2020年東京五輪のメイン会場となる、
国立霞ヶ丘競技場の全面完成が、
五輪時に間に合わないことが表面化した。
それだけでなく、費用も当初の倍に膨れ上がり、
管轄する文部科学省は、五輪の主催者主体となる
東京都に、財政支援を要請した。
そもそも、すでに取り壊されてしまった旧スタジアムを、
取り壊す必要があるのか、という声は、
著名な建築家を中心に多く上がっていた。
新スタジアムのデザインが斬新過ぎて、
工期に時間がかかり、費用の見積もりも甘い、
という理由だが、それが、当たってしまったことになる。
デザインの斬新さが、屋根を支える二本のアーチ部分構築に、
大幅な時間がとられる、という。
そこで開閉式の屋根は、五輪後ということになったのだ。
そもそも立候補時は、既存の施設を活用し、
出来るだけ先週の移動も少なくする
コンパクトさを売りにしていたはずだ。
五輪招致期に就任した舛添都知事は、
かねてよりその危機感をもっていたのか、
就任直後に、さらにコンパクトさを目指し、
競技団体の反発覚悟で、会場の変更を決めてきた。
しかしメイン会場は国の施設であり、
都の施設ではないことから、国にゆだねるしかなかった。
懸念されていた新スタジアムの完成遅れが現実化し、
財政支援まで求められた舛添知事としては、
反発するのは当然である。
ならばいっそのこと「金も出すが口も出す」として、
一部の著名な建築家が提案したように、
デザインの全面差替を認めさせ、間に合わない、
という事態を避けさせることを飲ませるなど、
全面的に見直した方が良いのではないだろうか。
五輪は、開催の1年前に、全競技で五輪と同様の
テストイベント、いわゆるプレ五輪を実施する。
なので残された時間は、実はあと4年しかないのだ。
舛添知事以外に、危機感をもっている関係者は、
残念ながら見当たらない。
五輪の運営を担う組織委員会の会長である森元首相も、
長らく国会議員だったので、どうしても
政府寄りになってしまうように見受けられる時がある。
しかし、主催者は政府ではなく都である以上、
逆に国会議員・総理大臣の経験を強みにして、
もっと舛添知事と連絡を密にして、
抜本的な見直しに関して、政府との橋渡しになってほしい。
失言ばかり目立つが、面倒見の良さから、
今もなお国会議員を中心に慕う人が多い。
だからこそ国会議員を辞めた後も、
推されて組織委員会の会長になった。
舛添知事とも良い関係が築けるはずだ。
本欄で、筆者は東京五輪招致に賛成ではなかったが、
やると決まった以上は外国人が多く来ることから、
何が何でも成功させるほかないのは、言うまでもない。
そのためにも、見直すべきところは、
早急に見直して、準備に備えなければならない。