安倍首相が、インドを訪問し、モディ首相との間で、
ムンバイ-アーメダバード間の高速鉄道に、
日本の新幹線方式を採用することが固まった。
海外の高速鉄道では、インドネシアにおいて、
受注確実な段階まで来ておきながら、
中国に取られてしまったトラウマから、
今回は安どの声が聞かれる。
しかし油断するのはまだ早い。
日本の新幹線方式は、車両や線路等の基盤だけでなく、
信号等も含めた運行管理、システムにらず触る人員等
全てを一括したものを「新幹線」としている。
一括でこそ、新幹線の強みが発揮される。
台湾新幹線は、受注競争の経緯から、
その一部が欧州の方式になったため、
すんなりと開業とはいかず、紆余曲折があった。
インド側は、雇用の面などから、
建設に当たり現地受注を求めている。
現地受注なら、日本から技術を持ち込まなければならない。
しかし出せない技術もあるだろう。
資金面では、同区間は東京-大阪間の距離があり、
需要も相当見込めるので、心配は薄いだろう。
細部の面はこれから詰めていく、ということで、
交渉はハードになると予想される。
折り合いがつかなければ、白紙になることもありうる。
だからまだ油断することはできない。
白紙になることがありうるのは、インドネシアでも同じだ。
中国は、資金面に当たり「インドネシア政府保証は要らない。」
「(ジョコ大統領再選の)2019年には開通させる。」
と、日本より破格の条件を示して受注を勝ち取った。
しかしその中身をみると、インドネシアの銀行が、
中国の銀行から融資を受ける。
政府間保証が銀行に移っただけだ。
インドネシアの銀行が資金回収できなければたちまち破たんだ。
国家間での保証よりリスクが高い。
資金回収には、如何に予定通りに開通させるかだ。
工事は中国側が行う。計画通りにいくかどうかの
主導権を握られてしまっている。
しかも中国には、フィリピンで工事を遅延させ、
計画そのものが凍結してしまった「実績」がある。
そして日本の円借款で再開された。
さらにいえば、インドネシアでは、中国案に決まる前に、
「高速鉄道」から縮小し「準高速」鉄道に変更されている。
例えれば、「フル規格」が「ミニ新幹線」になったようなものだ。
中国に取られたことでの痛手は、一定の緩和がある。
計画が行き詰まり、「やはり高速鉄道が必要」となった時、
インドネシアでの巻き返しが、現実のものとなるだろう。
そのためには、インドに多少足元を見られても、
インドのでの計画の成功はもちろんのこと、
アメリカのワシントン-ボルチモアのリニア計画を、
是が非でも勝ち取ることが重要である。