夢の途中
自分の今までの人生をぼんやりと詩というか小説というか不思議な雰囲気で思いつくままに書いてみた(社員たちなんかは「あ,これあのことじゃん」とか思うでしょう)(*^_^*)
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俺は海のない県で生まれ育った。
幼い頃、大海を知らず、そんなのを意識せず、何だかモヤモヤしていた。
目の前にはどんよりとした未来があった。
毎日を適当に過ごしていた。
なんとなく、みんなと一緒に前に進んでいるつもりでいた。
何も疑うことなく、順調に進んでいるつもりでいた。
ふと、反対側に目を向けると、そこには大きな海があった。
きっかけは何気ない事だった。既に記憶にないくらいの。
この大海原に吸い込まれていくような感覚。
何だか海に入ってみたくなって、飛び込んだ。
準備せずに飛び込んだはいいが、泳ぎでは限界がある。
時々塩水が目に入りしみる。
塩水が口に入り苦い経験をする。
休みなく泳いでいたら時々疲れて休みたくなる。が、泳ぐのをやめれば溺れる。
浮き輪を使えばもっと沖まででられるか。
しかし、それにも限界があった。
急にクラゲに刺された。痛かった。この海には猛毒を持ったクラゲもいると聞く。
一度、海から出よう。
そうか、船が必要なんだ。
しかし、近くに船は見当たらない。
しかたない、また、海に入ってみると、今度は割れた貝殻を踏んで足を切った。
自分がしっかりと準備をせずに、靴を履かないで歩いたからなのに。。。
大粒の涙がこぼれた。痛みだけではなく、自分の不甲斐なさに。
もう、海はいいや。
海なんて忘れて、また、みんなと同じ、安全な方へ進めば、怪我をしなくて済むし。
と。
何かスッキリしたんだけど、全てが終わった気がして、空虚感で満ちた。
何度も眠れない日があり、夜、海の上にぼんやりと映る月を眺めていた。
ある夜、どこからともなく、声が聞こえた。
「恐るな。海に出よ」
しっかりと力強い声だった。
そして、目の前に小さな船が見えた。
これに乗ろう。
しかし、操縦の仕方がわからない。
しかも、俺の中にはまだ恐れが満ちていた。一歩踏み出すことができなかった。
船から降りた。
楽な方へ進む自分。いろいろ言い訳をして誤魔化していた。
それから数年間、海は見ないようにしていた。
が、時々恋しくなり、夜な夜な海を眺めていたのは事実。
奇跡的なタイミングで、またあの声が聞こえた。
「今だ!」
その小さな船に乗り込み、旅が始まった。
長い長い旅。
ゆらゆらと揺れる小さな船の上、慣れれば船酔いはしなくなった。
その少し変わった船は、進む方向に関係なく、乗組員が一人増え、二人増え、次第に大きくなる。まるで船自体が成長しているかのようだ。
なんとか操縦にも慣れてきた。
ゆとりが出てくるとさらに視界が開け、かすかに見えるが、遠くに島があることに気づく。
宝の山がある島
人の幸せであふれる島
さて、どちらにしようか。でも方角はだいたい同じだから、まぁとりあえず前へ進もう。
進むうちに、段々と乗組員が増えてきた、
不思議な船は乗組員によって姿形を変える。
真っ赤なスポーツカーみたく猛スピードで海面を突き進んだこともあるし、
横に大きくなり、ゆっくりとしたスピードで着実に進んだこともある。
船はキャプテンにより進み方を変える。
同じキャプテンでも、操縦方法を意図的に変えることもある。
そして今、船はある程度大きくなり、速度も増し、みんなで協力しなくては操縦できなくなってきた。
乗組員全員で一つの「鎖(くさり)」のようである。
どれか一つの輪っかが強くなっても鎖全体では強くなれない。
どんな嵐が来ても耐えるためには、一つ一つの輪っかのすべてが強くなること。
だから、キャプテンとして、乗組員全員が強くなるために責任を持つ。ときには心を鬼にして。
乗組員もキャプテンの思いを理解し、一生懸命それに応える。一生懸命船を漕ぐ。すばらしい船だ。
一方、残念だが目的地が違う乗組員には船を降りてもらったこともあった。それしかなかった。
お互いにとってそれがいいと判断した。
海の状態によってはスピードや進路を変えなくてはならない。キャプテンは海の状態を敏感に感じ取り、指示を出す。
その指示の元、乗組員が命がけで帆を張る。舵を取る。
従わない乗組員がいると船は難破の恐れがある。
だからキャプテンは冷酷にもみえるが、決断する。
一時は同じ目的地を目指した乗組員。この荒れた海に放り出すわけにもいかない。
ある程度の食料や水も渡し,
安全な船着場で降ろす。
そうしたら、速度が増した。
これから、この不思議な船は確実に乗組員を増やし、荒れた大海原をたくましく駆け抜けるだろう。
このメンバーなら、どんなに激しい嵐が来ても大丈夫。
まだまだ旅は始まったばかりだ。
この不思議な船の旅の目的地は、ぼんやりと見えてきている。そこに向けて少しずつではあるが、確実に前進している。
