理由で殺し合いのケンカ。自分の領域を決めて、線を引いて、お互いが入ったら殺し合いのケンカ。もう、国同士の戦争と一緒だよ。空中でも入ったらケンカだもんな。殺し合いの。」
「すげ~。エロヤも結構ケンカ強そうだけど、お兄ちゃんも強いの?」
「そりゃそうだよ。兄貴は地元じゃ有名な暴走族のリーダーやっていたんだよ。暴走族同志の抗争事件で少年院にまで入ってんだよ」
「え、マジ?こえー」
「いや、面白い話があって、その抗争事件の裁判があってさ、母親が見に行ったんだけど、兄貴の前にたくさんの仲間がすでに警察に捕まっていて、先に調書など取られてて、『坂上は武器は絶対に使わない主義だった』と全員が言っていて、罪も軽くなるかな~って思われていたんだけど、裁判のとき、裁判官が『坂上くん、右腕をまくって見せてみてください』と、兄貴はなんだ?と思いながら腕をまくると『異常なほどに太い右腕を凶器と同等とみなします』と言われたらしいんだよ。前代未聞だよな」
俺は腕をまくってみせ、兄貴は俺よりこんなに太いんだぜ!もう丸太!と言いながら大げさにしてみた。その後も兄貴とのエピソードをいくつか話し、大爆笑であった。
この10分で生徒たちの心は完全に掴んだ。このときは初めてではあったが、現場で11年先生をやった今だから分析できるが、この10分間のツカミの時間がそのあとの生徒たちとの関係に大きく影響するほど物凄い価値のある時間であるのだ。
「先生、なんで、金髪なの?そんなんでいいの?」もう一つ質問が出た。
「3年B組!キンパツ先生!って言いたくてな。」
「なにそれ。先生なのに、金髪で、いいの?」
生徒から言われて改めて思ったが、塾長はこんな俺の髪を黒に戻せなどと言わなかった。その非常識さが、この塾の特徴なのだ。
現に、この瞬間も隣の教室では生徒たちの大爆笑が聞こえる。
「お!こんな時間か!」わざとらしく腕時計を見た俺は言った。
「授業入らないとな!最後の質問だれか?」
「先生はなんで先生になったの?」とまた裕太からの質問。
この質問には、一言で答えることは無理だった。どこから話そうか。
小学校の頃、運動会のとき勝手に遊んでいたら、ガタイの良い先生から首をシメられ、恐怖を覚えて、こんなのが教育か?と思ったことか。
いや、中学1年のとき、兄貴の友達からもらったボンタンをはいて登校したときに生活指導の先生に呼び出され「お前は、みんなへの影響が大きい。リーダーになれる。お前は自覚をして、その力を正しい方向へ使うべきだ」と言われたことか。
でも、中学3年で、この塾「エイメイ」に入って、尊敬できる大人に初めて出会って、俺は先生を本気で志したんだ。その話を生徒たちにしてあげよう。
でも、そこからは簡単ではなかった。という話も生徒たちにはセットで話をしたい。
が、今日はさすがに勉強に入らなくてはならない。
「この話は今度にしよう!楽しみにしてろ!」
そういってから、自然な流れで数学の授業に入っていった。
--------------その3年前のこと
大学に合格したときに卒業した塾「エイメイ」へ中学ぶりに顔をだした。
塾長に「教育学部か?じゃ、大学生講師として、うちで先生をやってみろ」と言われ、軽い気持ちで採用試験の模擬授業に挑んだことはターニングポイントであった。
模擬授業は、先生たちを生徒に見立てて授業をするのだが、1歳や2歳くらい年上の大学生講師たちから、ものすごい指摘(当時の指導は職人に近く、キツイ言い方ばかりであった)を受けた。
一人の数学科の先輩から
「はっきり言って、準備不足。そんなんで生徒たちの大切な時間を奪うつもりだったの?先生には向いてないんじゃない?」
とまで言われた。俺は完全に自信を打ち砕かれ、呆然としてしまった。
反省をしている素振りを含めた作り笑顔をして全員の先生に頭を下げて「ありがとうございました」と言った。全員が教室から出終わる前に、俺の目には涙が溢れていた。
