Column182.検証すべきは東京裁判だけではない。 | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

自民党の稲田朋美政調会長が、
太平洋戦争後(正式には休戦中)に行われた、
いわゆる「東京裁判」について、
その検証をする組織を、党内に立ち上げる。


東京裁判は「裁判」という名前こそついているが、
事象発生時にはなかった罪状を問われる、
いわゆる「事後法」の問題点が指摘されている。


その時には罪とならなかった行為を、
後から罪にしてしまうことは、法治国家ではなく、
人治国家になってしまうことから、
法の支配(人ではなく)の観点から
やってはならないこととされている。


東京裁判発生時は、事実上の全面降伏受入である
ポツダム宣言後に始まった。


事実上とはいえ、あくまで形式上は休戦状態である。
休戦であり、終戦ではない。
サンフランシスコ講和条約をもって、
勝敗付けずに、終戦となっている。


ということは、東京裁判の結果を受けた課役は、
敵による監禁、強制労働、殺りくなのである。


しかしながら、サンフランシスコ講和条約で、
日本は東京裁判の結果を受け入れた。


稲田氏は、その結果受け入れ事態に
異議は唱えないとしている。
しかし、前述の事後法の問題含め、
検討が必要だとして組織を立ち上げる。


東京裁判の矛盾を検証すること自体に、
筆者も異議はない。


しかし東京裁判は、太平洋戦争休戦中の出来事である以上、
太平洋戦争が起きた背景にまでさかのぼり、
「日本人の手で責任者に対する
所在を明らかにすること」までしないと、
中途半端になってしまう。


稲田氏や主張を一にする人たちにとってみれば、
戦争勃発の背景まで明らかになることは、
日本の正当性が揺らぐ危険性から、
手をつけたくない、という気持ちもあるのかもしれない。


しかし戦争は為政者が決めて始めたことである。
そこから眼をそむけては、東京裁判の非妥当性の指摘に、
正当性は、到底与えられない。


二度と戦争を起こさない、という理論武装をするなら、
起こした側の徹底検証が必要ではないか。