打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】 -9ページ目

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

歴代三社長による、利益の先食い・
費用の先送りによる不正会計が発覚し、
その三社長の取締役辞任に至った東芝。


その額はまだ全貌判明していないが、
2500億円に上ると言われている。


この不正会計によって、本来の利益より高くなり、
企業価値を高く見せたことによって、
本来の株価より高い値で株を買ったとして、
米国では損害賠償訴訟が起きている。


ここで良く引き合いに出されるのが、
9年前のライブドアによる利益水増し事件だ。


この時は、買収資産の過大評価や架空売上により、
50億円の利益水増しがあったとされる。


50億円と2500億円、額だけみると、
逮捕者が出ないことに疑問を感じるかもしれない。


しかし東芝の場合、実際にあった売上と費用を、
本来計上すべき時期にしなかったのであり、
(もちろんそれも絶対にいけないが。)


無かったことあったことにしたライブドアとは、
本質的に違うのである。
ただし当時社長の堀江貴文氏は「解釈の違い」と主張している。


あまりよい例えではないが、
借りることは決まっているが受け取っていないお金を
既に手元にあるとしてしまうのに対して、
ライブドア偽札を作ったとも言えるだろう。


どちらが悪質かは言うまでもない。


もちろん東芝の不正会計は、
まだ全貌が分かっていないことから、
この先新たな事実が判明したら、展開が変わる。


ただ額の大きさだけで物事の是非を判断するのは、
あまりに短絡的で、伝える側も、感想を述べる側も、
それを受け取る側も、本質を良く見極めなければならない。


特にネットの情報は、憶測だけで書いてあるものが多い。
それを如何にも事実のように。


情報があふれているネット社会、
受け取る側の力が試される、本欄を読む場合も含めて。

迷走を続け批判にさらされ続けた
国立競技場のデザインが、一転して、
0から見直すという。


本来なら、3000億円の試算が出たときに、
見直すべきで遅きに失した感はあったが、
やらないよりは良いだろうと思われるが、
問題は、間に合うかどうかだ。


完成は、五輪1年前を切るという。


以前にもふれたが、オリンピックは、
事前のテストイベントが義務付けられている。


ラグビーのワールドカップは、
その格好のイベントになる予定だったが、
それも出来ない公算が出てきた。


テストイベントは、1年前に行うのが通例である。
テストを経て、問題点を解決し、本番に備えるのだ。


その解決期間が短くなることも
運営の大きな負担になる。


組織委員会の森元首相は、安倍首相の説得を受ける時、
完成時期の注文は付けなかったのだろうか。


折角見直すのだから、完成の時期は遅らせず、
その代り、面白味はないがシンプルでかつ
安価で出来るものが望ましい。
(工期が短ければその分人件費を中心に費用も減る。)