最後に教室には俺一人が残された。ホワイトボードを綺麗に消しながら、何も考えることができないくらいショックを受けていた。
数分が経ち、塾長が教室に入ってきた。「坂上。わかっていると思うが、不採用だ。今のままではお前を先生として大切な生徒たちの前に立たすことはできない。」
「・・・はい」
俺は、すべてが終わったような気がしていた。
部活動でも中学でも高校でも部長を務め、友達関係でも常にリーダーシップをとってきた俺は、先生に向いている。と信じて疑わなかったんだ。
しかし、今日それがすべて打ち砕かれた。
もちろん、俺の油断、準備不足がすべての原因。そう思いながら涙が止まらなかった。
塾長は
「坂上、もう一度やってみろ。すぐにとは言わない。今回、お前は良い経験をした。俺は、お前の中に光るものが見える。全員が不採用だと言っていた。当然だ。だが、俺は、お前のことを諦めない。必ず、このエイメイの力になってくれ。」
そう言った。
その夜は眠れなかった。俺は教師には向いていないのか。いや、ここから俺は這い上がるんだ。順風満帆な人生なんてドラマにならない。ここからが始まりだ。やっとのことで気持ちを整えることができた。
あのときの塾長の言葉がなければ、俺は教師という夢から逃げていたかもしれない。本当に当時の塾長には感謝している。
不思議な話ではあるが、一度、ボロボロな状態で塾の採用試験に落ちた、この俺が、数年後にはこの塾の塾長になり、会社化し、今は社長をやっているのだから、あのときの模擬授業で俺に「先生に向いてない」と言った先輩たちは驚いているだろうな。全員に感謝だな。
つづく・・・
創業段階の経営者の苦悩と誇り
今の時点での記録として自分のために書いたので、長文失礼。
苦悩や喜びをまとめてみます。
【創業段階の経営】
創業段階では当然、人を採用したり、業務に必要なものを購入したり、新たな投資をしたり、安定した収入(利益)なんてありません。
また、経営者なんて名ばかりで、誰よりも現場で働いているのがこの時期の経営者の特徴です。
また、社員を雇用するということは、毎月の不安定な収入の中から、安定した給料を用意しなくてはいけないんです。経営者としては恐怖を伴う挑戦なのです。
しかも、法人には法的義務のある社会保険なども、とても重いのが現実です。小さな会社では社会保険の導入ができていないところも実はたくさんあります。
【赤字に逆戻り】
我が社も、やっと数百万円の利益が出るようになるまでは、社会保険の導入ができませんでした(タイミングを間違えていたら倒産していた可能性もあります)。
しかし、家族を持つ社員も出始めたところで、絶対に導入しなくてはならないと決断し、やっと出ていて数百万円の利益はすべてそこにつかい、また赤字に逆戻りしました。
【現場を離れる覚悟】
そして
数年前、会社で1年間に入ってくるお金が1億円を超え、出て行くお金がそれ以上になった。笑
同時に働く仲間が増えてきて、組織として土台を固めないと運営できないと思い、経営に専念する役割の人が必要だった。俺が最前線から離れ、経営に専念するしかないと覚悟を決めたときだった。
今でも、現場でワイワイ騒いで先生をやっている方が楽しいだろうなって思う。これはたぶん10年後も変わらない想いです。でも、経営者はそれ以上にやりがいがあるんです。使命感です。
【経営者失格】
俺は経営者として、自己否定と自己肯定を同時にしています。
利益が出ていると偉そうに感じていても、他社より給料水準が低いのならば、それは社員たちの犠牲のもとの利益です。経営者失格です。
顧客満足度が上がっていても、他社より社員の休日が少なければ、それも社員たちの犠牲のもとの顧客満足です。同じく経営者失格です。
【経営者としての小さな誇り】
しかし、数十人の雇用を生み出し、たくさんの顧客から必要とされ、地域に欠かせない企業になれているのも事実です。ここは経営者として誇れるところです。
