Column177.アベノミクス、邪魔しているのは、自民党。 | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

安倍首相の経済政策、いわゆるアベノミクスは、
第2段階に入り新しい3本の矢を放つ、と宣言した。


その3本の矢の内容が、抽象的かつ長期的で、
安倍首相の自民党総裁としての任期より長く、
結果評価が出来ない。


その前に、第1段階の3本の矢の結果評価はどうだろうか。
それを検証せずに、第2段階に行くのには首をかしげる。


消費者物価指数は、消費税が上がったにもかかわらず、
前年比を割り込む状況だ。デフレの脱却には程遠い。


有効求人倍率こそ上がっているが、
正社員は1倍を割り込んだままだ。


企業の業績は上がっているが、外需頼みで、
中国経済の減速からそれも心もとない。


そして残ったのは借金の増加だけである。


これらを見る限り、アベノミクス第1段階は失敗のように思える。
しかし見方を変えれば、「これだけのマイナスでとどまった。」
とも言える。企業の業績が上がったのは事実だからだ。


ではなぜそれにとどまっているのか。


日本経済・社会がバブルを機に成熟し、同時に少子高齢化が進行し、
これまでの右肩上がりの経済成長は望めなくなった。


日本の経済成長は、夫が働き妻が家庭を守り、
少ないお年寄りの介護は妻が家庭の中で行っていた。


しかし正規雇用が減り夫の収入だけでは生活を維持できず、
妻も働きに出る。お年寄りは増えて社会保障費は増大する。
まだまだ働ける元気なお年寄りも増えている。


しかし、厚生年金のモデル過程は、
サラリーマンの夫、専業主婦の妻、子ども二人だ。
そんな家庭は、もはや多数ではない。


介護政策も、基本在宅で「お嫁さんが世話する」
ことを前提としている。託児所も増えない。
これでは女性が働きに出られず、収入が増えない、
消費も増えない、企業はますます外需頼みになる。


女性も高齢者もみんなが働けるようにしなければならないのに。


これを縛っている規範意識の1つの表れが、
自民党の憲法改正案だ。


現憲法が、「個人」を基本としているのに対し、
同党の改正案は「家族」だ。
そして、国家は個人に優先する。


詳説は他のサイトに譲るが、
家庭内での役割分担を明確にしてしまったら、
女性の社会的進出はますますおぼつかず、
結果、男性の精神的負担がましてしまう。


現行の政策でも、第3子から援助、など、
手厚いとはいえないものばかりだ。


この点、同党の小泉進次郎衆院議員も指摘している。
第1子からの援助でないと意味がない、
若者が結婚しやすい環境にしないといけない、と。


アベノミクスは機会の平等を基本としている。
(実際中身がそうなっているかは別にして。)
しかし、女性や高齢者が働きに出られなければ、
機会の平等すら提供されない。


みんなが働きに出られて、
初めてアベノミクスは効果を発揮する。
直接的な経済政策だけでなく、労働法制や福祉政策など、
制度から変えていかなければ、

結局残るのは、格差と借金だけになり、
停滞・衰退する社会になってしまう。


自民党の議員は、教条主義的家族基本価値観から、
一刻も早く脱却しなければ、自らの支持基盤が
音を立てて崩れることに気づかなければならない。