成熟した国の姿を見せるのなら、
派手なものでなくてよい。


今度の五輪が、日本にとって、
前の東京五輪で始まった日本の栄光の
終わりにならないよう、
計画はぬかりなく、動き始めたら素早く出来るよう、
期待したい。

安倍政権が今国会で成立を目指す、
安保関連法制案を、来週にも衆議院を通過させようと、
与党内で調整が続いている。


これに対して野党は対案を出し、
強行採決には反対する構えだ。


安保法制が必要なのは、我が国周辺を取り巻く情勢から、
異論をはさむ余地がない。


しかし今回の与党案の中身は、
我が国周辺の事態とは関係ないところでの事態にも、
国会の承認を不要とし、内閣だけで決められることに、
大きな不安が出てきている。


安倍首相は、今賛成でなくても、
20年経ったら賛同をられることもある、
80時間の審議を経た、として、
決める時は決める、としている。


果たして、今回の法制案は、
20年後に賛同を得られれば、
今は賛同が得られなくてもよいものなのだろうか。


憲法の解釈を変えてまで通そうとする法案を、
今までの例に従った時間だけで通して良いものなのかどうか。


各紙の世論調査でも、
国民への説明は不十分だとする回答が、
軒並み8割前後に上る。


安倍内閣の支持率も、不支持率を下回った。


時間がないのは分かる。


しかし今ここで議論が不十分なまま決めてしまったら、
来年の参議院選挙は、8年前の二の舞になりはしないだろうか。


ここは落ち着いて、もっともっと議論を尽くすべきではないだろうか。

明治日本の産業革命遺産の世界登録が、
今日決まるはずが、韓国の横やりで、あすに延期された。


戦前の韓国人に対する強制労働の文言記載を求め、
それがなされないからとして反対している。


明治時代の話であり、
強制労働があったとされる時代とは違う。
強制労働の記載が必要なのは明らかだ。


近年、韓国では、
日本に関することが国際的に認められようとすると、
何らかの形で妨害に出る。


今回は、事前の調整一旦は韓国も矛を収めたにも関わらず、
土壇場で反対行動に出た。


韓国では、もし登録が認められれば、
外務大臣の辞任は避けられない、とされている。


他国の世界遺産が認められれば辞任、ということ自体、
首をかしげることだが、韓国政府には、
もはや止められない声が、韓国世論にある。


それを扇動しているのは、市民活動団体だ。


韓国では、1980年代の民主化とともに、
声を上げる市民団体が発言力をもつようになり、
政府や一般市民は、その声の前には無力であるという。


韓国の一般市民の反日感情は、言われているほど強くない。
韓国国民の日本訪問者数がここ2年で急増し、
中国国民より多いことがそれを証明している。


しかし、市民団体は声高に叫べば、
反対ではないから、同調せざるを得ない。


従軍慰安婦問題は、韓国政府ではなく、
市民団体が声を上げて問題化した。


韓国政府は、今回、外務大臣を日本に行かせて、
まとめる方向で持っていったが、
土壇場での反対は、無視できない
市民団体の存在があるからだ。


ありていに言えば、声の大きい奴には逆らえない、
ということだ。


これはもはや韓国の国内問題であり、
我が国はとばっちりを受けているが、
政府と話をしても意味がないことがはっきりした。


加えて、一般市民に対する世論調査では、
朴大統領に対し、安倍首相と無条件で会うべき、
という意見が過半数を超えた。


日本が韓国を敬遠し始めた影響が、
韓国国内で出始めているからだ。


とはいえ、市民団体が声を上げている間は、
韓国政府も、一般市民も、日本側も何もできない。


我が国としては、韓国と一定の距離を置き、
敬遠の影響が市民団体も無視できない状況になるまで
待つしかない。


韓国国内にも、日本とのかかわりで冷静な声がある。


我が国も、ヘイトスピーチなどとという、
挑発に乗るような行動を控え、
相手の頭が冷えるのを、待つしかない。

北朝鮮による日本人拉致事件で、
北朝鮮による調査内容の回答が、
調査開始するとしてから1年経っても出てこない。


出す出す、と言っておきながら、結局は出てこなかった。
国家による犯罪なのだからすぐに出せるはずだ。


それを出さないのだから、
もう出す意思はない、と考えてよいだろう。


しかし出させなければならない。


柔和策では全く前進しないことが分かった。
であれば、もう強硬策しかない。


しかし強硬策一辺倒では、
相手のいわゆる”逆切れ”の恐れもある。


そこで、「全員帰国が実現したら、
これだけの経済援助をする。」という具体策を
提示することだ。


日朝間に懸案が無くなれば、
援助することに何の弊害はない。


もちろんミサイルの問題もあるから、
「ミサイルを解決したらさらにこれだけの援助をする。」
ことも提示する。


当然に、「それまでは、これだけの制裁を続ける。
調査開始ではだめだ。結果を出せ。」と迫る。


今すぐにすべきことは、送金停止、
在日北朝鮮国籍保有者の再入国の禁止だ。


朝鮮総連本部も、売却こそされたが、
賃借して引き続き占有する方向ではある以上、
その経緯を明らかにし、少しの違法行為でも
徹底追及し、居座るには相応の負担を課すべきである。


もう時間は切れている。すぐにでも動くべきである。

労災死認定された女性の夫が、
夫に限ってもうけられている55歳以上という
要件を満たせないのを理由に


遺族年金をもらえないのは違憲だとして訴えていた裁判で、

二審の大阪高等裁判所は、一審の判決を覆し、
男女差別には当たらず合憲との判決を出した。


遺族年金には多数種類があり、
労災以外のものもあることから、
ここで説明すると長くなるので割愛するが、
性別が違うことで、もらえないケースがある。


そもそもそれ自体男女平等の憲法に違反すると
理解するのが自然だが、信じられないことに、
遺族年金に関しては、性別の違いが、21
世紀の日本でも
いまなお当たり前のように規定されている。