「世の中の発展の源泉は富だ。政治家や役人は富を生み出さない。再分配するだけだ。富を生み出し社会を築き上げているのは企業家だ」
熱い想いを持って企業経営していても、やはり苦しいときも多い。一生懸命な社員にさらに厳しいことを要求し苦しませ、自分のしていることが正しいかわからなくなり、眠れない日が続き、摂食障害に悩んでいたこともあった。
でも、そんなとき、この言葉に何度勇気をもらったことか。
経営者としての資質なんてのは知りません。ただ、がむしゃらに目の前の課題に全力で立ち向かうだけです。
こんな未熟な経営者とともに戦ってくれる仲間の存在に感謝してもしきれません。
さて、自らを奮い立たせて、今日も明日も使命感を持って頑張ろう。
苦悩や喜びをまとめてみます。
【創業段階の経営】
創業段階では当然、人を採用したり、業務に必要なものを購入したり、新たな投資をしたり、安定した収入(利益)なんてありません。
また、経営者なんて名ばかりで、誰よりも現場で働いているのがこの時期の経営者の特徴です。
また、社員を雇用するということは、毎月の不安定な収入の中から、安定した給料を用意しなくてはいけないんです。経営者としては恐怖を伴う挑戦なのです。
しかも、法人には法的義務のある社会保険なども、とても重いのが現実です。小さな会社では社会保険の導入ができていないところも実はたくさんあります。
【赤字に逆戻り】
我が社も、やっと数百万円の利益が出るようになるまでは、社会保険の導入ができませんでした(タイミングを間違えていたら倒産していた可能性もあります)。
しかし、家族を持つ社員も出始めたところで、絶対に導入しなくてはならないと決断し、やっと出ていて数百万円の利益はすべてそこにつかい、また赤字に逆戻りしました。
【現場を離れる覚悟】
そして
数年前、会社で1年間に入ってくるお金が1億円を超え、出て行くお金がそれ以上になった。笑
同時に働く仲間が増えてきて、組織として土台を固めないと運営できないと思い、経営に専念する役割の人が必要だった。俺が最前線から離れ、経営に専念するしかないと覚悟を決めたときだった。
今でも、現場でワイワイ騒いで先生をやっている方が楽しいだろうなって思う。これはたぶん10年後も変わらない想いです。でも、経営者はそれ以上にやりがいがあるんです。使命感です。
【経営者失格】
俺は経営者として、自己否定と自己肯定を同時にしています。
利益が出ていると偉そうに感じていても、他社より給料水準が低いのならば、それは社員たちの犠牲のもとの利益です。経営者失格です。
顧客満足度が上がっていても、他社より社員の休日が少なければ、それも社員たちの犠牲のもとの顧客満足です。同じく経営者失格です。
【経営者としての小さな誇り】
しかし、数十人の雇用を生み出し、たくさんの顧客から必要とされ、地域に欠かせない企業になれているのも事実です。ここは経営者として誇れるところです。
「世の中の発展の源泉は富だ。政治家や役人は富を生み出さない。再分配するだけだ。富を生み出し社会を築き上げているのは企業家だ」
熱い想いを持って企業経営していても、やはり苦しいときも多い。一生懸命な社員にさらに厳しいことを要求し苦しませ、自分のしていることが正しいかわからなくなり、眠れない日が続き、摂食障害に悩んでいたこともあった。
でも、そんなとき、この言葉に何度勇気をもらったことか。
経営者としての資質なんてのは知りません。ただ、がむしゃらに目の前の課題に全力で立ち向かうだけです。
こんな未熟な経営者とともに戦ってくれる仲間の存在に感謝してもしきれません。
さて、自らを奮い立たせて、今日も明日も使命感を持って頑張ろう。
うちの社風「遊ぶように仕事を楽しみ、仕事のように真剣に遊びを楽しむ!」
日帰りバス貸し切り社員旅行!楽しかったねぇ(^-^)
偶然俺の誕生日だったから、サプライズプレゼントまでもらって、嬉しかったっす(*^_^*)
先生たち19人参加はとてもうれしいね!
