「大丈夫だ。両思いだから」
出し抜けにツバサが言った。
(ツバサ=アチラ側の知り合い。人間だったり、鳥とか犬だったりする。)
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これから私はどうなるんだろう と 時々考える。
私は、ちゃんとやれているのだろうか?
この道の先に、ハッピーエンドはあるのか?
私は、「大丈夫」なのか?
「彼ら」はこういう疑問を持たない。
彼らは ただ流れに従って、右へ左へと動いていく。
流れるメロディみたいに、ただ 次へ次へと移り変わる
「なぜ」とウジウジするのは、私だけだ。
なぜ、私は彼らと同じように考えられないのだろう。
なぜ、私は進めなくなっているんだろう。
なぜ、なぜ・・・・・ああもう、自分が情けない。
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足が重くなった私を
ふーん、という感じで、ツバサが観察している。
(私が何に悩んでいるかなんて、彼には理解できない。)
(私が何度か説明しても、???だけだった。)
(彼はニンゲンじゃないから、どうしようもない)
そして、おもむろに彼が言った。
「大丈夫だ。たぶん、両思いだから」
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突然 何を言い出すんだと、反射で怒りが湧いた。
目を厳しくして振り返った私を
ツバサが興味深く見て、言葉を続ける。
お前さんは、何か、答えを探してるんだろ?
大丈夫だ。”向こう”も、そうだから。
”答え”の方も、オマエに見つけてもらうのを待ってるんだ。
だから大丈夫。
オマエたちは、両思いだから。
・・・・・・・
今度は、私の方が理解できなかった。
何を言っているんだろう・・・・
私の頭は止まっているのに、
彼の言葉がするりと体の中に染み込んでいく。
「なるべく早く、見つけてやれよ~」というセリフを投げて、
彼の注意が他所へ向いた。
たぶん、さっき自分が言ったことを 彼はもう忘れている。
私の中には じんわり残っているのに。
大丈夫だ。
向こうもオマエを待っているから。
両思いだから、大丈夫。