乗組員たちのそれぞれの夢で大きく膨らんだ船。
多少の恐怖はあるが、それをかき消すほどの希望がある。
つづく・・・
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俺は海のない県で生まれ育った。
幼い頃、大海を知らず、そんなのを意識せず、何だかモヤモヤしていた。
目の前にはどんよりとした未来があった。
毎日を適当に過ごしていた。
なんとなく、みんなと一緒に前に進んでいるつもりでいた。
何も疑うことなく、順調に進んでいるつもりでいた。
ふと、反対側に目を向けると、そこには大きな海があった。
きっかけは何気ない事だった。既に記憶にないくらいの。
この大海原に吸い込まれていくような感覚。
何だか海に入ってみたくなって、飛び込んだ。
準備せずに飛び込んだはいいが、泳ぎでは限界がある。
時々塩水が目に入りしみる。
塩水が口に入り苦い経験をする。
休みなく泳いでいたら時々疲れて休みたくなる。が、泳ぐのをやめれば溺れる。
浮き輪を使えばもっと沖まででられるか。
しかし、それにも限界があった。
急にクラゲに刺された。痛かった。この海には猛毒を持ったクラゲもいると聞く。
一度、海から出よう。
そうか、船が必要なんだ。
しかし、近くに船は見当たらない。
しかたない、また、海に入ってみると、今度は割れた貝殻を踏んで足を切った。
自分がしっかりと準備をせずに、靴を履かないで歩いたからなのに。。。
大粒の涙がこぼれた。痛みだけではなく、自分の不甲斐なさに。
もう、海はいいや。
海なんて忘れて、また、みんなと同じ、安全な方へ進めば、怪我をしなくて済むし。
と。
何かスッキリしたんだけど、全てが終わった気がして、空虚感で満ちた。
何度も眠れない日があり、夜、海の上にぼんやりと映る月を眺めていた。
ある夜、どこからともなく、声が聞こえた。
「恐るな。海に出よ」
しっかりと力強い声だった。
そして、目の前に小さな船が見えた。
これに乗ろう。
しかし、操縦の仕方がわからない。
しかも、俺の中にはまだ恐れが満ちていた。一歩踏み出すことができなかった。
船から降りた。
楽な方へ進む自分。いろいろ言い訳をして誤魔化していた。
それから数年間、海は見ないようにしていた。
が、時々恋しくなり、夜な夜な海を眺めていたのは事実。
奇跡的なタイミングで、またあの声が聞こえた。
「今だ!」
その小さな船に乗り込み、旅が始まった。
長い長い旅。
ゆらゆらと揺れる小さな船の上、慣れれば船酔いはしなくなった。
その少し変わった船は、進む方向に関係なく、乗組員が一人増え、二人増え、次第に大きくなる。まるで船自体が成長しているかのようだ。
なんとか操縦にも慣れてきた。
ゆとりが出てくるとさらに視界が開け、かすかに見えるが、遠くに島があることに気づく。
宝の山がある島
人の幸せであふれる島
さて、どちらにしようか。でも方角はだいたい同じだから、まぁとりあえず前へ進もう。
進むうちに、段々と乗組員が増えてきた、
不思議な船は乗組員によって姿形を変える。
真っ赤なスポーツカーみたく猛スピードで海面を突き進んだこともあるし、
横に大きくなり、ゆっくりとしたスピードで着実に進んだこともある。
船はキャプテンにより進み方を変える。
同じキャプテンでも、操縦方法を意図的に変えることもある。
そして今、船はある程度大きくなり、速度も増し、みんなで協力しなくては操縦できなくなってきた。
乗組員全員で一つの「鎖(くさり)」のようである。
どれか一つの輪っかが強くなっても鎖全体では強くなれない。
どんな嵐が来ても耐えるためには、一つ一つの輪っかのすべてが強くなること。
だから、キャプテンとして、乗組員全員が強くなるために責任を持つ。ときには心を鬼にして。
乗組員もキャプテンの思いを理解し、一生懸命それに応える。一生懸命船を漕ぐ。すばらしい船だ。
一方、残念だが目的地が違う乗組員には船を降りてもらったこともあった。それしかなかった。
お互いにとってそれがいいと判断した。
海の状態によってはスピードや進路を変えなくてはならない。キャプテンは海の状態を敏感に感じ取り、指示を出す。
その指示の元、乗組員が命がけで帆を張る。舵を取る。
従わない乗組員がいると船は難破の恐れがある。
だからキャプテンは冷酷にもみえるが、決断する。
一時は同じ目的地を目指した乗組員。この荒れた海に放り出すわけにもいかない。
ある程度の食料や水も渡し,
安全な船着場で降ろす。
そうしたら、速度が増した。
これから、この不思議な船は確実に乗組員を増やし、荒れた大海原をたくましく駆け抜けるだろう。
このメンバーなら、どんなに激しい嵐が来ても大丈夫。
まだまだ旅は始まったばかりだ。
この不思議な船の旅の目的地は、ぼんやりと見えてきている。そこに向けて少しずつではあるが、確実に前進している。
乗組員たちのそれぞれの夢で大きく膨らんだ船。
多少の恐怖はあるが、それをかき消すほどの希望がある。
つづく・・・