数年前は社員3人の塾だったけど、ここまで大きくなったなぁ、と感慨深いです。
しかしすぐに次の目標へ向けてみんなで頑張っています。
本当に素晴らしい職場だなぁと、改めて思いました。
皆さんのおかげで素敵な誕生日になりました!みんなありがとうございます!
追伸。マリオとルイージのコスプレして現れた先生がいました。また、夏期講習忙しい中、旅行の準備バス内でのクイズ大会などの準備。本当にこの人達はエンターテイナーだな、と思いました。教師というのは、エンターテイナーでないといけない。
うちの社風「遊ぶように仕事を楽しみ、仕事のように真剣に遊びを楽しむ!」
さて、明日からも頑張ろう!(^-^)
夢の途中
自分の今までの人生をぼんやりと詩というか小説というか不思議な雰囲気で思いつくままに書いてみた(社員たちなんかは「あ,これあのことじゃん」とか思うでしょう)(*^_^*)
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俺は海のない県で生まれ育った。
幼い頃、大海を知らず、そんなのを意識せず、何だかモヤモヤしていた。
目の前にはどんよりとした未来があった。
毎日を適当に過ごしていた。
なんとなく、みんなと一緒に前に進んでいるつもりでいた。
何も疑うことなく、順調に進んでいるつもりでいた。
ふと、反対側に目を向けると、そこには大きな海があった。
きっかけは何気ない事だった。既に記憶にないくらいの。
この大海原に吸い込まれていくような感覚。
何だか海に入ってみたくなって、飛び込んだ。
準備せずに飛び込んだはいいが、泳ぎでは限界がある。
時々塩水が目に入りしみる。
塩水が口に入り苦い経験をする。
休みなく泳いでいたら時々疲れて休みたくなる。が、泳ぐのをやめれば溺れる。
浮き輪を使えばもっと沖まででられるか。
しかし、それにも限界があった。
急にクラゲに刺された。痛かった。この海には猛毒を持ったクラゲもいると聞く。
一度、海から出よう。
そうか、船が必要なんだ。
しかし、近くに船は見当たらない。
しかたない、また、海に入ってみると、今度は割れた貝殻を踏んで足を切った。
自分がしっかりと準備をせずに、靴を履かないで歩いたからなのに。。。
大粒の涙がこぼれた。痛みだけではなく、自分の不甲斐なさに。
もう、海はいいや。
海なんて忘れて、また、みんなと同じ、安全な方へ進めば、怪我をしなくて済むし。
と。
何かスッキリしたんだけど、全てが終わった気がして、空虚感で満ちた。
何度も眠れない日があり、夜、海の上にぼんやりと映る月を眺めていた。
ある夜、どこからともなく、声が聞こえた。
「恐るな。海に出よ」
しっかりと力強い声だった。
そして、目の前に小さな船が見えた。
これに乗ろう。
しかし、操縦の仕方がわからない。
しかも、俺の中にはまだ恐れが満ちていた。一歩踏み出すことができなかった。
船から降りた。
楽な方へ進む自分。いろいろ言い訳をして誤魔化していた。
それから数年間、海は見ないようにしていた。
が、時々恋しくなり、夜な夜な海を眺めていたのは事実。
奇跡的なタイミングで、またあの声が聞こえた。
「今だ!」
その小さな船に乗り込み、旅が始まった。
長い長い旅。
ゆらゆらと揺れる小さな船の上、慣れれば船酔いはしなくなった。
その少し変わった船は、進む方向に関係なく、乗組員が一人増え、二人増え、次第に大きくなる。まるで船自体が成長しているかのようだ。
なんとか操縦にも慣れてきた。
ゆとりが出てくるとさらに視界が開け、かすかに見えるが、遠くに島があることに気づく。
