講談社HBRの1月号の特集は『ラブアンチエイジング~大切な女性ホルモン 大事な男性ホルモン~』です。連載の「アンチエイジングDr.青木晃が行く」では、ずばり「アンチエイジングセックス」について、お二人のご高名な女医先生にご協力いただきました。婦人科がご専門の成城松村クリニック 院長 松村圭子先生と美容外科・皮膚科がご専門のあきこクリニック 院長 田中亜希子先生です。
対談は昨年12月に、松村先生のクリニックで行われました。実は、この成城松村クリニック、松田聖子さんのご実家だったんですよ!熱烈大ファンだった松村先生が縁あって、購入することになりクリニックとしてリニューアルさせ昨年10月に開院されたのです。スゴイ!
対談では、セックスレスの話題に始まり、セックスはアンチエイジングにつながるのか?セックスは美肌効果があるのか?セックスの運動としての効果は?などを、かなりまじめにディスカッションしました。
まずは、私が昨年の3月16日に書いたブログ をご覧下さい。
要旨はこちら↓
***************************
性は健康の源!
米国の中高年の2つのグループ(25-74歳3032名、57-85歳3005名)を対象に、健康と性的活動との関連を横断的研究で調査。
性的活動度、性生活の質、性に対する興味は健康な人ほど高く、健康状態との間に正の相関が認められた。
健康状態が良好な人では、同年代の健康状態があまり良好ではない人に比べて、性への関心度が約2倍高く、セックスを営むことができる残り時間も約6年ほど長かった。
また、男性においてはセックス頻度が高いことと、より良好な健康状態との相関が示された。
***************************
カロリーリストリクション(カロリー制限)が、個体の寿命を延長させる効果があることはエビデンスがあります。一方、上記BMJで発表された“セックスと健康状態”の研究内容もアンチエイジング的に大変、興味深いものがあります。
なぜならば、これまでは生物学的に個体寿命を延ばすことと生殖能力との間には負の相関があると考えられていたからですね。生物の究極の目的は、種の保存。しかし、個体の生存が危ぶまれるような危機的状況下(特に飢餓)では、生殖の前に自身が生き延びる必要があるわけです。
実際、長寿遺伝子Sir2を発見したことで知られるマサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガランテ博士は次のように述べています。
『食糧がたくさんあれば、生殖活動をして子孫を残すことが出来るので、長寿遺伝子はあまり働かない。しかし、食糧が少ない状況では、より若さを保ち、自己の子孫を残すチャンスを延ばさなければならないので、長寿遺伝子が活性化され個体寿命が延びるのだろう。』と。
そして、この飢餓期においては生殖能力が低下することも知られています。
アンチエイジングとSEXは上記の視点からすると相反するように見えます。しかしながら、BMJの報告では、性的活動度や性に対する興味の度合いが高い人ほど、健康状態が良好であったとある。ある程度以上の年齢になれば、健康状態が良くないと性生活も営めないのも事実であるので、因果関係(健康だからSEX出来るのか、SEXしていることが健康につながるのか)のほどは今後の更なる検討が必要でしょう。
私自身は、少なからぬ部分で性的なリビドーが高いことがアンチエイジングに一役買っているのでは?と思っています。
日本抗加齢医学会では、アンチエイジングに必要な3つの柱として、「食」、「運動」、「ときめき(生きがい)」を挙げています。「ときめき」などという言葉で上手くごまかしていますが、これはもちろん広義の意味のSEX(単なる性交だけではなく、性的な情動なども含む)に他ならないわけですね。
男女ともに、人間も所詮は生物であることからすれば、健全な食欲と性欲、睡眠欲があることが生きていることの本質ともいえるでしょう。
実際、自分自身の周りを見ても、50歳以上のサクセスフルエイジングを実践されている人は男女を問わず、魅力的でアクティブでいい意味での色気を持っている人が多いと感じています。
感情や理性が高度に発達した生物である人間においては、アンチエイジングな食や運動もベーシックなレベルでは必要であるが、それら以上に、“生きがい”が健康寿命に大きく関係しているだろうということが言われています。
その生きがいをどこに、どういうレベルで求めるかはひとそれぞれでしょう。しかし、異性に対しての「ときめき」はそれが、韓流スターへの想いであったとしても、ひとつの立派な生きがいになるのでは?
そして、そういった情動がやや低下しがちな熟年期夫婦においても、手を握る、キスをする、同衾する(性交をしなくても)などの日常でのスキンシップは、異性を感じるという点においてアンチエイジングにつながるものと信じたいものです。
写真は、元松田聖子邸の成城松村クリニックロビーにて。左:田中亜希子先生 右:松村圭子先生











