Column176.菅官房長官の「恐怖」の発言。 | 打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

打倒池上彰(さん)!? 元局アナ・元日雇派遣労働者がニュースの深層を斬る!!【毎週土曜更新】

テレビ局ディレクター、アナウンサー、国家資格予備校講師、W杯ボランティア、本書き、日雇派遣、不動産飛込営業、コールセンターマネージャ、ITベンチャー人事総務課長という多彩な経験から多角的な独自視点で、今起きているニュースの深層を、徹底的に好き勝手に斬ります。

菅官房長官が、テレビのニュース番組で、
俳優の福山雅治氏と女優の吹石一恵氏の結婚について
感想を聞かれた際、


”子供を産んで国家に貢献してほしい”旨の発言をし、
個人の生き方に口を挟む者と批判を受けた。


個人の生き方に国家が口を挟むとして批判を受けたが、
この発言で、もう1つ問題なのは、「国家に貢献」の部分だ。


「国家」とは何を指すか見解は分かれるが、
統治機構または民主主義ではそれを選ぶ
国民全体であることに収斂する。


どちらにしても、国全体を指すことに異論はないだろう。


その統治機構の中枢にいる菅氏が、
「国家に貢献」ということは、
「統治機構への貢献」を指していると言われても抗弁できまい。


国民あっての統治機構である。
統治機構が国民に貢献することは第一の使命であるが、
国民が統治機構に貢献するなど本末転倒である。


簡易に言えば
「菅さん、何であんたに貢献しなければならないのか。」
ということである。


国民に貢献すべき統治機構の人間が、
「自分に貢献しろ」と言ったことになるのである。


かねてより、自民党の憲法改正案を見る限り、
それこそ「国民に国家への貢献」を義務付ける条項が並んでいる。


政治がやりたい放題でも国民は文句を言うな、ということである。
これは戦前の「国家総動員法」に代表される、
「戦前レジューム」のそのものである。


安倍首相はかねてより「戦後レジュームの脱却」を唱えてきた。
その女房役である菅氏が「戦前レジュームへの回帰」とも
捉えられかねない発言をするということは、


憲法改正案とも相俟って、
「本当に戦前レジュームへの回帰をもくろんでいるのでは、
との疑念を抱かざるを得ない。


本当に、日本を美しい国として取り戻したいなら、
先の大戦で日本を壊滅に追いやった戦前レジュームは
絶対にできないはずだ。


安倍首相以下自民党の政治家には、
そのことをしっかりと肝に銘じてもらわないと、
来年の参院選で、2007年の悪夢を招きかねない。


それこそ自民党にとって「恐怖」なのだから。