宝の山がある島
人の幸せであふれる島
さて、どちらにしようか。でも方角はだいたい同じだから、まぁとりあえず前へ進もう。
進むうちに、段々と乗組員が増えてきた、
不思議な船は乗組員によって姿形を変える。
真っ赤なスポーツカーみたく猛スピードで海面を突き進んだこともあるし、
横に大きくなり、ゆっくりとしたスピードで着実に進んだこともある。
船はキャプテンにより進み方を変える。
同じキャプテンでも、操縦方法を意図的に変えることもある。
そして今、船はある程度大きくなり、速度も増し、みんなで協力しなくては操縦できなくなってきた。
乗組員全員で一つの「鎖(くさり)」のようである。
どれか一つの輪っかが強くなっても鎖全体では強くなれない。
どんな嵐が来ても耐えるためには、一つ一つの輪っかのすべてが強くなること。
だから、キャプテンとして、乗組員全員が強くなるために責任を持つ。ときには心を鬼にして。
乗組員もキャプテンの思いを理解し、一生懸命それに応える。一生懸命船を漕ぐ。すばらしい船だ。
一方、残念だが目的地が違う乗組員には船を降りてもらったこともあった。それしかなかった。
お互いにとってそれがいいと判断した。
海の状態によってはスピードや進路を変えなくてはならない。キャプテンは海の状態を敏感に感じ取り、指示を出す。
その指示の元、乗組員が命がけで帆を張る。舵を取る。
従わない乗組員がいると船は難破の恐れがある。
だからキャプテンは冷酷にもみえるが、決断する。
一時は同じ目的地を目指した乗組員。この荒れた海に放り出すわけにもいかない。
ある程度の食料や水も渡し,
安全な船着場で降ろす。
そうしたら、速度が増した。
これから、この不思議な船は確実に乗組員を増やし、荒れた大海原をたくましく駆け抜けるだろう。
このメンバーなら、どんなに激しい嵐が来ても大丈夫。
まだまだ旅は始まったばかりだ。
この不思議な船の旅の目的地は、ぼんやりと見えてきている。そこに向けて少しずつではあるが、確実に前進している。
乗組員たちのそれぞれの夢で大きく膨らんだ船。
多少の恐怖はあるが、それをかき消すほどの希望がある。
つづく・・・
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俺は海のない県で生まれ育った。
幼い頃、大海を知らず、そんなのを意識せず、何だかモヤモヤしていた。
目の前にはどんよりとした未来があった。
毎日を適当に過ごしていた。
なんとなく、みんなと一緒に前に進んでいるつもりでいた。
何も疑うことなく、順調に進んでいるつもりでいた。
ふと、反対側に目を向けると、そこには大きな海があった。
きっかけは何気ない事だった。既に記憶にないくらいの。
この大海原に吸い込まれていくような感覚。
何だか海に入ってみたくなって、飛び込んだ。
準備せずに飛び込んだはいいが、泳ぎでは限界がある。
時々塩水が目に入りしみる。
塩水が口に入り苦い経験をする。
休みなく泳いでいたら時々疲れて休みたくなる。が、泳ぐのをやめれば溺れる。
浮き輪を使えばもっと沖まででられるか。
しかし、それにも限界があった。
急にクラゲに刺された。痛かった。この海には猛毒を持ったクラゲもいると聞く。
一度、海から出よう。
そうか、船が必要なんだ。
しかし、近くに船は見当たらない。
しかたない、また、海に入ってみると、今度は割れた貝殻を踏んで足を切った。
自分がしっかりと準備をせずに、靴を履かないで歩いたからなのに。。。
大粒の涙がこぼれた。痛みだけではなく、自分の不甲斐なさに。
