夢の中のヒト ”旅人” が登場します。
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”旅人”は夢の中の 知り合いの、一人です。
アチラ側にしては珍しく
人型の姿を持ち、人間的な思考をします。
物静かで
私の話を聞いて うん、うん と
受け止めてくれます。
とっても ありがたいヒトです。
旅人は砂漠の中を、一人で移動していますが
彼の砂漠は、彼の味方です。
砂粒が 意思を持っています。
彼にとって、心強いサポーターです。
旅人については こちら↓
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久々に "旅人"の砂漠へ来た。
自分の部屋に居て
突然 すうっと 落ちる感覚があって
うん? って思ったら
砂の上にいました。
(ああ、夢の中に移動したんだ)
「やぁ、いらっしゃい」
やわらかい声が耳に当たる。
彼だ。
少し離れたところで
彼が微笑み、手を上げていました。
私たちは 砂のベンチに並んで座り、
ぼーっと 砂漠を見ていました。
(彼が座る動作をすると、
砂が みるみる動いてベンチを作る。
すごい・・・)
彼が静かに言いました。
「何か、相談事?」
そうだん?
なんのことだろう? と
頭の中を探した瞬間に
私の内側から 言葉が 飛び出しました。
「わたし、なんだか怖い。」
「私が、色々変わっていってる」
「よくわからないけど、怖い。 どうしよう?」
口に出した後で
ようやっと自覚しました。
(ああ、私は怖いと感じていて、
彼に相談したかったんだ。)
私は今までの状況を説明しました。
緋色の彼女 とチームを組んだこと。
どうやら、私が(良い方に)変わっていっているらしい ということ。
その変化を嬉しい と思ったはずなのに、
今は なぜか怖いと感じている ということ。
彼は うん、うん と うなずきました。
見慣れた動作です。 安心する。
一通り しゃべった後、
話すことも無くなって、私たちは 無言で砂を眺めました。
・・・・・・・・・・・
風が吹いて
砂は静かに動いています。
・・・・・・・・・・・
もう戻った方がいいかな と思って、
私は立ち上がり、別れを言おうと彼を見ました。
彼の、穏やかな目と ぶつかる。
大丈夫。
彼は、言葉に出さないけれど
そう言っている、ような気がする。
足の裏に、温かい砂の感触がある。
励まされている のかな?
もちろん、砂と会話できる訳じゃないけれど
そんな気がする。
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意識が浮上して、自室へ戻る途中
”あなたって、全然わかっていないのね (呆れ)” という
緋色の彼女 の決め台詞 を思い出した。
まったく、その通りだ。
最初に、自分の気持ちに気がついて
次に、彼の気持ちと
砂の気持ち に目がいき、
ようやく 彼女のことを思い出した。
(突然 砂漠へ移動したから、心配しているかもしれない)
私ってば、まだ ダメダメだ。
だから、自分の部屋に戻って
精進しなくては。
私は、まだまだ 変わらなくちゃいけない。
(終)
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緋色の彼女 については こちら↓
2 二人分の夕焼け