判決でも指摘があったように、実際の収入に男女差があり、
男性は残されても稼げるが女性は稼ぐのが難しい、
というのがその理由だそうである。


はっきり言って噴飯ものである。
いや、噴飯で済むものではない。


なぜなら、「その女性が払ってきた保険料は、
何のためだったのか。」という疑問が出てくるからだ。


男女ともに不利益を被る差別規定であることは明らかだ。


男女共同参画社会を目指しているとする安倍政権が、
その差別規定を正さないこと自体、
その本気度がどれだけなのか、如実に表している。


女性が払った保険料が活かされない、だったら払うだけ損、
働くのが損、となっていしまい、共同参画社会の実現は遠のく。


労災の場合「働き手をなくしたことによる利益喪失の補填。」
の意味合いは、それはそれで合理的である。


しかし、残された遺族の稼ぐ力によって、支給不支給を決めるのは、
そしてその稼ぐ力の判断を性別だけで規定するのは、
利益喪失の補填の趣旨に反するのは明確である。


乱暴な言い方をすれば、「女性の払った保険料は活かさなくてよい。」
ということが成立してしまう。


まさに性別による差別ではないか。


遺された遺族の稼ぐ力は、その家庭によりさまざまである。
性別だけで判断できるものではない。
その面からみても、今回の判決や、

そもそも差別規定がおかしいのは明白である。


老齢年金に国民の不信感が高まる中、
同じ保険料を基に運用されている遺族年金がこれでは、

ますます不信に拍車がかかる。


安倍政権が、本気で男女共同参画社会の実現に取り組むのなら、
投資を伴わない、この男女差別規定を一刻も早く撤廃すべきではないか。


出なければ、働く女性が報われないだけでなく、
男性も不利益を被るだけである。

安保法制をめぐる国会の委員会に、
与党推薦も含め、呼ばれた3人の憲法学者が、
全員違憲だと表明した。


与党からは、まさか、という反応だが、
その反応こそまさかであり、
憲法学者を呼ぶこと自体、墓穴を掘ることになることは、
火を見るより明らかだった。


憲法学者の中にも改憲論者・護憲論者と分かれるが、
現在の憲法に照らし合わせ、違憲かどうか、と聞かれれば、
独自の解釈をもたない限り、ほぼ全員が同じ見解になるのは、
当然のこととも言える。


今まで合憲としてきた個別的自衛権は、
自国がやられそうになったら防御するという意味において、
憲法第9条第2項が禁じる、国際紛争を解決する手段のための
軍隊をもつこととは、全く別の話である。