もう、海はいいや。
海なんて忘れて、また、みんなと同じ、安全な方へ進めば、怪我をしなくて済むし。
と。
何かスッキリしたんだけど、全てが終わった気がして、空虚感で満ちた。
何度も眠れない日があり、夜、海の上にぼんやりと映る月を眺めていた。
ある夜、どこからともなく、声が聞こえた。
「恐るな。海に出よ」
しっかりと力強い声だった。
そして、目の前に小さな船が見えた。
これに乗ろう。
しかし、操縦の仕方がわからない。
しかも、俺の中にはまだ恐れが満ちていた。一歩踏み出すことができなかった。
船から降りた。
楽な方へ進む自分。いろいろ言い訳をして誤魔化していた。
それから数年間、海は見ないようにしていた。
が、時々恋しくなり、夜な夜な海を眺めていたのは事実。
奇跡的なタイミングで、またあの声が聞こえた。
「今だ!」
その小さな船に乗り込み、旅が始まった。
長い長い旅。
ゆらゆらと揺れる小さな船の上、慣れれば船酔いはしなくなった。
その少し変わった船は、進む方向に関係なく、乗組員が一人増え、二人増え、次第に大きくなる。まるで船自体が成長しているかのようだ。
なんとか操縦にも慣れてきた。
ゆとりが出てくるとさらに視界が開け、かすかに見えるが、遠くに島があることに気づく。
宝の山がある島
人の幸せであふれる島
さて、どちらにしようか。でも方角はだいたい同じだから、まぁとりあえず前へ進もう。
進むうちに、段々と乗組員が増えてきた、
不思議な船は乗組員によって姿形を変える。
真っ赤なスポーツカーみたく猛スピードで海面を突き進んだこともあるし、
横に大きくなり、ゆっくりとしたスピードで着実に進んだこともある。
船はキャプテンにより進み方を変える。
同じキャプテンでも、操縦方法を意図的に変えることもある。
そして今、船はある程度大きくなり、速度も増し、みんなで協力しなくては操縦できなくなってきた。
乗組員全員で一つの「鎖(くさり)」のようである。
どれか一つの輪っかが強くなっても鎖全体では強くなれない。
どんな嵐が来ても耐えるためには、一つ一つの輪っかのすべてが強くなること。
だから、キャプテンとして、乗組員全員が強くなるために責任を持つ。ときには心を鬼にして。
乗組員もキャプテンの思いを理解し、一生懸命それに応える。一生懸命船を漕ぐ。すばらしい船だ。
一方、残念だが目的地が違う乗組員には船を降りてもらったこともあった。それしかなかった。
お互いにとってそれがいいと判断した。
海の状態によってはスピードや進路を変えなくてはならない。キャプテンは海の状態を敏感に感じ取り、指示を出す。
その指示の元、乗組員が命がけで帆を張る。舵を取る。
従わない乗組員がいると船は難破の恐れがある。
だからキャプテンは冷酷にもみえるが、決断する。
一時は同じ目的地を目指した乗組員。この荒れた海に放り出すわけにもいかない。
ある程度の食料や水も渡し,
安全な船着場で降ろす。
そうしたら、速度が増した。
これから、この不思議な船は確実に乗組員を増やし、荒れた大海原をたくましく駆け抜けるだろう。
このメンバーなら、どんなに激しい嵐が来ても大丈夫。
まだまだ旅は始まったばかりだ。
この不思議な船の旅の目的地は、ぼんやりと見えてきている。そこに向けて少しずつではあるが、確実に前進している。
乗組員たちのそれぞれの夢で大きく膨らんだ船。
多少の恐怖はあるが、それをかき消すほどの希望がある。
つづく・・・
株式会社EIMEIとして生まれ変わります!
本日、2015年7月1日より、我が社は、株式会社EIMEIとして生まれ変わりました!
