Column160.日本に残る、根強い男女差別。 | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

労災死認定された女性の夫が、
夫に限ってもうけられている55歳以上という
要件を満たせないのを理由に


遺族年金をもらえないのは違憲だとして訴えていた裁判で、

二審の大阪高等裁判所は、一審の判決を覆し、
男女差別には当たらず合憲との判決を出した。


遺族年金には多数種類があり、
労災以外のものもあることから、
ここで説明すると長くなるので割愛するが、
性別が違うことで、もらえないケースがある。


そもそもそれ自体男女平等の憲法に違反すると
理解するのが自然だが、信じられないことに、
遺族年金に関しては、性別の違いが、21
世紀の日本でも
いまなお当たり前のように規定されている。


判決でも指摘があったように、実際の収入に男女差があり、
男性は残されても稼げるが女性は稼ぐのが難しい、
というのがその理由だそうである。


はっきり言って噴飯ものである。
いや、噴飯で済むものではない。


なぜなら、「その女性が払ってきた保険料は、
何のためだったのか。」という疑問が出てくるからだ。


男女ともに不利益を被る差別規定であることは明らかだ。


男女共同参画社会を目指しているとする安倍政権が、
その差別規定を正さないこと自体、
その本気度がどれだけなのか、如実に表している。


女性が払った保険料が活かされない、だったら払うだけ損、
働くのが損、となっていしまい、共同参画社会の実現は遠のく。


労災の場合「働き手をなくしたことによる利益喪失の補填。」
の意味合いは、それはそれで合理的である。


しかし、残された遺族の稼ぐ力によって、支給不支給を決めるのは、
そしてその稼ぐ力の判断を性別だけで規定するのは、
利益喪失の補填の趣旨に反するのは明確である。


乱暴な言い方をすれば、「女性の払った保険料は活かさなくてよい。」
ということが成立してしまう。


まさに性別による差別ではないか。


遺された遺族の稼ぐ力は、その家庭によりさまざまである。
性別だけで判断できるものではない。
その面からみても、今回の判決や、

そもそも差別規定がおかしいのは明白である。


老齢年金に国民の不信感が高まる中、
同じ保険料を基に運用されている遺族年金がこれでは、

ますます不信に拍車がかかる。


安倍政権が、本気で男女共同参画社会の実現に取り組むのなら、
投資を伴わない、この男女差別規定を一刻も早く撤廃すべきではないか。


出なければ、働く女性が報われないだけでなく、
男性も不利益を被るだけである。