集団的自衛権でも、同盟国などに窮迫の事態が起きた際、
専守防衛に徹し、撃退だけに限っているのなら、
憲法の文言に違反しないと言えなくはないだろう。


しかし今回の法制を見れば、同盟国が他国の領土に
入っていくことを想定しており、

違憲見解となるのは、ごくごく自然な展開である。


安倍政権は、石油は国民の生命線だとして、
国民の生命と財産を守ることになるから、
石油船の安全のため、機雷掃海が必要な場合は、
合憲だとしている。


しかし、公海上の機雷掃海は、戦争が終わっていれば、
敵も味方もないが、戦争中であれば、
仕掛けた方からすれば敵対行為である。


まさに紛争を解決する手段となってしまう。


戦争当事国の領土・領土・領空に入ることが、
違憲かと問われれば、いいえという答えは、
どう考えても無理がある。


安倍政権は、戦後70年談話でアメリカの評価を得たいため、
アメリカの要求を飲もうとしているのかどうか不明だが、
何とか今の国会で成立させたい意向だ。


我が国や周辺の東南アジアでの中国の動きもある中、
集団的自衛権を行使できるようにしておくことは必要だ。


しかし、それよりさらに活動範囲が広がることに、
国民の理解が得られていない中、
段階的に広げることも考えねばならないのではないか。


少なくとも今のままでは、安倍政権の暴走という見方が、
一部の下ではなく現実になってしまうという、
国民の不安は払しょくできない。


それも踏まえて、よくよく再度、

法制の中身を考えるべきではないだろうか。

2020年東京五輪のメイン会場となる、
国立霞ヶ丘競技場の全面完成が、
五輪時に間に合わないことが表面化した。


それだけでなく、費用も当初の倍に膨れ上がり、
管轄する文部科学省は、五輪の主催者主体となる
東京都に、財政支援を要請した。


そもそも、すでに取り壊されてしまった旧スタジアムを、
取り壊す必要があるのか、という声は、
著名な建築家を中心に多く上がっていた。


新スタジアムのデザインが斬新過ぎて、
工期に時間がかかり、費用の見積もりも甘い、
という理由だが、それが、当たってしまったことになる。


デザインの斬新さが、屋根を支える二本のアーチ部分構築に、
大幅な時間がとられる、という。


そこで開閉式の屋根は、五輪後ということになったのだ。


そもそも立候補時は、既存の施設を活用し、
出来るだけ先週の移動も少なくする
コンパクトさを売りにしていたはずだ。


五輪招致期に就任した舛添都知事は、
かねてよりその危機感をもっていたのか、
就任直後に、さらにコンパクトさを目指し、
競技団体の反発覚悟で、会場の変更を決めてきた。


しかしメイン会場は国の施設であり、
都の施設ではないことから、国にゆだねるしかなかった。


懸念されていた新スタジアムの完成遅れが現実化し、
財政支援まで求められた舛添知事としては、
反発するのは当然である。


ならばいっそのこと「金も出すが口も出す」として、
一部の著名な建築家が提案したように、


デザインの全面差替を認めさせ、間に合わない、
という事態を避けさせることを飲ませるなど、
全面的に見直した方が良いのではないだろうか。


五輪は、開催の1年前に、全競技で五輪と同様の
テストイベント、いわゆるプレ五輪を実施する。
なので残された時間は、実はあと4年しかないのだ。


舛添知事以外に、危機感をもっている関係者は、
残念ながら見当たらない。


五輪の運営を担う組織委員会の会長である森元首相も、
長らく国会議員だったので、どうしても
政府寄りになってしまうように見受けられる時がある。


しかし、主催者は政府ではなく都である以上、
逆に国会議員・総理大臣の経験を強みにして、
もっと舛添知事と連絡を密にして、
抜本的な見直しに関して、政府との橋渡しになってほしい。


失言ばかり目立つが、面倒見の良さから、
今もなお国会議員を中心に慕う人が多い。


だからこそ国会議員を辞めた後も、
推されて組織委員会の会長になった。
舛添知事とも良い関係が築けるはずだ。


本欄で、筆者は東京五輪招致に賛成ではなかったが、
やると決まった以上は外国人が多く来ることから、
何が何でも成功させるほかないのは、言うまでもない。


そのためにも、見直すべきところは、
早急に見直して、準備に備えなければならない。

国際サッカー連盟(FIFA)の総会前に、
開催地決定や会長選挙を巡って

1億ドル規模の賄賂があったとして、


現役役員を含む幹部などが、アメリカ捜査当局の要請を受け、
スイスの当局に身柄を拘束された。


会長選挙のある総会を直前にしたこの動きから、
ブラッター会長自身は、何もなかったか、
あったとしても混乱を招くとして、
当局からの何らかのアプローチはなく、5回目の当選をした。


しかし、この総会の前から、本欄でも指摘をしていたように、
疑惑について度々報道されていたにもかかわらず、
FIFAは事態の解明に消極的だった。


今回は、金銭の授受がアメリカを通じて行われたことで、
アメリカの捜査当局が動いたわけだが、


南米やヨーロッパの理事もいたにもかかわらず、
FIFA本部の所在地=法令の適用を受ける国、スイスでも、
アメリカの要請があるまでは、特に何もしなかった。


一部のサッカー専門家の話では、
ヨーロッパや南米は、サッカーは巨大ビジネスで、
下手に動くと放送権料などで、ありていに言うと
損をしてしまうから動けない、


しかしアメリカではサッカーはメジャーではなく、
大きな影響はないから動けた、と指摘する。


もっとも、南米やヨーロッパでは、
大陸連盟の会長や、元選手を中心に、
不正疑惑を正すべきとの声が多く上がり、
会長選挙に元選手も立候補を検討していたくらいだ。


開催地決定を、2026年大会から理事会から総会に変えるなど、
ブラッター体制でも一定の改革は進んでいたとの評価もあるが、
それでこの事態だから、それまではもっとひどかった、ということになる。