ところで、ちょっと雑談。
「お金持ちぃ~」と言われると俺は否定します。
だって、おれ、貯金ゼロ円だぜ(^^)v
お金の使い方がうまい、と言ってほしいもんだね。
あ、でも、ちょっとおもしろい話だから会社内部事情を書いてしまうけど
あさってまでに現金50万円をポケットマネーで用意して、社員たちに均等に渡して、我が社の株を購入してもらうことにしている(^^)v
税理士さん、呆然としていたよ。この話したとき。笑。しかも、10%の配当金を毎年つけることを確約したしね。
今期から、心機一転会社名もみんなで考えたものに登記し直すし。
うちの会社はみんなの会社なんだ。たまたま「役割」として俺が社長をしているだけで、会社はみんなで大切に育てていきたいというのを、口だけで終わらせたくないから、こんなことをしたんです。
え?そうなんだよ。気づきました? 俺、貯金ゼロ円なんですわ。(^_^;) 50万円はポケットマネーなんかではなく、利率10%のカードローンを個人で借りるんですわ。笑えるでしょう?
でも、これが理解されないだろうけど、ものすごく意味のあることなんですよね~。社員たちにも恥ずかしげなく打ち明けていますよ。こんな事情を。
本日より、株式会社EIMEI第二創業です!ワクワクするぜ。うちの会社の発展が始まる!
ところで、ちょっと雑談。
「お金持ちぃ~」と言われると俺は否定します。
だって、おれ、貯金ゼロ円だぜ(^^)v
お金の使い方がうまい、と言ってほしいもんだね。
あ、でも、ちょっとおもしろい話だから会社内部事情を書いてしまうけど
あさってまでに現金50万円をポケットマネーで用意して、社員たちに均等に渡して、我が社の株を購入してもらうことにしている(^^)v
税理士さん、呆然としていたよ。この話したとき。笑。しかも、10%の配当金を毎年つけることを確約したしね。
今期から、心機一転会社名もみんなで考えたものに登記し直すし。
うちの会社はみんなの会社なんだ。たまたま「役割」として俺が社長をしているだけで、会社はみんなで大切に育てていきたいというのを、口だけで終わらせたくないから、こんなことをしたんです。
え?そうなんだよ。気づきました? 俺、貯金ゼロ円なんですわ。(^_^;) 50万円はポケットマネーなんかではなく、利率10%のカードローンを個人で借りるんですわ。笑えるでしょう?
でも、これが理解されないだろうけど、ものすごく意味のあることなんですよね~。社員たちにも恥ずかしげなく打ち明けていますよ。こんな事情を。
本日より、株式会社EIMEI第二創業です!ワクワクするぜ。うちの会社の発展が始まる!
専門家でない人も立派に論ぜる教育というテーマ
慶應の准教授の中室さんのアレについて、まぁ、批判も多いんだと知った。
エビデンスってまぁデータじゃん。そもそも、批判する人が、感情が混じって正論になっているのは気に食わない。
教育問題は、皆が関心あるから、賛否あるのは当然だけど、学者さんなんだし、中室さんご自身も「私には志はない」と何度も言っていたのは印象的だったな。
そうなんだよ。ただのデータであって、それを現場がどう活かすか。教育行政がどう活かすか、なんだよね。
教育学者と現場教育者は違うし、経営学者と経営実務者は違う。英文法学者が英語ペラペラしゃべれるとも限らない。実務者は学者さんのデータを参考に、自ら考えて実践していけばいい。
批判は学者さん同士でやればいい。
ちなみに、この会の運営「写真撮影は禁止です」って、スピーカーがよければ良くない?みんな学びに来てんだから、記録残したいでしょ。だったら資料くれよ。って運営には批判がある。笑
ちなみに、この写真は禁止アナウンス前のものですよ。
リアルビリギャルに続き、ビリギャルオたちの話です
【24才のときの俺に訪れた大きな試練】
先日のリアルビリギャルではなく「ビリギャルオ」たちの話です(^^)/
数年前に「あの塾に行くと不良になる。問題児が多い」
と塾の悪いウワサを学校の先生が保護者会で言っていたらしい。学校の先生が、だよ。
それに反論してくださった保護者様もいた。ありがとうございました。
確かに,わが塾の中学生、生徒数は300人以上。そんなにも居れば,少し問題のある生徒だっているでしょ。
学校の先生がそんなこと言ってどうすんだよ。もう学校ってところはそこまで堕ちたか。と思った。学校は教育の場であって、教育が必要な生徒のことを見下すような言い方をしてはいけないだろ。
そんな根拠のない言葉を信じてしまった親もいたが、
「『あんなこと言われていたけど,通わせてみたら,そんなことないのにね~。良い塾なのにね~』ってお母さんが言ってたよ~。妹も入ったら最高!って言ってるよ!」
と言ってくれた子がいた。
涙が出るほどうれしいことです。
確かに,数年前,うちの生徒が数名かかわる不祥事が起きた。しかし,地元中学校では、塾に通っていない生徒も含め,約4~5人に1人はうちの生徒だったのだから。問題が起これば,やはり,うちの生徒も多く関わっていた。
俺が言いたいのはね、
そのとき,学校は何をしてく れましたか?
