答えは ちゃんと見つかる の続きです。

 

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話がひと段落した時、

緋和子が不意に口を開いた。

 

『例の、黒い彼女。

 ”黒子さん”ね、まだ 居るわ。

 

 まだ 他人を呪ってるし、くやしがっているし

 恨んでいるわよ。

 

 ・・・・あなた、何か思う?』

 

 

 

黒い彼女が居ることは

なんとなく、感じていた。

 

今は、一時的に静かにしているだけ。

 

何かあれば、また騒ぎ出す。きっと。

でも・・・・

 

 

(うん。まあ、そーだよね。

 でも、もう しょーがないかなって 思ってる。)

 

 

『・・・・』

 

 

緋和子に目を向けられて

若干 心臓が ちぢむ。

 

なんとなく、言い訳がでてくる。

 

 

(だって、どうしようもないじゃん。

 ・・・見捨てるわけじゃないけど

 

 私に、どうにかできると思えない。)

 

 

(たぶん、何とかなるよ。きっと)

 

 

そう、たぶん、

何とかなる。はず。

 

 

でも、

 じわじわ不安になってきて、

緋和子に聞いてみる。

 

 

(・・・彼女は、何とかなる よね?)

 

『 あなた、彼女に

 どうなってほしいと思っているの?』

 

 

そりゃあ 人を恨んだりせずに

明るく前向きで・・・と言おうとして、ハタと気が付く。

 

”明るく前向きな彼女”なんて、 別人じゃないか?

 

 

ああ、ダメだ。

わたし、自分の都合で

彼女を別人に変えようとしてる。

 

そんなの、してはいけない。

 

 

慌てて訂正する。

 

 

(いや、ごめん、ちがった。)

 

(彼女は、・・・大丈夫だって、信じたい。

 無責任な希望だけど。

 

 ・・・私は、無責任かな?)

 

 

『無責任だと よくないの?』

 

(うーん。許されない ような気がする。

 誰に許されないのか、わからないけど、何となく。)

 

 

『そう。』

 

『他人を恨んだりするのも、

 あなたにとっては、”許されない”こと?』

 

 

黒い彼女を否定するのは、気がひけるけど

ここで嘘はつけない。

 

 

(うん。

 いけないこと だと思う。

   私にとっては。

 

 ちょっとだけ大目に見てくれたら、いいなぁ とも

 思うけどね。 )

 

 

誰に大目に見てもらうんだろう。

・・・わからない。

 

だんだん

自分が情けなく感じてきた。

 

 

(ごめん。

 

 自分のことなのに、

 上手く受け止められていないんだ。

 

 正直、どうすればいいのか

 わからない。)

 

 

 自分のことなのに、ちゃんと できていない。

 ・・・・まったく、情けない。

 

 

 

 

 

『そうね。

 じゃあ、こんなのは どう?』

 

 

(んん?)

 

 

『私が あなたの そういうところを

 よし とするわ。許してあげる。

 

 だから、あなたは

 黒子さんの 恨みったらしいところを

 よし とするの。』

 

 

意外な提案がきた。

 

 

(・・・・いいのかな?それ。)

 

彼女と目が合う。

 

 

うふふ。

 

 

彼女が柔らかく笑う。

いい流れが来ている、ような気がする。

 

そうなれば、いいけど

・・・・いいのかな?

 

 

 

ゆらゆら している私に

緋和子が強く押す。

 

『私は、それでいい と思うわ。

 

 あなたは?どう?』

 

 

うぉ プレッシャーだ。

でも、言うべき言葉は わかってる。

 

 

 

(わたしも、それでいい と します。)

 

 

『ええ。そうね。

 

 ・・でも 別に、律儀に守らなくてもいいからね。』

 

 

(あ ああ、うん。わかった)

 

 

よかった。

実は、ほっとした。

 

約束を守れなかったら どうしよう・・・とか、ちょっと不安だった。

 

 

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不思議な気分だ。

 

 

本来 わたしが持つべきものを

緋和子に持ってもらっている。

 

落ち着かない。

 

 

彼女が”よし”としているのだから、

それを受け入れなければ、、、

彼女を、信じなければ、、とも 思うんだけど。。。

 

 

『そこまで 頑張らなくても、いいわ。

 

 あなたはそういう、融通がきかない人なんだから、

 不器用なりに やっていけば、いいのよ』

 

 

緋和子が ちょっと困ったように言う。

 

 

わかっているけど、

受け止められなくて、モゴモゴする。

 

 

 

うん。わかってる。

いや、しかし、、、

でも、えーっと、まあ、そうですね。

 

 

うふふ。

 

 

・・・・気にしないように、するよ。

 

 

ええ。

 

 

 

 

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1-1 嘘つきの告解_1

 

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