ブラッター氏がいみじくも言ったように、
強いリーダーシップを持って大改革に臨む姿勢が、
ブラッター氏自身初めFIFA役員には求められる。


まずは、総会・理事会の関係、
現在の大陸連盟でのメンバー(会員)構成等、
組織を根本的に見直すことから始めなければならない。


となれば、そFIFAのメンバーである、
改革を訴える声が特に大きい、
南米やヨーロッパの連盟自身の改革も求められる。


大陸連盟を構成する各国サッカー協会個々にも、
その責任があることは言うまでもない。


不正の徹底追放に向け、
1つにまとまる総会にならなければ、
同じことの繰り返しになってしまう。


そうならないためにも、
一致結束が、この総会では求められる。

東京都の23区のごとく、大阪府の市区町村として、
大阪市を5つの区に分割するという、いわゆる
「大阪都構想」の住民投票が、僅差で否決された。


もともと大阪府庁と大阪市役所が担当する業務に
重複が生じているだけでなく、その業務の取り合いにより、
いわゆる二重行政に拍車がかかり、多額の税金が無駄になった
として、


橋下市長は、東京”都”に例え、
大阪市をという行政単位を、東京都の23区と同じにして、
大阪府の直轄にし、かつ5区に分割する構想を提案し、

今回の住民投票に臨んだ。


これがいわゆる今回の”大阪都構想”である。


確かに二重行政の解消に手っ取り早いのは、
市を分割し、府と区の権限を明確に分けることである。


一方で、名称上大阪市を消滅させるという
心理的犠牲がいかに大きいかは、

平成の大合併を見れば、一目瞭然である。


5つの区に分けるその名称に「大阪●●区」のような、
「大阪」の名前は存在しなかった。


それ以前に、大阪市以外の政令指定都市をも巻き込んだ
都構想を提案し、ことごとく反対に遭って、
自身が市長を務める大阪市だけの再編に縮小せざるを得なくなった。
それだけで二重行政の解消の効果の見込みは小さくなった。



もっと言えば、橋下氏の”都”構想の参考対象自体が、
実際はまったく参考にならないものであった。



橋下氏は、かつての東京府(現在のいわゆる多摩地域)と
東京市(現在の23区地域)という全く重複しない、

別の地域の行政を合併させ誕生した東京”都”になぞらえて、


「大阪”都”構想」と銘打ったが、

そもそも大阪市は大阪府の一部地域であり、
別々の地域の東京府と東京市が合併したこととは、根本的に違う。


ワンフレーズで理解してもらいために「”都”構想」としたのだろうが、
大阪府民、大阪市民をあまりに見下し過ぎている。
筆者はの2点(東京都誕生の経緯、ワンフレーズ)から、

”都”という言葉を使った時点で、既に非常に大きな違和感を感じていた。


「大阪市東京23区化構想」、の方がよほど
分かりやすかったと思うのは、筆者だけだろうか。


二重行政の解消を目指したことは、誰もが、
(あ、既得権益を除いて)賛成だっただろう。


しかし名は体を表すがごとく、人間の心理だけでなく、
民法の表見代理の規定など、法的にも大事なものである。


加えて、本人が記者会見で言っていたように、
「敵を作って徹底的にやっつける。」やり方では、
当初は拍手喝さいかもしれなかった。


議論ではなく「口げんか(本人談)に勝つことこそ得意。」
として、大阪府知事になる前には、著書も出したくらいだ。


タレントの時ならそれでも良いかもしれないが、
選挙が終われば自身に投票しなかった人たちのためにも、
仕事をしなければならないのに、


少なくとも表現上においてはそのスタンスを続けることにより、
自分に反対する人の話は聞かない、というイメージが強くなり、
(最たるものが在特会の代表との接触)


「二重行政にはうんざりだが、橋下氏には
 ”都”構想の手柄はとらせたくない。」
という市民の判断が、この僅差となったのであろう。


橋下氏自身、この結果により政治家を引退すると言っている。
これで憲法改正という橋下氏との立場に近かった
安倍首相が落胆している、という話も漏れ伝わっている。


しかし7年前の大阪府知事選挙に、
20000%出ないと言って出馬した過去がある。


その時は、「テレビ番組との契約があったから、
出馬するとはいえなかった。」と言っているが、


前年の宮崎県知事選挙で、東国原英夫(そのまんま東)氏は、
そんなこと言わずに出馬している、
というかそのようなケースがほとんどだ。


来年の参議院選挙で、「あの時(今回の都構想否決直後)に、
まさか国政に出るなんて言えるわけなかったでしょう。」
と橋下氏なら堂々と言ってのけるだろう。


それに、憲法改正を是が非でも実現させたい
安倍首相がその口説きを諦めるわけがない。


なにせ20000%を覆した"実績"があるのだから。