生徒を見捨てるようなこと, 発言をしませんでしたか?
だれが警察まで生徒を迎えに行きましたか?
だれが子ども達の更正に大きな影響を与えましたか?
誰が保護者を集めて今後の方針を話し合いましたか?
「あの塾に入ると問題児になる」という根拠のないウワサは,僕らのみでなく,
今,うちの塾に好きで通ってくれている生徒を傷つけます。
塾のことを信頼して預けて下さる保護者様も傷つけます。
なにより、あの事件からたくさんのことを学び,成長した生徒達を傷つけます。
とある保護者様から「問題を起こした生徒は辞めさせるべき」とご指摘いただいた。
しかし,それは教育現場のすることではない。
僕らの教育方針では,ここから生徒は学び成長していくと。
たったひとりでも生徒は見捨てない。と言いました。
しっかし、本当に大変だった。まだ24才の俺には相当な試練だった。
でも,卒業式の時の問題児たちからの感謝の言葉は一生忘れられない。
卒業してから,たくましくなって塾に訪れた時の表情は忘れられない。
あいつらを辞めさせないで良かった!
素晴らしい生徒達でした!
リアルビリギャルの思い出
ビリギャルの、坪田先生が高校の先生と話すシーンを観て思い出した。数年前に同じようなことあったんだ。
いつも通り平日の昼間、俺は塾で授業の準備をしていた。
その時、(少し問題を抱えていた)生徒が泣きながら学校から飛び出して塾に来てしまった。昼間だし、少し事情を聞いて一緒に学校行った。
先生たちから目を付けられていたその生徒は頭ごなしに叱られると反発してしまう。なんでも厳しく叱れば良いわけではなく、この子の性格を考えて叱って欲しい。そして過去を見ずに今をみてほしいと伝えた。
相手の学校先生は、「塾の先生という商売だからねぇ」と言われた。
俺はプチンと切れてしまい、自分の渡した名刺を返せと言って目の前で破って「塾の先生として話をしてねぇよ」って言った。
「一人の生徒が一生懸命立ち直ろうとしているから、少しだけ繊細に接してあげてくれないか。今が大切なところなんだ。先生だってそれくらい感じるだろ?」って。相手の先生は、少し黙ったあと、うなずいてくれた。
最後は握手して「塾でもこんなに熱い先生がいるんだね」って。
当然だ。うちの塾は「学習塾」というカテゴリーが好きではない。勉強だけ教えているわけではないから。勉強はたまたま必要だから教えているだけ。生徒に伝えているのは「なぜ頑張るか、なぜ学ぶか、どう生きるか」
ひとりひとりの生徒を何よりも大切にしている。
それが落ちこぼれとレッテルを貼られた生徒でも、偏差値70以上の生徒会長でも、上下の差は無い。
あの時は学校サボったり先生に反発していた生徒が、今は自分なりの夢を持ち、いきいきと頑張っていると聞く。うれしい限りだ。